藤村修の発言 (憲法調査会)

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○藤村委員 早速の御指名をいただきありがとうございます。民主党の藤村修でございます。
 本憲法調査会におきまして、最初のテーマとして憲法の制定過程、その経緯ということを選んでいただき、きょうまでの調査を進めてきたことにつきまして、私は一定の評価ができるものと思います。
 既に、憲法制定過程については、占領期が終わって、制定の経緯が明らかになってきた段階からさまざまな議論がされていたことを承知しています。あるいは、膨大な資料や書籍も出ているわけであります。だから、もはや制定過程の問題は克服されているとするのは、しかしこれは一部専門家の中でのことではないでしょうか。戦後生まれの私自身、あるいは私の世代、あるいはそれより若い世代の国会議員にとってもそうかもしれませんが、この機会に日本の歴史の大きな転換点についての詳しい調査ができたこと、これが大変意義あるものと考えております。
 そこで、憲法の制定過程の調査を終えて、総括の質疑ということでございますので、所感を幾つか述べさせていただきます。
 まず第一に、現憲法は、明治憲法の改正手続を経て、いわゆる改正憲法としてあるわけですけれども、実態的にはポツダム宣言受諾による敗戦で、日本が生まれ変わるための全く新しい国の形を決める創憲、憲法をつくる創憲であったことであります。
 今、憲法論議の中では、この創憲論が私よりも若い世代の中からも起こっておりますが、今回の制定過程を振り返るときに、この創憲というものは、国が生まれ変わるような歴史的な大転換というバックグラウンドの中でこそ可能であることを確認いたしました。つまり、今、現代は大きな歴史的な転換の時期であるとの認識は政治家の中に多く抱くものであるとしても、それは、日本国民全体にとっては、必ずしも、日本史の中で、あの一九四五年の事態と比べてそれほどの大転換の時期であるとの認識はまだまだ薄い、あるいは少ないと考えます。
 第二に、相変わらずの押しつけ論による憲法の正統性から改憲を唱える意見もございましたが、私は、こう言うとなんですが、押しつけられて今の憲法ができたことがむしろよかったのではないかと戦後生まれの一人として考えております。民主主義の、学校の一年生がいろいろなことをある意味では押しつけて教えられてくる、そういう教育がございますが、そのことと近いかと存じます。
 つまり、GHQが草案を作成するに至ったのは、その前に松本案から発するあの四六年二月八日の憲法改正要綱が、今で言うところのグローバルスタンダードから見ても余りに非民主的であったからであって、このことは大半の賛同を得られるものと思います。敗戦当時、天皇主権の国体を守ることに腐心した政治家たちと、当時の国民がGHQ草案から発する憲法改正案の基本部分などをおおむね支持していたこととの開きは大変大きいと思います。
 今確認すべきは、日本国憲法はGHQの強い影響力のもとで日本政府に制定を促したことは間違いのない事実であること、しかし、当時の国民からこの憲法の骨格や理念や各条項が支持されたことも歴史的な事実であるということであります。
 第三に、今後の憲法調査会の役割についてでございます。私は、大いに論憲が必要との立場から、憲法調査会の今後の役割に期待をするものでございます。
 その上で、私は、今後五年ぐらいの間の議論をしたところで、果たして創憲という、つまり憲法を全く新しくつくるというほどの内圧、外圧のエネルギーが出てくるのでしょうか。あるいは、歴史的に見て、現代がそういうことであるのでしょうか。そこに対しては大変疑問を感じます。歴史的な必然性が出てこないと思います。ですから、創憲論という全く憲法を一からつくり直すというところには至らないのではないか、そのように考えております。
 ただし、きょうまでの議論の過程でも出ておりました、例えば日本語として不明な部分であるとか、あるいは、それ以外には、解釈の積み重ねが高じて文章上から見ても大変ふぐあいであるとか、あるいは、今の若い人が見てもさっぱりわからないなどについて、いわゆる修正する憲法、修憲が必要であることを認めます。さらに、世界情勢の大きな変化による日本の役割、あるいは国内的にも、地方分権とか、国会のあり方などについて、これは十分な国民的議論を重ねて、改憲を視野に入れて考えていくことは妥当であることを申し上げて、意見表明とさせていただきます。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 藤村修

speaker_id: 31247

日付: 2000-05-11

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会