小林守の発言 (本会議)
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○小林守君 私は、ただいま議題となりました循環型社会形成推進基本法案に対して、民主党を代表して質問させていただきます。
現在の大量生産、大量消費、大量廃棄の経済社会システムは、地球温暖化、オゾン層破壊、砂漠化、森林破壊、資源の枯渇など地球規模での環境に大きな影響を与えてしまっています。
廃棄物の問題では、自然生態系の中で分解できる量をはるかに超えた大量の廃棄物があふれ、各地で不法投棄、不適正処理、自然破壊などの問題が生じています。
このような問題を解決するためには、省資源、物質循環を徹底し、人間活動を環境と調和させる持続可能な社会へと社会システムを変革する必要があります。先進国が資源の大部分を独占的に消費したり、現世代が将来世代の生存権を奪い取る権利などないはずだからであります。
持続可能な社会に向けた循環型社会づくりの取り組みは、例えば、環境先進国のドイツにおける一九九四年制定の循環経済及び廃棄物法、いわゆる循環経済法が有名であります。この循環経済法は、経済、社会生活の構造をいわゆる使い捨てから循環型へと転換すること、それによって廃棄物の適正な処理及び廃棄物に伴う環境汚染を防止するとともに、資源の保全等の要請にこたえようとしております。そのために、廃棄物とリサイクルを統一的な理念と指導原理のもとに廃棄物法制を統括しております。
このような先進的な法制度から五年以上おくれてつくられた今回の法律案は、国際社会における日本の役割を考えれば、国際的な廃棄物・リサイクル法制度の整備の流れに沿って世界の最先端を行く法制度でなければならないはずであります。
まず、環境庁長官に、ドイツの循環経済法に対する評価と、この法案が循環経済法に対して具体的にどこがどのようにすぐれているのかを、具体的に、詳細に教えていただきたいと思います。
また、先進国では、日本のように廃棄物・リサイクル政策を別々の省庁が行っている例はあるのでしょうか。環境庁長官にあわせてお尋ねいたします。
現在の日本の廃棄物・リサイクル対策の問題点につきましては、本当に多くの人たちが同様の指摘を繰り返しているところであります。最も指摘が多いのは、リサイクルの名目で不適正な処理を行った香川県豊島の問題や、廃タイヤを有価物と称して放置し周囲の環境を悪化させる問題など、各地で数多くの問題を引き起こしている廃棄物の定義の問題であります。
日本の廃棄物の定義は、昭和四十六年の厚生省環境整備課長通知では、「廃棄物とは、客観的に汚物又は不要物として観念できる物であって、占有者の意思の有無によって廃棄物となり又は有用物となるものではない」とされていたものを、昭和五十二年の通知で、「廃棄物とは占有者が自ら、利用し、又は他人に有償で売却することができないために、不要となったもの」とされ、有償で引き取ったものであれば廃棄物ではないとのこじつけ、強弁が通用してしまうことになったのであります。
このように、通知で廃棄物の定義を勝手に変えることができたということ、このこと自体が国会軽視ではないかと考えますが、なぜこのような変更を行ったのか、また、通知で勝手に定義を変更することは許されないのではないか、厚生大臣の御見解をお伺いいたします。
また、このたびのこの法案によって、先ほど指摘したような各地での廃棄物の定義をめぐる争いに終止符を打つことができるのか、環境庁長官にお伺いいたします。
この問題は、廃棄物の定義とあわせて、リサイクルの場合には、廃棄物処理に係る各種の環境規制が全くかからず、野放しとなっているという問題でもあります。このような指摘についてどのようにお考えか、今後どのようにされるおつもりなのか、環境庁長官の御所見をお伺いいたします。
さらに、そもそも我が国にはきちんとした廃棄物・リサイクル関係の統計が存在しないことも、問題点として指摘されているところであります。
一般廃棄物及び産業廃棄物の排出、処理状況は、厚生省が都道府県からの報告を集計して公表しておりますが、平成八年度の実績が平成十一年度末に公表される状態となっております。
また、リサイクルに関する統計としては、紙・パルプ統計など個別品目について古紙などの消費量データがとられていますが、カバーされる品目は限られており、カバーされている品目についても詳細なデータが得られるものとはなっておりません。詳細な回収率として業界が公表している数値もありますが、その内容も十分であるとは思われません。
国内の資源の利用状況、廃棄物の処分状況などマテリアルフローをきちんと把握しなければ、循環型社会に向けた国の施策を計画的に実行することは不可能ではないでしょうか。
ところが、今回の法案は、このような統計の整備を行う旨の明示的な規定は置かれておりません。ほとんど実効性のない訓示的な法案の中で、唯一実効性が担保できるはずの統計の整備をなぜ法律できちんと行わないのか、環境庁長官に伺います。
また、資源の有効な利用の観点から、有用な廃棄物がどこにどの程度存在するかの情報提供を速やかに行うことも必要と考えますが、その点についても何ら本法案では手当てされていないと思われます。そのような状態で、循環型社会をどうやって構築するのでしょうか。環境庁長官にお尋ねいたします。
