峰崎直樹の発言 (本会議)
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○峰崎直樹君 私は、民主党・新緑風会を代表し、小渕内閣総理大臣の施政方針演説及び三演説に関連して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
さて、日本経済はいまだ長期の不況から脱却できず、正月明けから証券市場は低迷し、ハローワークには多くの人が押し寄せています。昨年十二月から長期金利も上昇基調に転じ、今後の経済に対する不安がますます高まっています。
こうした状況が続いている最大の原因は構造的なものであり、国際的、国内的な金融システムの不安を放置し続けてきたことや、適切な産業構造の転換がなされなかったこと、さらに、国民が将来生活に不安を持つ中で生じているデフレスパイラルの存在にあります。
この間、政府・自民党は、このような構造的な問題に何らメスを入れることなく、先送りや小出しの政策に終始し、従来型の公共事業を中心にした放漫財政を継続させ、雇用不安とともに人口予測の失敗による将来の年金についての不安を増大させてきました。このような構造的課題を何ら改革することなく、従来型の公共事業を踏襲したのが平成十一年度予算と言わざるを得ません。
さて、総理は先日ヨーロッパ諸国を歴訪されましたが、そのヨーロッパでは、イギリス、フランス、ドイツを初め、次々と中道左派を標榜する社会民主主義政権が誕生しております。八〇年代にイギリスのサッチャー政権などが推し進めてきた新保守主義的な改革は、所得格差の拡大や公的医療、教育などの荒廃を招いたこと、また昨今のヘッジファンドが引き起こした世界的な金融危機の連鎖など、市場経済への信頼を覆す市場の暴力があらわになってきたこと、一国主義的マクロ経済政策の有効性の低下に対応して、EUのユーロのように、国民国家同士のリージョナルな結合が不可避になっていることなどが社会民主主義勢力台頭の要因になっています。
総理は、こうしたヨーロッパ諸国を初めとする世界の動向について、どのような認識をお持ちになられたかをお尋ねいたします。
次に、平成十一年度予算及び景気対策についてお尋ねいたします。
私は、以下三つの点で、平成十一年度政府予算案の内容には重大な問題があると考えております。
第一に、残念ながら政府予算案では、現下の不況を打開するのは到底不可能です。政府・与党は、必要とされる未来型の積極財政を、なりふり構わぬばらまき財政にすりかえています。予算案では、本格的な恒久減税や二十一世紀に求められる社会資本整備を中心とする財政構造の根本的見直しが先送りになり、最高税率だけの引き下げと上限つきの定率減税、土木事業を中心とした旧来型の公共事業など、効果も少ない、その場しのぎの対策が中心になっています。
バブル崩壊後、百兆円を超える景気対策を講じながら十分な効果がなかったことについて、何の反省も見られません。これでは〇・五%の経済成長の達成は不可能と言わざるを得ません。総理、いかがでありましょうか。
第二の問題は、政府予算案がかつてないほどの放漫財政に陥り、国家破産寸前の状態にまで来ていることであります。国債の大量発行によって債券市場の規律問題が生じてくることが懸念されます。
かつてサッチャーやレーガンの時代に、財政赤字を吸収できなくなった中央銀行がインフレ政策をとろうとした際、債券市場が先に暴落をし、金利が上昇する結果を招きました。その結果、金利の上昇に歯どめがかけられなくなり、財政赤字の解消を大目標にせざるを得なくなったのです。
不況に伴い、大型財政出動を大量の国債発行に依存するため、市中消化ができにくくなると同時に、郵便貯金の約二百五十兆円の残高のうち、大量に満期の来る西暦二〇〇〇年から二〇〇一年で約五十八兆円が郵貯から流出すると見られており、その分、資金運用部経由の国債引き受け能力が低下をいたします。郵貯の自主運用も始まります。
そうなると、国債市場が暴落する危険性が増大をし、国債利子の上昇が金利の上昇を招き、企業の経常利益への圧迫という事態に至るおそれがあります。すなわち、国債利回りの上昇は、単に財政赤字がファイナンスできなくなるだけではなく、金利上昇効果を通じて企業倒産の増大を招き、そのことによって銀行の不良債権は再び増大し、金融問題は今後一層深刻化するのではないかという懸念があります。つまり、債券市場の規律問題が最大の焦点になってきているのではないでしょうか。これらの点について、総理の御所見をお尋ねいたします。
私は、政府がビジョンも見通しもなく財政構造改革法を凍結したことは納得できません。今後五年間程度の財政展望を明らかにするとともに、凍結期間にこれまでの硬直的かつ固定的な手法にかわる新しい財政再建策を取りまとめるべきだと思いますが、総理、いかがでございましょうか。
〔副議長退席、議長着席〕
第三の問題は、地方財政悪化の構造的要因について、政府が何ら対策を講じようとしていないことであります。
