加藤修一の発言 (本会議)

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○加藤修一君 私は、自由民主党、自由党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました二法案に対して質問いたします。
 我が国は、世界で唯一の被爆国として、原子力の利用については特有の国民感情があります。その中にあって、原子力の民生利用として原子力の火が初めてともったのは今から四十二年も前の出来事であります。先人が長年積み上げた原子力への努力が民生利用へと展開しましたが、今回のジェー・シー・オー事故はその努力を根底から覆すものであります。
 それでは最初に、原子力災害対策特別措置法案についてお伺いいたします。
 この法案は、第一に、ジェー・シー・オー事故における対応を教訓としていること、第二に、原子力施設立地市町村が長年要望していた内容を踏まえていること、第三に、従来の考えを打ち破り、第十三条に原子力緊急事態の想定を積極的に取り入れたこと、そして機敏な法案作成であったことなどを高く評価したいと思います。
 ところで、緊急事態の想定でありますが、例示をいかように考えておりますでしょうか。一九七九年のスリーマイルアイランド、すなわちTMIの事故レベルを最悪の想定と考えているようでありますが、中曽根科学技術庁長官、どのようにお考えでしょうか。
 ところで、TMI事故についての報告には、ケメニー委員会報告、またロゴビン委員会報告があります。特にケメニー委員会報告においては、多くのスタッフと研究委託の予算を持ち、宣誓をさせた上での公式証言は百五十を超え、資料は百メートルに及ぶものであります。この報告書は、原子力は本来危険をはらんでいると口に出して述べる態度に変えなければならないと鋭く本質を指摘しております。これは我が国の原子力事故にとっても聞き逃すことができないものであります。小渕総理はいかなる御所見でしょうか、お尋ねいたします。
 さらに、ケメニー委員会の勧告では、原子力は本来危険との認識に立たねばならない、原子力規制委員会は安全よりも開発優先であるから、委員長を外部から新たに求め、組織を抜本的に再編し、新しい血を入れるべきだと勧告しております。さらに、政府、業界が改革をこの勧告に従い断行しなければ原子力発電は存立できなくなるであろう、しかしその責任は挙げて政府、業界にあると、実に厳しい勧告でありました。
 当時、我が国からも調査団が幾つか派遣されました。しかし、必ずしもこの成果が十分に生かされなかったことは残念であります。小渕総理は、このようなアメリカの厳しき勧告についていかなる御見解をお持ちでしょうか。
 ところで、今回の事故において、初期動作などにおける科学技術庁、原子力安全委員会の対応は歯がゆい思いがしました。特に、この事故の責任官庁は、科学技術庁ではなく原子力安全委員会であるかのように国民の目に映ったのではないでしょうか。本来、規制と推進の分離を旨として出発したのでありますが、今日に至ってみると、規制と推進の事務局を科学技術庁が担当していては完全な分離ができ得ていないと見えるのであります。この際、規制と推進のあり方について小渕総理の御所見をお伺いいたします。
 ところで、今回の事故対応で露呈した不備があります。第一に、事故の終息作業や被曝者の救助に生命の危険が著しく伴う場合、第二に、被害が一都道府県を超えて広域に広がった場合、第三に、大地震に伴って原子力災害が起こり通信網も遮断されたような場合、これらにどのように対処するのか、今までは危機管理上必ずしも十分ではありませんでした。そこで、本法律案に期待するところでありますが、小渕総理の明快な御答弁をお伺いします。
 次に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案についてお伺いいたします。
 この法案は、加工事業に定期検査制度を追加し、保安規定の遵守状況の検査制度を創設し、さらに原子力保安検査官を主要施設に配置する改正であります。これらの改正については評価できます。ただし、現在の検査体制や人員で実効性が担保できるかどうか。原子力発電所の運転管理専門官は現在定員割れを併任でしのぐ状況であります。法律やシステムができても人材確保が大事であります。また、安全を生み出すのには安全への継続的な強い関心が重要であります。中曽根科学技術庁長官の人材育成・確保に向けた御決意をお伺いいたします。
