経済・産業委員会

1999-08-03 参議院 全228発言

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会議録情報#0
平成十一年八月三日(火曜日)
   午前十時四分開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月三十日
    辞任         補欠選任
     岩瀬 良三君     陣内 孝雄君
     仲道 俊哉君     小山 孝雄君
 八月二日
    辞任         補欠選任
     倉田 寛之君     久野 恒一君
     陣内 孝雄君     山下 善彦君
     平田 健二君     川橋 幸子君
 八月三日
    辞任         補欠選任
     山下 善彦君     森田 次夫君
     川橋 幸子君     平田 健二君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         須藤良太郎君
    理 事
                成瀬 守重君
                畑   恵君
                簗瀬  進君
                山下 芳生君
                梶原 敬義君
    委 員
                加納 時男君
                久野 恒一君
                小山 孝雄君
                末広まきこ君
                中曽根弘文君
                森田 次夫君
                山下 善彦君
                長谷川 清君
                平田 健二君
                福山 哲郎君
                前川 忠夫君
                海野 義孝君
                加藤 修一君
                西山登紀子君
                渡辺 秀央君
                水野 誠一君
   国務大臣
       通商産業大臣   与謝野 馨君
   政府委員
       公正取引委員会
       事務総局経済取
       引局長      山田 昭雄君
       経済企画庁国民
       生活局長     金子 孝文君
       法務省民事局長  細川  清君
       文部省学術国際
       局長       工藤 智規君
       農林水産技術会
       議事務局長    三輪睿太郎君
       通商産業大臣官
       房審議官     林  洋和君
       通商産業省産業
       政策局長     江崎  格君
       通商産業省基礎
       産業局長     河野 博文君
       通商産業省機械
       情報産業局長   広瀬 勝貞君
       資源エネルギー
       庁長官      稲川 泰弘君
       特許庁長官    伊佐山建志君
       中小企業庁長官  鴇田 勝彦君
       中小企業庁次長  殿岡 茂樹君
       労働大臣官房政
       策調査部長    松崎  朗君
       労働省労政局長  澤田陽太郎君
       労働省労働基準
       局長       野寺 康幸君
       労働省職業安定
       局長       渡邊  信君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        塩入 武三君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○産業活力再生特別措置法案(内閣提出、衆議院
 送付)



    ─────────────
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須藤良太郎#1
○委員長(須藤良太郎君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、仲道俊哉君、岩瀬良三君及び倉田寛之君が委員を辞任され、小山孝雄君、山下善彦君及び久野恒一君が選任されました。
    ─────────────
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須藤良太郎#2
○委員長(須藤良太郎君) 産業活力再生特別措置法案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。与謝野通商産業大臣。
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与謝野馨#3
