寺崎昭久の発言 (本会議)

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○寺崎昭久君 私は、民主党・新緑風会を代表して、総理の所信表明演説に対して、総理及び関係大臣に質問を行います。
 連立政権において、規模が大きくなり過ぎた状態は、一般に過大規模連合政権と呼ばれ、それによって議会は法案を通過させるだけの無力な承認機関になり、議会政治の精神は死滅してしまう、それは政党間競争が議会から内閣に移転してしまうためであると政治学上その弊害が指摘されておりますように、数の横暴により議会の形骸化、民主主義、政党政治の堕落を招くものと考えられております。
 しかるに、このたび発足した自自公連立政権は、衆議院で七二%、参議院で五六%を占める戦後最大の巨大与党政権であります。ところが、小渕総理は自自公連立政権の意義について、政治の安定のためや多数派の形成は民主主義の基本であるなどの発言にとどまり、巨大連立政権の弊害について一言も言及されていないのであります。一国の総理として、一般則無視の不見識な発言と断ぜざるを得ません。政権の安定と国民生活の安定とは別物であります。
 所信表明演説で、総理は、三党派政策合意に盛り込まれた衆議院定数の削減、安全保障、政治家個人への企業・団体献金の禁止といった重要課題についてその取り組みを触れられませんでしたが、このことは国会での論争が既に連立政権内に移転している証左ではありませんか。その上、三党間調整が難航必至だから言及はできないでは、三党派連立は、やはり政策を実行するための政権ではなく、単なる数合わせとしか言いようがございません。
 以上の指摘について、総理の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 さきの参議院選挙で、自由党は自民党と厳しく対峙して戦われました。にもかかわらず、その後自由党は、選挙公約をほご、国民の意思を踏みにじるような背信行為ともいうべき自民党政権延命のための自自公連立政権へ走りました。与野党の関係で戦った政党が連立を組むのであれば、少なくともそれについて国民の洗礼を受けるのは当然、それが憲政の王道であります。
 事実、昨年八月、衆議院本会議で小沢自由党党首は、「もともと自民党に対しては、衆議院においても国民は過半数を与えておりません。そうである以上、野党に政権をゆだねるか、衆議院の解散・総選挙を断行し、国民の信を得た正統な政権に道を譲るのが憲政の常道であります。」と述べられております。自由党は、なぜ党首みずからが解散・総選挙を主張しながら連立に参加されるのでしょうか。
 また、ことし一月には自自で、衆議院比例定数を五十名削減する、国連平和活動に積極的に参加することなどを政策合意したはずです。しかし、その後、自自公協議の中でなぜか自由党は主張をトーンダウンさせております。これでは、政権にとどまるために譲歩、妥協を繰り返していると見られても仕方がありません。
 自由党は日ごろの立派な見識、主張を曲げてまでなぜ連立政権に参加されるのか、自由党の二階運輸大臣の御所見を伺います。
 これまで自民党は公明党に対してさまざまな批判を行ってまいりました。例えば、自民党のある幹部は、公明党との閣内協力は憲法の政教分離に照らし疑義があると述べております。小渕総理はこの発言をどう受けとめておられますか。あわせて、政教分離についてのお考えもお聞かせください。
 また、このような自民党の公明党批判に対して公明党の続総務庁長官はどのようにお考えか、忌憚のない御意見を聞かせてください。
 昨年十一月七日、新党平和と公明が合流した公明党は結党大会を開きました。その大会で神崎公明党代表は、自民党の補完勢力になる気は全くないと強調し、当時注目された自公連立の可能性に否定的な考えを示され、自民党と連携しない公明党が生まれたはずでございます。しかし、結党から一年もたたずして党是を百八十度転換されました。国民は、公明党は反自民ではなかったのか、露骨な公約違反だと驚き、公党のあり方を疑っております。
 路線として自民党との連立政権参加を選ばれるなら、さきの結党を振り出しに戻して自民党と連携する党を新しくつくる必要があるのではないでしょうか。そうでなければ国民に対して説明がつかないのではないでしょうか。続長官の明快なる答弁を求めます。
