中曽根弘文の発言 (本会議)

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○国務大臣(中曽根弘文君) 原子力災害対策特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 本年九月三十日に発生した株式会社ジェー・シー・オーのウラン加工施設における臨界事故は、安全確保を大前提に原子力の開発利用を進めてきた我が国にとって、初めて住民の避難や屋内退避が要請された極めて重大な事故でありました。
 事故対応の教訓として、我が国における原子力災害に対する対策について、迅速な初期動作、国と地方公共団体との有機的な連携、原子力災害の特殊性に応じた国の緊急時対応体制の強化、原因者である原子力事業者の責務の明確化等の必要性が明らかとなりました。
 本法案は、このような現状にかんがみ、原子力災害に対する対策の抜本的な強化を図ることとし、原子力災害の予防に関する原子力事業者の義務、原子力緊急事態宣言の発出及び原子力災害対策本部の設置その他原子力災害に関する事項について特別の措置を講ずるものであります。
 次に、本法案の要旨を御説明いたします。
 第一に、本法案は、原子力災害の特殊性にかんがみ、関係法律と相まって、原子力災害に対する対策の強化を図り、もって原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的としております。
 第二に、原子力事業者に対し、原子力事業者防災業務計画の作成、原子力防災組織の設置、原子力防災管理者の選任、放射線測定設備の設置、原子力防災資機材の備えつけ等を義務づけることとしております。
 第三に、主務大臣は、原子力事業所ごとに緊急事態応急対策拠点施設を指定するとともに、国、地方公共団体、原子力事業者等が共同して行う防災訓練の実施のための計画を作成することとしております。
 第四に、原子力防災管理者に対し、一定の事象の発生についての通報を義務づけるとともに、主務大臣は、原子力緊急事態が発生したと認めるときは、内閣総理大臣に必要な情報の報告等を行うこととしております。
 第五に、内閣総理大臣は、原子力緊急事態の発生についての報告等があった場合には、原子力緊急事態宣言を行うとともに、原子力災害対策本部及び原子力災害現地対策本部を設置することとしております。
 第六に、原子力災害対策本部長は、関係指定行政機関の長、地方公共団体の長、原子力事業者等に対する必要な指示、防衛庁長官に対する自衛隊の部隊等の派遣要請、原子力安全委員会に対する技術的事項についての助言の要求等をすることができることとしております。
 第七に、原子力災害現地対策本部及び地方公共団体の災害対策本部は、原子力緊急事態に関する情報を交換するとともに、緊急事態応急対策について相互に協力するため、緊急事態応急対策拠点施設において原子力災害合同対策協議会を組織することとしております。
 第八に、指定行政機関の長、地方公共団体の長、原子力事業者等は、緊急事態応急対策及び原子力災害事後対策を実施しなければならないものとするとともに、原子力事業者は、指定行政機関の長、地方公共団体の長等の実施する緊急事態応急対策が的確かつ円滑に行われるよう、原子力防災要員の派遣等必要な措置を講じなければならないこととしております。
 第九に、科学技術庁及び通商産業省に原子力防災専門官を置くこととするとともに、この法律の施行に必要な限度において、原子力事業者に対し報告の徴収または立入検査ができることとしております。
 以上が原子力災害対策特別措置法案の趣旨でございますが、衆議院におきまして、原子力防災専門官の業務として、地方公共団体が行う情報の収集及び応急措置に関する助言を明示することを内容とする修正が行われております。
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 本年九月三十日に発生した株式会社ジェー・シー・オーのウラン加工施設における我が国初の臨界事故は、安全確保を大前提に原子力の開発利用を進めてきた我が国にとって、これまでの原子力安全についての規制に対する信頼を損なう極めて重大な事故でありました。
 従来、加工施設については国による定期的な検査の受検が義務づけられておりませんでしたが、これまでの事故原因の究明により、ジェー・シー・オー社の加工施設においては法令に違反した危険な作業が行われていたこと、今回の事故は高濃度の核燃料を製造する際に同様の危険な作業を行ったことにより生じたこと等の事実が明らかにされております。
 本法律案は、このような重大な事故から得られた教訓を踏まえ、原子力安全についての規制体系全体を見直し、加工の事業についての保安対策の強化、製錬、加工等の事業等についての保安教育及び保安規定の遵守の状況に関する検査等に関する規定を整備するものであります。
 次に、本法律案の要旨を御説明いたします。
 第一に、加工施設についての定期検査等に関する制度の新設であります。
 加工の事業の保安対策の強化につきましては、これまで国による施設の性能に関する検査の受検が義務づけられていなかった加工施設において事故が生じたこと、近年、加工の事業の形態が変化していること等にかんがみ、施設の使用前にその性能について検査することとするとともに、使用開始後も国による毎年一回の施設定期検査の受検を義務づけることとしております。また、加工施設の解体についても国への届け出等を義務づけることとしております。
 第二に、保安教育、保安規定の遵守の状況に関する検査等に関する規定の整備であります。
 事業者等及び従業者が遵守すべき保安規定において、核燃料物質の取り扱い等に関する保安教育についての規定が含まれることとし、事業者等は従業者に対して保安教育を行う義務を有することを明らかにしております。
 さらに、事業者等に対して主務大臣が定期的に行う保安規定の遵守の状況に関する検査を受検することを義務づけるとともに、これを実効性あるものとするため、科学技術庁及び通商産業省に当該検査に関する事務に従事する原子力保安検査官を置くものとしております。
 第三に、主務大臣に対する申告に関する制度の新設であります。
 事業者等がこの法律に違反する事実がある場合には、その従業者は、かかる事実を主務大臣に申告することができることとし、事業者等は、当該申告がなされたことを理由として、当該従業者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならないものとしております。
 以上が核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 両法案とも原子力の安全及び防災体制の抜本的強化に必要なものでありますので、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
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発言情報

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発言者: 中曽根弘文

speaker_id: 19137

日付: 1999-12-01

院: 参議院

会議名: 本会議