さて、今回の法律案の目玉と称されているのが拡大生産者責任であります。法律案の概要資料によれば、生産者が、みずから生産する製品について、使用され廃棄物となった後まで一定の責任を負う拡大生産者責任の一般原則が確立したとありますが、拡大生産者責任の一般原則というものが確立しているのでしょうか。OECDにおける議論の状況と、一般原則が確立しているかについて、環境庁長官にお尋ねします。
法案十一条三項の引き取り等の規定では、その要件が「当該製品、容器等に係る設計及び原材料の選択、当該製品、容器等が循環資源となったものの収集等の観点からその事業者の果たすべき役割が循環型社会の形成を推進する上で重要であると認められるもの」となっております。具体的な製品がこの要件に該当するかが重要であると考えられます。
例えば、自動車、大型家具、携帯電話、オーディオ機器、衣類、蛍光灯は、この要件に該当するのでしょうか。それぞれ明確にお答えください。また、この要件にさまざまな製品が該当するかどうかについて、必ずしも明確ではないと思われますが、それはだれがどのように判断するのでしょうか。それとも、この規定はいわゆるプログラム規定であって、該当するかどうかを判断する必要すらないものなのでしょうか。環境庁長官にお尋ねします。
また、今回の法律案においては、循環資源という新しい概念が登場するわけですが、その定義において、廃棄物等のうち有用なものとされているところであります。ところが、この循環資源の利用及び処分については、技術的及び経済的に可能な範囲により行われることとなっております。
この、技術的に可能と経済的に可能というのは、だれにとっての話なのでしょうか。当該事業者なのか、業界全体なのか、国としてのあるべき可能性なのでしょうか。また、技術的に可能とは、その技術が存在することなのか、それが既に一般的な技術として確立していることなのか。さらに経済的に可能とは、ドイツの循環経済法の経済的に期待可能と同義なのか。何をもって判断基準とするかを環境庁長官にお尋ねいたします。
次に、私は、環境負荷という外部経済を内部化し、環境負荷の少ない製品を市場メカニズムを通じて流通する社会を構築すべきであると考えております。環境負荷の価格への内部化についてどのような見解をお持ちか、環境庁長官にお尋ねいたします。
あわせて、経済的措置について、この法律案において第二十三条二項においてさまざまな条件が付されているわけでありますが、百歩譲ってそのような条件を満たした場合には、当然に必要な措置を講ずるべきであるにもかかわらず、経済的措置を講ずる必要がある場合でさえも、国民の理解と協力を得られるように努めるという理解不可能な条文となっております。経済学的には、経済的手法という市場メカニズムを用いた手法の方がより効率的であり、規制に先立って検討すべきにもかかわらず、なぜこのような後ろ向きな規定になっているのか、環境庁長官に重ねてお伺いいたします。
資源循環型社会を確立するためには、製品等の資源採取から廃棄に至るまでの全段階での環境の負荷の定量的、客観的評価、すなわちライフサイクルアセスメントの手法を確立しなければならないと考えます。一昨年の環境白書においても、LCAの手法はまだ確立には至っていないが今後検討すべき事項の一つであると記述がなされているところであります。とすれば、循環型社会を目指す上で、非常に重要な意義を有するライフサイクルアセスメント、LCAについて、今回の法案には具体的な記述がありません。なぜ何も触れていないのか、長官にお伺いいたします。
既に、廃棄物・リサイクル政策に関する現実的な問題点は具体的な事例として十分明らかにされています。廃棄物の定義、一般廃棄物と産業廃棄物の問題、廃棄物とリサイクルの省庁縦割り行政の問題、リサイクルと称する不適正処理、排出者責任の不徹底、上流対策の不十分さ、定量的目標の欠如、廃棄物再生と利用とのミスマッチ、費用負担の不適切さ、統計の不備など、数多くの問題が具体的に提示されているところであります。そのような問題点になぜ正面からこたえようとしないのか、正面からこたえた結果がこの法案なのか、重ねて長官にお伺いいたします。
私たち民主党は、今回の法案のような廃棄物・リサイクル法制度の縦割り状態を解消できないまま、訓辞的、精神的意味しか持たない基本法をつくるということは、単に問題を先送りするだけであると考え、廃棄物処理法と再生資源利用促進法を統合した資源循環・廃棄物管理法の制定を提言し、現在パブリックコメントを行っているところであります。私たち民主党の提言も完全であるとは言えないでしょうが、これらの問題に真っ正面から取り組み、一定程度の方向性を示しているつもりです。
まじめに環境負荷を減らそうとしている事業者の方々、多くの国民が本当に望んでいるのは、廃棄物とリサイクル法制度の統合なのであります。民主党政権では、このような単なる理念的な基本法ではなく、廃棄物・リサイクル法制度の統合をした、問題解決に実効性のある法制度を確立することをお誓い申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣清水嘉与子君登壇〕