経済・産業委員会

1999-03-09 参議院 全152発言

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会議録情報#0
平成十一年三月九日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月八日
    辞任         補欠選任
     長谷川 清君     今泉  昭君
 三月九日
    辞任         補欠選任
     今泉  昭君     長谷川 清君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         須藤良太郎君
    理 事
                成瀬 守重君
                畑   恵君
                簗瀬  進君
                山下 芳生君
                梶原 敬義君
    委 員
                上野 公成君
                加納 時男君
                倉田 寛之君
                小山 孝雄君
                末広まきこ君
                中曽根弘文君
                今泉  昭君
                長谷川 清君
                平田 健二君
                福山 哲郎君
                前川 忠夫君
                海野 義孝君
                加藤 修一君
                西山登紀子君
                渡辺 秀央君
                水野 誠一君
   国務大臣
       通商産業大臣   与謝野 馨君
       国務大臣
       (経済企画庁長
       官)       堺屋 太一君
   政府委員
       経済企画庁調整
       局長       河出 英治君
       経済企画庁国民
       生活局長     金子 孝文君
       経済企画庁総合
       計画局長     中名生 隆君
       経済企画庁調査
       局長       新保 生二君
       通商産業大臣官
       房商務流通審議
       官        岩田 満泰君
       通商産業省貿易
       局長       佐野 忠克君
       通商産業省産業
       政策局長     江崎  格君
       通商産業省環境
       立地局長     太田信一郎君
       通商産業省基礎
       産業局長     河野 博文君
       通商産業省機械
       情報産業局長   広瀬 勝貞君
       通商産業省生活
       産業局長     近藤 隆彦君
       資源エネルギー
       庁長官      稲川 泰弘君
       資源エネルギー
       庁石油部長    今井 康夫君
       資源エネルギー
       庁石炭・新エネ
       ルギー部長    北畑 隆生君
       特許庁長官    伊佐山建志君
       中小企業庁長官  鴇田 勝彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        塩入 武三君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査
 (ものづくり基盤技術振興基本法案に関する件
 )
 (通商産業行政の基本施策に関する件)
 (経済計画等の基本施策に関する件)



    ─────────────
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須藤良太郎#1
○委員長(須藤良太郎君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、長谷川清君が委員を辞任され、その補欠として今泉昭君が選任されました。
    ─────────────
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須藤良太郎#2
○委員長(須藤良太郎君) 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査を議題といたします。
 今泉昭君から委員長の手元にものづくり基盤技術振興基本法案の草案が提出されております。
 内容はお手元に配付のとおりでございます。
 この際、まず提案者から草案の趣旨について説明を聴取いたします。今泉昭君。
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今泉昭#3
○今泉昭君 ただいま議題となりましたものづくり基盤技術振興基本法案の草案につきまして、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
 ものづくりという言葉で象徴される製造基盤技術及びその担い手である労働者は、国の存立基盤にかかわる重要な経済的・社会的役割を果たしておりますが、近時、経済の多様かつ構造的な変化による影響を受け、製造業の衰退が懸念されるとともに、ものづくり基盤技術の継承が困難になりつつあります。
 我が国経済が、国の基幹的な産業である製造業の発展を通じて今後とも健全に発展していくためには、ものづくり基盤技術に関する能力を尊重する社会的機運を醸成しつつ、ものづくり基盤技術の積極的な振興を図ることが不可欠であります。
 こうした理由から、ものづくり基盤技術の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、本法律案を提案することとした次第でございます。
 次に、本法律案の内容を御説明申し上げます。
 本法律案は、第一に、前文で、ものづくり基盤技術が国民経済において今後とも重要な役割を果たしていく旨を宣言するとともに、ものづくり基盤技術に関する能力を尊重する社会的機運の醸成、ものづくり基盤技術の積極的な振興等を法律運用の基本理念として示しております。
 第二に、ものづくり基盤技術とは、工業製品の設計、製造または修理に係る技術のうち汎用性を有し、製造業の発展を支えるものとしております。また、ものづくり基盤技術振興のため、ものづくり事業者、ものづくり労働者等に対し、研究開発の振興、産業集積の促進、雇用の確保等必要な施策を講ずることとしております。
 第三に、政府は、ものづくり基盤技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的推進を図るため、ものづくり基盤技術基本計画を策定しなければならないこととしております。
