中川昭一の発言 (本会議)
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○国務大臣(中川昭一君) 関税措置への切りかえに関する政策決定過程についてのお尋ねですが、次期WTO交渉の開始を控え、与党、農協系統組織を初め、各方面で現行農業協定の分析、検証が行われ、農林水産省におきましても、中央、地方も含め、さまざまな機会を通じ、農業協定の内容等について説明を行ってきたところであります。
このような議論を経て、農林水産省、与党、農業団体は、認識が一致するに至り、これを踏まえ、政府としての意思決定を行ったところであります。その後も、全国消費者団体連絡会において、私から関税措置への切りかえに関して説明を行う等、広く情報を公開し、御理解を得るべく努力をしているところでございます。
次に、これまでの農政に対する総括についてのお尋ねがありました。
我が国の急速な経済成長、国際化の著しい進展等による変化の中で、現行基本法に基づく農政では、国民からの期待にこたえていくことが困難になっているとの総括の上に立ち、農政全体の見直しを行い、再構築をした結果であります。
新たな基本法では、従来の基本法には位置づけられていなかった国内農業生産を基本とした食料の安定供給の確保、農業農村が有する多面的な機能の十分な発揮、その基盤となる我が国農業の持続的発展、さらには農村の振興を政策推進の基本理念としております。これまでの農政の総括を踏まえ、新たな政策体系のもとで、農業者は将来に自信と誇りを持って農業経営に取り組めるようになるものと考えております。
なお、ウルグアイ・ラウンド合意関連対策については、農業生産基盤や生産高度化施設の整備、農家負担軽減対策等を通じ、農業の体質強化の推進等着実な成果が上がっていると考えております。
次に、関税措置への切りかえに対する異議申し立てについてのお尋ねでありますが、今回の米の関税措置への切りかえは、二次税率の設定方法も含めて農業協定の規定に忠実に従って、加盟国の権利として実施するものであります。このことは、関係国に対し繰り返し説明してきたところであり、大部分の国からは理解が得られている一方、一部の国、地域から異議が申し立てられたことは極めて遺憾と言わざるを得ません。
今後、各国の申し立ての内容や根拠について確認した上で対応していくこととなりますが、今回の米の関税措置への切りかえは、農業協定の規定に忠実に従ったものであることを再度説明し、申し立てが撤回されるよう努力してまいります。
次に、関税率及びミニマムアクセス制度についてのお尋ねですが、次期農業交渉は改革過程の継続のための交渉と位置づけられており、輸出国は関税率の大幅引き下げ、アクセス機会の拡大等を主張することも予想されます。継続のための交渉においては、農業の多面的機能や食糧安全保障等の非貿易的関心事項についても考慮に入れて交渉を行うことが合意されています。
我が国としては、我が国における米及び稲作の重要性等にかんがみ、将来にわたり安定的に営まれ、国民の主食である米の需給と価格の安定が図られるよう、農業の多面的機能や食糧安全保障等の非貿易的関心事項等が十分反映された内容の合意が得られますよう、次期交渉に当たってまいります。
なお、米のミニマムアクセス機会の法的性格については、平成六年五月二十七日の衆議院予算委員会において出された政府統一見解のとおりであり、今回の関税措置への切りかえ後もその法的性格は変わらないものと考えております。
次に、米の生産調整につきましては、国民の必要とする食糧の安定供給の確保は農政の最も重要な課題であります。
米の生産調整は、大幅な需給ギャップが存在する中で、需要に見合った生産誘導することにより、米の需給、価格の安定を図り、生産者の経営の安定と消費者の生活の安定に貢献してきたと評価しております。同時に、自給率の低い麦、大豆、野菜などの他作物の生産への転換を誘導することにしており、国民の必要とする食糧の安定供給に寄与してきたと考えております。
今後とも国民の需要に応じた食糧の安定供給の確保のため、稲作を中心とする我が国の土地利用型農業の発展に努めてまいります。
次に、食糧自給政策の確立についてのお尋ねでありますが、食料・農業・農村基本法案においては、第二条に食料の安定供給の確保についての基本理念を規定しており、その第二項におきまして国民に対する食料の安定的な供給については国内の農業生産を基本として行われなければならない旨を明確に規定しているところであります。したがいまして、改めて前文を設け、こうした考えについて重ねて明らかにする必要はないと考えております。
次に、WTO農業交渉に向けた議論に関するお尋ねですが、次期農業交渉において、我が国の立場を強力に展開し、我が国の考え方が十分反映された交渉結果を獲得するためには、広く国民的合意を形成することが重要であります。
このため、次期農業交渉に臨むに当たっては、先ほど総理からもお答えしたとおり、国会での御議論を十分踏まえることはもちろん、関係者が一体となって協議検討を進め、農業関係者のみならず消費者団体、経済団体等幅広く理解を得ながら、国民合意のもとでの交渉方針を構築していきたいと考えております。
次に、食生活についてのお尋ねですが、国民生活の食生活の状況を見ますと、脂質の摂取割合が適正範囲を上回る世代が見られることや、食べ残し、食品の廃棄などの諸問題が顕在しています。
農林水産省におきましては、これまでも消費者に対し食に関する情報の提供に努めてきたところでありますが、食生活の状況を踏まえ、食料・農業・農村基本法案において、食料消費の改善及び農業資源の有効利用に資する観点から、健全な食生活に関する指針の策定、食料の消費に関する知識の普及や情報提供等を推進することとしております。
今後、食糧を生産する場である農業農村への理解の促進を図りつつ、関係省庁及び食にかかわる関係者とも連携し、食生活を見直す国民的な運動の展開などにより健全な食生活の実現を図りたいと考えております。
次に、環境保全型農業についてのお尋ねでありますが、環境保全型農業につきましては、これまで積極的にその普及、定着に努めてきたところであります。しかし、化学肥料、農薬を節減するための奨励すべき生産方式が明確にされていなかったこと、農業者に減収、労働過重等の経営上の問題が生じるとの懸念があること等から、その取り組みは不十分な状況にあります。
このため、農業改良資金助成法の特例、租税特別措置法による所得税、法人税の特例による支援等を内容とする持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律案を本国会に提出するとともに、予算措置を通じて有機物供給施設等の整備等を積極的に図ってまいります。
最後に、米の関税化への切りかえと水田の生態系を守るための決意についてのお尋ねですが、今回の関税措置への切りかえについては、ミニマムアクセス数量の当面の増加を抑えるという利点があることに加え、ミニマムアクセス数量を超える部分については、農業協定に基づき適切な二次税率を設定することとしており、米の輸入増は見込みがたいことから、この関税措置への切りかえにより、我が国の稲作に影響が及ぶものとは考えておりません。
他方、今後の農政の展開においては、食糧の安定供給のほか、国土の保全、水源の涵養、生態系の保全を含めた自然環境の保全等の多面的機能の十分な発揮を確保していくことが極めて重要な課題であります。そのためには、その基盤として農業の持続的な発展と農村の振興を図ることが肝要であり、今後ともその施策の充実を図ってまいる所存でございます。(拍手)
〔国務大臣野呂田芳成君登壇、拍手〕