堺屋太一の発言 (消費者問題等に関する特別委員会)
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○堺屋国務大臣 経済における自由競争というのは、産業革命が起こりました初めにイギリスで始まりました。
このときの発想は、いろいろなものが発明されてくる中で、どれが一番いいものかだれにもわからない。当時は聖書の神の言葉さえ疑われるような時代でございますから、学者や官僚がこれがいいと言っても、それはわからない。したがって、あらゆる人々が自分がいいというものを売り出して、そしてどれがいいかは買い手、消費者が選ぶべきだということになりました。これが新規参入の自由と消費者主権という自由競争の根幹でございます。
ところが、それだけでございますと、物を売る者は玄人でございまして、買う者は素人でございますから、玄人が素人をだますのは簡単だということになりますので、情報公開をしなければいけないというのがその次についてまいりました。そして一方、買い手については、何を買ったかが、どこで買ったかがわかると、圧力をかける心配がありますから、これは消費は秘密にしていいというプライバシーの問題が出てくる。そういうようなセットで行われてきた。
これがいろいろ批判もあり、格差の問題もあり、産業の構造変化の問題もあり、いろいろと議論されたわけですが、今日までのところ、非常に効率をよくする方法だというように言われております。
我が国の場合、規制の中には、終戦直後、あるいは戦争中から終戦直後にかけて、物不足に対応した規制というのもたくさんありました。それから、産業を成長させるときに、日本では自由競争によらずに、むしろイギリス、アメリカ、欧米の先進国で一番いい基準、自由競争の結果これがいいんだと消費者が選んでわかっているものがある、それを導入してきて、官僚が規格基準を定めて、それを全国民が、全企業がつくった方が効率がいいというので、基準を定めて、むだなものをつくらさない。新規参入を抑えるかわりに国の定めた基準でやるというようなやり方をして、規格大量生産を伸ばしてまいりました。
そういうものがたくさん残っているので、経済が規格大量生産の世の中では非常に成功したのでありますが、それ以上の新しいものが生まれない、消費者の変化に対応し切れない、こういう問題が出てまいりましたものですから、七〇年代、八〇年代から規制緩和が言われ、特に九〇年代に入りまして、グローバル化とともに規制緩和が進みました。経済的に見ますと、この規制緩和がかなりの効果を上げて、消費者にも安い物価のものを提供した。その一番典型的なのは電気通信などでございますが、そういう面では大変大きな効果を上げました。
問題として残っておりますのは、委員御指摘のように、まず第一に消費者のための新たなシステムづくり。先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、消費者契約法のような、情報格差、交渉力の格差をいかに解消していくか、これが経済的にも一つの問題でございます。それから、製造物責任法という、製造物責任という問題が安全基準からございます。そしてまた、消費者がいかに情報、例えば注意書きが記述してあってもそれを読まないとかいうような問題もございます。こういうような点を回復するといいますか改善することで、消費者と供給者、製造者との交渉力、情報力のつり合いをとる、これが経済的に非常に重要だと思うのです。
この一連の経済的な問題のほかに、委員御指摘の社会的な問題あるいは政治的な問題、これは経済では推しはかれない問題がございます。
その中に小売店の問題というのがございまして、小売店もやはり消費者が安いところを選ぶ、便利なところを選ぶから淘汰が起こるということもございますが、そのほかに地域社会の問題とか後継者の問題とか、いろいろな観点を検討していかなければならない。特にこれからの高齢化社会を考えますと、従来のような大規模店舗だけの方がいいのか、あるいは歩いて買い物のできるような町づくりを考えた方がいいのか、これは都市の構造も含めて考える必要があると思います。
消費者が自由に選んでいくことを抑えるのはよろしくないと思いますけれども、そういう面で、いろいろな社会的規制についてもこの国会の場で大いに議論していただければありがたいことかと考えております。