 総理、このように自自公連立は矛盾だらけであり、無理があり過ぎます。処女航海で沈没したタイタニック同様、内憂外患の氷山に激突して海の藻くずと消えるは必定、到底国民の負託にこたえられる政権ではありません。国民を道連れにしないでください。総理、可及的速やかに解散を決断し、国民の信を問うべきではありませんか。真摯な御答弁を求めます。
 次に、西村眞悟前防衛政務次官の核武装発言等について質問をいたします。
 西村議員は雑誌のインタビューで、日本も核武装した方がよいかもしれないということも国会で検討せねばならないと発言したとされていますが、政府の要職にある者がこのように発言したとすれば、我が国が国是とし、日米安全保障体制の前提である非核三原則を変更しようとしていると誤解されても仕方がありません。健全で活発な安保論議に水を差しかねない問題でもあります。
 また西村議員は、核抑止力を論ずる中で強姦という比喩を多用されておりますが、この発言は、女性の尊厳を損ない、人権を無視した極めて悪質な暴言であり、断じて許せません。事もあろうにその西村議員は、政務次官辞任に当たり、防衛庁から栄誉礼で送られました。
 青木官房長官は、慣例に従っただけだから問題はないという趣旨の見解を示されたようでございます。総理が国民に対して遺憾、陳謝の表明を余儀なくされた問題の政務次官に対し、また国民感情や自衛官の士気、栄誉礼の意義に照らして、今日でも栄誉礼は問題なかったと考えておられるのでしょうか。過ちを改むるにやぶさかでないとはこういうときに使う言葉だと思います。その無神経さに憤りを覚えつつ、青木官房長官の見解をお尋ねいたします。
 西村議員が防衛問題に一家言を持っている人物であることを承知の上で防衛政務次官に任命したとすれば、総理は西村議員の爆弾発言を期待していたのではないかとさえ疑います。総理、御自身の進退も含め、責任のあり方を国民の前に明らかにしてください。
 次に、政治倫理及び政治改革に関連して伺います。
 まず、さきに受託収賄罪の有罪が確定した藤波孝生元官房長官への対応についてであります。
 昭和六十三年に発覚したリクルート事件は、金に絡んだ政治家と企業のゆがんだ関係をクローズアップさせました。このリクルート事件をきっかけにして当時の竹下内閣が崩壊し、自民党単独政権の終えんにつながったことを、小渕総理はよもやお忘れではないと思います。
 リクルート事件後、平成四年に改正された公職選挙法では、収賄罪で有罪が確定した議員は自動的に失職することになりました。法理には刑罰不遡及の原則があることは承知しておりますが、しかし法改正前の事件とはいえ、立法府の一員として、汚職の罪で有罪が確定した議員は法の趣旨にのっとって当然辞任すべきものであります。
 また、藤波元官房長官は自民党に離党届を出したそうですが、自民党総裁でもあられる小渕総理はそれで一件落着とされるのでしょうか。また、所信表明演説で総理からこの問題についての一言の陳謝、釈明もなかったのはなぜでしょうか。総理の答弁を求めます。
 さらに、当時、多数の政治家が藤波元官房長官同様リクルート社から未公開株を譲渡されながら訴追を免れたことから、収賄罪に係る法改正が政治的懸案となったことを、この際、思い起こしていただきたいと思います。利益誘導政治から政策本位の政治へと転換を図ることが政治改革の原点であったはずでございます。
 総理、今なすべきことは藤波元官房長官に速やかな議員辞職を促すとともに、新たな立法措置を講じて政治倫理の確立へ明確な姿勢を示すことでございます。しかるに、自民党はあっせん利得罪に関する法律の制定を約束しておきながら、いまだに提出されておりません。総理、リーダーシップが問われているのであります。それとも、政治家個人への企業・団体献金の継続が念頭にあってお蔵入りということでもあるのでしょうか。総理の答弁を求めます。
 民主党は、公明党や社民党、参議院の会とともに、ことし五月、地位利用収賄罪処罰法案を提出いたしました。これは、国会議員が役所にあっせんして特定の業者等に不当に便宜を図って報酬を得た場合は罰するということにしたものでございます。これも一刻も早く審議入りし、法案の成立を図るべきだと考えますが、総理の答弁を求めます。
 また、この法案を共同提案した公明党の続長官には、この法案成立に向けた決意をお伺いいたします。
 次に、茨城県東海村で起きた臨界事故についてお尋ねしますが、質問に先立ち、今回の事故で被曝された方々に心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い御健康の回復をお祈りいたします。
