木庭健太郎の発言 (本会議)

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○木庭健太郎君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました主要食糧需給安定法改正案につきまして、総理大臣及び関係大臣に質問いたします。
 質問に先立ち、二点伺います。
 本日、日本海で、不審船に対して自衛隊が初めて海上警備行動を行いました。その経過につきましては、ただいま総理及び防衛庁長官から御報告をいただきましたので、私は、総理として今回の対応にどういう認識を持っているのか、その見解だけを伺っておきたいと思います。
 また、緊迫するコソボ問題に対して、NATOがけさ武力行使を決定いたしました。日本政府としてこの決定にどう対応するか、この点も総理の見解を伺っておきたいと思います。
 さて、本法律案につきまして、私は、まず関税措置への切りかえを決定した経過について、一言申し上げておきたいと存じます。
 国民の主食であり、我が国農業の根幹であります米の輸入問題につきましては、国会における三度の決議に象徴されますように、国論を二分する議論の上に、苦渋の選択の結果として関税化の特例措置を受け入れました。
 この経過を顧みますとき、政府、与党、農業団体という直接の関係者だけで、しかも六カ月に満たない拙速な議論で唐突に関税措置への切りかえを決定したことは、多くの国民の思いを無視し、国会を軽視するもので、極めて遺憾であります。
 総理は、過般の衆議院本会議において、衆参両院の農林水産委員会における議論の機会を提供しており、立法府を無視したわけではないと答弁されておられますが、それは三者合意が成立した翌日であり、政府決定が行われた十二月十八日に、しかも野党の強い要求によって衆参半日ずつの質疑がようやく確保されたにすぎません。
 この問題が強く指摘されているにもかかわらず、WTO次期農業交渉に対する対応を依然として三者協議で進めようとしていることは、国民的視点に立って農政を展開しようとする姿勢と相入れないことはもとより、民主主義の原点を無視したものと言わざるを得ません。
 私は、まず、この点について、総理及び農林水産大臣の反省を求めるとともに、公明正大な今後の対応について所信を伺いたいと存じます。
 次に、法律案とそれに関連する具体的な問題について伺います。
 第一は、関税措置への切りかえに伴う稲作に対する農家の不安にどうこたえるかという問題であります。
 農水大臣は、今回の関税措置への切りかえは、当面現行農業協定のもとでとり得る最善の選択と述べておられます。自画自賛されるのは結構ですが、多くの稲作農家は、関税化への移行は今後我が国がとめどもない関税率の引き下げを迫られることを意味し、いずれ我が国の稲作も終えんを迎えるのではないかという深刻な思いでこの決定を見詰めているのであります。
 常識的に考えて、今回設定された二次関税率は、六年間に一五%引き下げるという最低基準が次期ラウンドでも継続されたとしても、今回のマークアップ金額程度のレベルにダウンするのに十年とかからないのであります。政府は、仮定の話には答えられないと言われるでしょうが、これは容易に予測されることでありますので、稲作農家の不安にこたえる意味から、このような事態は引き起こさないという明快な答弁をいただきたいと思います。
 第二は、去る十二月二十一日のWTOへの通告から三カ月が過ぎましたが、WTO加盟国のオーストラリア、EUなど四カ国から異議等の申し立てが先週提出された中で、四月一日からの関税化が予定どおり実施できるのかどうか、総理にお聞きしたいと思います。
 また、政府は、これまでの論議において、たとえ異議申し立てがあったとしても、関税措置への切りかえは、WTO農業協定の定めるところに従って進めてきているので、国内法を整備すれば関税化へ移行できると答弁してこられました。
 しかし、ケアンズ・グループの議長国であるオーストラリアが正式に異議を申し立て、EU、アルゼンチン、ウルグアイが承認を保留している状況の中で、それを無視して譲許表の改正が行えるのかどうか。そして外務省は、譲許表を改正するための承認案件を提出する予定と伺っておりますが、四月一日までに譲許表の改正が行えなくても関税措置への切りかえは実施可能なのかどうか、外務大臣の所見を伺いたいと思います。