 次に、今後の原子力開発についてお伺いいたします。
 原子力開発における世界の動向を見ますと、原子力発電所の最大保有国である米国では、安全並びに技術上の理由から既に数基が閉鎖され、今後新規建設の見通しがないため、原子力のエネルギー供給に占める割合は現在の一八%から七%にまで低下すると見られております。また、スウェーデン、イタリア、ドイツなどにおいても、脱原発の政策決定や検討がなされており、苦渋の選択を強いられております。
 これに対し我が国では、地球温暖化対策などから原子力を選択せざるを得ないとの主張があります。今回の事故や世界的な脱原発の動向を踏まえますと、国民の理解と協力を得るため、我が国の原子力開発のあり方について再検討が必要ではないかと思います。小渕総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、自然エネルギー政策についてお伺いします。
 小渕総理は、平成十二年度予算案の中でミレニアムをキーワードとして頻繁に使っております。欧米では将来地球のミレニアム議論また地球憲章の議論が盛んでありますが、本来のいわゆる千年紀に向けてのパラダイムシフトを小渕総理はどのように認識しておりますか。
 また、人間の安全保障、ヒューマンセキュリティーという観点から新しい国際社会の潮流が徐々ではありますが形成されつつある中で、明年、国連ミレニアム特別総会が開催されます。政府の取り組みと総理自身の出席についてはどうでしょうか。あわせて総理にお尋ねいたします。
 ところで、パラダイムシフトに関連して、三十カ国以上の国家組織のアドバイザーとして世界的に著名なアメリカの未来学者、ヘイゼル・ヘンダーソン博士は、「地球市民の条件—人類再生のためのパラダイム」という論文を書いております。その中で彼女は、「パラダイムシフトが訪れる有望な徴候がある。それは、人間の発展のプロセスを言い表すのに、「経済成長」という言葉が次第に使われなくなっている、という事実である。」と述べております。そして、さらに「「経済学的」という言葉は、勢いを失いつつある。生態学的な新しい定義、すなわち「持続可能な発展」という定義の中では、「経済学的」という言葉は一切使われておりません。これは好ましい徴候である。」と論述しております。そして、その兆候の一つとして、欧米における自然エネルギーの勢いにあらわれていることも示唆しております。
 すなわち、EUでは、一次エネルギー供給に占めるバイオマスなどの自然エネルギーの割合を二〇一〇年までに一二%に倍増し、炭素の削減は年間四億トン、雇用創出は五十万人から九十万人の計画を発表しております。また、先ごろ提出された米国の包括電力競争法案においては、すべての供給事業者が自然エネルギー電源から一定割合を導入する義務が盛り込まれております。これに対して、我が国の自然エネルギーの割合は十年後の二〇一〇年でさえ三%と欧米に大きく水をあけられ、我が国のエネルギー政策の隅で縮こまっております。
 一方、先ほどのように、欧米では脱原発の結果、自然エネルギーの選択が大胆に進んでおります。この選択は、今までの欲望と消費の大規模化に支えられた文明から、循環を組み込んだ持続的発展を軸にする新しい地球文明へのミレニアム、その第一歩と考えられます。
 小渕総理、みずからミレニアムの視点に一層深く立ち入り、エネルギー政策の転換にイニシアチブを発揮していただきたい。いかがでありましょうか。
 最後に、深谷通産大臣にお伺いいたします。
 先日、スウェーデンの民間のバーセベック発電所の一号機が環境的、政治的判断により閉鎖・廃炉に追い込まれたと言われております。二十一世紀の地球環境や世代間の公平性の視点から考えてみますと、今後は輸入依存の高い石油などから、国産エネルギーとしても大変有望な自然エネルギーを大いに取り入れるべきであります。技術開発や、かつてないほど大胆に予算を投入し、画期的なグリーンシフトを図るべきであります。これは、自然エネルギー産業の発展ばかりか、雇用創出などによる地域の活性化、国際競争力の強化にもなります。
 深谷通産大臣の御見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114615254X00919991201_023

発言者: 加藤修一

speaker_id: 23726

日付: 1999-12-01

院: 参議院

会議名: 本会議