大西隆の発言 (中小企業対策特別委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(大西隆君) ただいま御紹介いただきました、日本商工会議所中小企業委員会の委員長を務めております大西でございます。また、同時に私、大阪商工会議所の中小企業担当の副会頭も務めております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日は、御出席の先生方におかれましては、商工会議所の事業活動に対しまして日ごろから深い御理解と力強い御支援を賜っております。この場をおかりしまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。
また、現臨時国会は中小企業国会として位置づけられておりまして、新たな中小企業政策の確立と各種支援策の拡充につきまして熱心な御審議をいただいておりますことに対しまして深甚なる敬意をあらわしますとともに、その成果につきまして心から期待をしているところでございます。この意見陳述の機会を設けていただきましたことに対しまして、厚く御礼を申し上げます。
それでは、本論に入らせていただきます。
現在、参議院におきまして御審議をいただいております中小企業基本法の抜本的な改正についてでございますが、御高承のとおり、我が国の中小企業政策の基本的な考え方とこれに基づく政策体系を定めた現行の基本法は、昭和三十八年に制定されて以来三十六年間経過しているわけでございますが、この間、中小企業をめぐる環境は大きく変化してきております。このため、現行の基本法の大企業と中小企業の間の格差是正という政策理念とこれに基づく政策体系が現実に適合しなくなってまいっておりまして、この中小企業の定義につきましても、前回の改定以来四半世紀が経過して経済実態と合わない面も出てきている現状でございます。
こうしたことから、中小企業庁におきまして昨年七月に中小企業政策研究会を設置し、さらにことしの六月からは、研究会の報告を踏まえまして中小企業政策審議会において新たな中小企業政策について検討が進められたところでございます。
日本商工会議所としましては、こうした一連の検討に対応するために昨年八月に中小企業政策懇談会を設置しまして、中小企業政策の基本理念と政策体系の転換や中小企業者の定義の見直しにつきましてアンケート調査を初め活発な意見交換を行いまして、商工会議所としての意見集約に努めてまいりました。研究会や審議会におきまして意見の表明を行ってきております。
また、ことしの四月からは、日本商工会議所と東京商工会議所の合同の政策委員会におきまして、二十一世紀に求められる中堅・中小企業や中堅・中小企業支援のための環境整備について提言の検討を進めております。去る十一月八日には、中間報告としまして「スモール・イズ・ダイナミックの実現に向けて」という発表をいたしております。
この日本商工会議所と東京商工会議所の合同の委員会は、四年前の平成七年十一月にも、中小企業のさらなる活躍が経済のダイナミズムの源泉であるという認識に基づきましてスモール・イズ・ダイナミックを提唱いたしました。これからの自己責任原則が求められております市場経済社会におきまして、勇気を持って攻めの経営に邁進する中堅・中小企業が数多く登場してくる必要があることを提言しております。
こうした考え方を再確認する意味におきまして、「スモール・イズ・ダイナミックの実現に向けて」という中間報告を取りまとめた次第でございます。経済のボーダーレス化、情報革命、規制緩和、市場開放などの進展によりまして内外の企業間競争が本格化してきておるわけでございますが、中小企業の経営環境は一層厳しさを増すものと考えております。
しかしながら、このような時代こそ中小企業は、行政の支援に依存するばかりでなく、みずからの経営努力によりまして困難を乗り切っていこうとする心意気が必要だと考えております。また、多くの中小企業経営者は、経営努力の積み重ねなくして中小企業の未来も、また日本経済の再生もおぼつかないと存じている次第でございます。このため、新基本法にありますように、中小企業の自立を促し自立に向けた自主的な取り組みを支援していくことは、中小企業経営者自身そして日本経済にとって必要不可欠なものと考えております。
新しい基本法案に対する意見でございますが、まず第二条の中小企業の定義については、商工会議所としてかねてより経済実態に合わせた範囲の拡大を要望していた経緯もございまして、法案に示されている定義にぜひとも拡大していただくようお願いを申し上げる次第でございます。
次に、第三条の基本理念でございますが、日本商工会議所としましてはほぼ同様の考え方を持っております。
