瓦力の発言 (外交・防衛委員会)

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○国務大臣(瓦力君) 違法射撃事案に関する調査の結果について御報告申し上げます。
 本年一月十四日、約五年前に発生した違法射撃事案の処理について問い合わせがあった旨の報告を受け、直ちに調査を実施いたしました。
 その結果、平成六年十一月十六日に、第一空挺団普通科群長の秀島裕展一等陸佐が、東富士演習場内の射場におきまして、部外者三名を招いて射撃訓練を見学させた際、部外者の猟銃を借りて射撃を実施したとされる事案があり、陸幕及び方面総監部以下で処理がなされ、訓戒等の処分が行われていたことが明らかになりました。
 事案の性格や過去の処分例に照らして、当時の事案処理が適切ではなかったことが明らかになりましたため、一月二十日、私から陸上幕僚長に対しまして、当時の検討経緯等を徹底的に再調査するよう指示いたしました。
 陸上幕僚長は、調査態勢の強化を図るため、一月二十六日に陸上幕僚副長を長とする調査委員会を陸幕内に設置し、事実関係の究明に当たらせることといたしました。
 この調査委員会による調査の過程において、秀島一等陸佐が部外者に小銃、機関銃の射撃をさせていたという事実が新たに判明し、三月十三日、秀島一等陸佐は陸上自衛隊東部方面警務隊に逮捕され、三月三十一日に起訴されております。
 調査委員会は、約三カ月にわたり、当時の経緯等についての聞き取り調査を積極的に実施し、証言を突き合わせながら一つ一つの事実関係を認定する作業を慎重に実施してまいりましたが、今般、これまでに明らかになった点を取りまとめ、私にお手元にありますとおりの報告を行いました。
 この報告書には、違法射撃事案に係る当時の関係者の動きが詳細に記述されておりますが、特に、第一空挺団における初動調査の不徹底、陸幕の意思決定過程における不備及び方面総監部等に対する不適切な指導、捜査権限を有する警務隊の不介入など、事実関係の究明をなおざりにした事実の性急かつ安易な処理が優先され、組織の業務処理体制が健全に機能していなかったことが明らかにされております。
 次に、本事案における関係者の行為の評価について御説明申し上げます。
 まず、秀島一等陸佐についてでありますが、同人がかかる行為を行った動機や刑事的な責任については今後の公判の中で確定していくものと考えますが、同人は、許可なくみずから猟銃の射撃を行ったこと、部外者に自衛隊の小銃、機関銃の射撃をさせたこと、事案発覚後の事情聴取に対して虚偽の供述を行ったこと、第一空挺団本部による調査が始まってから部下に対して口どめを行っていること等数々の問題を引き起こしており、第一線部隊の指揮官としての自覚に著しく欠けるものであって、その責任は極めて重大であると考えます。
 次に、事案発生当時、現場付近には少なくとも十数名の隊員がおりましたが、猟銃射撃や部外者による小銃、機関銃の射撃を黙認しただけでなく、一部の者はその準備作業等に協力するとともに、秀島一等陸佐の勧めに応じて部外者の猟銃を射撃していたことが明らかになっております。
 また、現地部隊である第一空挺団につきましては、部外者に猟銃を撃たせたという情報があったにもかかわらず、安全管理の徹底した自衛隊の射場の中で行われており、部外に与える影響も少ないと考えて、この情報を重視いたしませんでした。また、第一空挺団長は、指揮官としての秀島一等陸佐の立場を考慮して調査の対象者を限定し、現場に居合わせた他の隊員に対する確認作業を行うことなく、短期間で調査を終了させております。その結果として、第一空挺団は不完全な情報を上級司令部に報告することとなり、上級司令部のその後の対応を誤らせる要因をつくることとなりました。
 さらに、上級司令部の対応について申し上げます。
 本事案は、本来ならば長官まで報告された上で戒告以上の懲戒処分がなされる内容でありますが、自衛隊の威信の保持といった大義名分が都合よく利用され、方面隊以下で対応できる訓戒処分がとられた結果、内局へ報告されることはありませんでした。
 真相究明努力を怠り、陸幕及び方面限りの内部処理に走った点において、本事案は陸上自衛隊の組織防衛のために組織的な隠ぺい工作を行ったものと批判されても弁解の余地のないものであります。
 当時の陸幕における主要な関係者の動き及びその評価について申し上げます。
 当時の幕僚長及び陸上幕僚副長は、部下の不十分な報告に基づくとはいえ、事案に対する甘い認識と相まって、本件の不適切な処理を結果として了承しておりました。