 以上が本法律案の草案の趣旨及びその内容の概要でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
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須藤良太郎#4
○委員長(須藤良太郎君) 本草案に対し、質疑、御意見等がございましたら御発言願います。
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山下芳生#5
○山下芳生君 日本共産党の山下でございます。
 我が党は、ものづくり基盤技術の衰退の懸念、継承の困難を生み出している最大要因である大企業の身勝手な行動を民主的に規制し、地域経済への貢献、雇用の確保、あるいは公正な取引など社会的責任を果たさせることが必要であると考えております。法案にはそうした観点は入っておりません。しかしながら、法案の趣旨であるものづくり基盤技術振興、これは極めて重要であり、その実効性を確保する立場から幾つか質問をさせていただきます。
 第一に、ものづくり基盤技術の多くは中小企業者、中でも従業員二十人以下の小規模企業者に支えられております。例えば、金属製品、一般機械器具、電気機械器具、輸送機械器具、精密機械器具など主な五業種で見ますと、小規模事業所数は全事業所の八二%を占めております。この法案では、小規模企業者も中小企業者であるものづくり事業者に含まれ、支援の対象になると理解してよろしいでしょうか。
 それからまた、私は、人間の五感による経験、体験を通じて会得した技術的能力である技能の継承がとりわけ重要だと考えます。旋盤加工技術の技能者の方の話を聞きますと、旋盤で削るというよりもなめるという表現をされる、そういう技能が法案で言う技術には含まれていると解釈してよろしいでしょうか。
 この二点についてまずお伺いしたいと思います。
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今泉昭#6
○今泉昭君 我が国のいわゆるものづくり産業を支えるところのものづくり基盤技術の多くが中小企業、中でも今先生御指摘の従業員二十名以下の小規模企業に存在しているのは全くそのとおりだというふうに私どもは理解をしております。特に中小企業におきましては、幾つかの、複数の基盤技術を擁する経営者並びにそこに働く労働者がその技術をさらに向上させているということもまた実態ではないかと思いますし、特にこれらの方々は、恵まれない労働環境の中で、いわば光が当たらないようなところでたゆみない努力を実はしてくださっているわけでございまして、これらの方々が戦後の我が国の製造業を今日まで発展させてきた大変大きな要因であっただろうというふうに私どもは理解をしております。
 そこで、本法律の対象となるものづくり事業者は、起案者といたしまして規模の大小を全く問うておりません。本法の目的そのものがものづくり基盤技術の振興でありまして、企業の規模にかかわらない問題だからというふうに理解をしております。ただし、御指摘のように、ものづくり事業者の大部分が中小企業によって占められていることにかんがみて、我々としましては、第十五条で上乗せ的に中小企業のみを対象とする施策を講ずることが必要であるというふうにしているわけでございます。このような本法の趣旨から、御質問の小規模企業者は中小企業者でものづくり事業者に当然含まれるとともに、支援の対象になるものというふうに考えているところでございます。
 それから、次に御質問いただきました技能の問題でございますけれども、いわゆる経験、体験を通じて会得したところの技能の継承を重視すべきということは当然だというふうに私も考えております。ともすれば、みずからの体と手を駆使いたしましてものをつくり出す能力、すなわち技能が一般的に一段低く見られているという風潮が我が国に存在しているわけでございまして、これはものづくり教育というものが大変手薄な現在の学校教育の影響を多分に受けているのではないだろうかというふうに考えているわけであります。
 したがいまして、この法案で言うところの技術というものには、技術が経験により身体化した能力、すなわち技能も当然含まれておりますし、技能労働者の社会的評価の向上を最も重要視していることをつけ加えさせていただきたいというふうに思っております。
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山下芳生#7
○山下芳生君 次に、法案のものづくり基盤技術と同様の定義をしております現行法の特定産業集積活性化法は、基盤的技術産業としまして現在二百四十九業種を指定しております。しかし、製造業におけるそのシェアは事業所数で四七%、従業員数でも五〇%、製造品出荷額でも四六%とほぼ半数を占めるにすぎません。指定業種の中に食料品、飲料・飼料、製糸業、網、衣服等、木材・木製品、家具・装備品、紙・紙加工品などが含まれておりません。
 法案は基本法でありますので、私は、中小企業のものづくりを全体として守り継承していこうという視点が必要であると考えます。したがって、政令で定める基盤的技術産業の範囲を広くとるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
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今泉昭#8
○今泉昭君 本法律案によるところの対象となっているものづくり基盤産業というものは、ものづくり基盤技術を主として利用して行う事業が属する業種でございまして、製造業等に属するものの中から政令で定めるものと実はしているわけでございます。この定義の仕組みというのは、御指摘いただきましたように、特定産業集積活性化法の基盤的技術産業の定義の仕方に実は倣って組み立てたものでございます。
 しかしながら、同法律の定義が「海外の地域における工業化の進展による影響を受けている業種と関連性が高いものに限る。」というふうな限定をつけているのに対しまして、実はこの法案ではそのような限定を設けておりません。本法案は、産業空洞化の対応策としてのみではなくして、ものづくり基盤技術自体の振興を目的とするものでありまして、今御指摘いただいたように、ものづくり基盤技術に関する産業はなるべく広く施策の対象としてその振興を図ることが適当であると実は考えたからでございます。
 御指摘いただきましたこの法文に載っていない産業、具体的に述べられました家具であるとか紙であるとかの製造業でございましても、実は汎用性を有して製造業の発展を支えるものづくり基盤を主として利用して行う事業が属する産業であれば、ものづくり基盤産業として指定することができるものと私たちは考えているところでございます。
 本法は、ものづくり基盤技術振興のため政府に基本計画の策定を義務づけております。基本計画の策定によりまして、政府において、ものづくり基盤再構築のため総合的、計画的に施策を推進する体制が確立されるものと期待しているわけでございます。この基本法制定が、我が国のあらゆる産業の基礎であるものづくり産業の基盤再構築の出発点となることを強く期待しているところでございます。