すなわち、私ども政策委員会の中間報告で、中堅・中小企業が二十一世紀に期待される役割としては、従来からの地域経済、地域雇用、地域共同体の文化、伝統の担い手としての役割に加えまして、新規創業や新商品の開発、また経済の活性化実現と新規雇用の創出の担い手として位置づけております。創業・ベンチャー支援を初め既存の中堅・中小企業に対し、資金調達の円滑化、労働力確保等の支援、中堅・中小企業の体質強化のための税制やセーフティーネットの整備を提唱しております。
これまでの基本法は弱者救済的な色彩が濃く出ておりましたが、新基本法案では中小企業が時代の主役となるような環境づくりを精神としているところと理解しております。大いに歓迎するものでございます。
また、基本的な施策につきまして、第五条の基本方針に基づき、第十二条から二十四条に述べられておりますが、私ども日本商工会議所としましても、我が国経済の喫緊の課題でございます創業の促進はもとより、新商品、新技術の開発など既存企業による企業の体質強化への取り組みの促進など、中小企業の自立を積極的に支援していくことが必要だと思っております。各地の商工会議所におきまして、こうした考え方に基づきまして活動を展開するよう努めているところでございます。
今後、基本方針並びに基本的な施策に沿いまして具体的な施策の策定と展開が行われると存じますが、きめ細かな配慮をお願いいたしたいと存じます。
また、先週の十九日には中小企業の事業活動の活性化のための関係法律の整備に関する法律案が今国会に提出されておりますが、法律を早期に成立していただきまして、こうした施策を速やかに実施に移していただきたいと考えております。
次に、特に御配慮をお願いしたい面についてでございますが、まず第一が中小企業関係税制の問題でございます。
特に、中小企業の事業承継に当たりまして、重い税負担によりましてキャッシュフロー不足から資金繰り難や、それから新規投資の面から、先代のときと同じ中小企業の活力をそがれてしまい、雇用の維持に困難を来すケースがふえております。さらに、相続を機に二世が新分野へ進出しようとする意欲の芽も摘んでしまうことから、中小企業のダイナミズムの維持拡大の観点から、相続税、贈与税の税率全体の引き下げや取引相場のない自社株の評価額の軽減など、負担軽減が必要でございます。
この他、諸外国に例を見ない、かつ中小企業の自己資本の充実を阻害しております同族会社の留保金の課税問題でございますが、これの廃止を訴えておるわけでございますが、エンジェル税制の抜本的な拡充、固定資産税の大幅な負担軽減など、中小企業投資促進税制の延長等を実現していただきたいと存じておるのでございます。
第二に、中小企業の技術開発を支援する中小企業技術革新制度、SBIRにつきまして、中小企業に対する予算の拡充と支出目標額の拡充並びに参加省庁の拡大をぜひとも図っていただきたいと存じております。
第三には、国と地方公共団体の役割分担と中小企業対策の円滑な実施についてでございます。
新基本法案では、第六条におきまして、地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえて中小企業施策を策定し、実施する責務を有することが明示されております。地方公共団体が中小企業対策につきまして適切な役割分担を担っていくことになっておりますが、これを実施する地方公共団体におきまして、財源措置や人材育成についてまだ満足のいく対応がとられていないのが現状でございます。
特に、地方公共団体の財政状況は一段と厳しさを増しておりまして、財政難から、商工会議所等が行う小規模企業を対象とします経営改善普及事業につきまして、事業費のみならず人件費の削減も行われてきております。本事業の円滑な運営に重大な支障が生じているところでございます。
小規模企業への配慮は第八条にうたわれているところでございますが、経営改善普及事業を初め、新しい理念に基づく創業や経営革新の促進支援といった新しい事業が円滑に実施できるよう、地方公共団体の特に財源確保につきまして十分な配慮をお願いしたいと存じます。
以上、中小企業基本法案につきまして、日本商工会議所としての意見を述べさせていただきましたが、地域の経済や雇用に加え、地域の文化、伝統の重要な担い手でございます中小企業が大きく自己変革を迫られている今日、各地域におきまして中小企業対策を主体的に実施しております商工会議所も、みずからを二十一世紀の経済社会にふさわしい形に変え、地域経済社会の発展に一層貢献していきたいと考えている次第でございます。
今こそ商工会議所は、地域経済社会の先頭に立って、地域が元気を取り戻す環境づくりと、試練に耐えながら転換への対応を急ぐ中堅・中小企業の自助努力を支援する体制づくりに向けて、全国五百二十三の商工会議所の緊密な連携のもとに、総力を挙げてこれらに取り組む決意であることを最後に申し上げまして、意見の陳述を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。