浜四津敏子の発言 (本会議)

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○浜四津敏子君 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました小渕総理の所信表明演説を中心に、当面する諸課題につき、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 去る十月五日、自民党、自由党、公明党・改革クラブによる連立政権が発足いたしました。初めに、連立政権の意義、目的及び課題を確認させていただきます。
 世界は今、新たな世紀へ向けての大変革に揺れ動いています。そうした中、我が国は、従来型政治・行政システムの機能不全、経済の低迷、急速な少子高齢化、教育の荒廃など、一刻の猶予も許されない多くの課題に直面しております。また、第三次産業革命とも言われる世界的な経済環境の変化、ますます深刻化する地球環境問題、地域紛争や災害、貧困などへの人道支援などにも的確かつ機敏に対応していかなければなりません。
 こうした状況にあって、今、政治に求められているものは何か。従来型の停滞、先送り、小手先の政治や国民不在の権力闘争などの後ろ向きの政治では、課題解決も迅速かつ的確な対応も望むべくもありません。
 経済不況に苦しみ、現在と将来の生活に大きな不安を抱く国民の痛みを我が痛みとしつつ、国民の願いを真正面から受けとめ、国民のための改革に全力を挙げる、その先頭に立つのが政治でなければなりません。当然のことながら、政治は、ひたすら国民の方々のため、国民への奉仕が本来の任務だからであります。政治は、今こそその本来の任務と機能を回復し、課題解決に総力を挙げるときであります。
 この数年間、よりよい政治のあり方を求めてさまざまな試行錯誤が繰り返されてきました。戦後五十年間続いてきた万年与野党対決型の硬直した政治は、九三年、細川連立政権発足後、大きく揺らぎ始め、昨年の参院選の結果を受けて完全に終わりを告げ、本格的な連立の時代に入りました。
 こうした時代における連立政権にとって大事なことは、何を目指しての連立なのか、その目的と課題を明らかにし、その実現に全力を尽くすことであります。今、巨大与党などの批判がありますが、巨大かどうか、それ自体が問題なのではありません。問題は、連立政権が何を目指し、そしてどういう結果を出したのかにあります。その結果を見て初めて政権の評価が決まるのであります。大事なことは、国民の方々のために少しでもよい結果を積み重ねていくことです。
 そこで、この連立政権の目的及び課題は何か。私は三つに要約できると思っております。
 まず第一は、何といっても経済再生です。日本経済を衰退から発展へ、確かな軌道に乗せることであります。それこそが、国民の生活安全保障であり、国の財政再建を可能にする出発点だからです。
 第二は、不安から安心へ、すなわち本格的な少子高齢社会にあって、安心できる子育て、介護、年金、医療のシステムに再構築する道筋をつけること。
 第三は、物、金さえあれば、もうかりさえすれば、自分さえよければいいとのエゴの社会から、互いに助け合える人間性豊かな質の高い社会への転換を図ること、そのための環境、教育、人権施策を大きく前進させることであります。
 公明党は、切迫した国難ともいうべき危機打開のため、政治の安定と政治本来の任務及び機能回復を図り、かつ日本の構造改革を着実に実現することを目指し、同時に公明党が結党以来掲げてきた人間主義の中道政治前進のため、連立政権参画を決断いたしました。この目的を達成し、できるだけ多くのいい結果を出して、国民の皆様におこたえしてまいりたいと思います。
 連立政権発足に当たり、その意義、目的、課題につき、総理の御見解と御決意を伺います。
 次に、少子化問題について伺います。
 日本の少子高齢化は諸外国に例を見ない速さで進んでいますが、その対策が十全になされていないことに国民は大きな不安を持っております。とりわけ、少子化対策については決定打を欠いたまま今日に至っております。少子化の主な原因として、職場優先などの企業風土、固定的な男女の役割分業などによる育児の負担感、仕事との両立の負担感が挙げられています。
