扇千景の発言 (本会議)
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○扇千景君 私は、自由党を代表して、小渕総理大臣の施政方針演説に関して、総理の御所見を伺いたいと思います。
私は、先日行われました総理の施政方針演説をまことに興味深く拝聴いたしました。それは、これまでの演説に比べ総理自身の言葉で語られたものであると同時に、今日の状況を第三の改革の時期と位置づけ、明治以来の我が国のシステムや意思決定の方法を新しいシステムに変えるというものでありました。我々と問題意識において全く同じであります。
今回の連立政権が、問題意識を共有する小渕総理・総裁と我が党の小沢党首との党首会談によるものであることを考えるときに、私はそこに歴史の強い意志を感じるのであります。二十一世紀を目前にして我が国が歴史的岐路に立たされている今日、連立政権は、この国を根本から立て直す構造改革を勇気を持ってダイナミックに断行し、この歴史的使命と責任を果たしていかなければなりません。
自民党と自由党との連立政権に対し、数合わせだ、玉虫色だ、守旧派連立だとためにする批判が行われております。この連立の本質を全く理解していないものと断ぜざるを得ません。かつて基本政策の一致しない政党同士が連立を組み、重要課題の解決はすべて先送りし、事態は一向に改善されない政治が行われたことがありました。
私どもは、この連立に当たり、一貫して主張したのは、理念と政策によって政界再編は行われるべきだということであり、この見地から政策協議にこだわり続けたのであります。小沢党首が党首会談を延期してまで政策協議で五つの検討チームを発足させ、総理が訪欧前の改造を断念するまで政策の合意にこだわったのであります。その結果、歴代内閣にかつてないほどの政治主導による改革の芽が生まれたと自負するものであります。すなわち、国会で閣僚にかわって官僚が答弁する政府委員制度の廃止、副大臣制の導入、衆院比例代表五十人の削減、省庁再編、公務員削減、そして安全保障での基本原則の確立などが合意されたのであります。
もし自由党の連立が非難されるとすれば、それは合意した我々の主張が全く実行されないのに、連立政権を続けたときであり、自由党は両党首の合意をそれだけ真剣に受けとめ、断固として政策を実現する決意であります。小渕総理の御決意を、この際改めてお聞きさせていただきたいと存じます。
総理は、施政方針演説において、「教育の原点は、生きる力、助け合う心、そして自然を慈しむ気持ちにあると信じます。こうした点をしっかりと心に刻み、幅広い視野を養い、個性を大事にして生きるべきこと、ボランティア活動への参画等を通じた地域や社会への貢献は大変に意義深いものであること、人には多様な生き方があり、お互いにそれをたっとぶべきであること、そんな観点に立った心の教育を充実させていきたいと考えております。」と述べられました。私も全く同感であります。同時に、総理は、「今世紀中の課題は今世紀中に解決の道筋をつけることが必要」であるとも述べられております。
経済は今日大変な不況にありますが、それでも世界第二位の経済大国を築いたことからも明らかなように、国民の必死の努力により今世紀中にその基盤を築くことができました。
しかし、日本の将来にかかわる教育の場だけがなぜ安定しないのでありましょうか。いまだに校内暴力、登校拒否、自殺、薬物乱用、果ては教師の登校拒否まで、教育は荒廃の度を強めているのであります。この日本の未来を決める教育の改革は、国政の最も重要な課題であり、この国の将来をかけて今世紀中に改革の指針を示さなければならないと思いますが、総理の御見解を伺います。
現在、文部省は、学習指導要領において、各学校に対し、「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱する」ように指導されております。
そこで私は指摘したいと思います。それは、国民の代表で構成する国会において、開会式は天皇陛下をお迎えし、この参議院の本会議場で行われております。しかし、どこにも国旗はないし、国歌の斉唱もありません。子供たちには国旗の掲揚と国歌の斉唱を指導していながら、国民の代表である国会の場においてそれがなされていないということは本末転倒であり、国民の代表としてまことに恥ずべきことではないでしょうか。また、開会式は在京の各国の要人をお迎えして開かれます。諸外国に対してもまことに恥ずかしい限りであります。
私は、せめて通常国会の開会式においては、国旗を掲揚し、国歌を斉唱あるいは吹奏した後、天皇陛下のおことばをいただくべきであると考えます。国会で決めることではありますが、平時も議長のこの席の隣にでも国旗を置かれることはいかがでしょうか。総理自身はこのことをどうお考えになられているか、御見解を伺います。