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山下芳生#9
○山下芳生君 最後に政府にお伺いします。
 こういう法案の議論が今されているわけですが、政府のものづくり基盤技術に関する現状の認識と、その振興への決意について伺いたいと思います。
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与謝野馨#10
○国務大臣(与謝野馨君) 通産省としては、今後我が国経済の発展のために、ものづくりを支える基盤的技術の振興は極めて重要であると認識をしております。これまでもそのためにさまざまな施策を講じてきているところでございます。
 具体的には、一昨年六月に施行されました特定産業集積の活性化に関する臨時措置法に基づき、全国で二十五地域の基盤的技術産業集積の活性化計画を承認し、基盤的技術の高度化を積極的に図ろうとする事業者の支援、地域振興整備公団による賃貸型事業場の整備等を進めているところでございます。
 これらに加えまして、労働省の地域雇用開発等促進法に基づく高度技能活用雇用安定地域での人材確保政策との連携など、各省庁との政策連携により、ものづくりの基盤を強化するための支援を講じているところでございます。
 さらに、経済構造の変革と創造のための行動計画を踏まえ、技術者の高齢化や若者の製造業離れに対処して、ものづくりを支える優秀な技術者、技能者の確保育成を図るため、地域の産業界等で構成するものづくり協議会による体験教室等に対する支援等の施策を推進しております。
 通産省としては、ものづくり基盤技術振興基本法案が成立すれば、その趣旨にのっとり、基盤的技術の高度化や優秀な技術者、技能者の確保育成に向けて各省とも連携をしつつ、これらのものづくり施策の充実に努めてまいります。
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山下芳生#11
○山下芳生君 終わります。
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須藤良太郎#12
○委員長(須藤良太郎君) 他に御発言もないようですから、本草案をものづくり基盤技術振興基本法案として本委員会から提出することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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須藤良太郎#13
○委員長(須藤良太郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、本会議における趣旨説明の内容につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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須藤良太郎#14
○委員長(須藤良太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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須藤良太郎#15
○委員長(須藤良太郎君) 次に、通商産業行政の基本施策に関する件及び経済計画等の基本施策に関する件等について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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前川忠夫#16
○前川忠夫君 民主党・新緑風会の前川でございます。
 質問に入ります前に、お礼といいますか、感想を一言だけ述べさせていただきます。
 今、委員会としての御承認をいただきましたものづくり基盤技術振興基本法案、私も三十数年前にメーカーの職場で機械を使っていた立場から考えますと、こういう法律が必要な世の中になるということは実は想像もしませんでした。本来であれば、それぞれの企業の中で努力をしなければいけないんでしょうが、世の中の移り変わりの中で、やはり国としてこういうものをしっかり守っていくということの必要性について各党会派の皆さん方あるいは各官庁の皆さん方の御協力もいただきながらこの法案ができましたこと、同じ会派からということではなくて、この問題について同じ関心を持つ一議員として心から各関係の皆さん方に最初にお礼を申し上げたいと思います。
 なお、通産省の方にもお願いをしておきたいと思いますが、この基本法はかなりの広範囲にわたる官庁の皆さん方がかかわることに多分なるんだろうと思います。ぜひそれぞれの官庁間の、お役所の間の縄張りといったものの弊害がないような形でこれに基づくさまざまな施策がとられることを私の方からも最初にお願いをし、最初に発言をさせていただきます。
 それでは、きょうは与謝野通産大臣あるいは堺屋経済企画庁長官がお見えですから、これまで予算委員会の中での議論やあるいは先般大臣あるいは長官の方から御発言がございました内容について、最初に景気の現状やこれからの景気にかかわる問題について、大変関心が強いものですから、多少繰り返しになる点があるかもしれませんが、ひとつ質問をさせていただきたいと思います。
 既にこれまでもたびたび議論になりましたが、昨年の特に三、四月ごろから景気の悪化が深刻だということでさまざまな手が打たれました。いわゆる緊急経済対策として、昨年、つまり九八年度だけでもたしか四十兆近いお金が経済対策としてつぎ込まれたと思いますが、今現在その効果はどういう形であらわれつつあるのか。最近の経済企画庁のさまざまな経済指標を見ますと、従来とは若干違った表現に、これは作文だけでは実は困るのでありますが、変わってきているように見受けていますけれども、その辺についての経済企画庁長官の御見解をまずお聞きしたい。
 あわせて、現在の景気判断の中で、経済企画庁として重視をしておられる指標の一番大事な点といいますかポイントをどの辺に長官は置いておられるのか。といいますのも、実は金融機関の公的資金投入にかかわるニュースが非常に大きくけさの新聞でも報道されておりました。金融の問題が解決をすればまさに反転をするというふうに考えていいのか。あるいは、よく言われますように、消費がまだら模様であるとはいうものの、やや底がたさが出てきたという見方も一部にはあります。消費にこれからの大きな期待がかけられるのかどうか。企業の設備投資やあるいは最近の為替の傾向等々さまざまな要因があると思いますが、長官としてはどの辺が一番大きな材料になるとお考えか。また、最近の景気の先行指数あるいは一致指数を見ておりますと、大変幅が、振れが大きいんです。これは一体何が原因というふうにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 それから、これは予算委員会での議論になったことでもありますが、この場で議論をしてお答えをしていただくという性質のものではないかもしれませんが、予算編成段階での経済企画庁の一%と通産省の〇・五%の経済成長論議。確かにマクロの段階で見た場合に、〇・五という数字は、大臣おっしゃるようにまさに誤差の範囲だという言い方も私はあながち否定をするわけではないんですけれども、少なくともGDPの全体の枠から考えますと〇・五という数字は大変大きな数字になってくるんです。
