達増拓也の発言 (憲法調査会)

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○達増委員 自由党の達増拓也です。
 日本国憲法の制定過程に関しては、国際政治の観点が重要であると考えます。というのも、日本国憲法制定というのは、さきの大戦の終結とその戦後処理という国際政治史上の文脈の中における出来事だったからであります。
 その点から、いわゆる押しつけ論について検討いたしますと、事態を正確に表現すれば、日本国憲法は、アメリカ軍がつくったものを日本の政府、国会が受諾した、つまり二国間の条約、取り決めのようなものだったということだと考える次第であります。国内法というより国際法、アメリカを初めとする連合国に対する約束に近いような形でつくられたわけでありまして、この点、北岡参考人が、日本国憲法の制定過程は条約の締結交渉のようなものでとおっしゃったことに賛成するものであります。
 この点、特にあらわれているのが九条であります。不戦条約、国連憲章など国際法に盛り込まれるような内容が憲法の中に入っている。特に、その履行義務ですね。戦争と平和というものは、相手があって成り立つものでありまして、一つの国が一方的につくり出せるものではありません。それを、特に二項によって、一方的に履行しようとするのは、論理的におかしいわけであります。
 逆に、憲法というものは、そもそも一国が単独でつくるというのが本来の姿でありまして、他国の了承を得てつくるような性質のものではないわけであります。
 しかし、アメリカ軍は、占領地行政の一環として日本国憲法の策定に関与した、よりはっきり言えば、日本国憲法の策定を指導したわけでありまして、アメリカ軍の立場に立てば、アメリカの国益追求が主目的。反射的に日本が利益を受けることはあるでしょうけれども、また、アメリカ軍にも少なからぬ善意はあったでありましょうけれども、それは日本陸軍が満州国をつくったのと同じでありまして、満州の民も利益を受けたかもしれません、日本陸軍にも善意があったかもしれません、しかし、それは結局、日本陸軍の主目的は日本の国益追求だったわけであります。
 そういうように、占領下で、戦勝国と敗戦国の間の取り決めのような形でできたという意味で、日本国憲法の制定過程は極めてユニークであったと言えると思います。
 なお、そのユニークさはアメリカ軍も自覚しており、制定後十年間は改正してはならないが、その後は十年ごとに国会で見直して、日本人の手で改正していくというような考え方を当初していたことが広く知られております。
 ところが、その後、今のような改正手続規定に変えられていく際に、当初のアメリカ軍の案では一院制だった国会が二院制になってしまい、改正に両院の三分の二の賛成が必要という、非常にかたい、超硬性憲法になってしまったわけであります。
 制定過程も極めてユニークなわけでありますけれども、そのユニークな憲法がその後五十年以上、一切改正されずにここまで来ているところも非常にユニークでありますが、その理由は、まず超硬性憲法になってしまったことが一つですが、さらに言えば、その障害を乗り越えるほどの国民意思の統合が戦後一貫して果たされなかったということでありましょう。
 この国民意思の統合が戦後一貫して果たされなかったことについて、肯定的に評価するとすれば、軍国主義復活の方向には国民意思が統合されなかった、反動、逆コースの方向に改正されなかったという、それは肯定的に評価していいと思います。
 しかし、それは、憲法が改正されなかったから軍国主義が復活しなかったという考え方が表明されておりますけれども、実際には、軍国主義が復活しない程度に日本の民主主義が大人になっていたということであって、日本人の、国民の意識がそこまで高まっていたから軍国主義復活の方向に憲法が改正されなかった。憲法があったから軍国主義が復活されなかったのではなく、要するに、日本国民の意識がもう民主主義的に高まっていたので軍国主義の方向には改正されなかったということだと考えます。
 日本国憲法の改正というのは、軍国主義の方向以外の改正もあり得るわけでありますし、中身の問題はこれからさらに議論を詰めるわけでありますけれども、前回の自由討論で述べたように、高度情報通信社会に対応し、改正すべき点は多々あると考えます。
 日本の政治が目的とすべきなのは、日本国憲法の理念、理念はすばらしいものであります。それを一層実現しやすくするため、憲法の具体的文言をよりよいものに直していこうとする現実的な憲法改正に向けて、国民意思の統合を達成することであると考えます。
 以上でございます。

発言情報

speech_id: 114704184X00920000511_014

発言者: 達増拓也

speaker_id: 10571

日付: 2000-05-11

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会