梶原敬義の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○梶原敬義君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、小渕総理並びに関係各大臣に質問をいたします。
 あと二年で二十一世紀を迎えます。来る新世紀を日本がどのように生きていくべきか、そのためには過ぎ去ろうとしている二十世紀がどんな時代であったのか、振り返ってみることも大事なことであると思います。
 今世紀の前半は、世界はファシズムが台頭し、二度の大戦を経験しました。我が国においては軍部の独走を許し、アジア諸国を侵略し、太平洋戦争に突入し、沖縄では悲惨な地上戦が繰り広げられ、さらに広島、長崎にはアメリカによる非人道的な原爆の投下を受けて敗戦を迎えました。その間、他国に大きな被害をもたらしましたが、我が国だけでも三百数十万というとうとい命を犠牲にしました。後半の半世紀は、経済万能、物・金優先の方向へと傾斜し過ぎました。
 来る二十一世紀こそ、過去の教訓に学び、いかなることにも優先して平和と民主主義を基調に据え、経済の発展と心の豊かさの面で調和のとれた社会、人々が多様な個性を生かせる社会をつくっていくこと、限られた資源の消費と汚染から国土を守る循環型社会をつくっていくことが必要であると思います。総理の御認識をお聞かせください。
 近年、経済のグローバル化、グローバルスタンダードが声高に主張されておりますが、その実態は、人間味のない、効率と市場万能主義を掲げる米国の都合と戦略による押しつけのグローバルスタンダードであります。欧米とアジアはその文化や風土が違うように、国家のあり方や商習慣、社会のルールも大きな違いがあるにもかかわらず、強引に米国流のルールを押しつけられようとしております。
 しかし、今それに対抗する流れが生まれております。一昨年のイギリス、昨年のドイツを初め、ヨーロッパの多くの国で、効率至上主義から、公正さ、人間らしさを強調する社会民主主義政党が政権を担うようになっており、世界の流れは確実に変わりつつあります。総理はこうした世界の動きをどのように見ておられますか、伺います。
 次に、政治姿勢について伺います。
 この半年の小渕内閣の政策運営を見ますと、大きな危惧の念を禁じ得ません。すなわち、政治観あるいは見識など、みずからの基本理念を示さず、その時々の政治環境により変化するという小渕総理流のやり方についてであります。例えば、ガイドラインやPKFなどの外交・防衛政策、突如として浮上した衆議院議員の定数削減など、政権の維持のためにはどのような妥協もしかねないのではないか、心配であります。総理の言う新保守の理念とはどういうことを言っておられるのか、お聞かせください。
 また、自由民主党と自由党の連立については、総理は政権の安定、国会審議の円滑化を理由にされておりますが、確かに衆議院では圧倒的な過半数がとれても、参議院では過半数に足らないのであります。その点についてはどのように考えておられるのか、総理の御答弁を願います。
 あわせて、総理は土性骨の据わった社会をつくりたいと述べられましたが、土性骨を据え、蛮勇を振り絞って、国民を誤った方向に道連れしないように強くお願いをしておきたいと思います。
 次に、我が国の外交・防衛問題について質問いたします。
 小渕内閣は、今国会において新ガイドライン関連法案の成立を最優先にしていると言われます。また、アメリカも修正なき成立を期待する旨、日本側に伝えてきているようでありますが、本格的な国会審議を前に、アメリカが法案修正を牽制するかのごとき発言をするのは、まさに内政干渉であり、許されざることであります。私は、国際社会の中で我が国がアメリカに追随している自主性のない国であると評価されていることに対して、まことに遺憾に思います。総理の毅然たる対応を求めます。
 ところで、新ガイドラインを初めとする自自両党の安全保障政策の合意を見ると、勝手な憲法解釈を行い、二度と戦争を起こさないという日本国憲法の原点をねじ曲げようとしており、絶対に認めることはできません。
 まず、戦闘状態にある他国の軍隊を自衛隊が後方支援することは、そのこと自体、集団的自衛権の行使につながる明確な憲法違反であり、さらに、いわゆる船舶検査は相手国からすれば敵対行為そのものとなるのであります。また、国連の平和活動への参加という名のもとに多国籍軍に後方支援をしようとさえしております。多国籍軍はそれ自体まさに武力行使を直接の任務、目的とする軍隊であります。加えて、PKFの凍結解除の問題であります。我が社会民主党は、これらのことは絶対に容認をすることはできないのであります。
 そこで、一つだけお尋ねをいたします。