 私ども民主党は、事故翌日に現地を訪れ、橋本茨城県知事ともお会いし、混乱する状況を見聞し、地元の皆さんの御要望をお聞きしながら、政府の初期対応の拙劣さ、指揮命令系統が全く機能していなかったことに愕然としたわけであります。事故発生から時系列で追っていけばいくほど、政府の対応の悪さが露呈されます。
 加えて、総理が政府事故対策本部長として現地を視察されたのは事故発生から六日もたった後のことでございます。なぜでしょうか。総理、御自身のことも交え、政府の対応がなぜここまでおくれたのか、見解をお聞かせください。
 また、原子力の安全面のチェック機能が的確に機能していなかったことも問題であります。このままでは再び同じ轍を踏むおそれもあります。そこで私は、現行機構をアメリカの原子力規制委員会、NRCのような強力な権限を持った完全な独立機関に統合、改組すべきだと思いますが、総理、いかがでしょうか。
 また、原子力損害賠償補償法が適用されるのは身体への傷害、物品の損壊など直接の被害との報道があることもあり、今回間接的な被害を受けられた方々は何の補償もないんではないかという不安を抱かれております。総理、どのように取り扱われるのでございましょうか。
 また、現在検討中の原子炉等規制法改正案は、核燃料加工施設などにも定期検査等を追加するようでありますが、その際事故調査したアメリカ・エネルギー省調査団が、帰国後に、日本では作業員は規則に従うものでルールを守れば事故は起きないとの立場だが、人はミスを犯すものである、ミスが起こっても防ぐシステムが重要と指摘しておりますが、ぜひ考慮していただきたいと思いますし、さらに私は、作業マニュアルがしばしば現場でつくられているという事実にも留意する必要があると思います。総理の見解をお尋ねいたします。
 次に、山陽新幹線のコンクリート剥落事故についてお聞きいたします。
 ことし六月二十七日、山陽新幹線福岡トンネルでのコンクリート剥落を初め、平成八年以降、高架橋からのコンクリート片落下事故等が山陽区間だけでも四十九件発生しております。幸い、これまでは大惨事を免れておりますが、再発防止は焦眉の急であります。なぜこのような事故が続発するのか。当時の資材、人材不足の影響なども原因と見られておりますけれども、国鉄OBで交通評論家の角本良平氏は、関係者が緊張感も自負心も失った結果だと、危機管理意識の希薄化と体制の不備を鋭く指摘されております。
 十月九日の北九州トンネル内での剥落事故再発では、大方の国民は、またか、本当に安全点検をやったのか、八月の安全宣言は営業を優先したのではないかと疑っております。不安を払拭し切れないでおります。
 政府は、事故の重大性にかんがみ、列車の運行をとめてでも即刻徹底的に安全総点検と対策を講じ、もって国民の信頼を回復するよう、とりわけJR西日本に対して強く指導、対策する責任があるのではありませんか。総理の見解をお尋ねします。
 次に、政府が近々決定する経済対策及び第二次補正予算について伺います。
 今、景気に明るさが見え始めたことは事実ですが、しかし、企業のリストラによる雇用不安が続き、所得の伸びが低迷し、また、企業が過剰設備を抱えている状況では本格的に消費が回復する見通しは持てません。円高基調が進めばせっかくの回復の芽が摘み取られる可能性もあるわけであります。
 私たちは、当初予算の段階から、構造改革につながるめり張りのきいた景気刺激型予算を編成するよう求めてまいりましたが、政府・与党は全く聞く耳を持たず、原案をがむしゃらに成立させました。しかも、当初予算が執行されてわずか三カ月ちょっとで第一次補正予算の提出を余儀なくされ、この国会で第二次補正予算を提出するとは言語道断であります。
 当初予算も第一次予算も欠陥品であったことは間違いありません。本来、このような失態は内閣総辞職ものであります。この点について、総理の見解をお尋ねいたします。
 私たちは、本来の景気牽引役である民需が安定するまでは財政・金融政策による景気の下支えは必要であると考えておりますが、それは将来にツケを残すばらまきではなく、構造改革につながる経済対策でなければなりません。いたずらに規模をふやすのではなく、政策の質を高めるべきです。その一環として、効率的な補正予算を編成すべきであり、平成十二年度予算につなげるべきだと考えております。
 すなわち、第二次補正予算では、公共投資の従来型配分をやめ、介護基盤の充実、IT投資等の情報通信インフラの整備、バリアフリーの町づくりなどに集中して実施すべきであります。整備新幹線の前倒しを進められるなら、先ほど指摘したコンクリート剥落事故等の実態を踏まえて、いっそのこと予算を新幹線総点検事業に振り向けた方が賢明ではありませんか。
