須藤美也子の発言 (本会議)

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○須藤美也子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題になりました主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部改正案に対して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 本法案は、国民の主食である米を関税化、つまり輸入自由化する法案であります。言うまでもなく、米の輸入自由化問題は、日本の食糧と農業の将来にとって重大な影響を与える問題です。だからこそ、この参議院でも三度にわたって反対決議が行われたのです。
 ところが、それほど重要な関税化への移行を政府は四月一日から実施するとして、あとわずか一週間余りしかない日程の中で強行しようとしています。政府自身、九四年の国会で、六年間の特例措置の扱いについては、終了の時点で慎重に検討していくと述べていたではありませんか。
 また、直接影響を受ける生産者に関税化を決める意見集約を求めた期間は、年末のわずか十八日間であります。こうした中で、どうして生産者はおろか、国民の声を集約することができたでしょうか。一たん関税化を決めてから、国民合意に努めるといっても、国民の不信感が募るばかりではありませんか。
 総理、余りにも唐突、拙速という国民や各党の批判を真剣に受けとめるべきではありませんか。なぜ、十分な国会会期があるのに、無理に日切れ扱いにして関税化をあくまで強行するのですか。先に三月末の期限ありきではなく、徹底的な審議を行うべきであります。まず、総理の見解を求めるものであります。
 政府は、関税化の移行が次期交渉に有利と言いますが、果たしてそうでしょうか。
 第一に、今般、オーストラリア、EUなど諸外国からWTOに対して、日本政府の関税化措置に対して異議申し立てが行われました。それは、高関税という政府の案すら認めず、関税率を引き下げ、一層輸出国に有利にすることをねらったものです。政府は、高関税で米は守れると生産者や国民に幻想を与えてきましたが、もう始める前から早くもつまずいているではありませんか。総理、どうですか。この新しい事態のもとでも関税化措置が次期交渉に有利と言えるのですか。お答えください。
 第二に、そもそもWTO協定前文は、「関税その他の貿易障害を実質的に軽減し」と関税を引き下げていくことを明記しています。政府自身、審議の中で、二〇〇一年以降の関税水準については何らかの見通しを申し上げることは困難と、高関税を維持することは難しいと認めているではありませんか。これでは、農業団体が求める稲作の将来を展望する関税水準の確保と継続が保障されないことは明らかではないでしょうか。農水大臣の見解を求めます。
 牛肉、オレンジも、輸入自由化後ほぼ十年がたちました。牛肉について見ると、関税率の相次ぐ引き下げで、肉牛農家は九〇年の二十三万二千戸から九八年の十三万三千戸へと九万九千戸が減少、離農に追い込まれています。
 米の場合、輸入自由化されると、今でも米価暴落、輸入米による減反で苦しむ米作農家の生産意欲と展望をますます失わせ、牛肉以上のはかり知れない影響を与えることは明らかです。それでも、米の生産、需給に影響を与えるとは考えておりませんなどと言えますか。農家や国民が安心できる見通しなど全くないではありませんか。農水大臣、はっきりとお答えください。
 また、政府自身国会答弁で、例外なき関税化という農業協定の枠組みを変えることは困難としているもとでは、次期交渉での我が国の選択肢は関税率の引き下げしかないではありませんか。それでどうして農業の多面的機能や食糧安全保障の立場で努力するなどと言えるでしょうか。総理の見解を求めるものです。
 政府は、本当に真剣に国民の食糧、農業再建に取り組んでいるのでしょうか。例えば、農家に非常な苦難を与えているミニマムアクセス米について、政府は全量輸入が義務だと言って、需要がないのに無理やり輸入しているではありませんか。WTO農業協定のどの条文に書かれているのか、外務大臣、その根拠を示してください。答弁を求めます。
 そして、政府は、必要としないミニマムアクセス米の押しつけをやめるべきではありませんか。農水大臣、はっきりとお答えください。
 ウルグアイ・ラウンド合意以降、世界の食糧問題は深刻化しています。世界食糧サミットでは、二〇一五年までに飢餓人口を半減することを世界共通の課題として宣言しました。しかし、FAOの報告によれば、食糧援助を必要とする国は世界全体の二割、三十七カ国に及び、栄養不足人口は八億二千八百万人に増加しています。しかも、このうちアジアが六二%を占めています。
 日本は世界でも最高水準の生産力を持ちながら、水田の四割近くが減反を強制され、世界六位の米輸入国となり、食糧自給率は低下する一方であります。総理、米関税化はこうした世界の食糧問題の解決に逆行するものではありませんか。見解をお聞きします。
 そして、今在庫がふえる一方のミニマムアクセス米は、世界の食糧難に役立つよう食糧援助に回すようにすべきと思いますが、外務大臣の答弁をお願いいたします。
 次に、次期交渉の問題について質問いたします。
 今求められているのは、米、農業を守るための改正交渉であります。もともとWTO農業協定は、輸出国や巨大穀物メジャー、多国籍企業の利益を優先させ、気候や地理的条件の制約を強く受ける農産物の特性を無視して、一律に貿易自由化を押しつけたものです。
 日本は食糧自給率が四一%、穀物自給率は二八%と世界最低の水準であり、これでは食糧安全保障など成り立たないことは明らかです。唯一自給できる米は食糧自給の根幹をなすものです。総理、日本の食糧安全保障にかかわる根本的課題として、我が国は今こそ米は自由化の対象から外すなど、実効ある輸入規制が行われるよう断固として要求すべきと思いますが、いかがですか。
 また、WTO農業協定は、前文で環境保護に配慮すると規定しています。日本、韓国を初めアジア・モンスーン地帯では、手間をかけて水田を維持し、農業生産を続けることが環境と国土の保全に大きな役割を果たしています。WTOでも認める環境のための施策に、水田とそこでの農業生産の維持を加えるように改めさせるべきです。
 さらに、農業協定は、アメリカなどの輸出補助金を残す一方で、各国に一律に価格政策など生産に対する助成、農業保護の削減を義務づけています。これでは自給率の向上はできません。このような条項を削除すべきと思います。この二点についても総理の見解を求めます。
 最後に、私は、国民に安全な食糧を安定して供給し、国土・環境を保全し、さらに、世界の食糧問題を打開していく立場から、本法案を徹底して審議をし、廃案すべきものと強く主張して、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114515254X01019990324_020

発言者: 須藤美也子

speaker_id: 24973

日付: 1999-03-24

院: 参議院

会議名: 本会議