和田貞夫の発言 (中小企業対策特別委員会)
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○参考人(和田貞夫君) 私は、全国中小企業団体連合会という中小企業団体の全国組織の会長でございまして、全中連協同組合連合会理事長も兼ねております和田貞夫でございます。
平素は先生方におかれましては、国会活動を通しまして中小企業問題に御心配をちょうだいし、極めて情熱を燃やしていただいて対処していただいていることに対しまして、衷心より感謝を申し上げたいと思います。
さて、私たちの団体の単協は全国各地に散在しておるのでございますが、各単協の多くは、事務所をも持つことのできない零細企業者や事務員を雇うこともできない事業所の経営者たちの共同の事務所的役割を果たしておるわけでございます。
私たちの団体サイドから見る限り、景気は底打ちどころか最悪の事態だと思っております。どの単協におきましても、倒産または廃業によりまして毎月二ないし三の会員が退会を繰り返しているのがここ一年余り続いております。
さて、政府がこの国会に提出されている中小企業基本法等の一部を改正する法律案についてであります。
まず第一に、基本理念の転換についてであります。
中小企業の大企業との格差是正という政策目標から中小企業の自助努力を支援する方向に基本理念を変更しようとするものでございます。中小企業と大企業間の生産格差が解消し取引条件が向上したことによって企業間格差がなくなったということではございません。したがって、企業規模間格差の実態を政府みずからが認識する限り、格差是正や取引条件の向上についての政策は、今後の中小企業政策の中におきましてどのように具体的に行っていくのか明らかにしていただきたいと思うわけでございます。
次に、中小企業者の範囲の改定について御意見を申し上げたいと思います。
政府の改定案では、その範囲の基準となる資本の金額を全体的に引き上げ、製造業については一億円以下を三億円以下に、卸売業については三千万円以下を一億円以下に、サービス業は一千万円以下を五千万円以下に、小売業は一千万円以下を五千万円以下に改定し、従業員数についてはサービス業についてのみ五十人以下を百人以下に引き上げようとしているものでございます。
昭和四十八年以来の改定でございますから、経済の変遷がある限り資本金額の改定はある程度はやむを得ないと思います。しかし、一挙に三億円に引き上げて約一万六千社の中堅企業を中小企業の範囲に入れるだけでは、多くの問題を残すだけで中小企業政策の強化にはならないと思います。
私たちは、この機会に、資本金の金額と従業員数によってその範囲の基準を決めて、中堅企業と小規模企業及び個人事業者を含む零細企業というように中小企業の定義を細分化して決め、それぞれの定義に基づく中小企業政策を具体的に、中堅企業対策、小規模企業対策、零細企業対策に分離して進めていくべきであると考えております。
次に、資本金額を三億円に引き上げることによって新たに中小企業者の範囲に入ることになる、先ほども申し上げましたように、約一万六千社の中堅企業が中小企業施策の支援対象となることによって、既存の中小企業がそのしわ寄せを受けることが懸念されるのであります。あわせて、創業的企業やベンチャー企業に対する支援が厚くなるために、金融面や政策予算の執行面で、特に小規模企業や零細企業にどのような影響をもたらされるかの不安が解消されません。
次に、事業分野調整のあり方についてであります。
従来の事業分野調整に関する見解が大きく変更されることでありますから、紛争処理のための機構の整備等も図らず、中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律、すなわち事業分野調整法も廃止を余儀なくされ、大企業による中小企業の事業分野への進出を防止し切れない状況がつくり出されるというように考えられます。
私は、中小企業の原点は個人事業であると考えます。
中小企業政策を推し進めるに当たりまして、具体案を立案するに当たって、こうすることによって個人事業者にどのような影響をもたらすようになるか、このようにすることによって個人事業者はどう対応することができるだろうか、このことによって個人事業者は結果はどうなるだろうか、常に個人事業者のことについて念頭に置きながら中小企業政策を推進してほしいわけであります。
どうぞ意のあるところを御理解をちょうだいいたしまして、ぜひともこの法案の審議に当たってじっくりと時間をかけて御議論をいただき、弱い者の立場に立って、弱い事業者の立場に立って、個人事業者の立場に立って、今後中小企業政策を政府が推し進めることができるような基本をつくり出していただきたいことをお願い申し上げたいわけでございます。
どうぞこれからも中小企業問題について篤とお取り組みをいただきまして、何としても戦後の経済の再建は、大企業を支え劣悪な労働条件の中で今日まで踏ん張ってまいりました中小企業の経営者、そこに働く労働者、この大きな功績であろうと私は思います。そういう中小企業のためにこれからもひとつお力になっていただきたいことを特にお願い申し上げまして、私の意見といたします。
ありがとうございました。