堺屋太一の発言 (経済・産業委員会)
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○国務大臣(堺屋太一君) 私どもでは昨年、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」というものを閣議決定いたしました。略して「あるべき姿」と呼んでおりますが、その中でもこの議論は重要でございまして、効率的な経済と安心できる社会、これが二本立てだろうと思います。
委員御指摘のように、日本では、特に戦後六〇年代から金融を中心とした縦の系列、大手銀行がございまして、そこに大手のメーカーや流通がくっつき、そしてその下にまたメーカーの下請がくっつき、流通の納品業者がくっつき、一つの縦の系列があった。それからもう一つ、役所が指導いたします横の護送船団と言われる業界別のと、縦横の組織の中で安住できる仕組みをつくりまして、どうかこういうように守っているから安心して投資をしてくださいという形でどんどん投資をして規格大量生産型のものをつくり上げた。これが八〇年代になりますと、生産力が過剰になりまして、だんだんと外国へ売り込みに行ったりして円高になり、またそれがバブルの原因になる、こういう状態がありました。
今、この横の規制改革によりまして横の護送船団がなくなると同時に、金融改革によって縦の系列もなくなってまいりました。そうすると、金融系列がなくなりますと、そこに入っておりました企業も金融的に保護されないからリストラをやらなきゃいけない、あるいは合併をやらなきゃいけない。どんどんとそうなってまいりますと、さらにまたその下請分野についても合理化が必要だと、こういう形になる。これは競争力を高めていく上で不可避の過程なのであります。だから、それをどのぐらいのテンポでやるかということはございますけれども、やはりそこを避けて通るわけにはいかぬと思います。
そして、今申しましたのがいわばオールドエコノミーでございまして、それを今度雇用の面あるいは経済を発展させる技術の面で知恵の値打ちを生み出すようなIT産業でございますとか介護産業でございますとか、そういった新しいサービス産業、技術産業が生まれてきて、雇用の移転あるいは資本の移動が行われる、これが現在の状況だと思います。これはアメリカでも他の国でもある時期は大変な苦労をしてそういう変革をしてきた。日本はまさにそれを九〇年代に実行しておりまして、今その真っ最中でございます。
したがって、これからの雇用問題というのは、終身雇用を前提とした系列があり人がその中でずっといけるという形ではなくて、ある程度流動性が出てこざるを得ないと思います。流動性が出てきますと、委員御指摘のように、そこに不安もあれば摩擦的な一時的な失業も出てくる。これに対しましては、やはりしっかりとしたセーフティーネットをつくっていく、これが第一の問題であります。
それから第二番目には、だれでも創業できる、これは去年本委員会で御審議、通していただきました中小企業の考え方の転換でもあるわけでございますけれども、だれでも創業できる、そして創業で一度失敗した人も再チャレンジができるような、そういった創業者、中小零細企業から、個人から身を起こそうとする人に資金も人材も技術も情報も流れるような、そういった仕組みをつくることによって新しい創業をふやしていく、そういった流動性のあるダイナミズムな社会をつくる以外にないんだろうと思うんです。もちろんテンポの問題がありますから、そういう摩擦的失業がなるべく出ないようにということはあるのでございますけれども、それをじっと守っていればいいかというと、もうみんなで船が沈むような形になりますから、ここはやはりそういうダイナミズムをつくっていかなきゃいけない。
ようやく民間設備投資がふえてまいりまして、新しい技術を取り入れる環境が少し生まれてきた。これが十—十二月、そして今の機械受注の増加などに見られるところでございまして、頼もしい動きだなと考えている次第でございます。