堺屋太一の発言 (経済・産業委員会)

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○国務大臣(堺屋太一君) これは本会議、予算委員会でも議論されたところでございますが、まず昨年の特別減税、これは合計四兆円になりました。金額でいいますと、ことしの恒久的な減税と言われている所得課税と似たような数字、同じような数字になっているわけでございますが、昨年の特別減税は景気対策上慌ててやった。慌ててやったという言葉は語弊があるかもしれませんが、緊急非常にやりました。その結果、税率の計算その他に時間がないということで定額減税をやったんです。これはあくまでも緊急避難的なものでございまして、これと今回の減税案とを比較していただくといささか問題が混乱すると思います。
 その結果、昨年は定額減税をやりましたので、子供二人の標準家庭で四百九十一万七千円まで無税になりました。この形態がいいか悪いかということでございますが、これでございますと、二百万、三百万の年収の方も四百九十万の方も同じく所得税は負担しない。これは縦の公平から見ても余りに差があるんじゃないか。諸外国で見ますと、イギリスなんかの数倍、アメリカの二倍ぐらいまで税金がかからない、この形は問題ではないか。
 したがいまして、この特別減税というのをちょっとおきまして、その前のあるべき一つの姿、平成九年度の姿と比較していかなる減税が日本にふさわしいか。これを考えて、一番適当だろうと思われる税制をとったのが平成十一年度の税体系、定率減税というものでございます。したがいまして、緊急非常にとりましたものと比べると、三百七十万ぐらいから三百八十万ぐらいになりますか、今回の教育減税その他引きますと三百八十何万になりますが、それと四百九十一万円との間の方は去年は税金がかからなかったのにかかるということになります。
 しばしばここで議論になりますのは、それが景気対策上どうかという問題でございます。一般には所得の低い人々に減税をする、つまり所得の低い人々の可処分所得をふやすとそれが使われる、所得の高い人は貯金をする率が高い。したがって、低い人に減税した方が景気対策効果があるんじゃないか、こう言われるわけでございます。
 日本も昔はそうでございましたし、一九八〇年ごろを見ると、所得の低い層の消費比率は非常に高くて、所得の高い層へ行くほど低いという形があったんですが、最近になりますと比較的所得の低い人々も貯金の率が高くなっている。特に限界消費性向と言われるものがございまして、今一万円余計に所得がふえたら、その一万円のうちで幾ら消費に回すか、こういう数字を見ますと、所得の低い層が高いとは限りません。一九九〇年から九七年の間で見ますと、一番限界消費性向が高いのが所得の第四階位と言われる、二〇%ずつ分けまして上から二番目の層だと。
 なぜそうなのかということについてはいろいろ論争がございますが、この層がやはり年齢的に見ても家族的に見ても四十前後の中堅層で、お金のかかることが多いのであります。逆に、三百六十万と四百九十万の間の人というのは、年齢、家族構成層から見て割合と限界消費性向の低いところが多いんです。
 だから、それだけで世の中が変わったんだ、こういう説が天下の公式だというわけではありませんけれども、そういうようなことも勘案して、今の提案させていただいております税制の方がいいのではないか、景気対策の上からもいいのではないかというように考えております。
 また、恒久的な減税だということは、来年もこういう程度の税制になる、税金になるということが予想できますから累積的な効果がございまして、一時的な特別減税よりも景気対策上の効果があるというのは、これは一般に言われているところでございます。そういうところもあわせて御理解いただければ幸いかと思います。

発言情報

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発言者: 堺屋太一

speaker_id: 30364

日付: 1999-03-09

院: 参議院

会議名: 経済・産業委員会