世耕弘成の発言 (文教・科学委員会)
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○世耕弘成君 さすが情報収集に熱心な大臣でいらっしゃると思います。ことし一番たくさんの著作権料を受け取る人物ではないかと思うんです。この人は音楽にも革命をもたらすと言われております。
今、デジタル革命というのが世の中で、仕事の面ですとか家庭生活の面でたくさん起こっておりますけれども、このデジタル革命、すなわち情報のデジタル化であるとか、あるいはパソコンの普及であるとか、あるいはインターネットの急速な普及、これが今、芸術作品の流通の世界でも大きな革命を引き起こしつつあります。
特に、音楽の流通の世界では、恐らくレコードの発明以降、第三回目の大きな革命が確実に進行しつつあるんじゃないかというふうに私は思っております。第一回目はカセットテープの普及であったと思います。そして第二回目はコンパクトディスク、CDの登場だったと思います。そして今回、第三回目の革命というのは、MP3という新しい技術によって今引き起こされようとしているんじゃないかというふうに思っています。
今回、著作権法改正の議論に合わせたかのように、ここ数カ月で急速にこのMP3の大きな動きが出てきておりまして、恐らくことしじゅうには大手の家電メーカーも含めてこの流れが音楽業界の主流として定着していくんじゃないか、そういうふうに言われております。
技術的に詳しい話は、私は参考人ではありませんので余りお話はしませんけれども、このMP3ということについて、この委員会でも著作権法を議論するに当たってきっちりと踏み込んだ話をしたということを残しておく必要があると思いますので、簡単にお話をさせていただきます。
まず、これは先ほどの宇多田ヒカルさんのコンパクトディスクでございます。このコンパクトディスク、情報量にしますと大体六百メガバイトという情報量でございます。これはちょっとわかりにくいので、一番よく我々がワープロなんかで使いますこのフロッピーディスク、これで言いますと大体五百枚分に相当いたします。また、六百メガバイトという情報を今インターネットで、一般の家庭で手に入る、ちょっとコストはかかるけれども一番いい線を使ったとしても、大体理論値で一時間、現実には二時間ぐらいこれを電送するのにかかります。要するに、これ五百枚、しかもインターネットで送るので二時間ですから、持ち運びですとかインターネット上での流通というのは、技術的にこのままではどうしようもないということになるわけです。
ところがMP3という技術は、このコンパクトディスクの情報を十分の一から十二分の一に圧縮できるという技術です。パソコン上にこのCDのデータそのものを取り込みまして、そしてMP3に対応したソフトウエアがありますので、それで圧縮してしまう。そして、片やメモリーの装置の方も相当進化しています。これが今一・五メガバイト入るんですけれども、新しいこういう装置がありまして、このフロッピーディスクより全然小さいですけれども、十倍から四十倍ぐらいの情報量が入る、こういうメモリーも開発されてきています。
要するに、これそのものが十分の一に圧縮して、そして受ける側が十倍から四十倍の能力を持ってきたということで、こういうメモリー装置にCD一枚分の音楽を入れてコンパクトな状態で持ち歩きができるようになっている。そしてまた、情報量自体十分の一から十二分の一になるわけですから、インターネット上で送信にかかる時間も、理論値では十分以内でいけるようになってきている、こういう動きがあるわけです。
この技術を使った音楽の流通というのが今新しく起こり始めていまして、さらに再生装置というのも開発されております。これが今、秋葉原なんかでは二万八千円ぐらいで売っているMP3の再生装置でございます。このコードでパソコンからMP3の音楽のデータをここへ取り込んで実際に再生ができるようになっております。これはもう現実に今アメリカでは大ヒット商品でありまして、日本でも品薄の状態が続いていると言われております。
スピーカーがついていない装置ですので、お回ししますので、音質がCD並みであるということを皆さんにもぜひお確かめいただきたいと思います。
また、先ほど申し上げましたこういうメモリー、これはまたことしの七月に発売される予定の新商品のプロトタイプなんですけれども、これは、先ほど申し上げたこういうカードに一たん音楽を取り込んで、こういう形で差し込んで再生ができるというようなものでございます。これも大体三万円程度で売買されてくるだろうと思います。