 次に、陸幕人事部長は、当初から本事案に積極的に絡んでいたわけではありませんが、部下である人事計画課長の考え方を事実上追認する形で、公にならないよう内局への報告はせず、人事処理にとどめるとの方針を了承した上で、陸上幕僚長の判断を求めるよう指示しております。また、東部方面総監部からの最終確認に際しましては、内局への報告は行わないとの方針を伝えております。このように、陸幕人事部長は、みずからの本事案に対する認識の甘さにより、陸上幕僚長に対する補佐を誤ったものであると評価されます。
 陸幕人事計画課長は、本事案の陸上幕僚長への報告をおくらせると同時に、東部方面総監部の人事部長に対して、自衛隊への影響を考慮して努めて公にはならない方向で処理を検討するよう直接提案するなど、極めて短時日のうちに今回の事案処理の基本的な流れをつくっております。また、人事計画課長は、本事案を軽微なものとして上層部に報告する過程においても主導的な役割を果たしております。このような人事計画課長の行為は、幕僚としての基本的な責務に反するものであったと考えます。
 東部方面総監部につきましては、総監の厳正に処置するとの方針を踏まえて業務を進めておりましたが、陸幕人事計画課長の提案を受け、これを陸幕上層部の意向と理解した上で対応案を作成し、総監まで報告を行っております。
 なお、当時の東部方面総監は、この対応案について疑問を抱き、陸幕人事部長から陸幕としての意向を確認するため行政副長を陸幕に派遣いたしましたが、総監みずから陸上幕僚長の意図を直接確認することなく、最終的に誤った判断を行ったものであります。
 当時の警務隊は、事案の性格に対する認識の甘さ等から、十分な調査を行うことなく、本事案を立件の必要がないものと早々に判断し捜査に踏み切らなかったことが判明いたしております。このことが、結果的に事案全体の事実解明をおくらせることとなったものと考えられます。
 さらに、本年一月の事案でありますが、猟銃事案に対する警務隊の関与について陸幕から問い合わせがあった際、前警務隊長は事案発生当時の東部方面警務隊長であったにもかかわらず、当時、部隊からの警務隊への通報はなかったと回答するよう指示いたしました。当時の事案処理についての調査が行われている状況のもとでかかる不実報告を行ったことは、警務隊に対する信頼を失墜させたものと言わざるを得ません。
 次に、本事案の問題点及び教訓について申し上げます。
 まず、我が国には世界一厳しい銃規制がしかれていることを深く認識し、国民の信頼にこたえなければならない立場にあるにもかかわらず、今回かかる事案を引き起こしたことを大変深刻に受けとめており、この点についての隊員の意識の向上を図っていく必要があると考えます。また、事案の処理に当たって事実の確認や正しい報告が行われず、真実を追求する姿勢に欠ける面がありました。深く反省いたしますとともに、一層の規律の維持に努めていく必要があると考えます。
 第二に、今回の事案から明らかなように、上級幹部の誤った判断が部隊全般に及ぼす影響は極めて大きなものとならざるを得ません。上級幹部に一層の責任感を自覚させるため、遵法精神を涵養し、またバランスのとれた社会人としての常識を身につける教育を行っていくことが必要であります。
 第三に、正しい情報がトップに正確な形で上がっておらず、幕僚レベルの判断が結果として方針決定に重要な影響を与える事態が生起しておりました。今後同様の事態を繰り返さないための措置が必要であります。
 第四に、警務隊が早々に立件に値しない事案であると判断し、捜査を実施するに至らなかったという問題があります。この点は極めて不適切であったと言わざるを得ず、司法警察職員としての自覚を促すとともに、制度面からの見直しを考えることも必要であります。
 第五に、部外者との交流のあり方であります。隊員各自が部外者とどのような交流を行うかは、一次的には隊員個々人のモラルに基づく判断によることとなりますが、隊内の規律維持上問題を生ずるおそれのある場合には、周囲ないし上司が適切な指導を行うとともに、平素からの服務指導を適切に行うことが重要であります。
 以上述べましたとおり、本事案において現地部隊、各級司令部、警務隊のとった行動については多くの問題が存在していることは紛れもない事実であり、防衛庁・自衛隊として深く反省しているところであります。
 防衛庁・自衛隊としては、これまでの調査結果に基づき、お手元にありますように関係者に対する厳正な処分を行ったところであります。今後とも綱紀の粛正を徹底させ、行政運営に万全を期してまいる所存であります。
 なお、今後公判等の過程において新たな事実が明らかになった場合には、防衛庁として徹底的な調査を実施し、厳正に対処してまいる所存であります。