 それから、マクロで見た場合に、これは私の経験でありますけれども、あるタクシー会社の方とお話をしておりましたら、前川さん、バブルのころに銀座でタクシーを拾おうと思っても、めったに銀座なんか行きませんけれども、ほとんど空車はなかったでしょうというお話がありました。そうですねと。最近はどうですかと言うから、まさに明かりのついた車ばかりですねと。タクシーの場合には実車率と言うんだそうですが、実車率の違いはどのくらいだと思いますかと。バブルのころでさえもせいぜい五二、三%。今がどのくらいですかと、せいぜい四七、八%、わずか五ポイントの差でしかないんです。見た目ではもっともっと空車の率が多いのか、実車率がもっと低いのかと思いました。あるいはバブルのころはもっと一〇〇に近いのかと思いましたら、こういう数字というのは全国平均で出てくるんです。
 ですから、僕は、GDPの場合でも〇・五という数字は、日本の経済の実勢からいきますと、せいぜい高くても今の段階で考えれば二、三%が限度でしょう。それから昨年の経済成長を見ても、マイナスといってもせいぜい一から二。このわずかの幅の中の〇・五というのは非常に大きいんです。しかも、影響が大きいだけに、この数字の扱いについてはこれからもぜひ慎重を期していただきたいということを私の感想として申し上げておきますので、もし御所見がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
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堺屋太一#17
○国務大臣(堺屋太一君) いろいろ広範なお尋ねがございました。
 まず最初に、景気対策四十兆円という話がございましたが、昨年の四十兆円というのは、まず四月に決定いたしまして六月に国会を通していただきました第一次補正予算、これが事業費として十六兆円、それから十一月に決定いたしまして十二月に通していただきました第三次補正予算、これが二十四兆円、総事業規模及び減税を加えて二十四兆円ということになっておりますので、その合計金額を委員は指しておられるのかと思います。
 これがどの程度の効果を上げたかでございますが、まず最初の第一次補正の十六兆円でございますけれども、これが地方議会等の関係がございまして本当に実効を上げてきたのは九月以降、十月に入ってからでございまして、この間、参議院選挙で内閣がかわったりいたしましてかなり空白がございます。この間に景気のかなり落ち込みがあったのでございますけれども、秋になりまして各地方議会の承認を得て実行されるようになりまして、かなりの下支え効果があらわれてまいりました。数字で申しますと、この間に特に社会資本、政府の固定資本形成というのが、公共工事出来高という数字で見ていただきますと十―十二月で前期に比べて七・五%ほどふえておりまして、これが景気の下支え効果をなしたと言えると思います。
 次に、十一月に決定いたしまして十二月に国会で御承認いただきました第三次補正予算でございますけれども、これは一部の府県では一月、大部分のところでは二月の地方議会にかかっておりまして、今これから発注されるというような段階になるんではないかと思いますが、こういったことが景気の下支えになりまして、秋になりますとやや下降の傾向がとどまってきた。十二月になりますと、一部には変化の胎動も生まれてきたというような効果がございました。そういう意味では、全くむだではなくて、予期したとおりの効果を上げたと言えると思います。
 次に、現在の景気判断の中で何を重視するのかというお話がございました。
 これはなかなか難しい問題でございまして、どれを重視するかというのは一概に申せないところがございます。経済は生き物でございますから、そのときそのときによって重要な指標も変わってくるわけでございますが、概して申し上げれば、一方においては生産、出荷の数字、他方におきましてはやはり一番大きな需要でございます消費の数字、この二つが重要だと思うのでございますけれども、統計上これが出てくるのは少しおくれます。統計が出てきてからそれに対応して何らかの政策をとるとなりますと、政策実行までにまた時間がかかり、そしてそれが効果をあらわすまでにまた時間がかかる。だから、統計を見て動いていたのでは遅いということがよく言われるわけです。
 今の補正予算でも、昨年、橋本内閣のころですが、大変景気悪化ということを感じて補正予算を組まれたのがもうぎりぎり、本予算が上がってすぐ組まれて、四月でございましたが、国会で通って六月で、実行されるのが九月、十月ということになるわけですから、非常にずれが出ます。
 したがいまして、我々といたしましては、統計数字だけに頼らずに、ヒアリング、業界のヒアリング、地域のヒアリング、それから今委員御指摘になりましたようなタクシーであるとかトラックの荷物の運送量でありますとかあるいは百貨店やスーパーマーケットのような比較的早くとれるような数値なども入れまして、これらを勘案して景気判断を考えます。
 また、金融というのも非常に重要でございまして、金融の貸し付けもございますし、マネーサプライの量、これも比較的早く出ます。それから、株式市況とか金利の動向なども重要な指標でございます。
 そういうものを総合して、最後に判断をするのは何かというと、まあこう申し上げると批判がございますけれども、結局、勘だということにならざるを得ないのでございまして、いろんな指標を読んで、最終的に人間の判断が行われるというような形になっております。
 三番目に、DIについて、先行指数、一致指数という判断について、これは非常にぶれるというお話がございました。
 これまた事実でございますが、このぶれる理由はいろいろございますけれども、早く言いますと、この指標でとっておりますのが十ないし十一ぐらいの数をとっております。それで、できるだけ早く出すためにそのうちの八つぐらいがわかった段階で発表しておるんです。そういたしますと、一つか二つ変わることによってプラスが五割になったり四割になったりするというようなずれがございます。そういう景気判断で非常にマイナスになったりプラスになったりすることが多いという御批判がございますが、これも先ほど申しましたように、いろんな指標の一つとしては有効なものだと思っております。
 ちなみに申し上げますと、先行指数として割合と先に出てくる、これから三カ月ぐらいの後の経済実態を反映していると思われるような項目、これが十一でしたか、あるのでございますけれども、それで見ますと、九月が六三、十月が四〇、十一月が六〇、十二月が五〇、一月が四三というような変動が出てまいります。一月はまだ部分しか出ておりませんから、これはまた逆転する可能性があります。