○国務大臣(与謝野馨君) 産業活力再生特別措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 我が国経済を自律的な成長軌道に乗せるためには、需要面での対策のみならず、経済の供給面の体質強化に取り組むことが不可欠であります。しかるに、我が国経済の供給面における現状を見ますと、経済の潜在的な成長力を大きく左右する生産性の伸び率が近年大きく低下しており、国際的に見てもOECD加盟国の平均を下回るなど、憂慮すべき状況にあります。
 その最大の原因は、我が国企業の多くが効率性の低い設備、負債等を抱え収益性を低下させていること、さらには、失業率が依然高水準にあること等に見られるように、景気低迷の長期化に伴い、労働や技術などの経営資源が有効に活用されていない状況が生じていることにあります。加えて、国際的産業再編の進展、資本市場による企業の評価の一層の厳格化、会計基準の国際基準への変更など、企業を取り巻く環境が一層厳しくなっており、こうした状況を早急に打開する必要があります。
 そのためには、各事業主体がその営む事業についての選択と集中を進め、経営資源を生産性の高い分野に重点的に投入することを円滑化するとともに、創業や中小企業者による新事業開拓に対する支援を抜本的に強化することにより、十分活用されていない経営資源の発掘と有効利用を図ることが不可欠であります。さらに、事業者が新たな事業の種となる技術に関する経営資源を最大限活用できるような事業環境を整備することにより、事業者による研究活動の活性化を図ることも我が国の生産性の向上にとって極めて重要であります。
 以上のような認識のもと、我が国の生産性向上のための一連の施策を講じ、我が国産業の活力の速やかな再生を実現するため、本法律案を提案した次第であります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、事業者が選択と集中を進めるために行う合併、分社化等の組織再編や新商品の開発等を事業再構築としてとらえ、その円滑化のための措置を講ずることとしております。
 具体的には、事業再構築に係る計画について、主務大臣の認定を受けた者に対し、会社の設立等に際しての検査役の調査、一定の要件を満たす子会社の取締役や使用人に対するストックオプションの付与、営業の全部譲り受け等について商法上の特例措置を講ずるとともに、金融・税制面からの支援を行うこととしております。あわせて、事業再構築によっても活用できない経営資源を有効に活用して事業を行おうとする者に対しても支援措置を講ずることとしています。
 第二に、創業者及び新事業の開拓を行う中小企業者に対して、信用保証制度の拡充、都道府県による無利子融資制度の拡充などの金融支援措置を講ずるとともに、行政機関や中小企業支援団体によるソフト面からの支援、官公需における配慮等の措置も設けることとしております。
 第三に、技術に関する研究活動を活性化し、及びその成果を効率的に活用することを促進するため、国等の委託研究開発から生じる特許権等を受託者に帰属させることを可能とするとともに、大学における研究成果の民間事業者への移転を促進するため、大学技術移転機関に対する特許料の減免等の措置を講ずることとしております。
 なお、このような新たな制度が施行されることにあわせて、現行の特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法を廃止することとし、所要の経過措置を講ずるものとしております。
 以上が本法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
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須藤良太郎#4
○委員長(須藤良太郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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簗瀬進#5
○簗瀬進君 民主党の簗瀬進でございます。拍手拍手をいただきましてありがとうございます。
 昨日も本会議で質問をさせていただき、またきょうも続けて委員会で質問させていただくという大変ありがたい機会をいただけました。冒頭に大臣と三つの過剰問題についての議論を若干させていただければと、このように思っているわけであります。
 今回の産業活力再生特別措置法案、大変重要な法案であるというふうなことで、通産省が私どもに説明に来たとき、一番先に持ってきていただいたのがこの「産業競争力強化に向けた産業界の現状と課題」、大臣もこれはごらんになっているだろうと思うんです。
 そこに「産業界の現状」という整理がなされております。そこにクローズアップされているのが、まずは「低迷する生産性上昇率」、我が国の生産性成長率が国際比較の中でOECDの平均よりも落ちてしまった、こういうふうな話も冒頭に出されておりまして、その後、過剰債務問題あるいは過剰設備問題、そして過剰雇用問題、こういうふうな運びになっており、そしてその後、「事業再構築の動き」ということで世界の状況が示されております。
 このような論の運びを見ていますと、結局通産省の御認識としては、我が国の国際競争力の低下については、過剰債務、過剰設備、過剰雇用、この三つの問題が大変大きなポイントである、こういうふうな認識が率直にあらわれていると私ども思うわけでございます。