 周辺事態の定義について、自由党の小沢党首は、地理的概念であり、ロシア、朝鮮半島、中国、台湾などの日本に隣接する各国、地域が全部入るとしておりますが、一方、政府は、地理的概念でなく、事態の性質に着目した概念であり、地域的に特定できないとの見解を示しております。この点について、総理と自由党から入閣されている野田自治大臣のお考えをお聞かせください。
 小渕総理、あなたが今政治の最高責任者として行っていることは、平和を希求する日本国民の決意に対し、許されざる挑戦ではないのですか、お尋ねをいたします。あわせて、総理の憲法観をお聞かせください。
 次に、弾道ミサイル防衛、BMDと宇宙の平和利用についてお伺いします。
 政府は、来年度からアメリカとBMDの共同技術研究に着手することを決定し、予算は後年度負担といたしました。もとより、我が国には、宇宙の利用は平和目的に限るとの国会決議があるのでありますが、BMDが宇宙の軍事利用であることはだれの目にも明らかであります。政府が、BMDは平和利用限定の国会決議に反しないと言われる理由を明確に示していただきたい。さらに、中国、ロシアが猛烈に反発をしておりますが、どのように対処するのか、あわせてお尋ねいたします。
 また、朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮に関して伺います。
 この国が依然として開かれた国でないこと、また、百万人の軍隊を持って戦時体制に近い状態にあることは大変不幸なことであります。しかし、何としても我々が防止しなければならないことは、北朝鮮を孤立させ暴発の方向に追い込まないことであると思うのであります。それはすなわち、韓国の金大中大統領が進める太陽政策、北風には断固対決するが暖かい南風を送り続けるという柔軟な北朝鮮政策を強く支持すべきだと思います。
 我が国は独自の対話を再開し、国交正常化交渉、食糧援助を再開するなどして関係を改善し、それを通じて北朝鮮の自主的な改革・開放を望むことこそが大事ではないのですか。総理の御見解を承ります。
 次に、経済問題について伺います。
 堺屋経済企画庁長官は、昨年十二月、景気の一部に改善が見られるとして、変化の胎動が感じられると強調されました。しかし、景気は改善どころか深刻さを増していると考えますが、経企庁長官の景気認識を伺います。
 あわせて、九年度、十年度と二年続けて政府経済見通しが大きく外れた原因と責任について御答弁いただきたいと思うのであります。
 さらに、雇用対策について伺います。
 雇用情勢は極めて厳しく、失業率は四・四%で過去最悪となり、完全失業者数は二百九十万人を超えており、これは広島県や茨城県の全人口に匹敵する数字であります。緊急経済対策では百万人の雇用創出がうたわれていますが、この数字の具体的根拠はあいまいで、実現は困難と言わざるを得ず、実効性のあるさらなる雇用対策を打ち出す必要があります。そのためにも、教育現場や父母から強い要請のある三十人学級制の実現等、やれるものからすぐ手がけるべきであると思います。
 この際、当面する雇用対策については、単に労働省に任せるだけではなく、総理自身が先頭に立って取り組むべき最大の課題であると思いますが、その決意を伺います。
 次に、金融問題について伺います。
 バブルの発生とその破裂は、日本経済の健全性を根底から破壊いたしました。これを進めた当時の政策責任者の責任は極めて大きく、中曽根、竹下、宮澤の三人の総理・大蔵大臣経験者の責任は重大であります。政府はどのように反省をしているのですか。大蔵大臣から答弁をいただきたいと思います。
 また、貸し渋りの状況については、通産省調査によると、依然として中小企業の三割以上が金融機関から貸し渋りを受けたとの調査結果が出されており、いまだ解消にはほど遠い状況にあります。この際、貸し渋り、貸しはがしを行っている不正金融機関の名前を公表し、制裁を厳格に行うべきと考えますが、いかがですか。総理から答弁をいただきたいと思います。
 次に、国際金融に関して伺います。
 一昨年のアジア通貨危機の原因が、ヘッジファンドを含む短期的な資金の移動にあることは明らかであります。これは、本来、経済の円滑な活動に資すべき貨幣が行き過ぎたマネーゲームに陥った結果であります。
 既に、G7やAPECでは、短期的な資金移動に対し、透明性の確保と監視体制の確立などが検討されておりますが、我が国として金融市場のかじ取りをどのように行っていこうとするのですか。アメリカに対しても主張すべきことははっきりと主張すべきと思いますが、市場万能の国際金融のあり方、行き過ぎたマネーゲームに対する反省と今後の対応について、大蔵大臣から御答弁をいただきたいと思います。
 税制問題について伺います。