 一致指数というのは、現在の景気状況を経営者が受けとめた感じのものを比較的出すんですが、それを見ますと、九月が六三、十月が五五、十一月が三五、十二月は何と一〇でございまして、ほとんどの人が悪いと言ったと。数字が少ない方が悪いんです。それで、一月になりますと急に六三になるというような動きを示しております。これだけでは何とも申せませんけれども、その背景をいろいろと調べまして、私どもの方ではできるだけ修正をしてぶれのないような数字を出させていただいております。
 そういうような統計上の限界というものがいろんな面にあらわれているということでございます。
 次に、〇・五%か一%かという御質問がございました。
 これは、私ども経済企画庁が〇・五%と言ったのに対して、通産省の方が一%ぐらいは大丈夫だと、こういうお話でございましたのですが、これは非常に見通しとしては微妙な範囲に入ってまいります。したがって、誤差というのは言葉としては正しくないでしょうけれども、感じとしては、ちょっとこの見方を変えるとその範囲ぐらいの違いが出てくることは事実です。マクロ経済というのは、特に海外要因など一定の条件を全部当てはめます。
 例えば、現在の〇・五%という見通しを出したときは、為替は一ドルが百十九円二十五銭でしたか、調査の前の月の平均値ぐらい出すわけですが、これはそう決めておかないと、また人間が判断するとそこで恣意的になるというのでそう決めておるわけですが、今はたまたまそれに近い数字になっておりますが、実際の為替は変動する、それだけによってもかなり変わるわけでございます。
 そういう性格を持った見通しでございますので、必ずしもコンマ以下の数字で正確に出すことは困難でございますが、私どもといたしましては、小渕内閣の公約といいますか、公にしておりますもので、しっかりとしたプラスというのが一番基本でございます。〇・五%でもこれははっきりプラスの数字の経済状態にしたい、二年連続のマイナスをプラス成長にしたい、こういうことでございます。
 だから、委員御指摘のように、部分によっては、それによって、ある業界、ある地域をとりますと相当差が出るかもしれませんが、私どもとしては、マクロとしてはしっかりとした、はっきりとしたプラスという意味でおとりいただければ幸いかと存じております。
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与謝野馨#18
○国務大臣(与謝野馨君) 〇・五と一%の違いということでございますが、経済予測というのは、すべての人々の意思決定と行動の総合として経済現象というものは成り立っているわけでございます。また、諸外国の動向も一つの要素でございます。
 戦後発達しました経済学の中で、計量モデルを使って経済の予測をしようという手法が各国でとられました。我が国でもそのような試みが行われ、通産省は通産省の経済モデルを持って将来の予測に当たっております。したがいまして、経済のモデル自体がいろいろな研究所等が使っているモデルと完全に一致しているかといえばそういうことはなくて、それぞれの若干違うモデルを使っているということがございます。そこでまず一つの違いが発生いたします。
 それと同時に、モデル計算を行いますときにいろいろなパラメーターをそのモデルの中に入れます。これは非常に客観的なパラメーターもありますが、将来の予測にかかわるようないろいろな数字も入れなければならない。例えば今、堺屋さんが触れられました円レートということは将来にわたる話でございますから、その段階では一つの予想が入ってきてしまうわけでございます。そういうことでモデル計算をいたしますので、その結果は、ある種の前提と幅を持った結果しか出てこないということになります。
 パラメーター自体がいろいろな変数であるわけですので、そういうものを総合してやりますが、堺屋さんは勘とおっしゃいましたが、勘よりはもう少し科学的なものだろうと私は思っております。すぐれた勘を持った方が予測されますのは結構だと思いますけれども、我々普通の者は計量モデルを頼りに経済予測をしているわけでございます。これは、例えば選挙の世論調査でもプラス、マイナス何議席という誤差の範囲が表示されておりますように、こういうモデル計算をいたしますとどうしてもいろいろな考え方によって上下の差は出てまいります。
 しかし、今回経済企画庁といろいろお話をした中で、やはり小渕内閣が経済再生内閣であると宣言した以上、断固プラスの方向に経済成長率が動くんだという意思表示をする、そういう考え方が基礎にございます。また、それはほっておいてそうなるということではなくて、やはりプラスの方向に経済を動かすという意思と施策が必要なわけでございます。
 そういう意味で、堺屋さんは〇・五と言い、我々は一と申し上げましたが、しょせんそれはいろいろな考え方の違い、またモデルの違い、パラメーターの投入の違いから出てくる誤差というのが正確な言葉でございまして、そういう中でいろいろ議論をいたしましたが、〇・五と一というのは厳密な数学的な意味では誤差の範囲だろうと。
 ただ、前川先生おっしゃるように、それは全体のGDPの中の二兆円を超える部分だよというふうな御指摘は当然私はわかるわけでございまして、私どもとしては、プラスの方向に経済を持っていく、そういう強い意思表示をしたかったということが前提にあったということをぜひ御理解いただきたいと思っております。
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前川忠夫#19
○前川忠夫君 私の質問の内容が幅が広かったせいでお答えの時間が十五分ぐらいありまして、私の持ち時間は五十七分でありますので、後の質問は私の方も短くしますので、ごく簡潔にお願いをしたいと思います。
 実は今の話は、内閣の姿勢、あるいは政治的な判断というと差し支えがあるかもしれませんが、プラスにするという意味でそういう判断をされるということは僕は否定をしていないんです。政治というのは場合によってはそういうものですから。
 ただ、問題なのは、内閣といいますか、同じ内閣の中の通産省と経済企画庁が違った数字のとり方でやっているんじゃないかという疑念を生むわけです。政治的な判断がそこに入っているんだというのであれば、これは例えば通産省は通産省の役割がある、経済企画庁は経済企画庁の役割があるというのであれば、それはそれでいいですし、それから小渕内閣としてはこうなんだという決意を表明される。結果については、当然そのことに対する責任というとオーバーになりますが、ありますよということを私どもは申し上げているわけですから、それはそれで私は結構だと思います。
 ただ、一つの内閣の中でそういう違いが出る、あるいは官庁の間に違いが出るというのは、事が大事な問題だけに、これからもひとつ精査をしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
 それから、公共投資の話が先ほど長官の方からも出ましたが、私は公共事業というのを悪だというふうに決めつけるつもりはありません。ただ、昨日も本会議の中でも議論がありましたように、地方財政の今の逼迫の状況から考えますと、地方自治体における公共事業にかかわるお金の使い方というのはますます厳しくなってくる。政府が景気対策だからといって幾ら金をつぎ込んでも、一〇〇%国の事業ばかりであればいいんですけれども、そうではない。それから、ある地方へ行きましたら、もうほとんどインフラの整備は終わっているよ、だけれどもここで切るわけにはいかないと。それはなぜかといいましたら、地域に産業がなくなってしまった、したがって地域の雇用対策としてこれは切れないという話をよく聞くんです。