 しかしながら、過剰雇用、設備そして債務、こういう三題ばなし的にぽんとこれが投げかけられますと、何となくこれは非常に構造問題のようなイメージを我々は自然に持ってしまう。そして、この三つの問題を解決すれば自動的に競争力が回復をするのではないのか、こういうふうな印象が何となく強くなってくる、こういうような気がするわけであります。
 しかし、ちょっとその見方を変えてみますと、果たしてそうであるのであろうか。いわゆる原因と結果、この因果関係をしっかりと認識をしていなければ、立てられる対策の実効性も出ないわけであります。
 こういうふうに考えてみると、むしろ過剰な設備や過剰な債務、過剰雇用というのは、競争力低下の原因ではなくて結果なのではないか。好況になれば、過剰雇用といいながら、これは人手不足に当然なってくるわけでございます。また、経済が活況を呈せば、過剰設備と言われていたものも実はフル稼働する。こういうふうに、その経済の状況によって相対的に動くのがこの過剰債務、過剰設備、過剰雇用の問題なのではなかろうか。
 こうして考えたときに、この問題にだけ焦点を当てて対策をとったとしても、本当の意味で日本経済再生の大きなターニングポイントをつくり出すことができるのだろうかということについては、私自身ちょっとやっぱり首をかしげる部分があるわけでございます。この辺についての大臣の認識をまず冒頭にお聞きしたいと思います。
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与謝野馨#6
○国務大臣(与謝野馨君) 問題を整理する意味で、過去の問題と将来の問題と二つに分ける必要があるのではないかと思っています。一つは、過去を清算するという意味では、我々の目の前には過剰設備、過剰債務、過剰雇用という問題が現にあるわけでございます。ただ、この三つを解決すれば明るい日本の将来があるのかといえば決してそうではなくて、これは明るい将来を築くためのまずは乗り越えなければいけない最初のハードルだろうと私は思っております。
 やはり何といっても将来の力強い日本の経済を築き上げていくためには、日本が持っている資本や労働というものを、世界のどこに行っても日本のものは大したものだということで、売れる製品、商品というものを供給できるような、そういう国際的な競争力を持った経済をつくり上げる必要があると思っています。
 過剰設備がなぜ発生したかというのは、先生おっしゃるとおり、一つはバブルの時代に生産性の低い分野に投資をしたという結果こういうことになったということのほかに、例えばある業種、例えば自転車というようなものをとってみますと、自転車をつくることに関しては日本人は大変うまかったわけでございます。日本人が日本人だけで自転車をつくりましたら恐らく十万円近い商品になるのじゃないかと思っています。ただ輸入は、実際に商品として売っておりますのは、自転車はもう三万円を切っている、場合によっては一万九千八百円でも買えるということで、そういう意味では発展途上国の追い上げに負けているという面で不必要な設備になっているという面もあって、必ずしも経営者が間違った方向に投資した結果出てきたのではなくて、構造的に他の国に負けてしまうという産業も日本の産業には出てきた、特に労働集約的な産業においてはそれが顕著にあらわれているというのが現在の日本の経済の状況ではないかと思うわけです。
 ただ、現に現象として出てきております過剰設備、過剰債務、過剰雇用という問題をどう解決していくかというのは、まず二十一世紀の新しい経済をつくるためにくぐり抜けなければならないいわばトンネルでございまして、このトンネルをどうしてもくぐり抜けないと明るい世界に出られないという意味でございますから、むしろこれは過去の清算を行うというふうに、私は理解しやすくするために自分ではそのように理解をしております。
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簗瀬進#7
○簗瀬進君 今、大臣のお話にもあらわれておりましたように、バブルによって必要以上に過剰な部分が出てきた、こういう要因はこれは間違いなくあるだろうと思います。その部分については、バブル自体がある意味で一つのトレンドであったことは間違いありません。
 しかし、その中でやっぱり過度にそれにのめり込んでしまった経営者とそうでない非常に落ちついた形でやられた方、あるいはのめり込むどころかバブル紳士と化してしまったようなそういう人たちもある。という形になりますと、その過剰の中にも相当人為的な責任の問題が入ってくるだろうと。
 それから、その次におっしゃられた構造問題についても、構造変革というようなことをしっかりと予感しながら手当てをしていった非常に賢明な経営をなさった企業と、非常に漫然とその構造変革の波を座視して、言うならばそれによってだんだん状況が悪くなっていく、その部分でもやっぱり人為の部分が出てくるんではないのか。
 まさにそういう意味では、三つの過剰の問題に対処するときに非常にデリケートなのは、人為的な部分と、それから構造的で、まじめにやったんだけれどもどうしようもなかった、こういう部分が混在をしている。これを一緒くたにして整理をしてしまうと、ある意味では、日本経済の本当の意味での立ち直りをするための自助努力といいますか、自立する力といいますか、それを逆に低下させてしまう結果になりはしないか、これを私は非常に恐れるわけであります。
