浜田卓二郎の発言 (財政・金融委員会)
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○浜田卓二郎君 公明党会派に属しております浜田卓二郎です。
きょうは三点に問題を絞って質疑をさせていただきたいと思います。
最初は質問というよりも感想でありますけれども、税法の審議でありますから、今回提案された改正案について私なりの感想を申し上げて、もし御答弁をいただけるのであれば御答弁をしていただきたいと思います。
まず、今の所得税の改正ですけれども、最高税率を引き下げた、これは長年の懸案でもあったと思いますから私は賛成でありますし、それから課税最低限を従来の線まで戻す、これも賛成であります。本来、もう少し課税最低限は低くてもいいというのは私自身は考えているところでありますから、そういう方向への所得税法の改正というのは結構だと思うんです。ただ、民主党案の説明も今ございましたけれども、恒久的減税からぜひ早く恒久減税へつなげていただく議論をきちっと政府は急いでやってもらいたいということでございます。
ただ、あえて申し上げれば、宮澤大蔵大臣が御就任されて、最初に税の問題に取り組まれた。矢継ぎ早に今日の改正案の骨子を、私は大蔵大臣御自分の頭で考えられて打ち出してこられたなというふうに感じておりまして、大変迅速で、珍しく政府としては結構なことだと思っておったんです。
ところが、あれは暑い盛りでしたね。今はもう四月を目前にしているわけですけれども、八カ月かかっているわけです。だから、これはおっしゃるのが早過ぎたということなのか、おっしゃることが実現するのに時間がかかり過ぎたということなのか。私は後の方だと思っておりまして、これは一体何が原因なのか。政府税調があり党税調がありというような議論の構造、それから国税庁における執行の体制、いろいろあると思うんですけれども、しかし機動的な財政運営とか特に景気対策に対する財政のあり方からすれば、ここのところはもうちょっと短縮できないものかというのが予算委員会、そしてこの委員会にずっと出席しながら感じていることでございます。
それからもう一点は、これは公明党も民主党も同じように主張しておったわけですけれども、七百万円以下の中低所得層が前年度に比べると結果的には増税という形になってしまう。大蔵大臣の御説明ですと、これは増税ではなくて減税の規模の違いだというお話でありまして、それはそのとおりでありますし、それから課税最低限を二回も今の水準でやると何か定着しちゃうんじゃないかというお話で、しかしこれは私も基本的には賛成しながら、どうも説得力がちょっと乏しいなと。二回続けても三回目でやめるということだってあり得るわけで、むしろ景気の局面を考えれば、さっきの時期の問題、タイミングの問題も含めてもう少し考える余地があったのかなという気はいたします。これは感想でございます。
それから、どちらにしろこれだけ減税したんですから、これからどこかで戻していかなきゃいけないでしょうし、その過程で税構造の問題をもっと深刻にというかまじめに議論していかなきゃいけないと思います。当然、消費税の問題もあります。
消費税の三%への引き下げ論というのは大分ありました。これは国民の側からすれば魅力的な案なんです。私も消費刺激という面で議論しなきゃいけない論点だと思っておりまして、その場合に何があり得るかと思っておりました。
私なりの結論は、少なくとも消費税の逆進性という面からも考えて、食料品とか生活必需品とか、そういうものに対する課税は変えてもいいんじゃないか。だから、もしどうしても引き下げるのであれば、その部分だけ引き下げたらどうなのかというのを私なりには考えておりました。
結果は変えなかったわけですからこれでいいんでしょうけれども、将来、消費税をさらに上げていかざるを得ないと思います。このときには、やはり生活必需品とか食料品とか、面倒でしょうけれども、これはもう据え置きだろうと思うんです。
実は三%の導入のときもこの議論は活発にあったわけでありまして、私は当時、自民党内で議論をしておりましたけれども、外すことがあり得るのかなということを考えた時期もございました。しかし、三%ならば勘弁してもらおう、逆進性の問題もここは勘弁してもらおうというのが結論だったというふうに記憶しておりますが、今後の消費税の改正についてはこの点はもう考える段階に来ているというふうに思います。
それからもう一つ、これは全く今まで論点に出てきておりませんでしたけれども、相続税の問題があるんです。
最高税率七〇%ということで、金持ちから取ればいいというのは確かにそうかもしれませんけれども、特に日本の資産家、昔から先祖伝来の土地を持っている資産家というのがやはり最高税率七〇%で来る相続税に相当不満を持っているというのは事実でございます。実は埼玉県でこの間おもしろい会がございまして、地主たちの一揆というんですか、地主さんたちがお集まりになって、相続税改正ののろしを上げるというか、むしろ旗を立てるというか、そういう感じの会がございました。
特に今深刻感があるのは、バブルの最盛期に相続が起きる、そして高い評価で相続税を課される。それを全部物納で済ませてしまえばよかったんですけれども、もちろん欲もあったかと思いますし、当時のそれぞれの事情もあったと思いますけれども、結果的には延納にしてもらって土地が担保に入っている。ところが、土地が十分の一ぐらいに落ちていて、しかも現実には売れない。税務署はまじめですから物すごい勢いで取り立てに来る。そうすると、相続税も含めて日本の税には大変貢献しているはずの方々が今や恨み節になっていて、全部処分しても足らない。そうすると、おまえのところの家、四百年続いた屋敷まで処分せよというのが徴税官のおっしゃる現実のせりふになっている。そうすると、一体何なんだという思いが物すごくあるわけです。
