郡司彰の発言 (本会議)
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○郡司彰君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりました主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
質問に先立ちまして、昨日、日本海において不審船二隻が日本領海を侵犯する事態が発生し、海上保安庁の巡視船が威嚇射撃を行うとともに、海上自衛隊の護衛艦が警告射撃等を行ったとの報道がありましたが、現時点までの経過を報告していただきたい。
さらに、この事態について超法規的措置がとられたかどうか。今回は海上保安庁と海上自衛隊の連携は緊密にとられていたようですが、以前にこのような事態が生じた場合も、今回同様に海上保安庁と海上自衛隊の連携は緊密にとられていましたか。さらに、今後このような事態が生じた場合の今後の法整備上の問題があるのか、政府の方針を総理及び防衛庁長官より明確に回答していただきたい。
本論に戻ります。
本法律案は、昨年十二月十八日の決定に至るまで、九月以降、与党、農林水産省、農業団体の間で協議されてきたと言われています。問題なのは、ウルグアイ・ラウンドのときも、これまでもそうであったように、広く国民の間にすべからく情報公開しない体質にあり、しかも最後の段階でこれ以外の方法はない、これが最善だという手法がとられていることであります。
もとより、農業予算や食糧に関して、都市と農村、消費者と生産者の間では以前から相反する意見が多いと言われてきましたが、本来、食糧は国民全体の問題であり、今日の現状は農政の軸を示さずに来た不幸な結果ではないでしょうか。
先般出された基本問題調査会答申の中では、これからは政策決定過程の透明性を確保しなければならないと述べていますが、総理並びに農林水産大臣のお考えを伺います。
次に、一九九三年十二月のUR農業合意についてであります。
十五の交渉分野のうち、特に農業に関しては最後まで調整に手間取るなど、各国の利害が真正面から衝突するものでありました。そのような中、日本におきましても三度の国会決議をもほごにし、歴史的にも文化的にも関係の深い主食である米の輸入問題について、最後には苦渋の選択を決断しました。そこでまず、UR農業合意を現在の政府の責任者としてどのように評価しているのか、総理に伺います。
さらに、農林水産大臣に伺いますが、その後の対策として、我が国農業の体質強化を図る目的で六兆百億円の特別対策費を講ずるとされましたが、予算は専ら既存の公共事業の上乗せに振り向けられ、優良の農地保全や担い手・後継者確保、農家負債対策等の緊急措置に対する重点配分がなされていないため、目立った効果も上げられず今日に至っています。
農家の方々は農林水産大臣に、この間の農政の見通しの甘かったこと、施策が思うような効果を上げていないこと、今回の関税化への転換は拙速であったことについて率直に申しわけないと言ってほしいと思っています。つまり、これまでの農政に対する総括が一度もされていないことが農政に対する信頼回復や自信がわいてこないことにつながっていると思いますが、どうでしょうか。
次に、法案の内容について伺います。
政府は、関税化に当たり、九九年度の二次税率を三百五十一円に設定しようとしていますが、既にアメリカはあからさまな不満を表明しており、現在WTOに対し異議申し立てなどで承認を留保したのは、オーストラリア、ウルグアイ、アルゼンチン、EUの四カ国・地域であります。もとよりアメリカは、二百九十二円のマークアップ分についてもダーティータリフィケーションと言ってきたわけであります。いわば、一連の流れを改革過程の継続だと見ているわけでありますが、農林水産大臣は今回の異議申し立てと見通しについてどうお考えでしょうか。
高関税率の維持についても、かつての牛肉自由化とその後の経過を見るならば、大いに疑問であります。九一年四月に牛肉が自由化されたとき、当初、関税率は七〇%でした。翌九二年には六〇%、九三年には五〇%と、猛烈な勢いで引き下げられました。その結果、八五年当時七二%という高い自給率だった我が国の牛肉生産は、現在三六%にまで落ち込んでいるのであります。関税化に移行した品目の国内生産が破綻した典型的な例がここに示されています。このような例を見るならば、政府の見通しは余りにも楽観的に過ぎるのではないでしょうか。
関税化に移行した場合のMAの継続も大きな問題です。今回、政府が関税化に踏み切ろうとしている主な理由がMA米の過剰にあることは、これまでの説明でも明白であります。MAがなくなるか段階的に削減されるならばまだしも、関税化受け入れ後もMA米の輸入量は二〇〇〇年まで増加し続けることが確定している上に、その後も消費量の七・二%で固定化されるのであれば、我が国農業に与える影響は極めて深刻であります。