 今回のこれから質問する法案について、まさにその辺の分析がなされているかどうかということが一つの大きなポイントになるだろうと思うんですけれども、この点は大臣、いかがでございましょうか。
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与謝野馨#8
○国務大臣(与謝野馨君) この法案に流れる思想というのは、何から何まで国が助けるという思想はどこにもなくて、やはり過去を清算しながら将来の発展を目指す、そういう意欲を持った経営者の自主的な判断を助ける。助けるというのは、直接お金で助けるとかそういうことではなくて、税制を初めとしたいろいろな政策手段でそういう経営者の自主的な判断がしやすい環境を整備するという思想で成り立っておりまして、バブルでみずから苦況に陥ったようなところをとりあえず助けるというような思想は実は立法の過程では我々全く考えておりませんでしたし、その結果もまた法案には反映されていないというふうに思っております。
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簗瀬進#9
○簗瀬進君 実は、今の御答弁をいただいた上で、昨日の本会議の私の質問に対しまして、過去の経営責任について問うべき法案ではない、このような御答弁をなさっていたように記憶をいたしております。まさに今大臣みずからおっしゃられたことというのは、過去の経営者の経営判断についてのミスをどういうふうに評価をするのか、その人為的な失敗の部分をやみくもに救うわけではないんだよ、こういうふうな御説明をなさったわけでありますけれども、まさにそれは経営責任を実はしっかりとお考えになっているということではないんでしょうか。昨日の本会議の答弁とその辺の整合性を若干疑ってしまうわけでありますけれども、いかがでございましょうか。
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与謝野馨#10
○国務大臣(与謝野馨君) 狭い意味での経営責任というのは、経営者が株主及びその会社で働いている従業員に対して持っている責任だろうと私は思っています。今回、事業再構築をすることについて経営者の責任を云々ということは余りにも抽象的過ぎて、そのようなことを問題にしますとかえって物事が進まなくなると思っております。
 経営判断というのはいろいろあって、ベストを尽くして経営判断をやったけれども結果的に間違えたという場合もあるでしょう。あるいは、バブルの時代に多くの日本人が犯したような錯覚に陥って苦境を招いたという場合がありますが、大体はそういう責任者はみずから責任を感じて既に会社の第一線の経営から身を引いておられるというケースが私は非常に多いんだろうと思っております。
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簗瀬進#11
○簗瀬進君 いわゆる遊休資本という言葉がございます。この法案の中でも、今企業が抱えている遊休資本、これを例えば過剰雇用とか過剰設備とかととらえながらそれに対処していこうという対策がなされていると思うわけでありますが、この点は大臣お認めになりますか。
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林洋和#12
○政府委員(林洋和君) 経営資源、人材、技術あるいは経営ノウハウ、設備、もろもろの集合体だろうと思います。
 私ども、この法案を立法いたしましたときの一つの問題意識としては、一昨年来いろいろな破綻等がございましたが、ああいうものを見ていまして、今申し上げた経営資源が雲散霧消して、資源として全く有効利用されない形でばらばらに散っていったという問題意識がございます。そういう意味で、今委員御指摘のように、集合体としての経営資源というのをできるだけ有効活用したいという思いは当然この立法の背景にございます。
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簗瀬進#13
○簗瀬進君 すなわち、集合体の中にあるものの中で生きていないものを生かしていきたい、こういうふうなお話だろうと思うんですけれども、例えば私どもが説明をいただいたこの通産省のペーパーの四ページにも「工場跡地の売却は進展せず」というふうなことがあるわけであります。例えば、工場跡地の売却を進展した方がいい、そのための施策もこの法案の中にあるというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
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林洋和#14
○政府委員(林洋和君) 直接的にはございません。
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簗瀬進#15
