田中眞紀子の発言 (憲法調査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○田中(眞)委員 やっと発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
第一回目の会議から諸先輩の発言を伺っておりまして感じたことを申し上げたいと思います。
それは、イデオロギーの立場を超えた意見の違いということは理解ができますけれども、何よりも世代間の意見の違いというものが非常に際立っているということを興味深く感じてまいりました。
例えば、若い世代の方たちがインターネットでありますとかEメールの交換をしていると言いましたらば、これは別に不思議なことでもなくて当然として受け取られます。しかし、七十、八十の方がEメールの交換をやっておるなんということをおっしゃると、これは、あのじいさんなかなかやるじゃないかというような評価をされる。まあ、ばあさんでもいいんですけれども。
それと同じように、改憲論につきましても同じことが言えると思うんです。お年のいった方が改憲論を言い出しますと、頑固で石頭でまた同じことを言っているというふうに言われがちであります。ところが、二十、三十代の若い方がそういうことを言うと、非常にリベラルであって、そしてなかなかしっかりした若者だわいというふうなことを言われる。そういうふうな傾向があるように思います。少なくとも我が自由民主党におきましてはそのような気風があります。最近はなかなかいろいろなことを言わせない気風もあるんですけれども、そういうふうなことは大体言えると思います。
日本国憲法の成立の過程について論じるということですけれども、これが押しつけであったかなかったかということを言うよりも、私は、五十三年たった今現在、私たちが集って一番するべきこと、それは今までタブー視されていたことだと思うんですね。
すなわち、一つは、日本及び日本の国民の一人一人が、自分の問題として戦争責任について十分な確認あるいは反省をしてきているか。いないということなんです。真正面からこういう問題をとらえてくるということが、対外的責任問題としてやるべきであったことがなされていなかったということ。
二つ目、国家の規範としての憲法の論争を長らく避けてきた嫌いがあると思います。もちろん、科学技術の進展ですとか、経済の成長でありますとか、国民の識字率が高いとか勤勉であるとか、そういうことはあるわけですけれども、本当に素直な心で、護憲であるとか改憲であるとかお互いにレッテルを張り合うのではなくて、非常に素直で、すんなりとした気持ちで憲法と対峙するということを国民全員が一人一人の問題としてやってこなかったということ、これは国内的に大変大きな禍根を残しているのではないかというふうに思います。
三点目、これは憲法の第一章で言われていることでありますけれども、天皇制、皇室のあり方と継承の問題です。これも一種のタブーとして置き去りにされてきている問題ではないかというふうに思います。
私は、GHQが新しい憲法をつくったときに、いろいろ問題があることはわかりますが、よくぞ天皇制を残してくれたというふうに思っている国民の一人であります。
そして、ある在京大使館でのパーティーで若き皇族とお話をいたしました。そのときに私は、偶然だったんですけれども、日本の皇族として現在のお立場をどのようにお考えになっておられますかと率直に伺いました。その方は、私の目を見て即答なさったんです。その言葉は、中途半端、中途半端ですと二回おっしゃいました。
日本は、大統領制とか書記長とかではなくて、天皇制をいただいております。チェアマンとかプレジデントではなくて、エンペラーなわけです。それが日本の、日本人の心や伝統や文化にどのような影響を及ぼしてきているかということについても、客観的に私たちは素直な気持ちでもう一度見直す必要があるのではないかというふうに思います。そして、この皇族の方のお気持ち、全員がそうだとは思いませんけれども、そういうお気持ちに対して我々がどのような対応を今後していくのかという視点も欠落してはいけないと思います。
たった衆参百人だけのこの会議でもって、いわゆる閉鎖的な形で、あるいは特権的な形で議論をされるべきではもちろんなくて、一般国民皆さんの憲法でありますから、ですから、もっとみんなが親しみを持って自由に考え、討論をするような気風をこの委員会から発信していく、この委員会をそのような発信の基地にするべきであるというふうに考えております。
IT革命ですとか行財政改革とか少子化とかエネルギー問題、地球環境問題、教育改革、そのほかいろいろな問題が言われていますけれども、今二十一世紀という扉の前に立って私たちは何をするか、グローバリゼーションの中で本当に世界に対して日本がどのような平和的貢献をするかということを考えた場合、日本はしっかりとした民族の伝統と文化に基づいた新しい民族の誇りとしての憲法をつくるということを考えなければならないのではないかというふうに思います。改正をする勇気、それから、守るべきはしっかりと守るという覚悟を持って私たちは今後取り組んでいくべきではないかと思います。
御指導をいただきますことをこいねがっております。
以上です。