本来、住民密着サービスを維持するためのものであるべき地方財政は、これまで政府が行った景気対策の中で、国の政策に追随すれば補助金の裏負担分の起債を許可され、おまけにその元利償還分まで交付税措置されるというような画一的な手法によって、政府の景気政策や産業政策の下僕の地位におとしめられてきました。その結果、必要性の薄い施策が累増しています。今日の地方財政の悪化は、まさに中央集権的な国家財政への地方財政の従属構造によってもたらされているものと断ぜざるを得ません。
金融、経済のグローバル化の進展に伴い、もはや国民国家は、これまでのように国境管理を通じて資金の流れや税制をコントロールすることが容易ではなくなってまいりました。
こうした中で、一方ではヨーロッパのように、国民国家同士がリージョナルな結合を強め、他方では税財源の地方移譲などを通じて地方分権を進めることにより、地方政府による行政サービスの現物給付などの社会的セーフティーネットを確立することが重要な政策課題であると認識されるようになってきました。
総理は、現在の地方財政悪化の構造的要因についてどのように認識され、また、国と地方の税財源配分をどのように改革すべきとお考えでしょうか。
さて、先日ある新聞のコラムで、就任直後の宮澤大蔵大臣が、私はにせものを褒める骨とう屋の主人ですなあと語ったことが紹介されていました。大変含蓄に富んだ宮澤大蔵大臣ならではの言葉と理解いたしましたが、大蔵大臣は、ただいま私が申し上げた予算案の三つの問題点についてどのようにお考えでしょうか、御所見を賜りたいと思います。
次に、私は、政府・与党の税制改正案について、その問題点を指摘し、民主党の考えを申し上げたいと思います。
政府・与党の改正案は、個人所得課税の減税を除いては、まさに民主党が昨年二月以来主張してきた内容をなぞったものとなっており、政府・与党がようやく我が国経済の深刻な状況と民主党案の正しさを認識し、重い腰を上げたと言えましょう。
改正案の最大の問題点は、何よりもまず、個人所得課税について高額所得者優遇減税との強い批判を浴びている所得税、個人住民税の最高税率のみの引き下げを基本に据え、中低所得層については一時的な定率減税のみでお茶を濁しているというところにあります。民主党の主張してきた総合課税化による不公平是正など、抜本的な改革はすべて先送りにしております。ほかの先進諸国に比較して、我が国所得税の表面的な最高税率がなお高い水準にあることは周知のとおりでありますが、一方で金融資産からの所得は二〇%という低率分離課税とされています。
また、我が国では、日銀の支店長の例にも見られるとおり、会社役員等に豪華な社宅が貸与されるなど、いわゆるフリンジベネフィットの多くが課税対象から抜け落ちてしまっております。フリンジベネフィットへの適正な課税など、課税ベースの拡大を図ることなくして最高税率のみを引き下げることは、税の不公平性を一層拡大するものと批判せざるを得ません。
総理は、定率減税について、納税者ごとの税負担のバランスをゆがめないで減税できるという長所があり、課税ベース等の見直しを伴わずに恒久的減税を行う方式として適当だと表明しておられるようですが、これは、まさに政府の最高税率のみの引き下げが不適当であり、民主党案のように、各段階の税率を比例的に引き下げる方式が当面の是正策として適当であるということを、総理自身がお認めになったものと言えるのではないでしょうか。総理、いかがでしょうか。
最近、我が国では所得や資産の上下格差が拡大しておりますが、今回の税制改正がこのことをさらに拡大してしまう危険性について、総理はどのようにお考えでしょうか。
また、景気対策という面から見ても、相対的に消費性向の低い高額所得層に手厚い減税ではなく、民主党案のように、まさに国民の大宗を占める中低所得層の負担を軽減することの方が有効なのではありませんか。総理のお考えをお示しください。
個人住民減税については、破綻のふちに立っている地方財政の危機的状況を無視するものであり、民主党は強く反対してまいりました。
また、どうしても納得できないのは、最終段階で子育て減税と称して、扶養控除の十万円の引き上げ、特定扶養控除の五万円の引き上げが追加されたことです。総理は、今回の措置が課税最低限を一律に引き上げるものではないと説明しておられるようですが、従来から、政府自身が課税最低限を説明する際に、サラリーマン夫婦子供二人のいわゆるモデル世帯を用いてきたことを考えれば、全く苦しい詭弁としか言いようがありません。この点についての総理のさらなる明快な御答弁を求めます。
民主党は、国民の将来不安解消につながる税制の抜本的な構造改革をできる限り前倒しで実現するという観点こそ重要であると考えております。
個人所得課税については、税制の公平性確保と低中所得層も含めた負担軽減を実現すべきであり、その具体策として、納税者番号制度と総合課税化の三年以内の実施を明確にした上での所得税のすべての税率の引き下げを提案いたしております。中低所得層の負担増を緩和するとともに、税制の簡素化を図る方策としては、所得税の扶養控除の見直しと組み合わせて児童手当の抜本拡充による「子ども手当」の創設を提案しております。また、基礎年金財源の全額税方式導入に向けた消費税の福祉目的税化についても、直ちに実現すべき課題として提案しております。私たちは、今国会にこれらの法案を政府の関連法案への対案として提出する予定であります。