○簗瀬進君 また、きょういただいたこの資料の中にも「過剰設備の動向」ということで、それぞれいろんな業種によって抱えている過剰設備の内容が入っているわけでありますけれども、この法案はそういう意味では、例えば遊休土地等の再利用というようなことについてもプラスになるような、そういうことをねらった部分はあるんでしょうか。
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林洋和#16
○政府委員(林洋和君) 直接的にはございません。
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簗瀬進#17
○簗瀬進君 この問題は後でまた取り上げさせていただくことにいたしまして、先ほど三つの過剰と申し上げましたけれども、本当に過剰なのだろうかというふうな疑問も実はあるわけでございます。
 きょういただいたこの参考資料の百十ページをごらんになっていただきたいと思うんですけれども、(4)のところに「主要国の資本係数の推移」、こういうようなものがございまして、イタリア、イギリス、カナダ、日本、フランス、米国、こういうふうなグラフがあるわけであります。これは恐らく過剰設備的なものについての国際比較としてこの参考資料がここにつけられているんではないのかなと思うわけでありますけれども、これを見ると、日本の過剰設備というのは本当にそんなに過剰なんだろうかという感じもするんですが、いかがでございましょうか。
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江崎格#18
○政府委員(江崎格君) 過剰設備の試算というのはさまざまな機関が出しておりまして、機関によっていろいろ非常に数字がばらついております。
 一つの原因は、先ほど委員も御指摘になりましたけれども、景気変動といいますか循環的要因による部分と、それから構造的な要因による部分によりまして違っているわけですが、それを一緒に合わせて試算しているもの、それから片方だけで試算しているものというのがございまして、違いがございます。
 例えば、幾つか出ておるものの中で循環的な要因と構造的な要因を合わせたものですと、小さい数字ですと三十五兆円から八十六兆円、その中でも、例えば経済企画庁の試算ですと三十五兆から四十一兆円という試算がございます。それから、構造的要因だけを試算したものですと、これもいろいろばらつきがございますが、例えば五十兆から七十一兆円というような試算がございます。
 それらの中で、先ほど委員おっしゃいましたように、過剰設備の中で相当部分というのは循環的な要因が含まれておりますから、景気がよくなればその部分の相当部分は解消するというようなものがございますが、ただ他方において構造的な要因もございます。それを截然と区別して、この部分が循環的要因、この部分は構造的要因というふうに分けて数値であらわすというのは大変難しいことではないかというふうに思っております。
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簗瀬進#19
○簗瀬進君 同じく、過剰雇用ということについてお尋ねをしたいんです。
 今、過剰設備について聞きましたが、過剰設備についても極めて相対的な観念である。ただ、こちらの資料を見ますと、過剰設備についてはそれなりに各国の比較的なものもついているようでありますけれども、過剰雇用については過剰感、感じとして過剰だ、こういうふうな資料が目立つ程度で、本当の意味で雇用が過剰かどうかということについての比較、あるいは絶対的にこれだから過剰であってこれだから過少であってというふうな、そういうメルクマールというのは実はないんじゃないですか。
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江崎格#20
○政府委員(江崎格君) 私ども、やはり雇用についても過剰な雇用が存在しているというふうに考えております。と申しますのは、失業率だけではなくて、例えば労働省の出されております白書などによりますと構造的な失業というのがございまして、構造的失業率が三・二%で過去最高になっているというような試算もございます。
 こういうことで、雇用についても構造問題、それから景気変動による部分というのがあるんだというふうに私どもは認識しております。
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簗瀬進#21
○簗瀬進君 同じく過剰債務についても聞かせていただきたいんですが、これもまたまた世界の横並びの比較というのは実は難しい話でして、例えばそれぞれの各国の言うならば企業の資金構成によって、直接金融と間接金融の関係とか云々の話が必ず出てまいります。という形になりますと、日本が過剰債務であるかどうかというようなことについては、きちんとこれは明らかに過剰であるというようなことを断言できるのでありましょうか。
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江崎格#22
○政府委員(江崎格君) 一つの指標としまして債務残高負担率というのを私どもとっておりまして、これは負債が営業利益に比べてどのぐらいの倍率になっているかということでございますけれども、八〇年代の後半ですとこの債務負担率が大体十八倍ぐらいでございましたけれども、九〇年代の終わりぐらいにはそれが三十二倍になっているということで、現在その高どまりの状態が続いているということでございますので、債務についても過剰なものがあるというふうに考えております。
