倉田寛之の発言 (本会議)
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○倉田寛之君 ただいま議題となりました平成十一年度予算三案につきまして、予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
平成十一年度予算の内容につきましては、既に宮澤大蔵大臣の財政演説において説明されておりますので、これを省略させていただきます。
平成十一年度予算三案は、一月十九日、国会に提出され、一月二十二日、宮澤大蔵大臣より趣旨説明を聴取し、衆議院からの送付を待って二月二十二日から審査に入りました。
自来、本日まで審査を行ってまいりましたが、この間、三月四日に公聴会を開くとともに、三月三日、八日及び十日には財政金融・景気・雇用及び外交・防衛並びに教育・環境・福祉の三つのテーマについてそれぞれ集中審議を行い、また三月九日には参考人を招致し、日本債券信用銀行に関する質疑を、さらに三月十二日、十五日及び十六日午前には各委員会に審査を委嘱するとともに、予備審査中の一月二十七日から二十九日にかけては、和歌山県、奈良県及び石川県、福井県にそれぞれ委員を派遣して現地調査を行うなど、本日に至るまで濃密かつ熱心な審査を行ってまいりました。
以下、質疑のうち若干につき、その要旨を御報告申し上げます。
政治の基本にかかわる問題として、連立政権及び国旗・国歌の問題につき質疑がなされました。
まず、自由民主党と自由党との連立問題につきまして、「昨年の参議院選挙で反自民を訴えた自由党と自由民主党が連立を組むのは憲政の常道に反し、国民の期待を裏切るものではないか。既に参議院議長が選挙制度の検討を各会派に要請中にもかかわらず、自自連立協定書に参議院の定数五十人の削減を明記したのは看過できない。自自連立については国民の信を問うべきとの意見にどう思うか」との質疑があり、これに対し、小渕内閣総理大臣及び野田自治大臣より、「政権を安定させるには、選挙を通じて行う方法もあるが、また、基本的な政策について政党間で話し合い、合意に達すれば、政権をともにする方法も民主政治ではあり得ることと思う。自由民主党と自由党の党首会談の結果、現在我が国は国家的危機のただ中にあるとの時局認識をひとしくし、国家国民のために政権を安定させて責任を分かち合うことが必要であるとの基本的考え方で一致し、連立政権が成立したものである。参議院の定数削減については、党首会談の合意直後に、参議院自由民主党幹部より、参議院は議長のもとで定数削減も含めて参議院改革の検討を進めており、その協議が優先すると思われるので、自自協定に従うことはできないとの申し出があり、両党首ともこれを了解した。したがって、議員定数削減の部分は、参議院の独自性を尊重することとなっており、事実上意味をなさないものである。連立政権の信を問うべきとの意見について、必ずしも否定はしないが、生きた政治の中で政権の組み合わせが変化するごとに国民の信を問うのがルールとは考えていない。現在は審議中の予算を一日も早く成立せしめ、経済を再建することを先行させたい」旨の答弁がありました。
国旗・国歌の問題については、「我が国の誇りと愛国心を育てていくには、国旗・国歌を法制化し、遵守させることが必要と思う」との一方、「歴史的経緯を考えれば国旗・国歌の強制につながる法制化を慎重に考えるべきではないか」との質疑があり、これに対し、小渕内閣総理大臣より、「国旗・国歌に関し、過去に日の丸・君が代は戦争を思い起こさせるとの反対論もあったが、今日、時を経て改めて我が国を思い、その象徴としての国旗・国歌を考えるとき、この際内閣として一つの結論をとるべきだと思う。既に長年の慣行により国民の間に日の丸・君が代が国旗・国歌であるとの認識は定着しており、政府として、二十一世紀を迎えるに当たり、国旗・国歌の法制化を含めた検討に着手した。今国会に法案として提出するよう努力したい。法制化に伴う国民の義務と権利にかかわる点に関しては、今後内閣で十分検討していく」旨の答弁がありました。