 東海村の放射線漏れの例に見られるように、これから高度成長期のひずみとも言える事故が次々と起こる可能性がないとは言えません。新事業よりも、戦後日本の手抜き工事を総点検したり、社会資本を補修する事業に力点を置くように提言いたします。
 また、コンピューターの西暦二〇〇〇年問題や耐震都市づくりへの対策にも万全を期し、過去を振り返り未来に備える安心・安全事業に力を入れるとともに、あわせて東海村事故の政府の初期態勢のおくれを反省し、原子力事故、災害、有事等に備えた政府の危機管理体制を整備充実することを提言いたします。
 失業や老後に備えたセーフティーネットを着実につくることも大事です。規制撤廃、新規事業創出、新しい時代に対応した雇用の流動化、知的財産権における競争力強化、政府事業の徹底した民営化などを進める政策メニューに取り組むべきであります。この民主党提言に対する総理の見解を求めます。
 次に、中小企業政策についてお尋ねいたします。
 雇用の八〇%、事業所の九九%を占める中小企業は、我が国経済と国民生活にとって極めて大切な存在であります。産業、雇用の空洞化が危惧されている現在、我が国産業の再構築に向けて中小企業活力の維持、起業家精神の喚起こそ日本経済が必要とする喫緊の課題であります。それには国民にビジネスチャンスが十分提供され、容易に新規事業を起こせる環境づくりを重点施策として据える必要があります。
 かかる観点から、今回政府が打ち出そうとしている新事業・ベンチャー企業育成策を推察すると、極めて魅力の乏しいものと言わざるを得ません。最大の目玉であるエンゼル税制に関しては、株式会社の株式の譲渡損失を他の所得からも繰り越して繰越控除ができるようにすべきとの民主党の提言を葬り去りました。これから事業を起こそうとする人、ベンチャー企業に資金を提供しようとする人だけではなく、世界の市場も政府の対応を一笑に付するに違いありません。
 さきの国会で民主党は、女性起業家の育成、補助金を交付されなかった場合の理由の開示、エンゼル税制やストックオプション税制の拡充、国立大学教官の民間役員兼務の解除などを盛り込んだ起業家支援法案を衆議院に提出しましたが、自民党だけではなく自由党や公明党も反対されました。なぜでしょうか。自由党の二階大臣、公明党の続長官にその理由について御答弁を求めます。
 また、実効ある事業承継税制の先送りも問題です。中小企業国会と銘打つなら、政府は事業承継税制等を含め抜本的な施策に踏み込むべきではありませんか。中小企業金融安定化特別保証制度によって、中小企業の倒産が減り貸し渋りに効果を発揮したとの評価がある一方、かえって中小企業の足腰を弱め、逆に創意工夫に努力する企業ややる気のある企業が報われないとの批判もございます。加えて、政府はこの制度の詳細な実態を明らかにしていないことも問題であります。なぜ今回保証枠を十兆円追加するのか、その根拠も不明であります。私たちは、この制度について運用状況を厳しく検証した上、真に必要な金額のみを追加すべきだと考えております。
 以上、我々の提言にどう答えていただけるのか、総理の答弁を求めます。
 次に、我が国の財政についてお尋ねいたします。
 現在、国と地方の長期債務残高は六百兆円という巨額に達しようとしております。その原因の一端が、バブル崩壊後の景気対策と称する財政出動の繰り返しにあったことは周知の事実であります。アメリカ、イギリスに比べても我が国の財政事情は異常をきわめております。安易な赤字国債の増発が金利の上昇を呼ぶ可能性にも留意しなければなりません。さらに、円高基調につながり、二重に経済のマイナス効果をもたらす懸念があります。
 以上の点についてどのようにお考えか、総理の見解をお尋ねいたします。
 近く提出される第二次補正予算では、財源をまた赤字国債に依存せざるを得ない状況であります。こうした中、自自公三党の合意に、国債の円滑な消化を図るため、国債多様化を協議するという項目が盛り込まれました。今後、国債の消化が楽観できない状況を踏まえて深読みすると重大な懸念が沸き上がってくるのであります。すなわち、日銀の国債引き受けを想定しているのではないかとも読めるわけであります。総理は財政法第五条が設けられた経緯をよもやお忘れではないと思いますが、日銀の国債引き受けはないと断言されますか、明確にお答え願います。