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簗瀬進#23
○簗瀬進君 私は、そういう意味では、どうも過剰の三点セットがことしの一月あたりからある意味ではマスコミ等で非常に活字が躍った、これはどうも相対的なものを構造的なものであるかのように印象づける、こういうふうな一つの意図があったのではないか、私個人的にはそのように感ずる部分もあるわけでありますが、それについてはそれぞれの印象の話でありますので議論はいたしません。
 ただ、お聞きしたいのは、三点セットのように過剰雇用、過剰設備、過剰債務、過剰の三つと、こういうふうにいつも言われているわけでありますけれども、その三つを同列に論ずることは私は非常に危険ではないか。やっぱり、設備の問題と、それから債務の問題と、そして人の問題、これは大いに違う。過剰雇用というのは、まさにそれは例えば遊休資本を整理する、あるいは非常に過重な債務を整理する、そういうことと人を整理するというのはこれは全然意味が違います。人は生きている。生身の人間です。そしてその上で、その人だけではなくて家族もそこにいるわけであります。
 でありますから、過剰雇用、過剰設備、過剰債務、この三つを三題ばなしのようにぱっと一緒に言ってしまうということについて私自身は極めて抵抗を感ずるわけでありますけれども、この点について大臣はどうでしょうか。御感想を聞かせていただければと思います。
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与謝野馨#24
○国務大臣(与謝野馨君) 三つを同列に論じるということは非常に難しいと私は思っています。過剰設備は非常に難しい問題が含まれていまして、今のように貿易が自由であるというような場合には、日本が設備過剰を解消しても外国の設備過剰が押し寄せてくるという問題があります。しかし、現に大変生産性の低い分野での設備というのは既に国際競争力を失っているわけでございますから、そういうものを稼働し続けるということのマイナスというものはやっぱり生じるんだろうと思っております。
 それからもう一つは、過剰債務というのは、バブルの時代は大変いい時代で、銀行もすぐにお金を貸してくれましたし、社債はすぐ消化できましたし、時価発行増資もできましたし、エクイティーファイナンスはそのように企業にとっては大変都合のいい資金入手手段としてあったわけでございます。そういう中で、どうしても経営者はお金の手に入りやすい状況という中での経営判断というのはその当時はやはり気がついていなかった、我々を含めて気がついていなかったわけですが、後になってみれば、あの時代はこういう時代だったなということで、実際、過剰債務が借り入れあるいは社債というような形で発生しているわけでございます。
 これをこのまま放置いたしますといわゆるデッド・オーバーハング・エフェクトという債務のしかかり状態という状態が発生をいたしまして、経営者が新しい分野に出ていこうという意欲を喪失させてしまうような効果があって、やはりそういう過剰債務が持つある種の効果というものを取り除かないと、新しい分野での設備投資とか新しい分野での事業というものが起こりづらいというのが一般的な理屈であり理論であろうと私は思っております。
 それからもう一つは、過剰雇用というのは、先進諸国でのリストラといいますとすぐレイオフというような話になりますけれども、日本は終身雇用ということを前提に雇用体系が成り立っていたわけですし、それから働く方々の給与は毎年昇給していくという、いわば見通しのついた労働環境というものがあったわけです。これは一挙になかなか変えられないものだし、また終身雇用とか日本が持っている労働慣行というのは長年日本人が工夫して積み上げてきたものであって、先進諸国のように過激な過剰労働の解消方法が日本の社会の土壌に合っているのかといえば、多分私は違うんだろうと思っています。
 しかし、これは会社でやっております仕事の種類を変えるということはせざるを得ない。他の分野に進出してそちらの方に移るとか、そういうことは、生産性の低い部分から生産性の高い部分に労働力がスムースに移動するということは過剰雇用の場合にはどうしても必要なんだろうと思っています。
 ですから、ベストの方法というのは、衆議院でたびたび申し上げたんですが、その就職した会社で他の分野に進出をする、そこで自分の職場が会社内でかわるという、その雇用の吸収というのがベストであろうと思いますし、また同じ会社でなくてもその会社の子会社とか極めて資本関係が強い関連会社とか、そういうところで雇用関係を継続していくということが私は大変望ましいことだろうと思っております。
 ただ、極端な話をしますと、それもできないというようなケースにはどうするのかという問題が当然あります。それに関しましては、雇用保険、これは失業保険プラス雇用調整助成金ですが、そういうような社会的なセーフティーネット、あるいは雇用関係の予算も成立をさせていただいて、そういう中で解決できるものも多少あるでしょう、やむを得ない場合にはそういう社会的セーフティーネットを使わざるを得ないケースも出てまいります。