 第三にお聞きしたいのは、関税化に移行した後のミニマムアクセス米の取り扱いについてであります。
 関税化へ移行したからといって、このラウンドの継続中、ミニマムアクセス米の輸入を行わざるを得ないことは協定の定めるところであり、容認せざるを得ませんが、二〇〇〇年から始まる交渉が三年間で妥結し、二〇〇三年以降の次期ラウンドにおいても八十万トンを上回るようなミニマムアクセス米の輸入が行われるのであれば、何のための関税化であったかわかりませんし、我が国の農業にとって依然として厳しい状況が続くことに変わりがありません。この点についてどのように対応していかれるつもりか、農水大臣の見解を伺いたいと思います。
 第四に、政府は、次期WTO農業交渉において、農業の多面的機能や食糧安全保障などの非貿易的関心事項について、我が国のかねてからの主張を強力に展開するという姿勢を明らかにしています。私もこの政府の方針を評価したいと思いますが、次期農業協定に食糧の安全保障や農業の多面的機能に配慮する程度の文章が抽象的な配慮事項として挿入されたところで何の意味があるのか、お考えいただきたいと思います。
 すなわち、我が国の水田が緑のダムとして土砂崩れの防止や洪水調節、気候の緩和、生態系の維持等の機能を発揮するためには、国内で稲作が営まれていることが必要であり、稲作経営を崩壊させるような米の輸入が行われてはならないのでありまして、農業の多面的機能の重要性が協定文に書かれているだけでは意味がなく、実際の米の貿易ルールで裏打ちされたものでなければならないということであります。この点について、農水大臣の所見を伺いたいと存じます。
 WTO農業協定が強大な輸出国の利益を代表する仕組みになっていることは、多くの識者が指摘するところであり、その端的な例が、輸出国は、関係国への通達や協議のみの手続で自国の都合により輸出を制限ないしストップできる反面、輸入国は、原則として厳しいセーフガード協定をクリアしなければならない点であります。このような不平等な扱いを改めることも次期交渉の大きな課題でなければならないと考えますが、我が国政府の対応方針について、総理の御見解を伺いたいと存じます。
 次は、関税化に伴う生産調整への影響であります。
 平成十一年産米は、昨年に引き続き史上最高の九十六万三千ヘクタールの生産調整が実施されますが、昨年の段階で既に十四の目標未達成県が出ており、関税化への移行という事態を背景に、この傾向は加速すると私は見ております。
 昭和四十六年以降続いている米の生産調整は、政府自身が稲作経営の将来像として描いている大規模経営農家の生産性向上を著しく阻害する結果を生んでいます。農水省は、新しい基本法案においても、効率的かつ安定的な農業経営の育成をうたっていますが、その足かせとなっている生産調整を続けていかなければならないこの農政の矛盾をどのように解決されるのか、お答えいただきたいと思います。
 二十世紀は戦争の世紀と言われてまいりましたが、恐らく二十一世紀は食糧の世紀になると私は確信しております。ワールドウオッチ研究所の見通しがやや過激であるとしても、農水省が独自に開発した世界食糧需給モデルの生産制約シナリオからもそれはうかがえるのであります。
 このような中で、今私たちが考えなければならないことは、九六年の世界食糧サミットにおけるローマ宣言において、現在及び将来世代の食糧安全保障を達成する責任は各国政府にあるとうたわれておりますし、我が国も持てる能力を最大限に発揮して、この課題の達成のために努力しなければならないということであります。
 政府は、世界の食糧安全保障と人類生存の基盤である農業が環境と調和する中で多面的機能を遺憾なく発揮し続けることができるよう、食糧輸出大国とその背後に存在する穀物メジャーの覇権を確実なものとさせるようなWTO農業協定を、良識ある多くの国々と力を合わせ、改める努力をすべきであり、その決意を総理に伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114515254X01019990324_013

発言者: 木庭健太郎

speaker_id: 13169

日付: 1999-03-24

院: 参議院

会議名: 本会議