児童手当の単なる拡充ではなく、これを所得税の人的控除のあり方の見直しなどの改革とセットで進めることは、今後の税制改革を考える上でも不可欠であり、また、それがヨーロッパ諸国などの趨勢であると考えております。児童手当と税制上の控除は、そもそも代替する制度ではないと言うのであれば、政府としてはどのように人的控除のあり方を改革しようとしているのか、きちんと対案を示すべきではないでしょうか。総理及び大蔵大臣の答弁を求めます。
次に、今国会の大きなテーマである行政改革、地方分権について伺います。
まずは行政改革の大前提であり、新たな「この国のかたち」を創造するために不可欠である地方分権について伺います。
端的に伺います。総理は、地方分権を推進する気があるのかないのか。御存じのように、推進委員会は第五次勧告の取りまとめの中で、各省庁、族議員の激しい抵抗に遭い、刀折れ矢尽きてしまいました。さらには、粉骨砕身の努力を重ねてきた西尾座長の辞任という事態まで招いてしまったのです。このように、委員会が苦闘している間、総理は一体何をされていたのでしょう。西尾座長の辞任を引きとどめもせず、沈黙という形で官僚の抵抗を支持していたのではなかったのかという気さえいたします。総理は、このような事態を招いたみずからの責任をどう考えるのか、御答弁をお願いいたします。
次に、行政改革です。
昨年明らかになった大蔵省の多数の幹部職員の収賄、汚職問題をきっかけに、中央官庁の公務員人事のあり方も行政改革の大きな課題となっており、公務員の量的削減よりも、中央官庁の縦割りの人事制度、財投制度とともに密接にかかわっている特殊法人などへの天下り問題など、官僚人事システムのあり方を抜本的に見直すべきだと考えますが、総理のお考えをお示しください。
次に、自民・自由連立協議で議題となった副大臣制度の導入について伺います。
副大臣制度導入は、我が党の主張する官僚主導国家から国民主導国家への転換を果たすために重要なシステムの一つであり、我が党は一昨年、そして昨年と続けて国会にそのための法律案を提出いたしております。一昨年にこの法案を国会に提出した際には、現在連立政権の一方である自由党の皆さん方とも何度も協議を重ねて共同提案に至った経緯があります。そして昨年は、この皆さんと共同提案を行った法律案をほんのわずか修正したものを提出し、それが今国会においても継続案件として存在しております。この民主党の法案を速やかに成立させるべきと考えますが、総理及び野田自治大臣、いかがお考えでしょうか。
なお、私は、日債銀問題についてぜひ一点お尋ねをしておきたいと思います。
周知のとおり、長銀に続いて日債銀が昨年暮れに金融再生法に基づいて特別公的管理に移されました。その決定が公表される直前、それまで一日の売買が百数十万株程度で推移した日債銀株が、最後の二日間は一日で一千万株近く取引されるという状況があらわれました。特別公的管理の決定について、事前に情報を入手し得た者がインサイダー取引によって売り抜けたのではないかという疑念をぬぐうことはできません。この点について、金融再生担当大臣から明確な御答弁をいただきたいと思います。
昨年末、政府は農政改革大綱を発表し、今国会はそれに基づく新農業基本法案が提出されようとしています。大綱は、今日の我が国農業の危機的状況を招いた戦後農政の総括についてはなされておらず、総花的に政策を並べた感が否めません。現行基本法農政のどこに問題があったのか、そして新たな農政はどのような哲学に基づいて、何を目指すのかを総理にまずお尋ねいたします。
現行農業基本法にある農業と他産業との格差是正という国の目標は、新基本法の直接的所得補償政策や公益的機能などへの対価としてどのように評価されていくのか、農家の方々は不安な気持ちを強く抱いておられます。その点についての総理の明確な答弁を求めます。
また、次期WTO交渉を見ながら、食糧生産の維持向上と、地方分権に基づく地域政策の展開を可能とする新しい理念に基づく新基本法を強く求めるものです。総理の御決意を求めます。
最後に、私は昨年八月十二日、小渕内閣発足の際に代表質問に立たせていただき、総理に、どうか官僚の書いた答弁ではなく、みずからの言葉で答弁をいただきたい旨を求めました。残念ながら、その提案は生かされなかったのですが、民主党も提唱し、自自連立の合意にある政府委員の廃止、政治家同士の討論が実現されればそのことは可能となります。
その際、ぜひとも改めてほしいことは、この本会議質問のあり方であります。イギリスの議会と同様、総理や各大臣、野党のシャドーキャビネットの担当大臣がまさに真剣勝負で論戦をするようにしていただきたいのであります。残念ながら、今の本会議のやり方では一方通行であり、事前質問通告を受けて、官僚が揚げ足をとられないようにつくった答弁書を読まれることで、論戦は全く迫力がなくなり、味気のないものに終始し、多くの聞いている議員も、思わず睡魔に襲われてしまうのが実情です。
貴重な時間を浪費することなく、真に国民の負託にこたえるべく全力を挙げていくためにも、本会議の論議のあり方、そのためには議場のつくり方すら大きく変える必要があります。このことを最後にすべての議員の皆様にも御要望を申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