西山登紀子の発言 (本会議)
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○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、産業活力再生特別措置法案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
まず初めに、このような重要法案を、衆議院において十分な審議時間を保障せず、採決が強行されたことはまことに遺憾なことであることを申し上げ、質問に入ります。
本法案は、大企業の生産性の向上を目的に、得意分野にシフトする事業再構築、すなわちリストラを支援するものです。過剰設備の問題でいえば、民間研究機関の調査でも、その四分の三が景気低迷による需要不足によるもの、残りがバブル期の過剰投資などによるものだと言っています。我が国経済の自律的回復を目指すというのなら、今なお深刻な事態にある個人消費の拡大を図ることこそ先決ではありませんか。総理及び大蔵大臣に答弁を求めます。
本法案では、目的で、雇用の安定等に配慮することを規定しています。総理も、事業再構築を進める際には雇用面にしわ寄せしないよう最大限配慮すると言ってきました。しかし、これは表向きにすぎません。実際には、産業競争力会議参加企業のソニーグループが四年間で全体の一割、一万七千人の削減、同じく日立製作所は来年三月末までに本社の約一割、六千五百人を削減するなど、大がかりな人減らしが計画されているではありませんか。総理、今実際に行われている大企業のリストラ計画で人減らしを伴わない計画がありますか、はっきりお答えください。
今回、この法案に組み入れられる事業革新法にも、雇用の安定等に配慮するという同様の規定があります。しかし、同法に基づく事業革新計画の承認を受けた企業のうち、株式上場企業六十社は九五年から九八年の間に全従業員の一三%、五万六千人もの人減らしを行ってきました。こうした事実があるのに、なお事業革新法を例にとって雇用安定のために実効ある配慮はなされると言うのは、全く国民と労働者を欺瞞するものではありませんか。総理、お答えください。
次に、本法案は、事業再構築計画の認定要件の一つに「従業員の地位を不当に害するものでないこと。」を定めています。
そこで、お聞きします。
これは、例えば事業の合併、譲渡の場合には従業員は全員承継され、労働条件もそのまま引き継がれることが原則だということでしょうか。さらに、事業の縮小・廃止や設備の撤去や廃止の場合には具体的にどういう措置になるのか、お伺いいたします。
政府は、労働組合や従業員の同意を前提にしていない事業再構築計画であっても認定することがあると答弁しています。労働者の生活に重要な変更がある場合、労使間の事前協議で合意を前提にすることは当たり前のことではありませんか。そんなことも認めないのであれば、この法案はまさに政府が財界と一体となって問答無用の人減らしを進めるリストラ競争推進法ではありませんか。
総理、あなたはリストラで失業した人々の実態を御存じでしょうか。総務庁が七月三十日に発表した六月の完全失業率は四・九%と過去最悪を更新しています。倒産やリストラによる非自発的離職者が過去最多の百十八万人にもなっています。昨年一年間で自殺者が三万人を超え、そのうち七三%が三十歳から五十歳代という働き盛りです。
先日、リストラによる失業で、学費が払えず、やむなく子供を中途退学させざるを得ない家庭が前年に比べ二六%も急増している、何とかしてほしいと私立学校の先生方や保護者から陳情を受けました。総理、家計を支える大黒柱が次々と失業や自殺に追い込まれている過去最悪の深刻な事態をあなたはどうお考えですか、政府としての責任を感じないのですか。
リストラのやり方も問題です。視察に行ったNKKでは、仕事の場所も中身も変わらずユニホームと帽子が変わるだけという分社化が次々と数百人規模で行われ、労働者に有無を言わさず出向、転籍させ、三〇%もの賃金カットなどを強要しているのです。また、セガでは職場の中でリストラルームと呼ばれる隔離部屋までつくって退職を強要するという人権侵害のやり方まで横行しています。総理は、こういうリストラ、雇用削減のやり方が許されると考えているのでしょうか。人権侵害の行為は絶対に認めないなど厳しく対処すべきではありませんか。答弁を求めます。
ヨーロッパでは、解雇規制法とともに、企業譲渡などの際に労働者の既得の権利を保護する目的で労働者の権利義務の移転、企業譲渡などを理由とした解雇の禁止、労働者に対する事前の情報提供などについて規定するEU既得権指令がつくられました。大企業が利潤追求第一で社会のことを考えない行動をとったときこそ、それを正すのが政治の役割ではありませんか。EUのような労働者保護のルールこそ今制定すべきではないでしょうか。
また、本法案は、経営の見通しに失敗して過剰設備や債務を抱えた大企業ほど税の優遇を受けられる仕組みになっています。総理は、国民に責任を押しつける一方、この法案では経営責任は問わないと答えています。では、過剰設備廃棄で税制上の優遇を受ける企業は経営責任をいつ、どのように問われるのでしょうか。
設備廃棄による欠損金の繰り越し・繰り戻し特例は、設備廃棄すればするほど優遇されます。さらに、銀行が企業の借金の一部を棒引きするかわりにその企業の株式を受け取るという債務の株式化によって、銀行支援六十兆円の公的資金が結局迂回して大企業の借金棒引きに回されることになります。なぜ国民が税金で大企業の失敗の穴埋めをしなければならないのですか。こんなことをすれば、銀行だけでなく大企業のモラルハザードを一層進めるだけではありませんか。総理、お答えください。
最後に、自民党は、産業競争力会議の参加十六企業と業界団体から九三年から九七年の五年間に総額二十六億五千六百万円もの政治献金を受けています。本法案がこうした企業献金の見返りではないかと疑われても仕方のない関係ではないでしょうか。総理は、衆議院で、経団連、財界の要求を丸のみしたものではないと答えていますが、そうでないというのならこの際きっぱりと産業競争力会議参加企業からの企業献金をやめるべきではないでしょうか。総裁である総理の決断でできることです。答弁を求めます。
大企業の目先の利潤追求を応援する政治からは、二十一世紀の国民生活と国民経済の明るい未来は見えてきません。大企業にその力にふさわしい社会的責任を果たさせる政治の転換を強調し、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