 そういう意味で、昔の公共事業と現在における公共事業というのはさまざまな変化があります。ところが、公共事業にかかわる予算の割り振りというのはほとんど同じなんです。多少ずつ違いは出てきていますが、配分の割合というのはそう大きな変化はほとんどないんです。
 これは我々も前々から申し上げてきたことなんですが、大胆な見直しをしていかないと、本来の公共事業の効果というのはますます下がっていってしまうんじゃないかという感じを私どもは持っているんですが、長官の御見解があればお聞きをしたいと思います。
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堺屋太一#20
○国務大臣(堺屋太一君) 地方財政との関係でございますけれども、先ほど第三次補正予算で二月が多いと言いましたが、議会では十二月に通していただいたのが多いのでございますけれども、特にこの次の十一年度予算になりますと単独事業等が減っているということは事実でございます。私たちの〇・五%というような、これは小渕内閣全体として政府見通しをそうさせていただいたのでございますけれども、これには地方財政の逼迫、それに対する地方交付税率の引き上げ等のことも勘案した上のことでございます。
 ずっと同じことをやっておるから効果がないではないかと御指摘がございましたけれども、このたびの公共事業の選定には、即効性、波及性、未来性という三つの条件を当てはめて選択をさせていただきました。その中でどういうのが旧来型かというのは一概に言えないと思うのでございますけれども、現に進行している即効性のあるものもやはり取り上げておりますし、それからそれができれば民間投資を呼ぶというような波及性のあるもの、そして新しく未来性のものをかなり取り上げております。空間倍増戦略プランあるいは産業再生プラン、さらには二十一世紀先導プロジェクト、四つのプロジェクト等も取り上げておりまして、そういう転換も考えております。
 各省別だけで見ていただくとそう違いがないんじゃないかと思われるかもしれませんが、内容的にはかなりそういう先端的なものも加えて進めようと考えている次第でございます。
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前川忠夫#21
○前川忠夫君 公共事業の問題は、私たちは、今の国が三分の二から一対一にして、将来的には少し地方の判断でできる、地方に財源を移したらどうですかという提起をしています。政府の方も全く頭からこれは否定をしておられるわけではなくて、将来的にはそういう姿も当然考えられるんだと思います。地域において自主的にできる事業というものをもう少し拡大する方向でぜひ御努力をいただきたいと思います。
 そこで、景気のもう一つの柱、消費の問題なんですが、先ほど長官も関心を持っておられるというふうにお話がございましたが、今度の予算の中のいわゆる減税の問題。
 私は、民主党の案、もう既に出してございますから、これとの比較で申し上げても、一番厳しい生活を強いられている層といいますか中堅層が、今度の政府の減税案ではむしろ特別減税との比較では結果的に増税になるという指摘を実はさせていただいておるんです。
 これは、本会議や予算委員会の総理の答弁の中でも、特別減税と恒久減税と比較されると困るんだというお話をよくされます。私は、なぜことし減税をやるんですかというふうに逆に聞きたくなるわけです。こういう厳しい経済環境を何とか打破したい、再生したいという願いを込めた減税であれば、特別減税と恒久減税との比較をすることも当然必要ですし、緊急対策としてはそういう性格を持った減税にしなければならないという立場からも、私は今度の政府の減税案というのは少し的外れな減税案じゃないかという気がしてならないんです。
 実は、ちまたの声を聞きますと、例えば減税という形で今まで取られていたものが少なくなったとします、懐にふえたとしましても、将来に対する不安は依然として解消されていない。年金の問題や医療の問題、さまざまな場所で議論をされています。ほとんど先送りになっておるわけです。とすると、今あるお金は使えないじゃないかという話があるんです。
 ですから、景気対策というのはセットで出すべきであって、なおかつ一番肝心な政府がお金を使わなきゃならない減税であるとすれば、最も効果的な的を射た減税をしなければならないんじゃないかというふうに私は考えるんですが、この政府の減税案の消費に対する影響というのをどのように判断されておるか、お聞かせをいただきたいと思います。
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堺屋太一#22
○国務大臣(堺屋太一君) これは本会議、予算委員会でも議論されたところでございますが、まず昨年の特別減税、これは合計四兆円になりました。金額でいいますと、ことしの恒久的な減税と言われている所得課税と似たような数字、同じような数字になっているわけでございますが、昨年の特別減税は景気対策上慌ててやった。慌ててやったという言葉は語弊があるかもしれませんが、緊急非常にやりました。その結果、税率の計算その他に時間がないということで定額減税をやったんです。これはあくまでも緊急避難的なものでございまして、これと今回の減税案とを比較していただくといささか問題が混乱すると思います。
 その結果、昨年は定額減税をやりましたので、子供二人の標準家庭で四百九十一万七千円まで無税になりました。この形態がいいか悪いかということでございますが、これでございますと、二百万、三百万の年収の方も四百九十万の方も同じく所得税は負担しない。これは縦の公平から見ても余りに差があるんじゃないか。諸外国で見ますと、イギリスなんかの数倍、アメリカの二倍ぐらいまで税金がかからない、この形は問題ではないか。
 したがいまして、この特別減税というのをちょっとおきまして、その前のあるべき一つの姿、平成九年度の姿と比較していかなる減税が日本にふさわしいか。これを考えて、一番適当だろうと思われる税制をとったのが平成十一年度の税体系、定率減税というものでございます。したがいまして、緊急非常にとりましたものと比べると、三百七十万ぐらいから三百八十万ぐらいになりますか、今回の教育減税その他引きますと三百八十何万になりますが、それと四百九十一万円との間の方は去年は税金がかからなかったのにかかるということになります。
 しばしばここで議論になりますのは、それが景気対策上どうかという問題でございます。一般には所得の低い人々に減税をする、つまり所得の低い人々の可処分所得をふやすとそれが使われる、所得の高い人は貯金をする率が高い。したがって、低い人に減税した方が景気対策効果があるんじゃないか、こう言われるわけでございます。
