小泉親司の発言 (憲法調査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○小泉親司君 憲法調査会の運営について、前回に引き続きまして発言をさせていただきます。
 まず、調査の進め方の問題ですが、先日の憲法調査会で、調査期間について、議員の任期を理由に五年先のことについては責任持てないというような発言がありました。期限を切った審議期間の発言でありました。しかし、この調査会は、憲法の広範かつ総合的な調査を行ってその結果を議長に報告するという任務でありますから、議員の任期を理由に期限を決めて調査を行うという性格のものではないというふうに思います。調査会規程では報告書の提出に期限を付していないというのはこの理由からだというふうに思います。
 また、改憲、論憲、護憲というそれぞれの立場が報道されておりますけれども、私、それぞれの立場はともかく、この調査会はあくまでも憲法の広範かつ総合的な調査を行う機関だということをきちんと明確にすることが必要だということを申し上げておきたいというふうに思います。
 次に、何を調査するかの問題ですが、私は、調査会が、憲法の広範かつ総合的な調査という趣旨から、憲法の基本原則について議員間の活発な討論を行って、調査会として主体的に何を調査すべきであるのか、その点をまず優先して明確にすべきだというふうに思います。
 私たちの基本的態度はさきの調査会で橋本委員が明確にしておりますけれども、さきの調査会での他の委員の発言でも、そして現在の当調査会の発言でも、国民主権、恒久平和主義、基本的人権などのいわゆる基本的な憲法の原則について広く学識経験者などから意見を聴取する必要があるのではないかという発言がありました。
 憲法九条を中心とする恒久平和主義は、世界でも冠たるもので、これを国際的に広く明らかにする必要があると思います。基本的人権の問題についても、フランス革命の人権宣言に明記されたようないわゆる市民的、政治的権利だけではなくて、社会的な権利、経済的な権利も基本的人権の内容として大変詳細にうたわれているのが現憲法の特徴であるというふうに思います。こういう実態をそれぞれ広範かつ総合的に調査することが基本的な憲法調査会の大事な仕事であるというふうに思います。
 国民とともに議論するということで、各界各層から意見を聞いたらどうかというようなことが具体化されようとしておりますけれども、私はこれについて、一体調査会が何を調査するのか明確にしないまま意見を聞くのは時期尚早だというふうに考えております。
 次に、制定過程の問題についてでありますが、さきの調査会で、現憲法は占領中の国の主権がない時代あるいは大幅に制限されている時期に国際法に違反して制定されたものだという発言がありました。憲法を調査する機関で、現憲法が占領下の日本で結ばれたことを理由にして国際法違反だということを断じることは、憲法は無効と言うのに等しいもので、その憲法を調査するというのは明らかに矛盾した議論に帰結するものだというふうに思います。
 これらの議論は学界でも今日認められていませんし、この意図は調査会を改憲論の足がかりにする議論と言わざるを得ない。それどころか、現憲法は軍国主義とファシズムを打ち破った世界の平和的、民主的な世論と日本国民の平和志向を反映したものであって、進歩的なものだというふうに思います。
 しかも、日本はポツダム宣言を受け入れて降伏して、そこに明記された原則を実行する国際的責務を負ったということでありまして、この種の議論から見て、国際法とはヘーグ陸戦条約を指しているというふうに考えておりますけれども、そこに明記された占領中というのは、交戦中の占領下と解すべきであることは既に通説であります。
 私は、制定過程の問題について調査という場合、検証するべき事実として、改憲論がどこから始まったのか、その源流に迫る歴史的調査もあわせて提起したいというふうに思います。
 私は、アメリカのロイヤル陸軍長官が当時の国防長官に対して憲法施行の翌年の四八年に報告した「日本の限定的軍備」という文書を入手しましたが、この文書では、今や将来の防衛のための日本軍を容認する立場で新憲法の修正を達成するための調査が行われるべきだと提案して、改憲を公然と主張しています。ここにアメリカからの改憲論の源流があるのであって、やはりこういったアメリカの公文書などについての掘り下げた調査を行って、改憲論がどのようにして提起されたのか、歴史的調査を当調査会でも行うよう提案をしたいというふうに思います。
 以上であります。

発言情報

speech_id: 114714184X00320000303_010

発言者: 小泉親司

speaker_id: 29210

日付: 2000-03-03

院: 参議院

会議名: 憲法調査会