谷本巍の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○谷本巍君 社会民主党・護憲連合を代表し、食糧法等の一部改正案について、総理と関係大臣に質問いたします。
 私たち社民党は、昨年秋、突然政府が示した米の関税化移行に対し、一年間、国民的論議を行った上、結論を出すよう提案いたしました。
 政府はこれまで食糧安全保障にかなう新たな国境措置を強調してまいりました。米関税化移行は、これとは全く異なる自由化への領域に踏み込むわけでありますから、論理的にも実際的にも逆行的矛盾が生じてまいります。
 また、政府は高率関税を課すことができると言ってきました。確かに当面はそれで稲作を守ることはできます。しかし、その先は日本政府と米国などの意向次第でありまして、例えば関税額算定の基準年や関税引き下げ率のとり方等で、関税化は稲作農業つぶしと化してまいります。
 日本の関税化移行に対し、早速オーストラリアなどが異議の申し立てを行いました。この先WTO提訴ともなれば、米関係国の協議となるでありましょう。
 総理も御存じのように、かつて日本列島の平野部の多くは人の住めないところでありました。急峻な山が多く、雨が季節的に集中することから、平場が常襲災害地であったためであります。平野部に多くの人が住めるようになったのは、私たちの先祖が、米をつくる水を確保するため、営々と山に木を植え、川を整え、そして水田農業を維持するための水の共同管理等々を通じ、相互扶助的地域社会を形成してきたことにあります。この国土が生んだ木を使い、米を主食とすることが国土と環境を守る基礎であり、日本の文化が米と木の文化と言われるようになったのも実にそのためであります。
 関税化移行が本当に稲作と国民を守るためのものなら、政府はまず国民の意見を聞き、それに即した方針と体制を固めることで、強い外交交渉の展開と、政府がかわっても方針は一貫して貫き得る体制を築くべきであります。
 まず初めに、総理に伺いたいのは、今冒頭に指摘した関税化移行の問題点と、高額関税維持の可能性と総理の決意、また、今回のオーストラリアなどの異議申し立て等への対処、そして稲作を守ることの重さについての認識と、なぜ拙速に決めようとするかについてお考えを示していただきたいのであります。
 次に伺いたいのは、次期WTO交渉に臨む基本姿勢についてであります。
 次期交渉は、農業協定第二十条により、改革過程の継続という性格を持つとされております。この点が貫かれるなら、日本のみか多くの輸入国の農業の存立が危うくなってまいります。
 ウルグアイ・ラウンドの場合は、食糧生産が大過剰と言われた時代でありました。次期交渉は世界的食糧不足、それも構造的不足の時代を迎えるに当たっての交渉となります。それからすれば、次期交渉は、ウルグアイ・ラウンドの継続ではなく、一変しつつある世界の食糧事情に見合う新しいルールづくりの機会にされなければなりません。
 一昨年の国連食糧農業機関による食糧サミットを初め、多くの国際機関が二十一世紀の食糧不足への早期対策を訴えております。また、米国を含む家族農家の団体や消費者、環境団体から自然保護団体なども立ち上がっております。世界的気象変動や水飢饉が進み始めた中で、世界の食糧をアグリビジネスなど国際的巨大資本の手にゆだねる自由化に反対して、地球環境と農村社会を守る運動と結合的に取り組みつつあるのであります。
 ウルグアイ・ラウンドで主導的であったのは米国とEUですが、次期交渉で輸入国でもあるEUと環境問題の視点からの連携も含め、輸入国農業も存立し得る新ルールづくりの道を開くことは、世界の食糧問題解決にとって不可欠であります。世界最大の食糧輸入国であり経済大国でもある日本が、その先頭に立たずしてだれが立つのでありましょうか。世界の食糧事情の変化に見合うルールづくりについてどう考えるか、総理と通産大臣、農水大臣の所見を承りたいのであります。
 続いて、総理並びに農水大臣にWTOのルール改革と国内農政について伺います。
 新基本法づくりと関連し、政府が進めてきた農政改革に多くの農家が強い不安を抱いております。それは、WTOの貿易ルールを変えるのではなくて、WTOの体制のもとに農政のあり方を組みかえていくのではないかと見られるからであります。今政府に求められるのは、貿易ルール改定への構想を大胆に示しながら、主権国家としての主体性を発揮した農政のあり方を示すことであります。
 また、政府は、食糧安全保障や農業の持つ多面的役割を次期交渉で強力に主張すると言っておりますが、それによってどうWTOのルールを変えるのかが示されておりません。例えば、緑のボックスに水田農業を入れるとか、新たに食糧安全保障ボックスを設けるなど、創意ある提案を具体的に行っていくべきであります。同時に、輸入国が輸出国と同等の農業助成金を削減させられる不公正さの是正を初め、これまで政府も指摘してきた輸出補助金や輸出規制の廃止なども含め、改革への実践的展望を示すことです。総理、農水大臣、いかがでしょうか。
 また、それとあわせ、国内農政を充実していくことであります。新たな基本法の中に、稲作を中心に麦、大豆、飼料作物など土地利用型農業の位置づけを図るとともに、農家が切望してやまない価格支持政策にかわる直接所得政策にしても、中山間地域だけに限定することなく、平場であっても環境保全にかなうものなら対象とするなど、その充実を期すべきであります。農水大臣のお考えをお聞かせいただきたいのであります。
 次に、外交交渉のあり方について、総理並びに外務大臣の御所見を伺います。
 ウルグアイ・ラウンドでの外交交渉は、その経過の事実さえ知ることのできない極端な秘密に閉ざされたものでありました。既に、西欧などで見るなら、環境問題等々の国際会議に臨む代表団が政府とNGOによって構成される例も珍しくありません。今回の米の関税化移行は、野党との事前協議もなければ、自治体や消費者、市民団体等もすべて事後扱いでありました。
 外交は、国民の合意に支えられてこそ大きな力を発揮するものであります。そのため、合意形成を可能とするWTO改革への構想づくりとともに、情報公開はもとより、透明性のある外交を心がけるべきであります。総理、外務大臣、いかがお考えでしょうか。
 最後に、昨日の不審船の件について伺います。
 今回のような事態に備えるため、海上保安庁による沿岸警備は体制をさらに充実すべきであろうと思います。この点についての総理の見解を伺います。
 また、今回の事案に対して、国民各層への十分なる説明を行うことを要望し、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114515254X01019990324_025

発言者: 谷本巍

speaker_id: 27165

日付: 1999-03-24

院: 参議院

会議名: 本会議