 日本も昔はそうでございましたし、一九八〇年ごろを見ると、所得の低い層の消費比率は非常に高くて、所得の高い層へ行くほど低いという形があったんですが、最近になりますと比較的所得の低い人々も貯金の率が高くなっている。特に限界消費性向と言われるものがございまして、今一万円余計に所得がふえたら、その一万円のうちで幾ら消費に回すか、こういう数字を見ますと、所得の低い層が高いとは限りません。一九九〇年から九七年の間で見ますと、一番限界消費性向が高いのが所得の第四階位と言われる、二〇%ずつ分けまして上から二番目の層だと。
 なぜそうなのかということについてはいろいろ論争がございますが、この層がやはり年齢的に見ても家族的に見ても四十前後の中堅層で、お金のかかることが多いのであります。逆に、三百六十万と四百九十万の間の人というのは、年齢、家族構成層から見て割合と限界消費性向の低いところが多いんです。
 だから、それだけで世の中が変わったんだ、こういう説が天下の公式だというわけではありませんけれども、そういうようなことも勘案して、今の提案させていただいております税制の方がいいのではないか、景気対策の上からもいいのではないかというように考えております。
 また、恒久的な減税だということは、来年もこういう程度の税制になる、税金になるということが予想できますから累積的な効果がございまして、一時的な特別減税よりも景気対策上の効果があるというのは、これは一般に言われているところでございます。そういうところもあわせて御理解いただければ幸いかと思います。
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前川忠夫#23
○前川忠夫君 余り時間がないので、今の議論もっとやりたいんですが、ちぐはぐなところがありますよ、長官のおっしゃっていることは。今、地域へ行きますと、いわゆる地域振興券、あれとの整合性もなくなるんです、今の話を突き詰めていきますと。これは、長官の地域振興券に対する評価も時々お聞きをしておりますのでこれ以上言いませんけれども、今の議論はつじつまが合わなくなる部分というのがあると思うんです。特別減税というのは特別減税なりのいわく因縁がずっとあってやってきたわけですから。
 確かに、昨年の四兆円の議論はいろいろあるかもしれません。それから、恒久減税をなぜことしやるんだ、これだけ財政が厳しいときにという議論もあるんです。はっきり申し上げて、やっぱり景気対策なんです。だけれども、今までのやり方でできないから恒久減税としてやったわけです。恒久減税で将来にもあるべき税制というのだったらばまだまだ問題がありますよ、この税制は。それは事実、政府の方もある部分ではお認めになっているわけです。
 ですから、この議論をやりますとちょっと時間が足りなくなりますから、きょうはこれ以上はやりませんが、かなり問題があるということだけは申し上げておきたいと思います。
 そこで、もう一つ、景気の一番大きな柱は雇用の問題があると私は思うんです。
 つい先ごろ政府の方の緊急雇用対策本部が七十七万人の雇用創出計画というのを出されました。昨年十二月にこの委員会で私は労働省の方にお聞きをしたときには、その当時は百万人だったんです。年がかわって三カ月ほどたちましたから、景気がよくなって少し上がって、失業率がよくなって少し落としたというなら話はわかるんですが、この辺の違いがどういうことなのか。きょうは労働委員会もやっているものですから、労働省の方はお呼びをしていないんですが、これは政府で出された数字ですから、できれば通産省の方から、今の雇用の状況についてどんな感じをお持ちになっているのか、数字の違い等も含めてお答えをいただきたいと思います。
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与謝野馨#24
○国務大臣(与謝野馨君) 確かに緊急経済対策においては百万人規模の雇用の創出、安定を目指しておりますが、具体的には雇用創出効果を三十七万人以上とし、雇用安定効果を六十四万人程度としているところでございます。
 このうち雇用創出効果については、経済対策のGDP押し上げ効果に基づき、一定の前提を置いたマクロ的な試算を行ったものであり、期間については対策実施後一年間としております。
 他方、産業構造転換・雇用対策本部における七十七万人との試算は、成長が期待される各分野の雇用創出規模を個別に算出したものでございまして、期間についてはおおむねここ一両年としているところでございます。
 したがって、この二つは、算定の前提や期間などが異なっているため単純に比較対照することができないものでございます。これらは政府の各般の施策が幅広く雇用の創出の効果を有していることを示したものと考えております。
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前川忠夫#25
○前川忠夫君 実は、この雇用の問題というのは、確かに政府がさまざまな手だてをしなければならない、創出計画あるいは新しい産業を興すとか。そういう側面があると同時に、最近のあれを見ていますと、政府みずからが雇用問題を演出しているんじゃないかという感じさえするんです。
 一つは規制緩和の話です。それから、中央省庁を含めた行政改革、十年間で二五%削減ですか。もちろん首を切るとはおっしゃっていないんです、公務員の数を減らしますと。独立行政法人や何かに移すのはこの数に入れていないんでしょうと思いますけれども、いずれにしてもやっぱりリストラなんです。
 それから、先ほどちょっと触れました銀行です。これは各行のあれを聞きましたら、四年間で二万人ぐらい削減をされるという話です。片方にはそういう話ばかりあるんです。それで、片方でふやしましょうという話です。減らしなさい、減らしますよと言っているのはどうもほとんどが政府なんです。
 もちろん、規制緩和もやらなきゃならない、行政改革も必要だ、あるいは公的資金を投入するために銀行にもリストラを求めるというのはマクロとしてはわかります。だけれども、部分部分を見てみますと何かちぐはぐな感じがしてならないんです。
 私は、今度の雇用問題というのはこれからも大変大事な問題なものですから、改めてこの委員会の中であるいはほかの委員会でも結構なんですがやらせていただきたいと思う。きょうはこれ以上この問題で時間をとるのはちょっと避けたいと思います。
 そこで、通産省の方に、これからの経済あるいは産業の活性化にかかわる何点かお伺いをしたいんです。余り時間がありませんので、事前通告した質問内容を少し飛ばさせていただきたいと思います。
 実は、今度の国会の中に中小企業経営革新支援法案というのが出ています。これは、新しい産業の育成やあるいはベンチャー支援というのは確かに大事だけれども、現在の中小企業をどうされるんですかという点をこれまでもたびたび私も御指摘をしてまいりました。その点は今度の法案の中ではそれなりの配慮をしていただいたということや、それから中小企業総合事業団法案というような形で、これまでの幾つかの仕組みを改組されて集約化をされる、これもこれまでも指摘をしてきたことですから、私はそれなりに評価をさせていただきたいと思います。
