河野洋平の発言 (予算委員会第二分科会)
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○河野国務大臣 御質問をいただきますと、私も大分長いことこの問題にかかわり合いを持ってまいりまして、その中で、かつての参議院議長原文兵衛先生の御人徳というものが非常に大きかったし、それから五十嵐先生の御熱意というものがこの問題を引っ張ってこられたということが思い出されます。
確かに、原文兵衛先生、五十嵐さんの御努力、御尽力というものはあったわけですけれども、何といいましてもこの問題は、ロシア側の判断、ロシア側の決断もなければならぬ、韓国側の決断もなければならぬ、同じように日本側の決断がなければならぬということがございまして、随分長い年月を要しましたのは、それぞれの国にそれぞれの国内事情があって、ロシアにはロシアの国内事情もございましたし、韓国には韓国の国内事情もあって、この問題はなかなか進まなかった時期もあるわけでございます。
他方、対象者となるべき方々が一体どのくらいの人数で、しかもそれぞれがどの程度の生活をしておられるかということは、もう本当に一人一人千差万別。ロシアで比較的うまく生活をしておられる方もある、あるいは子供さんがロシア人と結婚したというような事情を持っておられる方もある。そうかと思えば、やはり一日千秋の思いで韓国への帰国を願っておられる方もおられる。さらにまた、その一人一人が、経済力といいますか、経済的な環境に比較的恵まれている方もあれば、非常に困難な生活をしておられる方もある、健康状態もそれぞれということもあって、なかなかこれは難しくて、正直言いますと、当初は一人一人に何かできないかということがあったわけですけれども、それはそれぞれの国の事情で一人一人というのは無理だ、したがって、こういうプロジェクトにどうするかということから、永住帰国者のアパートといいますか住宅を日本側でつくろうということになったわけでございます。
さて、そこで、先生見ていただいたものが、箱物といいますか、建物ができ上がりました。しかし、ここに入れる人の数は限られているわけです。たしか五百人ぐらいの方々を受け入れる、そういう施設でございまして、サハリンというか、ロシア側にはまだ恐らく、そこがうまくいけば帰りたいと思われる方もあるでしょうし、あるいは今でも帰りたいと思っているけれども、受け皿がそれだけの数がなくてお待ちいただくというか、ここまでということになっている部分もあるわけでございます。
そういうことになると、いい施設ができてそこに入れた、戻ってきてそこで生活ができるようになったという状況がまず第一段階で、今議員御指摘のとおり、そうした人たちがさらに年金が受けられるかどうかとか、あるいは老後の不安にどう対応するかという問題になりますというと、これはまた韓国におきます政策との整合性、つまり、見ていただいたように、あそこは住宅地の一角にそういう建物をつくって、その周辺にもたくさん韓国の方々が住んでいらっしゃる、そういう方々との間の整合性もあるでしょう。政策的な整合性もあると思いますし、それから生活そのものが交流できるのかできないのかという問題もあるだろうと思うのです。
したがって、先生からの御指摘は、仏つくって魂が入らないではないかということをおっしゃっておられると思うのです。ここまでやったんだからもう一息何とかやったらどうかという御指摘は私個人としてはよく理解できますが、そういうことになると、サハリンの人たちとの間のバランスをどういうふうに考えるかということ、あるいは韓国自体の政策との間の整合性をどういうふうにするかという問題等もございまして、まだまだ考えなければならない点も多いと思います。
そこで、先生から御指摘がございましたから、私は、韓国側の御判断、お考えというものもやはり伺わなければならぬと思いますし、それから、もちろん残された人たちとの間のことも考えなければなりません。
まだ考えるのかとおしかりをいただくかもわかりませんが、少し考える時間をかしていただきたい。私は、必ずしも、その人たちだけが非常にうまくいって、取り残された人たちのことを考えなくていいというわけにもいかない。しかし、取り残された人のこともあるのだから、この人たちのことも余り高いレベルまで支えなくてもいいではないかというのでは、余りに残念な気がいたします。
私としても、長くかかわり合ってきた人間として、もう少しお時間をいただいて研究をさせていただきたいということをきょうは申し上げて、御理解をいただきたいと思います。