北岡秀二の発言 (憲法調査会)

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○北岡秀二君 ありがとうございます。
 先ほどからいろいろお話が出ておるわけでございますが、私は、この憲法問題に関して一番大きな問題というか我々が大きな問題と思っているものは、今の日本の国の現状のゆがみだろうと思うんです。
 先ほどから改正論についていろいろ云々されていらっしゃいましたが、皆さん方も聞かれたことがあるだろうと思いますが、数年前に中国の当時の首相がオーストラリアへ行かれたときに、日本の国が三十年先にはあるかどうかわからないというようなお話をされた云々という話を私は聞いたことがございます。
 実際かどうであるかの問題は別にして、先ほど申し上げました今の日本の国の最近の世相あるいは社会現象等々を拝見させていただいておりまして、大変なゆがみが出てきておるんじゃなかろうか。そのあたりの中に、今まで議論がございました憲法の現実との乖離、私はこれも当然だろう、そのとおりだろうと思いますし、現実との乖離があるがゆえに、今の現実社会でのゆがみというのは私は当然の結果として今の姿になっておるんではなかろうかと思う次第でございます。もうそういう意味で憲法を改正すべきだと思うわけでございますが、何が欠けているかという部分で私なりに申し上げさせていただくと、憲法改正の流れの中で、私はいろんな部分で危機管理思想が決定的に欠落をしておるんじゃなかろうかというふうに感じる次第でございます。
 その危機管理思想という部分の中で、私なりに解釈を申し上げますと、二点あるだろうと思います。
 まず第一点は、平常時の中での危機管理。これはもう今までの議論の中に出てまいりました、何でもありの権利あるいは何でもありの自由というのが社会の中で非常にいびつな姿を醸し出しておる、混乱の要因になっておる。そういう状況の中で、ある程度の自由の規制、ある程度の権利の規制というのも当然なければいけないんじゃなかろうかというふうに感じますし、従来から言われておりますとおり、公共の福祉と権利、自由の関係がまだまだあいまいな点に、前段に申し上げました平常時の中での危機管理というのが十分に私は図られていないがゆえに、今のいびつな社会というのもでき上がっておるように感じる。
 その第二点は、第二点というかもう一つの危機管理、これはもう一般的に言われておる国家社会が危機的な状況が訪れたとき、すなわち、例えば阪神大震災にまさるような大きな地震が起こったとき、あるいはこれはもう想定の範囲で起こり得ることだろうと思うんですが、我が国に石油が全く入らなくなったとき、さらには、いろんなことが想定できるだろうと思うんですが、非常事態が起こったときに、じゃ国をどういうふうにして治めていくんだというような条項も一切ない。
 ある意味では九条の解釈についても同じことが言えるだろうと思うんですが、仮にですよ、仮に我が国が侵略戦争をされるような、入ってこられたときに、あるいは国家の主権が侵されるようなことがあったときに、防衛の問題を含めて、今までは法的に拡大解釈をしながらやってきたわけでございますが、そういった面での、前段に申し上げた平常時の危機管理、危機的な状況の、非常事態における危機管理という観点における危機管理思想が現憲法に入っていないがゆえに、私は、それがすべてではないと思いますが、いろんな現状の今の日本の国の社会を見たときのゆがみというのが即あらわれてきているんじゃなかろうかということを痛切に感じておる人間の一人でございます。ぜひともこのあたりは検証をしていただき、いろいろ議論を深めていただきたいなというつもりでいっぱいでございます。
 加えてもう一点申し上げさせていただきますと、先ほどからいろいろお話のございますとおり、日本の国の歴史、文化、そのあたりが欠落をしておる。これはもう国際社会がこれからどんどん進行していく中で、皆さん方共通して思っていらっしゃるだろうと思いますが、必要なことはアイデンティティーを持つこと、アイデンティティーがなければ本当の意味での国際的な同化というのはできないというふうに私は感じておるわけでございます。そういう観点においても、歴史、文化の扱いというのをこれから憲法の中でどういうふうに我々は入れていくというか、加味していかなければならないというのも大きなテーマの一つであるように感じるわけでございます。
 総論としては、私は以上のような所信、感想を持っておりますので、発表させていただきました。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 北岡秀二

speaker_id: 13059

日付: 2000-03-03

院: 参議院

会議名: 憲法調査会