 そこで、一つだけお聞きをしたいと思うんですが、なぜ今日本がさまざまな手を打ってもなおかつ、お金はあるんです、資金力というのは多分まだあると思うんです。それから優秀な労働力もあります。技術もあります。なぜ行き詰まっているんでしょうか。
 大変素朴なお聞きの仕方をしますけれども、この後の質問との関連がありますので、一言でというのはちょっと難しいかもしれませんが、長官の感想で結構ですから、お聞かせいただきたいと思います。
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堺屋太一#26
○国務大臣(堺屋太一君) いろんな問題が山積しておるわけでございますけれども、一言で言いますと、やはりバブル時代にかなりの投資を行いまして生産・供給力が大きくなりました。それが現在の需要を上回る供給力過剰という現象を起こしておるのが一つであります。そして同時に、新しい産業がなかなか興ってこない。それぞれの分野で、先生御指摘になりました規制の問題もございましょうし、終身雇用の問題もございましょうし、あるいは日本社会全体に意気が沈滞しているということもございましょうから、そういう新しい産業がなかなか興ってこない。したがって、供給過剰部門がそのまま残されてきた。そして銀行の方も大量の不良債権を抱えておりますから、新規産業に大胆な貸し出しをしない、いわゆる貸し渋り現象かもしれませんが。
 そういったバブル崩壊以来の大きなツケがいまだに解消されないで残っている、これで日本の力の動きが阻害されている、一言で言えばそういうことだと思います。
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前川忠夫#27
○前川忠夫君 実は今アメリカからも内需の拡大が、これは最近だけじゃないんですけれども、常に言われているんです。消費者の心理ということを考えますと、もう既に四年ほどたちますか、PL法というのができました。それの車の両輪として今度は消費者契約法について経済企画庁が所管で議論をしておられる。私は今度の国会に出てくるのじゃないかという期待をしておったんですが、どうやら業界団体のさまざまな意見があって、反対とは言いませんけれども先送りをされたという話をお聞きをしています。
 私は、消費者の心理あるいは今のさまざまな生活の中身を細かく精査をしていきますと、何か新しいものが出れば飛びついて買ってくれるという昔のような時代ではないわけです。そうなりますと、さまざまな消費者のニーズにこたえていくために業界自身がやっぱり発想の転換をしていかなければいけない。業界自身が責任を持つといいますか、ついせんだってもNHKで今成長している産業について特集で何日間かやっておりましたけれども、それを見ておりましたら、つくる側の論理ではなくて、使う側あるいは買う側の論理で物を考えるというふうになっているんです。
 もし業界がまだ頭の切りかえができていないならば、それをやるように働きかけるのが経済企画庁であり通産省の役割だと私は思うんです。ぜひこの問題については早急に結論を出すようにしていただきたい。間違っても余り骨抜きにならないように、ひとつこれは要望としてお願いをしておきたいと思います。後ほど経過がありましたら長官の方にお答えをいただいてもいいと思います。
 そこで、もう一つは、今の問題とも関連をするんですが、もう日本の国内だけで仕事をする、商売をするという時代ではないということもありまして、金融とか情報通信、あるいは最近では自動車等でもまさに国境なき合併といいますか、そういう動きが進んでいます。
 私は、今のこういう動きにこれまでの通産省のさまざまな施策や対応というのが本当に追いついていけるんだろうかという心配を実はしているんですが、この辺についての直近の対応策等がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
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与謝野馨#28
○国務大臣(与謝野馨君) 先生御指摘のように、昭和三十年代の後半から自由化ということをずっと進めてまいりまして、WTOの合意等もございますし、また金融ビッグバンもあって、いわば経済というのはほとんど同じようなルールで世界じゅうで運営をされております。
 そういうときに通産省がどう対応していくかということでございますが、一言で言いますと、やはり日本の経済が持っている競争力を確保すると申しますか、回復するということに私は尽きるんだろうと思います。
 昔ですと、設備過剰がありますと、国内で設備の調整をいたしますと供給力がそれなりに調整できましたけれども、今のように国境のない経済ですと、例えば設備調整をいたしましても、国境を越えてその商品が入ってくるということでございます。したがいまして、根本的な療法というのは、やはり競争力を維持、回復するという一点に尽きると私は思います。
 競争力の源泉たるものは何かといえば、先生が今言われましたような経営者の発想の転換であり、また、新しい技術、日本の持っている独創的な発想、そういうものを生かした企業展開である、そのように思っております。
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堺屋太一#29
○国務大臣(堺屋太一君) 消費者契約法について申し上げますが、昨年一月に国民生活審議会の方から消費者契約法のような一般的な法律をつくるようにというような勧告をいただきました。その後、二十八業種五十二団体と協議をいたしました。
 この消費者契約法は、私は大変必要な法律だと考えておりまして、これができることによって新しい業態、新しい流通・サービス業態に対して国民的な信頼を与えることができる、そういう点では大きな進歩につながる問題だと考えております。消費者を保護するだけではなしに、新しい業種、業態をつくり出す上でも重要だと考えております。
 これを法定していきますために鋭意作業をいたしましたが、重大な問題が幾つか出てまいりました。その第一は、記載すべき重要事項とは何であるか、あるいは不実記載とは一体何であるか、これはことごとく裁判の問題になることが想定されるから、きちんと決めなきゃいけません。それからもう一つは対象でございまして、消費者とは自然人に限るべきか、そして事業者とは一体どこまでを言うべきか、宗教はどうなのか、学校、国立学校はどうなのか、一つずつ大問題がございます。
 私といたしましては、ぜひともことしじゅうにこれを各業界に御納得いただけるようなものにいたしまして、できるだけ早い機会に実現したいと思っておりますが、かなり大きな問題を含んでいることも御理解いただきたいと思っております。ぜひこれは実現したいという気持ちでございますけれども、そういう問題をこれから鋭意解決して実現させていただく。諸外国でも、今我々が用意しておりますほど包括的な消費者契約の一般保護法を持っている国はまだございません。部分的には相当ございますが、全般にはございません。したがって、日本がこれを先駆けとして立派なものをつくっていきたいと考えている次第でございます。
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