 また、今回の事案により失墜した国民の信頼を回復するためには、不祥事の再発防止を目的とした目に見える改善策を国民に示していく必要があります。かかる観点から、私から各幕僚長に対し、武器の管理の徹底等について直接指示するとともに、庁内に不祥事防止会議を発足させ、同時に、両政務次官及び事務次官を長とする不祥事防止特別行動チームを設けたところであります。同チームは、三月末から四月末にかけ、全国で十一カ所を回り、約二千六百名程度の関係者と率直な意見交換を行ってきたところであります。
 なお、防衛庁としては、今後、服務指導体制の強化、幹部教育の見直し、懲戒処分の基準の見直し、報告体制の改善、警務隊の独立性の確保などの具体的な再発防止策について検討してまいる所存であります。
 最後に、防衛庁といたしましては、自衛隊の業務の運営につきまして国民の間に重大な不信感を抱かせる結果となったことを深くおわび申し上げるとともに、今回の事案を今後の教訓として、不祥事案の発生の防止に全力を注いでまいる決意であります。
 以上、私からの報告とさせていただきます。
 日本電気株式会社による過大請求事案に係る返還請求について御説明いたします。
 まず、本件の経緯についての御説明を申し上げます。
 平成十年十月二十二日、日本電気株式会社は、工数の過大申告等により過大に代金の支払いを受けていたとの事実を防衛庁調達実施本部に報告してまいりました。さらに、同年十一月五日には、虚偽の原価元表を作成して防衛庁の契約に対応していたことも報告してまいりました。
 この報告を受け、防衛庁は、同年十一月三十日より同社の府中及び横浜等の関係事業場に立ち入り、過払い額算定のための特別調査を実施しました。その調査において、同社が二重帳簿を作成するなどして過大に代金の支払いを受けていた事実を把握するとともに、過払い額算定のためのデータを収集いたしました。
 これらのデータをもとに、平成十一年十二月、過払い額を確定し、同年十二月二十四日、日本電気株式会社に対して約三百十八億円の損害賠償請求を行いました。
 これに対し、同社は、防衛庁の請求額の全額を国庫に納入したことから、平成十一年十二月二十七日をもって、平成十年十月一日以降講じてきた取引停止措置を解除いたしました。
 次に、防衛庁の調査の概要及び算定方法等の概要について御説明申し上げます。
 防衛庁では、先ほども申し上げましたが、平成十年十一月三十日より同社の関係事業場に立ち入り、特別調査を行いました。調査は、調達実施本部の原価計算部門の職員を中心に、陸海空各自衛隊等関係機関の担当職員約二百三十名が本調査に参加するとともに、公認会計士及び公認会計士補の方々にも延べ五十人日の支援を受けております。
 過払い額の算定に当たっては、必要な資料が保存されていて過払い額の算定が可能である契約をすべて対象とし、平成四年度納期以降の契約はもとより、平成三年度納期のものについても、資料が保存されていて過払い額の算定が可能なものについては対象にするなどあらゆる限りの努力を傾注いたしました。
 また、その方法については、平成十一年四月に取りまとめた調達改革の具体的措置で定めた過払い事案処理に関する基本的考え方及びこれを踏まえた過払い事案処理要領に従い、厳正に算定いたしました。その結果、約二百六十四億円の過払い額が確認され、これに遅延損害金約五十五億円を加えた計約三百十八億円の損害賠償請求を平成十一年十二月二十四日、日本電気株式会社に対しまして行いました。同社は、同日、請求額の全額を国庫に納入したほか、再発防止のため経営監査本部を設置するなどの対策を講じております。
 最後に防衛庁の再発防止策について御説明申し上げます。
 防衛庁としては、日本電気株式会社による過大請求事案を初めとする一連の過大請求事案を受けて、再発防止策の検討を行いました。その成果として、部外有識者の意見も踏まえ、平成十一年四月二日、調達改革の具体的措置を取りまとめました。
 その概要について申し上げれば、入札及び契約心得に、防衛庁の調査を受け入れる義務や、企業が虚偽の資料を提出してきた場合には、過払い額に加え、これと同額の違約金を支払う義務を規定するなど企業側提出資料の信頼性確保のための施策を講じることとしたほか、調達実施本部の廃止等の機構改革、調達等に関する高い専門知識を有する部外有識者から成る第三者による監視体制の確立等の施策を実施することとし、現在、その推進に努めているところであります。
 本件の詳細につきましては、お手元に配付いたしました資料をごらんいただきたいと思います。
 以上をもって、日本電気株式会社に対する過大請求事案に係る返還請求についての説明を終わります。
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発言情報

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発言者: 瓦力

speaker_id: 26079

日付: 2000-04-27

院: 参議院

会議名: 外交・防衛委員会