与謝野馨の発言 (経済・産業委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○国務大臣(与謝野馨君) 三つを同列に論じるということは非常に難しいと私は思っています。過剰設備は非常に難しい問題が含まれていまして、今のように貿易が自由であるというような場合には、日本が設備過剰を解消しても外国の設備過剰が押し寄せてくるという問題があります。しかし、現に大変生産性の低い分野での設備というのは既に国際競争力を失っているわけでございますから、そういうものを稼働し続けるということのマイナスというものはやっぱり生じるんだろうと思っております。
 それからもう一つは、過剰債務というのは、バブルの時代は大変いい時代で、銀行もすぐにお金を貸してくれましたし、社債はすぐ消化できましたし、時価発行増資もできましたし、エクイティーファイナンスはそのように企業にとっては大変都合のいい資金入手手段としてあったわけでございます。そういう中で、どうしても経営者はお金の手に入りやすい状況という中での経営判断というのはその当時はやはり気がついていなかった、我々を含めて気がついていなかったわけですが、後になってみれば、あの時代はこういう時代だったなということで、実際、過剰債務が借り入れあるいは社債というような形で発生しているわけでございます。
 これをこのまま放置いたしますといわゆるデッド・オーバーハング・エフェクトという債務のしかかり状態という状態が発生をいたしまして、経営者が新しい分野に出ていこうという意欲を喪失させてしまうような効果があって、やはりそういう過剰債務が持つある種の効果というものを取り除かないと、新しい分野での設備投資とか新しい分野での事業というものが起こりづらいというのが一般的な理屈であり理論であろうと私は思っております。
 それからもう一つは、過剰雇用というのは、先進諸国でのリストラといいますとすぐレイオフというような話になりますけれども、日本は終身雇用ということを前提に雇用体系が成り立っていたわけですし、それから働く方々の給与は毎年昇給していくという、いわば見通しのついた労働環境というものがあったわけです。これは一挙になかなか変えられないものだし、また終身雇用とか日本が持っている労働慣行というのは長年日本人が工夫して積み上げてきたものであって、先進諸国のように過激な過剰労働の解消方法が日本の社会の土壌に合っているのかといえば、多分私は違うんだろうと思っています。
 しかし、これは会社でやっております仕事の種類を変えるということはせざるを得ない。他の分野に進出してそちらの方に移るとか、そういうことは、生産性の低い部分から生産性の高い部分に労働力がスムースに移動するということは過剰雇用の場合にはどうしても必要なんだろうと思っています。
 ですから、ベストの方法というのは、衆議院でたびたび申し上げたんですが、その就職した会社で他の分野に進出をする、そこで自分の職場が会社内でかわるという、その雇用の吸収というのがベストであろうと思いますし、また同じ会社でなくてもその会社の子会社とか極めて資本関係が強い関連会社とか、そういうところで雇用関係を継続していくということが私は大変望ましいことだろうと思っております。
 ただ、極端な話をしますと、それもできないというようなケースにはどうするのかという問題が当然あります。それに関しましては、雇用保険、これは失業保険プラス雇用調整助成金ですが、そういうような社会的なセーフティーネット、あるいは雇用関係の予算も成立をさせていただいて、そういう中で解決できるものも多少あるでしょう、やむを得ない場合にはそういう社会的セーフティーネットを使わざるを得ないケースも出てまいります。
 基本的には、我々が目指しているのは、失業者が出るというのは当然だというような考え方はこの法律を立案する過程では一切考えておりませんで、むしろマクロで見た資本と労働の移動がスムースにいくということを念頭に置きながらこの法案を書いたわけでございます。

発言情報

speech_id: 114514062X01919990803_024

発言者: 与謝野馨

speaker_id: 23890

日付: 1999-08-03

院: 参議院

会議名: 経済・産業委員会