外交・防衛に関し、日米ガイドライン問題に論議が集中いたしました。「日本が米軍を支援することを規定している日米新ガイドラインは、条約的根拠が存在せず、新条約が必要ではないか。周辺事態安全確保法案では、戦闘行動を行っている米軍に対し、我が国が武器弾薬などの補給等の支援を行うことなどが定められているが、こうした行為は米国と戦闘を行っている相手国から敵対行動と見なされ、国際法上の軍事目標となるのではないか。また、武器弾薬の輸送を民間に依頼することがあるのか。その場合、民間の航空機等が攻撃されない保証はあるのか」との質疑があり、これに対し、小渕内閣総理大臣並びに関係各大臣より、「新ガイドラインは、日米安保条約及び国連憲章を基礎としている。日米安保体制は、安保条約の目的の達成のために、地位協定等の関連取り決めや関連国内法令に基づき我が国が広範かつ緊密な協力を行うことを当然の前提としているものである。我が国の米軍への支援行動は、戦争に巻き込まれない地域を想定し行うこととしており、この後方地域での支援活動は、それ自体武力の行使に該当しない。また、国連憲章及び日米安保条約に従って行動する米軍に対して行う我が国の協力も、国際法の基本原則に合致し、許容されるものであって、我が国に対する他国の武力の行使が国際法上正当化されることはない。周辺事態法では、民間に輸送を依頼することが認められ、その中に武器弾薬も含むものの、これは輸送物資の中から当然には排除されないとの趣旨である。また、民間に輸送等を依頼する場合には、攻撃される可能性が限りなくゼロに近いような場合に限定されると考えている」旨の答弁がありました。
現下の最大の課題と言われる景気動向及び経済問題につきましては、「政府は変化の胎動を強調するが、依然景気が低迷しているのはなぜか。十一年度の政府経済見通し〇・五%の達成は可能か。さらに、雇用情勢も大変悪化しているが、政府の雇用対策は十分か。経済の活性化や雇用の創出のため、新規産業創出の対策を喫緊に講ずるべきではないか」との質疑があり、これに対し、小渕内閣総理大臣並びに関係各大臣より、「景気低迷の理由は、短期及び長期の景気循環がともに下降局面にあるほか、我が国経済自身、体質改善が必要な状況になっているなどの要因が重なっていることにある。現在、個人消費の低迷、設備投資の減少、輸出の伸び悩みなど、全体として極めて厳しい状況だが、一方で公共投資が高水準を維持しているほか、減税や低金利の効果等によって個人消費の一部に好調さが見られ、住宅需要も活発化しつつある。政府としては財政・金融両面から最大限の対策を打っており、変化の胎動も大きくなってきていると感じている。十一年度の経済見通しについては、公共事業費は予備費を含め一〇%以上の伸びを確保したほか、税制面で所得税及び法人税の減税等、全体で九兆四千億円の減税を行うなど、〇・五%の達成には万全の手を打ったつもりである。雇用対策については、昨年十一月の緊急経済対策を受けて、十年度の補正及び十一度予算とを合わせ、一兆円の規模を確保した。雇用助成金を大幅に拡充したほか、中小企業創業等の支援策を強化して、新規雇用創出に踏み込むとともに、非自発的失業者を雇った企業への支援を手厚くするなどの措置を講じている。また、新規産業の創出は、二十一世紀の我が国が発展、繁栄していく上で不可欠なものであり、人材確保、資金確保、技術確保等の側面から、制度面及び税制面においてもさまざまな政策をとっていきたい」旨の答弁がありました。
財政、金融及び税制につきましては、「十一年度予算は構造改革を促し、二十一世紀に向けて展望ある予算とはなっていない。国債金利の急激な上昇は市場の国債吸収能力の限界を示すものではないか。金利上昇を抑制するには、日本銀行が国債の買いオペをふやすなどの施策が考えられないか。予備費のほかに公共事業等予備費五千億円も計上することは、財政支出に対する国会の事前議決の原則に反するもので、削除すべきである。十一年度減税案のうち、所得税を定額減税から定率減税に切りかえたことで、年収八百万円以下の標準世帯には増税となるが、景気回復にも逆行するのではないか。消費税の福祉目的税化を消費税法に規定せず、なぜ予算総則に規定したのか」との質疑があり、これに対し、小渕内閣総理大臣及び関係各大臣並びに速水日本銀行総裁より、「十一年度予算は、長期にわたるマイナス成長をプラスに転じさせようと、当面の景気回復に全力を尽くすべく編成したもので、構造改革等について手が及ばなかった面もあるが、公共事業については、即効性、波及性、未来性の三つの観点から施策を取り入れるなどの工夫もしているところである。