阿南一成の発言 (行財政改革・税制等に関する特別委員会)
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○阿南一成君 自由民主党の阿南一成であります。
本日、私の持ち時間は十五分とのことでありますので、早速地方分権推進法の一部改正案について質疑をさせていただきます。
我が国における明治維新、それから戦後改革に次ぐ第三の改革としての地方分権が、平成五年六月の両院における決議に始まり、平成七年五月の地方分権推進法の成立を踏まえて、平成七年七月、推進委員会が設置をされました。そうして、その推進委員会の勧告に基づいて政府による推進計画が作成されたのであります。そして、さらにその推進計画に基づいて平成十一年七月に地方分権一括法の制定を見たところであります。そうして、約九カ月間の準備期間を経て平成十二年四月一日から地方分権一括法が施行され、地方分権は一応その結実を見たところであります。この間の関係者の方々の並々ならぬ御努力に敬意を表したいと思います。
さて、地方分権推進法は御承知のように本年七月までの時限立法であります。何らかの法的手続をしなければこの法律は失効をしてしまいます。そこで、今回のこの一年延長の法案が提出されたのでありますが、昨年の分権一括法の審議の際にポスト分権法をどうするのかという議論がなされております。
そのときに、小渕前総理の答弁では、五年の時限立法にしたのは、一定の期限を設定して計画的かつ集中的に取り組むことが肝要であり、推進委員会の活動は指針の勧告と計画の実施状況の監視機能を有しており、存置期間まではそれを見守るべきであり、期限後の体制はその時点での状況を踏まえて判断すべきであろうと答えております。
一方、推進委員会の諸井委員長は、権限移譲をもっと進めた方がいいし、必置規制の緩和、補助金問題、税財源問題などたくさんの問題が残っていると思う、いろいろな面でまだ地方分権は不十分であることはそのとおりである、今後の問題について国民の皆さん、結局は国会がどう考えるかであると答えております。
こうした経緯を踏まえたときに、今回のこの一年延長という一部改正法がどういう意味を有しているのか、まずお尋ねをしなければならないと思います。なぜ一年なのか、その間に推進委員会にはどういうことを検討してもらおうとしているのか、単に後は推進法に基づく実施状況を静かに監視してもらえばいいというのか、そしてそれらのためには一年で足りるのか、とりあえず一年延長してまたその時点で考えるということなのか、それとも一年後にはポスト推進委員会を改めて発足させるということなのかどうか。これらの将来展望を含めて総務庁長官に御答弁をお願いすべく質問通告をしておったのでありますが、事前レクで理解をいたしました。時間の都合上、恐縮でございますが、割愛をさせていただきます。
次に、今回の法改正の中身でありますが、主要な部分は、五年の期限が終わる地方分権推進法の期限を一年延長して六年にするということであろうかと思います。それと同時に、推進法の第十一条一項の「勧告等の尊重等」の規定を削除することとしておられます。この規定は、「内閣総理大臣は、前条の勧告又は意見を受けたときは、これを尊重しなければならない。」と、いわゆる審議会の勧告、答申、意見等の尊重規定であります。これを削除するというのは、もう地方分権推進委員会からの意見などは尊重しないというように受け取れないこともないのでありますが、その点について一応確認をしておこうと思います。
およそ政府が設置するこの種の審議会は、政府がお願いをして有識者の方々にお集まりいただいて、時間をかけてすばらしい意見を集約していただき、その後の行政に反映をさせるものであり、本来、尊重規定がなくても政府が尊重すべきは理の当然であろうかと私は思うのであります。
政府は、昨年成立した中央省庁等改革関係法施行法において、各省庁に設置されていたこの種の審議会の根拠法の、審議会の意見を聴し、かつその意見を尊重しなければならないという規定を、審議会の意見を聞かなければならないと改正をいたしております。これは、政策決定責任者を明確にするという各省等設置法の整理の際に、言わずもがなの規定を整理したものと理解をいたしております。今回のこの推進法の改正もそれらとの整合性をとるということであろうかと思いますが、念のため総務庁長官に確認の意味で質問通告をいたしておりましたが、この点も確認できましたので、時間の都合上割愛をさせていただきます。総務庁長官にせっかく御準備をいただきましたことに心から感謝を申し上げる次第であります。
