水野誠一の発言 (憲法調査会)

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○水野誠一君 前回あるいは今回の各委員からの専門的な意見陳述を伺っておりまして、かなり具体的提案がなされているということでございますので多く申し上げることはないんですが、幾つか感じている点を申し述べたいと思います。
 憲法とは、皆さんおっしゃるとおり、まさにその国の形を示すものでありますし、その意味では国の歴史や文化を反映したものであるべきだと思っております。すなわち、憲法においては基本的人権など人類共通の基本理念、これは別として、いわゆるグローバルスタンダードだけにとらわれるべきものではない、こう思います。
 終戦直後に、敗戦国日本が、アメリカによってつくられた草案を短期的な、短時間の翻訳と審議で受け入れた経緯ということを考えても、日本の文化が十分に反映され尽くしているとは言いがたい、何か無機質な感じがするというのは私だけではないのではないかと思います。とはいえ、もちろん少なくとも今までは、この憲法が日本の平和主義、あるいは民主主義、あるいは基本的人権意識を確立する上で大きな機能を果たしてきたことも事実であります。
 しかし、制定から五十年たった現在、国内での憲法の役割、あるいは日本自体の国際的な役割、あるいは日本を取り巻く国際的な環境が大きく変化をしてきているという中で、改正をも視野に入れた見直しをするのは当然のことであると感じています。無論、九条などの議論もタブー視すべきではないと思いますが、先日お隣の佐藤委員からも出ましたが、八十九条の私学助成問題など、非常に細かい問題における矛盾点をも洗い出していくことも重要な作業になると思っております。
 また、第三章の「国民の権利及び義務」においては、さまざまな権利の列挙があるわけでありますが、その義務については、教育の義務、勤労の義務、納税の義務程度しか書かれていない。これもいかがなものかと感ずるところはあります。勤労する権利と同時に義務があるというふうに書かれておりますが、また、教育を受ける権利があると同時に保護する子女に教育を受けさせる義務があるというふうに書かれておりますが、それと同様、権利を主張する裏には必ず社会に対して果たすべき義務があるはずであります。
 昨今はこの権利意識ばかりが肥大化して義務が忘れられていることが多いというふうに感じますが、そういう時代であるからこそ、国民の権利とは一体何かといった議論も重ねるべきだと思います。
 とは申せ、余りいたずらに神学論争あるいは建前の手続に時間をかけ過ぎることは許されないと思います。現実問題に即した活発な論議を積極的に行い、それを広く公開していくべきであります。それと同時に、ある一定の期間目標を決めていくべきだというふうにも考えております。
 また、参議院らしいという視点からいけば、党利党略にとらわれるべきではない。開かれた委員各位の個人的な意見を重ね議論をしていく、ここに期待をしていきたいと思います。
 昨今、政治不信の状況ということが言われるわけでありますが、こうしたタブーなき開かれた議論がなされること、そして国民の意識を高めていくことによって、政治の信頼回復に積極的にこの会の活動を役立てていくべきだと思っております。
 以上です。

発言情報

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発言者: 水野誠一

speaker_id: 844

日付: 2000-03-03

院: 参議院

会議名: 憲法調査会