 そうした状況を見たとき、少子化対策の第一の課題は、仕事と育児を両立できる環境づくりにあります。労働時間の短縮、フレックスタイム等による労働時間の弾力化の促進を初め、育児休業制度の充実、子育てが一段落した後もとの職場に復帰できる再雇用制度の普及といった雇用環境の改善と保育サービスの拡充をどう具体的に推進されるのか、お伺いします。
 次に、子育てに金銭的、物理的負担が大きいことが少子化の原因の一つと指摘されています。児童手当の抜本拡充を初め、乳幼児医療費の無料化など子育て家庭に対する経済的な支援や子育ての悩みの相談など、多面的な子育て支援をどう図っていくかが第二の課題です。
 第三の課題としては、子供が大切に育てられる環境をつくることです。子供の虐待の防止と救護のための支援策を初め、子供の人権を守り、親を孤立無援に放置するのでなく、地域社会で温かくはぐくんでいくシステムを早急につくり上げる必要があります。
 この三つの課題に今後どのように取り組まれるのか、総理の御決意をお伺いします。
 次に、教育について伺います。
 不登校やいじめ、自殺、非行、援助交際、そして学級崩壊と、長年指摘され続けてきた教育の現状はますます目を覆うばかりの惨状であります。
 かつて我が国では、人づくりは木づくりと言われていました。人を育てるのは苗木を育てるのと同じ、何の木かよく見てそれにふさわしい育て方をせよというのです。桜の苗木、梅の苗木、松の苗木など、それぞれ木の育て方は一本一本異なる、画一的に同じやり方を押しつけてはそれぞれのよさ、美しさを引き出すことはできない、そればかりか枯らしてしまうということです。
 画一的管理型教育が子供たちを押しつぶしてきた一番の原因であることは論をまちません。とともに、知識偏重教育が教育をゆがめたもう一つの原因としてだれもが指摘してきたところであります。
 知識偏重教育では、全人格でなく、その小さな一部分である知性だけが育成され、その結果、日本は知識や技術の面では世界でも最も高い水準にあると評価されながら、その一方で、モラルの低さ、真の知性の欠如、感性の低俗さなどが常に指摘されてまいりました。このままでは、欧米からもアジアからも人間としての共感や精神的な支持は到底得られず、孤立の道をたどりかねません。それは、礼儀、徳性、良心、正義感、他者への思いやりなど、人としての当たり前、人間としての基本、すなわち大事な精神性を育ててこなかった当然の結果であります。
 そして、この精神の衰退こそが、実は日本社会のすべての分野における現在の危機的状況をもたらした根本原因であることを明確に認識しなければならないと思います。その認識なくして、真の教育の改革も日本再生もなし遂げることはできないのであります。
 今回の連立政権合意書の中で教育改革国民会議を設置することが盛り込まれましたが、この基本認識をしっかり踏まえて大胆に議論し、待ったなしの教育改革を実現すべきであります。
 私は、今後の教育改革を進めるに際して、具体的には特に次のような観点が重要であると考えます。
 第一に、画一的な知識教授型の教育から多彩な知恵創出型の人間教育への転換です。
 子供たちが学校の中のみでなく、広く社会や地域の中で多種多様な人たちから生きた教育を学べるような仕組みと環境をつくることです。職業経験、社会経験、人生経験豊かな大人たちとの触れ合いは、子供たちにとって大きな触発となり、生き生きとした体験学習となります。また、その中から礼儀や思いやりといった人間としての基本がはぐくまれ、そして真の人権教育も平和・環境教育も進むことになりましょう。
 第二に、学歴社会の打破であります。
 学歴にとらわれることなく、年齢や国籍、生活状況に左右されることなく、生涯にわたってだれもが学ぶ機会を得る仕組みを拡大することであります。
 以上のように、日本を真に再生させる一番のかぎは教育改革にかかっており、そのためにも早期に大胆な教育改革をすべきと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、行政評価制度について伺います。
 公明党の強い主張により、与党三党派は、連立政権発足に当たり、行政改革を着実に進める観点から、客観的基準に基づく政策評価を徹底することを合意いたしました。