そういう実態も、これは法律の問題ではなくて、徴収という面の問題もあると思いますけれども、いずれにせよ相続税のあり方も今後はひとつ大いにこれからの税制を考えていく場合には御検討いただきたい。諸外国に比べて著しく高いというのは現実でございます。
そういう感想を申し上げて、私はこの税法には賛成するつもりでございますので、もし答弁をしたかったら答弁をしていただきたいと思います。──別にしたくありませんか。では結構です。
それでは質問に入ります。
低金利政策、低金利に超がつきますね。私は金利は低過ぎるということをずっと主張してきました。後で申し上げますけれども、それはいろいろ弊害があるわけです。ところが、この間二%まで長期金利が上がりました。私はいい傾向だと実は思っていたんです。何かのきっかけでこの異常なる低金利体系というのを直さなかったら私はだめだと思ってきましたから、いいチャンスじゃないかと思っておりましたら、それは大変だということに逆になってしまった。そして、資金運用部が国債の買い入れを再開する。これは一つの引き下げに対するアナウンスメントエフェクトをねらった措置だろうと思っております。
それから、日銀さんは大騒ぎで低利誘導をおやりになった。実質金利がほとんどゼロになっている。これは異常の上にさらに異常を重ねたという気がするんです。動機は、一つは景気があったとは思います。しかし、もう一つはやはり米国と日本の実質金利差というのがどんどん縮小していく、実質金利でいうとほとんど金利差がなくなってしまう。そうすると、米国への資本流入が減少して、金利も上がりぎみになる。そうすると、せっかく調子がいいアメリカの株が下がるんじゃないか、それに円高も過ぎるんじゃないか、そういう話がどうやら背景にあると言われてきましたし、現にダボスでの国際フォーラムでも、本当に言ったかどうかはやぶの中ですけれども、日本の金融政策に注文がついたわけです。
そこで、大蔵大臣のお考えも変わられて、資金運用部の買い入れも始められる。そして、日銀も大騒ぎで金利低利誘導をされるという、これは推測でありますけれども、そういう筋書きじゃなかったかなというふうに思うんですね。私は、この判断というのは、これはアメリカも大事ですけれども、どうなのかという気がしてならないんです。
一つは、私は今アメリカに資金が集まり過ぎていると思います。それで、アメリカの株は高過ぎるというか、過熱ぎみじゃないか。グリーンスパンさんだって心配して警告を発するわけですから、かつての日本のバブルの最盛期とはあえて言いませんけれども、むしろアメリカももう少し冷えた方がいい、徐々に冷えた方がいい、私はそう思うんです。何も大騒ぎで、ダウがちょっとぐらい下がりそうだから日本に金利を下げろ、はい、わかりましたというような話では少なくともないというふうに私は思います。
それからもう一つは、我が国の景気の局面からいっても、金利が企業の資金需要を左右する、ちょっと金利を上げたら企業が資金の借り入れをやめちゃうというような局面では少なくともないわけで、どちらかといえば設備余剰、どちらかといえばじゃなくて明らかに設備余剰であって、むしろそれをどうやってリストラするかという話のときですから、長期金利が二%になった、それは大変だという話は、日本の経済全体で見た場合にそうなのかという気がするわけです。ですから、そういう面からいっても、慌てて低目誘導にして実質ゼロにする必要があるのかどうか私は疑問です。
それから次、三つ目で言いますと、これはよく皆さん言っていますけれども、今でさえ預貯金するのはばかばかしいと思っているわけです。本当にばかばかしい数字ですね。それをさらに、ゼロにはならないでしょうけれども、実質金利ゼロだなんていうのが新聞に出ますと、ますますそんな危なっかしい銀行や何かに持っていかないという気になっちゃう。たんす預金がふえるという説です。私はこれは本当にそうなんじゃないかと思うんです。それから、銀行間取引で言っても、コールに出す出し手がなくなるんじゃないでしょうか。だから、銀行間の資金取引マーケットも縮小しますね。むしろ、今でもしんどい銀行はさらにしんどくなるんじゃないか、こういう問題があります。
そもそも景気対策から考えても私は逆だと思うんですね。六百兆本当にあるかどうか知りませんけれども、六百兆の預貯金と言われています。六百兆の一%というと六兆円ですよ。ちまちました減税をやるより、その面だけで考えれば、金利を上げてやれば所得がふえるんですよ。そっちの方が消費刺激効果があるんじゃないか。お金を持っていても、銀行に預けてもろくなことはないし、みんな手元に持っている。しかも、年金生活者なんというのは悲惨なものだろうと思います。年金生活者というよりも金融資産で食っている人たちというのは悲惨なものだろうと思います。
だから、むしろ金利を上げることが減税よりもよっぽど消費刺激効果という経済効果から見れば上じゃないか。そういう側面からだけで幾つか申し上げてみたんですが、どうですか。もう無理やりの低金利政策というのはどこかで転換しなきゃならない、そう思いますけれども、いかがでしょうか。