 基本的には、我々が目指しているのは、失業者が出るというのは当然だというような考え方はこの法律を立案する過程では一切考えておりませんで、むしろマクロで見た資本と労働の移動がスムースにいくということを念頭に置きながらこの法案を書いたわけでございます。
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簗瀬進#25
○簗瀬進君 今、大臣のお話の中でも、雇用の大切さ、そしてそれを十分に守っていきたい、こういうふうな決意は感じ取れました。ただ、その決意があるのであるならば、もう一つ踏み込んだ規定の内容をなぜつくっていただけなかったのか、これを大変残念に思う。
 確かに、この産業活力再生特別措置法の各条項を見ますと、まず第一番目の第一条のところですか、そこに、「雇用の安定等に配慮しつつ」、それから三条あるいは十八条というふうなところで、それぞれこの部分について配慮するというふうな規定が置かれた。しかし、それらはすべて努力義務といいますか期待をするというふうな言葉であります。
 確かに、我が国は計画経済の国ではないと言えますけれども、それであっても、例えば労働政策はこれは社会的な立法であるということで、かなり強行規定を置きながらこの労働の関係を守ってきた、こういうふうな伝統があるわけであります。そういう伝統の中で、私は、努力義務をちゃんとした義務規定に改めてほしい、こういうふうな立法論的な提言は昨日の本会議でさせていただきましたので、この点については答弁を求めません。ただ、解釈の中でこの点を最大限に配慮することができるのではなかろうか。
 例えば、三条三項の四号というものがあります。「事業再構築に伴う労務に関する事項」、事業再構築計画に必ずこの労務に関する事項を記載しなければならない、このようになっているわけでありますけれども、この労務に関する事項の内容として、計画前、計画後の雇用数、それも部門ごとの雇用数、これを明らかにするというふうな形で御指導いただくことはできないか。
 あるいは三条の六項六号というものがあります。「従業員の地位を不当に害するものでないこと。」というのが三条の六項六号にあるわけでありますけれども、この「従業員の地位を不当に害するものでない」という文言の解釈あるいは運用ということについて、例えば雇用や労働条件に影響が出るときは必ず労働組合ないし従業員の代表者と協議を行うように指導をする、このような配慮が必要なのではないか。あるいは事実上従業員の雇用維持、労働条件について労使合意が成立していることをこの六号の内容として読み込めないのかということをお尋ねしたい。
 さらにもう一つ、十八条一項というものがございます。ちょっと十八条を開いてみます。この十八条一項の文言の中に、「その雇用する労働者の理解と協力を得るとともに、当該労働者について、失業の予防その他雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」、ここら辺が書き込む限度だと通産省の方はお思いになっているかもしれませんけれども、この一項の「労働者の理解と協力を得る」との解釈、運用ということで、労使協議及び労使の合意を成立させる方向で対処する、こういうふうに解釈あるいは運用を指導するということはできないのか、こういうふうに考えるわけであります。これをしっかりとやっていただければ本当の意味で、確かに文言的には努力規定ということで非常に不十分である、しかし従業員あるいは労働者の皆さんの本当の安心といいますかセーフティーネットをしっかりとこの法案が持つことになるのではないのかなと思うわけでありますけれども、この解釈、運用の可能性についていかがでございましょうか。
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江崎格#26
○政府委員(江崎格君) 今、委員から三条三項の四号の問題、それから同条の六項六号の問題、それから十八条の一項の問題、御指摘がございましたが、まとめて順にお答えをさせていただきます。
 まず、三条三項の「労務に関する事項」ということでございますけれども、事業の再構築計画に記載すべき内容といたしまして私ども考えておりますのは、事業再構築の開始の時期それから終了の時期における従業員の数、それから事業再構築に充てる予定の従業員の数、それから事業再構築に伴う新規の採用あるいは出向者数などを想定しております。
 これによりまして、事業再構築に伴う雇用者の数の変動をまず把握いたしまして、これが雇用に影響を与えるということをまず判断するわけですが、その上で、雇用に影響を与えるということがわかった場合には、労使間で十分に話し合いを行ったかどうかとか、あるいは労働者に対する配慮を十分行って計画を実施しようということかどうかということを確認するわけでございます。
 三条の六項六号、「従業員の地位を不当に害するものでない」ということでございますけれども、これは事業再構築計画の認定に際しまして、事業再構築に伴う失業の予防など雇用の安定に万全を期するために、事業者による事業再構築計画が雇用に影響を及ぼす場合には関係労働組合との必要な協議を行うなど、雇用労働者の意見を十分聴取いたしまして、雇用の安定に最大限の考慮を払い、その理解と協力を得ながら当該計画を進めさせるというように適切な指導を行ってまいりたいと思います。