 これまで数々の税金のむだ遣いを見聞きしている国民の間には、政府の事業に対する根深い不信感があります。政治の使命が国民への奉仕にあると同様、行政の本来の使命は国民へのサービスであり、奉仕であります。税金のむだ遣いなどはこの使命を忘れ切った姿と言わざるを得ません。
 今後、政府は、行政機関が行政サービスのあるべき姿を具体的項目と数値指標で目標設定し、その達成状況を国民に情報公開した上で、その評価を行い、次の政策と予算づくりに生かしていくという行政評価制度を導入して、税金のむだ遣いができない仕組みをつくることにより国民の信頼を取り戻さなければなりません。行政に本来の任務を果たさせるための行政評価制度は、イギリス、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカを中心に欧米で急速に一般化しつつあります。
 ところで、すぐれた政府、すなわち国民に対して正しい行為をする政府が経済が成功するために必要な条件であると言ったのは、「国富論」をあらわしたアダム・スミスであります。ここにも日本経済、日本社会再生の大事なヒントがあります。
 そこで、数値目標を含めた客観的基準に基づく政策評価の徹底、生活者の視点への配慮、情報公開の原則、外部評価・立法府のチェック体制の強化などを基本原則とした行政評価法の制定を含め、二十一世紀に向けた抜本的な行政改革の遂行につき、総務庁長官の御決意を伺います。
 さて、九月三十日に東海村のジェー・シー・オー核燃料施設において、作業員が臨界事故により大量の放射線を被曝する事故が発生しました。心よりお見舞い申し上げます。
 事故発生後、放射線医学総合研究所並びに緊急被ばく医療ネットワーク会議を中心に被曝者の救命のための医療が迅速に進められました。その治療において、三名の被曝作業員のうち二名に臍帯血移植が行われ、臍帯血移植治療の重要性が改めて認識されることとなりました。
 今回の迅速な医療対応は、日本臍帯血バンク支援ボランティアの会代表有田美智世さんらとともに、我が党がその早期設置を強く求めてきた公的臍帯血バンクが本年八月にスタートしていたことが大きな力となりました。公的バンク設立がおくれていたら、今回の治療が間に合わなかったであろうことを思うと、有田代表を初めボランティアの皆様、そして御支援をいただいた多くの国民の皆様に心から感謝申し上げます。
 ちなみに、日本における臍帯血移植例は、本年七月三十日現在、百五十四例、うち成人に対する移植例は十二名に上っており、順調に白血病等の治療の実績を積み重ねております。
 今後、今回のような原子力事故発生を未然に防止する体制を整えることが第一の課題であることは言うまでもありません。しかし、同時に、万一の場合に備えて万全の医療体制を厚生省、自治省、科学技術庁、防衛庁など政府一体となって整えておくことが必要不可欠であります。
 さらに、今回の救命医療において重要な役割を果たした公的臍帯血バンクの財政基盤確保のためには、臍帯血バンク利用料への保険適用が必要不可欠であります。政府は、その実現を決断すべきであります。
 国民の生命最優先、そして安全、安心の社会を実現するための万全の危機管理医療体制構築につき、総理の御決意を伺います。
 最後に、政治家個人に対する企業・団体献金についてであります。
 政治家個人への企業・団体献金は、政治腐敗に対する国民の厳しい指摘の中で、九五年に施行された改正政治資金規正法附則九条に「施行後五年を経過した場合において、これを禁止する措置を講ずるものとする。」と定められたところであります。
 公明党は、従来から、政治家個人への企業・団体献金は法律の定めに従い来年一月より禁止すべきであると主張してまいりました。公明党として与党協議の場においてもこのことを強く主張することを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114615254X00219991104_016

発言者: 浜四津敏子

speaker_id: 9005

日付: 1999-11-04

院: 参議院

会議名: 本会議