本来、MAはアクセス機会の提供であり、輸入義務を課しているわけではありません。MA制度の見直しについてどのような展望をお持ちでしょうか。農林水産大臣の答弁をお願いいたします。
次に、関税化の議論と並行して生産調整、いわゆる減反政策のあり方が問われています。
いざというときの食糧供給体制は農政の基本であります。そのためには、生産を食糧農産物にシフトさせることが重要であり、ふだんから優良農地を確保していくことが重要であります。農地の中でも、大切な役割が水田にあります。つまり、栄養バランスにすぐれた米で、少なくとも一定のカロリーを確保するということであります。当然、現在の一千万トン体制から三、四割くらいは増産可能な農地を確保しなければなりません。生産調整は食糧安保の観点から国民のための施策であるとの認識に立ち、農家のためだけではないことを明言すべきと思いますが、農林水産大臣の明確な考えをお示しいただきたい。
次に、次期WTO農業交渉に臨む政府の態度についてお伺いいたします。
次期農業交渉では、米国等の輸出国は、我が国に対して国家貿易の廃止や高関税率の引き下げなど、強く迫ってくるものと思われます。一方、我が国は、総理の諮問機関である基本問題調査会の答申においても、「国際的なルールの形成に当たっては、我が国の立場や主張を最大限反映させる」と述べるにとどまり、何ら方針を示していません。
今国会では新たな農業基本法案の審議が予定されていますが、我が国の態度を明らかにするためには、法律の前文に、食糧自給政策の確立は主権国家としての当然の権利であることを明記すべきであり、あわせて交渉に臨む我が国の姿勢や農産物貿易に対するルールのあり方についてもこの際徹底的に議論すべきと考えますが、総理並びに農林水産大臣はいかがお考えでしょうか。
次に、農業に対する国民的な合意形成についてお伺いいたします。
今回の新農業基本法の中には、中山間地に対する直接所得補償など、国民合意が必要となる政策が見られます。日本では、他の先進諸国に比べて農業や農業従事者に対する国民の意識がかなり違ったものとなっております。行政としても、日本型食生活のよさや、本当に必要な食べ物は何かということを啓発してこなかった。つまり、消費者と生産者を結びつける政策が縦割り行政の中でうまく機能してこなかったのではないでしょうか。
例えば、食生活が子供の成長過程でどのような影響を及ぼすのか、昭和六十年に厚生省が作成した健康づくりのための食生活指針に書かれていることが現在の行政の中にどう活用されているのでしょうか。
また、今年度の農林水産省予算の中で、食生活の啓発に関する予算はわずかに三千五百万円であります。食生活が社会的な諸問題の底にあるとはよく言われていることであります。厚生大臣並びに農林水産大臣はどうお考えか、お聞かせ願います。
次に、環境保全型農業についてお伺いします。
一方では、市場原理、効率的な農業をうたいながら、もう一方では、環境保全型農業への転換を目指すとしていますが、環境保全型は、自然循環を重視した生産方法をとれば、当然生産コストがかかって高い農産物にならざるを得ません。そのときにどうするかを、UR農業合意では、生産者の所得安定は消費者負担ではなく財政負担で行うべきとしています。我が国においても、この考えを政府が生産者と消費者に明らかにすることなしに環境保全型農業は育たないと思いますが、農林水産大臣の考えをお伺いいたします。
次に、遺伝子組みかえ食品についてお伺いします。
現在、輸入が認められている品目についてはせめて義務表示をすべきとの声が出ていますが、厚生大臣の考えをお伺いいたします。
最後に、農業と環境及び生態系とのかかわりについてお伺いいたします。
先日の新聞報道では、メダカが絶滅のおそれのある生物に指定されたということであります。河川が農薬、工場排水、生活排水等で汚染され、ふるさとの小川もコンクリートで固められ、山村の水田は過疎化や減反で荒廃してしまい、メダカに限らず、多くの生物が生きる場所を追われつつあります。本来、農業は生産、消費、廃棄が無理なく循環をしていました。今、米の関税措置への切りかえでますます稲作が後退し、水田が姿を消すことになると、環境の連環の輪が断ち切られることになります。
日本は経済大国に成長しましたが、その裏で失ったものも非常に多いと感じているのは私だけではないでしょう。真の豊かさとは、自然と常に接する機会を持ち、健康で、精神的にもゆとりのある生活を送ることであると考えます。そのために、失われていく生態系を守る決意をすべきと思いますが、総理はいかがお考えでしょうか。
二十一世紀を迎えて、農林水産省の果たす役割は一層重要となります。大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