 私は、今すぐ財政出動をすべてやめろとは申しません。しかし、少なくとも、今後どのようなスケジュールであるいは方法で財政の健全化を求めるかということを直ちに明確に示す必要があるのではないでしょうか。小渕総理は財政の健全化についてどのようなビジョンをお持ちなのでしょうか。十一月二日の衆議院本会議で総理は、経済が回復軌道に乗った時点で検討するとおっしゃいましたが、これでは答弁になっていません。逃げていては国民の理解も協力も得られません。国民一人当たり五百万円もの国と地方の借金をどう解消するのか、国民にメッセージを伝えるべきであります。総理、骨格なりともぜひお聞かせいただきたいと思います。
 次に、金融についてお尋ねいたします。
 昨年の金融国会から一年がたち、金融不安は少なくとも表面上は鎮静化したように言われています。しかし、問題の本質は果たして解決されたのでしょうか。私はそうではないと思います。
 例えば、ペイオフを延期せよという問題のすりかえ論の背景を考えてみても、それは明らかであります。すなわち、もともと、二〇〇一年四月にはペイオフの凍結が解除されるので、それまでに金融不安を完全に解消しようという議論であったものが、いつの間にか、このままではペイオフの凍結解除は危険だ、だから延長してはという議論になってきたことは問題だと思います。ペイオフの凍結解除を先送りするかどうかではなく、金融自由化についての哲学とタイムスケジュールを国民に示し、あわせて金融機関に徹底的に不良債権処理をさせ、不健全な金融機関を整理すべきだと考えますが、総理の御答弁を求めます。
 次に、金融機関への公的資金投入問題についてお尋ねいたします。
 金融再生法に基づく特別公的管理の適用第一号として一時的に国有化されている日本長期信用銀行が、アメリカの投資グループ、リップルウッド・ホールディングス社に営業譲渡されることになりました。その際、必要な公的資金は四兆円に上ると言われております。一年ちょっと前までは債務超過ですらないと言われた銀行が、経営陣も逮捕されたあげく、どうしてこのようなことになったのでしょうか。小渕総理は、昨年、長銀を住友信託銀行に救済させようとしたことをまさかお忘れでないと思います。この救済策を持ち出したことや巨額なコストを税金で支出する結果を招いたことについて、内閣の責任をどう感じられておられるのか、総理にお尋ねいたします。
 受け皿の金融機関には、長銀から引き継いだ借り手に、必要な事業資金を供給する責任があると考えます。単に融資を引き揚げるような経営がなされるなら、四兆円もの公的資金を投入して長銀を国有化した意義がなくなってしまいます。新しい受け皿機関には、金融再生法の趣旨を理解し、預金者へのサービス、健全な借り手の保護という、私たちが強調してきた銀行の役割を十分認識した上で、効率的で信頼できる経営の基盤を確立することが期待されますが、政府としてどのような見通しをお持ちなのか、総理の見解を伺います。
 続いて、商工ローン問題についてお尋ねいたします。
 政府の失策で景気が後退し、金融問題に適切な手を打たなかったために、銀行の貸し渋りを背景に、過剰融資や高金利、苛烈な取り立て等で中小企業を苦しめている商工ローン問題が取りざたされております。公的資金を受けている金融機関が商工ローン業者に多額融資をしているといった問題もありますが、もともとこの問題は、小渕内閣の傍観者的態度によって引き起こされたと言っても過言ではありません。
 民主党は、貸出金利の引き下げを図るため、出資法等の改正を衆議院に提出しておりますが、一刻も早く改正案を成立させるべきであります。
 連立三党は民主党のこの案に賛成か反対か、小渕総理、二階大臣、続長官、それぞれの見解を明らかにしていただきたいと思います。反対とおっしゃるなら、その理由を述べていただきたいと思います。
 教育問題についてお尋ねします。
 総理はかねてより、富国有徳の国づくりを目指すと表明され、有徳の実現には、感動する教育、心の教育、いわゆる道徳教育が重要と強調されてこられました。しかし、教育現場は、道徳教育の充実どころか、親も学校も子供も心が荒廃し、学級崩壊、いじめ、少年犯罪や不登校生徒の増加など、暗いニュースが覆っております。児童生徒だけでなく、家庭内における児童虐待や、指導する側の教職員の不登校、不祥事の増加も伝えられるところであり、徳や心の不在が引き起こした惨状が現実に存在するのであります。どうにかしなければならないという気持ちは私も同じであります。しかし、あそこでもここでもと改革案を出したところで、その理念が明確でなければ教育が混乱するだけであります。
 そこで、総理にお尋ねします。