 雇用の維持とか労働条件に関することにつきまして、労使の話し合いで処理されるべき問題だというふうに考えておりまして、この法文では一律に労働者に合意を得ることまでは義務づけてはおりません。
 それから、十八条一項の「労働者の理解と協力を得る」、これは計画の実施の段階でございますが、この具体的内容としまして、雇用に影響が及ぶ場合には、事業再構築を実施するに当たりまして労働組合などと必要な協議を行うこと、それから労使で必要な合意を成立させることなど、労使間で十分な話し合いを行うことでありまして、その旨を主務大臣告示におきまして明確化いたしますし、労働者の理解と協力を得ながら当該計画が推進されるように、私どもとしまして適切な指導を行ってまいります。
 以上でございます。
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簗瀬進#27
○簗瀬進君 私どもの指摘を正面から受けていただきまして、大変明快な御答弁をいただき、ありがとうございました。
 せっかくそこまで言っていただけるのだったら、きのうの本会議でも共産党の西山議員からの御指摘もあったように、例えばEU等の大変な経済激動が起こっているところがございます。そういう中にあって、このような企業の組織がどんどん変わっていく、そして外部的な要因の中で働く人々が大変不安になる、そういうことをしっかりとおもんぱかった上で、企業組織の変更における労働者保護法、一般的なそういう保護法というようなものをこれはそろそろしっかりと考えていくべき大変重要な歴史の節目に来ていると思うわけであります。
 きのうの本会議でも若干この点については質問をさせていただいたわけでありますけれども、もう一回改めて、具体的に前向きにこの法制に取り組んでいきたい、立案に取り組んでいきたい、こういうふうな御答弁をいただければ大変ありがたく思うわけでありますが、大臣、いかがでしょうか。
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与謝野馨#28
○国務大臣(与謝野馨君) この法案が衆議院でまず御承認をいただきましたときの附帯決議というのがございます。今、先生の御質問の部分について附帯決議がどう言っているかといいますと、こう言っております。
 「企業の組織変更が円滑に実施され、かつ、実効あるものとなるためには、従業員の権利義務関係等を明確にする必要があることにかんがみ、労使の意見等も踏まえつつ、企業の組織変更に伴う労働関係上の問題への対応について、法的措置も含め検討を行うこと。」。これが衆議院での附帯決議でございまして、私はこの附帯決議を受けて、これを尊重してまいりたいということを最後に御答弁申し上げたわけでございます。
 今後、企業分割等の企業組織の変更に伴って検討すべきさまざまな課題、それの一つだろうと思っておりまして、今読み上げました附帯決議の精神というのは、当然我々がこれからこの法律を運用していく上での大事な立法者の意思だというふうに考えております。
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簗瀬進#29
○簗瀬進君 ありがとうございました。
 願わくば、それをどこかの条文の片隅に置くというようなことではなくて、正面からそれをとらえてずばっとしたそういうタイトルを持った一本の法律をつくっていただきたい、このようにお願いをする次第であります。
 それでは、この件については話題をそろそろ変えさせていただきまして、私は今回、過剰設備問題があって、そして今回の法案の柱立てを見ますと三本になっているわけであります。一つは事業再構築をしていく、それからもう一つは中小企業あるいはベンチャーの創業、そして三本目が言うならば産学協同等の技術開発の推進、こういうふうな三本の柱になっているわけであります。
 その一本目の柱で、事業再構築、その会社の組織を例えば分社化するあるいは合併する等で選択と集中をさせていく。これは本当に必要だろうと思いますし、この法案が通ることによってある程度の動きは出てくるのかもしれませんけれども、本来、組織変更というのは、ある意味では、先ほどの原因と結果の話でありますけれども、やっぱりどちらかというと結果の話なんではないか。結果として経済的な動きがいろいろとあって、例えばこの部分に大変目覚ましく伸びている分野があるから、それに特化をするために分社化をしていく、こういうふうなことがあって初めて分社化の意味が出てくるわけです。
 ということになりますと、選択と集中の言うならば企業の組織いじりと言ったらしかられるかもしれませんけれども、このことだけでは経済再生のインセンティブはつかないんだろうと。これと同時に、経済自体がもっともっと活力あふれるようなそういうインセンティブをつけられるような、そういう施策をさらに進めていかなければならない。そのような認識を私は強く持っているわけでありますが、大臣の考え方を聞かせていただければと思います。
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