諸外国では、国賓をお迎えしたとき、その国の無名戦士の墓あるいは国立墓地に参拝していただくなど、国家のために犠牲になられた人々を尊敬し、長く国家としての誇りとしております。国家として当然のことであります。総理はしばしば外遊をされますが、無名戦士の墓や国立墓地に参拝されたことはあるのでしょうか。また、国内においては、総理は国家のために犠牲になられた人々を慰霊するためにどこにお参りになっておりますか。外国の要人がお見えになったとき参拝を求めることも考えるべきではありませんか。御見解を伺います。
経済、税財政においては、総理の言われるようにプラス成長を実現し、不況の一日も早い脱却を図り、国民の生活と雇用を守らなければなりません。
昨年の党首合意に基づき、自由党は自民党とともに平成十一年度予算案を編成いたしました。年末よりの予算編成、税制改革への参加であったにもかかわらず、我が党の主張が取り入れられました。
税制面では、景気対策として住宅・設備投資促進税制の整備や少子化対策税制の充実が実現をしたこと、また、これらの減税の規模が両党首間合意のとおり十兆円規模になったこと、連結納税制度の導入に向けて端緒が開かれたことなど、また、歳出予算面においては、消費税の福祉目的化が予算の総則に盛り込まれたこと、国家的プロジェクトの充実や事業規模など、公共事業面において特に景気に配慮できたことは評価されるべき成果であったと考えます。
また、自由党が中心になって取りまとめました中小中堅企業向けの貸し渋り対策のさらなる有効活用とあわせて、昨年成立させた早期健全化法を積極活用し、不良債権の処理、金融機関の再編合理化を促し、金融不安を一掃しなければなりません。
このような当面の景気対策とあわせ、規制の緩和・撤廃、消費税の改革、行財政改革など、日本経済を立て直す構造改革を進めていかなければなりません。総理の御決意を伺います。
二十世紀を総括し、二十一世紀の新たな世紀を迎えるに当たって重要な課題は憲法の問題であります。
現行憲法の掲げる国民主権、基本的人権、平和主義、国際協調の原理は不変であり、それを堅持し発展させていかなければならないことは極めて当然であります。けれども、半世紀にわたり改正することなく来た憲法は、時代の変化により見直しを迫られており、もはや憲法論議をタブー視して済まされる時代ではありません。憲法をよりよいものにするために、この国会では国会に憲法問題を検討する委員会を設置することが論議されようとしております。我々は二十一世紀日本の新しい時代を築くため、この国会の場で政党政派を超えた国民的議論を深めようではありませんか。この際、総理の御見解を伺いたいと思います。
安全保障においては、自由党は自由民主党との政策協議に当たり、平和主義、国際協調主義の理念に基づいて、平和な国際環境を確保するために積極的な外交努力を行うことを合意いたしました。国連平和活動については、国連総会や安保理決議に基づく要請があった場合、直接戦闘行動を行うことや戦闘地域に直接物資を輸送・補給すること以外の活動は、政治家自身が判断し、積極的に参加、協力することを取り決めたのであります。今後、この趣旨に照らしてPKOなどの活動に積極的に貢献することにより、顔の見える国際貢献を進めるべきであり、そのための法制度を整備していくべきであります。
日米関係は、我が国の安全にとって最も重要であります。新しい日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの関連法案を自民党と自由党との政策合意に沿って、速やかに今国会で成立させなければなりません。総理の一層の指導力の発揮を求めるものであります。
総理は、施政方針演説において、「今や大いなる悲観主義から脱却すべきときが来ていると考えます。行き過ぎた悲観主義は活力を奪い去るだけであります。今必要なのは、確固たる意志を持った建設的な楽観主義であります。」と述べられました。私も、総理のおっしゃるように、悲観主義から脱却すべきだと思います。しかし、日本の国民もマスコミも我々自身も、すべてが自信喪失に陥っているのではないでしょうか。
私は、先日、宇宙飛行士の向井千秋さんにお会いいたしました。総理もお会いになられたと思います。向井千秋さんの宇宙での活躍ぶりのテレビ中継で、向井さんの短歌の上の句に対し、下の句が全国から十四万四千七百八十一首も寄せられたことでも明らかなように、日本の国民が、特に子供たちが、将来に夢と希望と勇気を与えられた証拠ではありませんか。私は、日本人は希望の持てる国民だと確信いたします。
私たちは、勇気ある希望を持って二十一世紀を迎えたいと思います。与党、野党の垣根を越えて、国民のため、国家のためになる政策であれば、総理の決断と指導力により、堂々と取り上げ、実現し、国民の切なる願いにこたえていかなければなりません。そこにこそ、私たち自由党が連立政権に参加した歴史的意義を感じるものであります。
総理の一層の御奮闘を期待し、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