石破茂の発言 (憲法調査会)

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○石破委員 自由民主党の石破でございます。
 改憲であるとか論憲であるとか創憲であるとか、いろいろな言葉が飛び交っておりますが、もう一度、私も、今までいろいろな議論をして、発言をしてきたことを整理したいと思います。
 日本国憲法は、確かに押しつけの面があったと思います。少なくとも、当時の日本国民が完全に自由な意思によってつくったものではないということは事実でありましょう。制定したのは天皇であられるのか、日本国民なのか、マッカーサーなのか、極東委員会なのか、この四つの可能性があるんでしょうが、どれか一つに断定をするというのは決して正しくない。
 あえて正確に言えば、この日本国憲法は、前文に、日本国民はこの憲法を確定するとあるように、これは八月革命説をとらないとかなり難しい論理構成かとは思いますが、国民が、それで形式的には、上諭の中に朕は裁可するという言葉があるように、天皇が、極東委員会の権限を無視する形で、日本国政府を従属させている、サブジェクト・ツーというものですが、その権限に基づいて占領軍が制定した、これが恐らく一番正確なことなんだろうと私は思っています。
 しかし、それは歴史的な事実でありますけれども、では、だからどうなんだと。だから無効であり、改正すべきだということには論理的にはならないと思っています。押しつけ論に立ったとしても、それでは、憲法全部が押しつけだから無効である、こういう主張をするのか、九条を初めとする幾つかの条文が無効であるとするのか、どちらをとるかによって、論理構成は全然違ってくるんだろうと思います。全部を無効だということにするならば、それじゃ、今までの法秩序や法体系は一体どうなっちゃうんだということになりましょうし、一部は無効だということは、ほかのものは有効だということになって、これまたなかなか苦しい論理構成なのかなというふうに私は思っているのです。
 民法的に言えば、一種の瑕疵ある意思表示、強迫による意思表示はこれを取り消し得べきものとするということになるんでしょう。しかしながら、これはまた民法の規定によって、追認したるときは初めより有効なるものとみなす、こういうことになっている。強迫状態というのは占領状態であり、天皇のお命はどうなるかわからないよ、そういうような状態。占領されている状態、それが終了した後には、では、本当に我々はどうするんだということを積極的に考えなければいけなかった。
 さっきどなたかがおっしゃったように、この日本国憲法は、当時の日本人にとっては大変居心地がいいというんでしょうか、カンファタブルというんでしょうか、そういうような面は持っていたんだと思います。そして、制定されたときに、憲法よりも飯だという雰囲気は圧倒的に強かった。マッカーサー崇拝という雰囲気も確かにあった。さらに言えば、仮に、あのときは日本共産党案と政府案しかなかったわけで、もう少し現実的な案が出ておったとして、それが支持されたかどうかはあくまでたられば論にしかすぎない。そのことの議論をすることにどれほどの意味があるのかなという気がしてならないわけであります。だからこそ、これは戦後長い間改正されないまま放置されてきた。
 しかし、冷戦が終わって平和になったというさっきの佐々木委員のお話がありましたが、私は決してそうは思っていない。冷戦が終わってから、あちらこちらに地域間紛争が続発するようになったことをどのように考えるか。そしてまた、日本が置かれている立場、日本が置かれている地域環境を考えれば、冷戦が終わった、平和になった、だからこのままでいいんだという議論には私は絶対にくみしたくないというふうに思っておるわけであります。それをどのように考えるか。
 そしてさらに言えば、憲法の変遷という議論をもう一度しなければいけないのだろうと私は思っています。すなわち、私学助成にしても現行犯逮捕の例外にしても、明らかに憲法の変遷というものはある、実際に行われている。それでは、憲法の変遷というものをどのように考えていくか。本当にきちんと成文で改憲をしなければいけないのか。だとすれば、私学助成はどうであったのか、現行犯逮捕の例外はどうであるのか、その辺の議論をきちんと詰めていかないと間に合わないのではないか。
 私は、憲法残って国滅ぶということにはしたくない。憲法は日本国民のためにあるのであり、日本国の平和と日本国民の幸せのために憲法はある、私はその認識を持ちたいと思っております。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 石破茂

speaker_id: 20757

日付: 2000-05-11

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会