 教育改革の根幹となる理念は何ですか。そして、三党派合意の教育改革国民会議の設置の目的は何でしょうか。具体的にどのようなテーマを取り上げるおつもりなのでしょうか。
 イギリスでは、もはや抽象的な教育行政では解決できないとして、教育成果を上げた校長や教頭に高給の保証、運営効率の悪い学校の民営化政策が発表され、子供の不登校問題に関しては、子供のずる休みを黙認した親に対して逮捕刑を含む罰則規定の導入を設ける政策が発表されました。手法に賛否両論があり、実効性に疑問の声もありますが、ブレア首相の教育に対する熱意や緊張感について学ぶべきものが大いにあると思いますが、総理、いかがですか。
 安全保障について伺います。
 自自公政策合意に、「わが国の緊急事態への対応」として、「有事法制研究を踏まえ、」「第一分類、第二分類のうち早急に整備するものとして合意が得られる事項について立法化を図る。」とありますが、具体的な内容は何でしょうか。「合意が得られる事項」と言うだけでは政策とは言えません。小渕総理はどのような内容の法整備を考えておられるのか、その全体像について御説明いただきたいと思います。
 また、政策合意は、PKF本体業務への参加の凍結解除に関し法的措置を早急に講ずることも挙げておられますが、PKO参加五原則を維持するか変更するかについて、三党派で合意が得られているのかどうか。今国会中にその法改正を行うつもりなのか。あるいは、東ティモール情勢への人的貢献はPKFの凍結解除なしでも可能なのか、総理の見解を伺います。
 さらに、PKO以外の国連活動に関する役割強化についても三党派合意がなされておりますが、その内容も不詳であります。これは自由党が提案している多国籍軍への後方支援を可能にする法律を制定するということなのでしょうか。多国籍軍へ後方支援を行うことについて三党派の合意ができているのでしょうか。役割強化は従来の憲法解釈論の範囲なのか、総理に伺います。
 また、前国会で、いわゆるガイドライン関連法案の原案から船舶検査活動に関する条項を削除した問題について、自自公三党は前国会中にも別途立法措置をとると合意し、その後、与党の幹部は本臨時国会に法案を提出すると公言されていましたが、この約束はどうなっているのでしょうか、総理に伺います。
 朝鮮民主主義人民共和国に対する政策について伺います。
 北朝鮮による二回目のテポドンミサイル発射の可能性は本当に遠のいたのでしょうか。北朝鮮の核開発とミサイル開発を確実に停止させることが我が国の安全保障上重要な問題でございます。この十月十三日、ウィリアム・ペリー・アメリカ北朝鮮政策調整官の報告書が公表されましたが、総理はこれをどう受けとめておられますか。
 また、十月二十三日に韓国済州島で行われた日韓閣僚懇談会や、これに先立つ総理と金鍾泌首相との会談で何が話し合われたのでしょうか。このたびのチャーター便運航停止の解除と関係があるのでしょうか。食糧支援、朝鮮半島エネルギー機構への資金協力について今後どう取り扱うつもりなのか、総理にお伺いいたします。
 日ロ領土交渉について伺います。
 平成九年十一月にクラスノヤルスクで、二〇〇〇年までに領土問題を解決して平和条約を締結することが合意されました。しかし、この問題にイニシアチブを発揮してきたエリツィン大統領の健康不安やロシア国内の政治・経済の混迷が続く中、目に見える交渉の進展がありません。この三月、当時、在札幌ロシア総領事であったアンドレイ・クリフツォフ氏は、二〇〇〇年までに領土問題を解決し平和条約を結ぶとの基本的流れは変わっていないが、二〇〇〇年に平和条約を締結することは準備が整っておらず、達成が難しくなったと発言しております。クリフツォフ氏は、帰国後この問題を担当されることになっております。
 政府は、この問題は二〇〇一年以降になってもそれは誤差の範囲で、継続協議やむなしと考えておられるのかどうか、領土問題への対応について総理の見解を伺います。
 「信なくば立たず」とは政治の要諦であります。冒頭にも申し上げましたが、自自公政権は国民の審判を経て成立したわけではなく、矛盾をベールで覆い隠しただけのモザイク政権であります。政治不信を増幅させるだけではないでしょうか。
 この際、速やかに解散・総選挙を行い、国民に信を問うことこそ小渕内閣の最優先課題であることを重ねて申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 寺崎昭久

speaker_id: 28284

日付: 1999-11-04

院: 参議院

会議名: 本会議