MP3を使った再生機というのは、CDというのはあくまでもあのお皿をぐるぐる回していますからモーターが要るんです。ところがMP3というのは、あくまでもパソコンソフトと同じで、読み込むだけですからモーターがない。さわっていただければわかりますが、非常に軽いですので、ちょっとお確かめいただきたいと思います。
こういう形で、受け側の再生する機器も登場してきて、今確実に売れ出してきている。まだ今マイナーなメーカーしか売っておりませんけれども、ソニーや松下もことしじゅうには確実にこの機器に参入するであろうというふうに言われております。
このMP3を用いた音楽の流通というのは非常に大きな可能性を持っております。例えば、私が今いい音楽をつくって、私はカラオケがうまいのでぜひ皆さんに聞いていただきたいと思っても、何十枚もCDを出された江本先生とは違いまして、ネームバリューがないとか、あるいは売れ線でないという形になると、自費出版というのはあるかもしれませんけれども、いわゆる商品としてのCDをつくってもらうこと自体できないわけです。しかし、インターネットとMP3を組み合わせることによって、アーティストのサイドから見れば、売れ線でなくても、ネームバリューがなくても、ネットワーク上で直接自分の判断で音楽を配信していける、そういうことができるわけです。
今現に、MP3を使って、もうそれだけで音楽をやりますというミュージシャンも現実には出てきております。大手のレコード会社との契約は破棄をして、徹底的にこのMP3の世界だけでやる、しかも著作権料の回収も一回三百円という形で、自分がインターネット上の電子現金を使って直接回収する、そういうミュージシャンが日本で一つ、アメリカでは幾つか、もう既に新しい形態として出てきています。
今度は逆に、音楽を聞くユーザーの立場で見れば、今までレコードやCDを買うというと、レコード屋さんにまで出かけていって、しかも、試聴ができるものもたまにはありますけれども、大体パッケージとか、あるいはテレビやラジオでの評判から、これがいいかなと思って買ってくる。買って帰ってきたら、いや二曲ぐらいはよかったけれども、残りの八曲はこんなの買って損しちゃったなということだってあり得るわけですけれども、インターネットの配信では実際に自分で欲しいものだけを取り込める、この曲とこの曲とこの曲がいいということで取り込むことができる。そういう意味で、ユーザーのサイドから見ても非常にメリットが大きい、そういう革命が今進行しつつあるんです。
しかし、これは大変大きな陰の部分もございます。その陰の部分というのが、今現実に事件としても起こってきているわけですけれども、市販のCDの内容をパソコンに取り込んでそれを圧縮して、著作権者に無断でインターネット上で流通させてしまうというようなことが起こってきております。
これなんかは、現実にホームページの打ち出しですけれども、野猿ですとか宇多田ヒカルとか、今いわゆる若い人たちに非常に人気のあるミュージシャンの音楽を、はっきり言って無料で引き落とせるようなホームページ、恐らくもう今はなくなっていると思いますけれども、こういうものがありました。高度な技術は全然必要ありません。私でもできますし、今こういう違法なホームページが日本で大体三千件あるというふうに言われております。
JASRACの皆さんも本当に今涙ぐましい努力をされていまして、そういう三千もあると言われているホームページを一個一個手作業で探されて、それぞれに警告書を送られたり、あるいはそういうホームページを手伝っている形になっているプロバイダーに対して削除の協力をお願いされたりと、涙ぐましい努力をされているわけであります。
このようにMP3は、音楽流通を革命的に便利にする可能性がある一方で、著作権侵害ということでアーティストの生活そのものを破壊する可能性も秘めている、今後きっちりと整理していい方向へ引っ張っていかなきゃいけない非常に難しいものなんです。
文部大臣にお伺いしたいと思いますが、こういうインターネット上での音楽配信に関する現状を今どう把握されているのかということと、また、著作権保護の観点やあるいは音楽文化進展の観点から、インターネットによる音楽配信の普及についてどのように評価されているかをまずお伺いしたいと思います。