 今般の税制改革案は、企業重視、高額所得者を優先した改革と言わざるを得ません。今回の改革では、法人税の実効税率を引き下げたり、所得税及び住民税の最高税率を六五%から五〇%へと一気に引き下げる一方、減税の大半を定率方式で実施したため、年収八百万円以下の世帯では逆に増税となっております。これでは、景気にマイナスに働きこそすれ、抜本的な景気対策にはなりません。税制改革の手順が逆ではありませんか。この強い者優先、弱い者たたきの税制改革は認めることができません。撤回を求めます。総理、いかがですか。
 なお、消費税に関しては、我が党は飲食料品にかかる消費税払い戻し制度の創設を一貫して主張しております。所得の低い家計にとって大きな負担になっている飲食料品にかかる消費税額をゼロにすべきではありませんか。総理の御見解を伺いたいと思います。
 福祉・社会保障に関して伺います。
 年金制度について、今年は年金制度見直しの時期ですが、今、年金生活者は自分たちの年金が改悪されるのではないかと大変心配をしております。また、若い世代の人たちは、自分たちが掛けた年金が将来もらえるのかどうなのか、強い不安を持っている。御承知のとおりです。今こそ、総理は年金の現行水準の堅持を国民に強く約束すべきであると思いますが、いかがですか。
 また、一昨年、介護保険法が成立し、いよいよ二〇〇〇年度から介護保険が実施されることとなりますが、スタート時において介護を必要とする人がすべて介護を受けられるように国が責任を持って基盤の整備をすべきと考えるが、総理、厚生大臣、いかがですか。
 総理は、今国会に男女共同参画社会基本法を提出すると明言されました。私は、この基本法は、目的を初め全体にわたって性差別の撤廃の視点を貫徹させるべきと考えます。また、差別の監視と被害の救済を行うために、行政から独立した強力な権限を持つ機関を設けることが不可欠であると思います。法案にはこのような点を盛り込むことを求めますが、総理、いかがでしょうか。
 法務省の法制審議会が、選択的夫婦別姓制度の導入を初めとする民法改正案を答申してから既に三年近くたっております。総理、答申をたなざらしにせず、早急に法案を提出することを明言してください。
 最後に、私は、二十一世紀を展望した際、どうしても気になることが三つあります。
 その第一は、石油とエネルギーの問題です。
 今日の繁栄は、石油の上にぽっかりと浮いた繁栄だと言っても過言ではありません。石油資源の可採埋蔵量は理論的にはあと四十三年となっておりますが、この調子で世界の消費がふえ続けると、我が国の石炭のごとく一瞬にして枯渇するおそれがあります。もっと本腰を入れた省エネルギー対策を行うとともに、石油にかわるエネルギーの問題を解決しないことには、我が国は次世代に明るい豊かなあすを約束できません。地球に優しい新エネルギー開発には、近年予算額はふえているとはいいますが、もともと出発点が少ないので比率が高くなっているのであり、私はもっとここに思い切った予算と人を投入すべきと思いますが、総理いかがですか。
 その第二は、食糧の確保の問題です。
 石油が手に入りにくくなれば食糧も手に入りにくくなり、買う力も恐らくなくなってくるでしょう。二十一世紀には世界の食糧需給が逼迫に向かうと見られております。食糧が少し不足しただけでも社会は大混乱を引き起こし、特に大都市の生活はパニックに陥ることは目に見えております。政府が今検討を進めている新たな農業基本法の柱は、食糧自給率の向上でなければならないと思うのであります。総理の食糧問題に対する将来展望と取り組みの姿勢をお聞かせください。
 その第三は、少子化社会の問題であります。
 我が国の今の合計特殊出生率は一・三九であり、このままで推移をすると、総人口は二〇五〇年には約一億人、二〇八〇年には約七千七百万人に減少すると推定されております。このままでは国力は衰え、社会保障制度は崩れ、社会のあり方が変わってしまうのではないかと大変心配であります。
 私は、昨年の通常国会におけるこの代表質問の折に、橋本前総理に、少子化対策は最も重要な事柄であるから、総理が前面に立つべきだと要請いたしました。橋本前総理は有識者会議をつくられましたが、小渕内閣のその後の取り組みと、少子化問題に対する総理の基本的な姿勢及び決意を承りたいのであります。
 以上、この三点について、山に木を植えて育てる百年の大計のような心境にならなければ私はできないことだと思っております。すぐ結果が出るものでもなく、地道な努力の積み重ねが必要な課題であります。この三つの問題の解決なくして日本のあすはありません。
 政府を代表する総理の責任は、極めて大きくかつ重いことを強調して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114515254X00319990122_010

発言者: 梶原敬義

speaker_id: 248

日付: 1999-01-22

院: 参議院

会議名: 本会議