長期金利が急上昇したのは、十一年度の国債発行額が相当大きくなったことのほか、国債発行総額から見ればわずかにすぎない資金運用部買い入れを停止したことによるもので、市場の過剰反応だと思う。金利水準は国際的に見てなお低く、今後国債が売れなくなる危機的な状況にはない。国債の日銀引き受けは法律で原則禁止されており、特に、新規国債を引き受ければ、財政節度が失われ、悪性インフレの原因となって、内外の信認を失うので考えていない。国債の買い切りオペは、あくまでも日銀券の増加に見合った額を資産として持つというルールを今後も守っていく。公共事業等予備費は、景気の先行きに不測の事態が生じた場合、改めて補正予算を編成し、国会の議決を得るまで時間を要するので、とりあえず公共事業に限った予備費を使用することで対応し、後に国会の承認をいただくこととしたものである。十一年分の所得税減税については、昨年限りの定額減税の実施によって、課税最低限度が高くなり過ぎ、納税人口が減少して、これを今後も続けることが困難なため、今回改めてもとの課税最低限度まで戻り、その上で恒久的減税を実施することとしたものである。消費税を基礎年金等の福祉目的のみに使用すると予算総則に規定したのは、消費税についての国民の理解がより深まるのではないかとの意図に基づくものであり、福祉目的の考え方は継続していくべきものと考えている」旨の答弁がありました。
最後に、ダイオキシン対策につきまして、さまざまな角度から質疑が重ねられましたが、「ダイオキシンに関する政府の安全基準値が厚生省と環境庁で異なり国民にわかりにくく、不安を与えていないか。また、測定方法によって検査値が異なり、検査の信頼性が失われているのではないか。我が国のダイオキシン対策は、諸外国に比較し、十年以上遅れているが、今後、対策をどのように進めていくつもりか」との質疑があり、これに対し、小渕内閣総理大臣並びに関係各大臣より、「「耐容一日摂取量」すなわちTDIを、厚生省は動物実験等の結果から、平成八年に十ピコグラムを提案したが、その後、環境庁は人の健康をより積極的に維持するとの観点から五ピコグラムと設定した。しかし、本年、世界保健機構から、新たなTDIの詳細が明らかになったので、専門家会議で検討し早急に基準の整合性を図ることにしている。また、ダイオキシン濃度の測定分析については、熟練した技術に支えられた極めて微量な濃度の分析という難しい問題を抱えており、検査の信頼性を確保するため、測定分析機関が行った結果を学識経験者を含めた検討会で評価するとともに、分析技術の改善を図るために、公表することとしている。ダイオキシン対策は、安全のかけ橋という点で、緊急に取り組むべき課題と認識しており、関係閣僚会議を設置するとともに、基本指針の策定、検査体制の整備及び国民への情報提供等、施策全般にわたり政治主導により、検討、実施していく」旨の答弁がありました。
質疑はこのほか、経済戦略会議最終報告と政府の対応、円の国際化、公務員の定数削減と行政改革の必要性、北朝鮮への政府対応姿勢、沖縄の経済振興策、金融システム改革、改善進まぬ貸し渋りと円滑な資金供給対策、日本債券信用銀行問題、介護保険制度と要介護認定のあり方、障害者福祉のあり方、新農業基本法と米関税化への対応策など、広範多岐にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して郡司委員が反対、自由民主党及び自由党を代表して月原委員が賛成、公明党を代表して加藤委員が反対、日本共産党を代表して小池委員が反対、社会民主党・護憲連合を代表して日下部委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
討論を終局し、採決の結果、平成十一年度予算三案は賛成少数をもっていずれも否決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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