次に、分権に伴う税財源の強化拡充についてお伺いをいたします。
昨年の地方分権一括法の審議の際にもこの点については大変議論がありました。委員会での討論でも、財源の裏づけのないこの分権一括法はミスマッチの法案だ、車にエンジンがないのも同然だ、地方分権に値しない欠陥法案だなどなど多くの質疑者から指摘をされております。地方団体からしてみれば、権限が与えられてもその裏づけとなる財源措置がなされていないのは大変困るという悲鳴にも似た声も上がっておりました。
これに対する政府の答弁は、小渕前総理は、経済情勢の推移や税制の抜本的改革を見きわめつつ総合的に検討していくべきだと答弁をされております。宮澤大蔵大臣は、年二%成長が続くような我が国経済が正常になったときに財政の根本改革をしなければならない、国と地方で税目のやりとりをすることにならざるを得ないと答え、今はできないが将来経済情勢が好転すれば必ず税収の国と地方の配分変更を実行すると約束をしていると承知をいたしております。
そこで、平林自治総括政務次官にお伺いをいたします。
平林次官は自治省出身、知事経験者で、地方財政の専門家でもありまするので、あえて御見解を賜りたいと思うのであります。
それは、東京都の銀行業等に対する外形標準課税についてであります。きょうは時間も限られておりますので、単刀直入に何点か私が疑問に感じておることにお答えをいただき、いずれ機会を見て地方行政・警察委員会等々でじっくりと御指導賜りたいと思っております。
今回の新税構想は、事前に漏れるとつぶされかねないので一部のメンバーにより密室で検討を行ったとされております。小骨一本抜かせないとの報道にも接しました。一部の人間が密室で構想を練って突然公表し、大衆を扇動して味方につけ、勢いに乗じて畳みかけるように短期間で決めてしまうといったアンフェアで非民主的な手法は、まさに大衆迎合主義、ポピュリズム以外の何物でもないと考えるのであります。本件は、法的な手続面からも憲法三十一条のデュープロセスに照らし問題があるのではないかと私は考えます。また、憲法第十四条に言う租税公平主義という税の基本原則にも反するのではないかと考えております。
平成十二年二月九日のニューヨーク・タイムズには、ニューヨーク市で同様の計画が導入されたならば、ニューヨークに本拠を構える大手銀行は税金とともに去っていくであろうと報道をしております。また、二月十六日のファイナンシャル・タイムズには、恣意的な税制は日本におけるビジネスのリスクを高めるとも報道をされております。
私は、今回のように制度や政策が一地方団体の意向によって恣意的かつ突然に変更されることは他の先進国では例を見ない現象であり、海外から東京のみならず日本全体が行政リスクの高い国と見られるとするならば、国際社会における我が国の地位にも影響を及ぼすものではないかと考えるところであります。
このような東京都の奇襲まがいの手法は決して褒められたものではありませんが、しかし、その投じた一石が地方財政の自治の確立の議論にもつながるというのであれば、その部分に限っては評価をし得るものではないかと考えております。
しかし、今回の新税構想が発表された直後の二月二十一日、自治大臣は都知事と会談し、その場で懸念や問題点を示した意見書を手渡したとの報道に接しました。その意見書の中には、所得による課税の均衡を失しないか、特定業界だけに課税して不公平ではないか、都が先行して実施するのは適当か、他の自治体への影響をどう考えるのか、政府の景気回復等や金融安定化策と矛盾をしないか、納税者となる銀行側に必要な説明を十分にしたのかの六項目であったと承知をいたしております。
私は、自治大臣が指摘をされた懸念や問題点はまさに正鵠を得たものであり、都知事がそれを聞き入れなかったことには強い不快感を抱いておるところであります。同時に、今回の新税は現行の地方税法にも抵触する部分があるのではないかと私個人は疑念を抱いておるところであります。
ところで、我が国金融界は、現在金融ビッグバンの最終コーナーに差しかかっております。金融ビッグバンは、一九九六年十一月、当時の橋本総理によって提唱され、フリー、自由、フェア、公正、グローバル、国際化の三つの原則に基づき、我が国金融市場を国際的な基準に合った自由で公正な市場に再生し、二〇〇一年までに再びニューヨークやロンドン並みの金融市場にまで地位を高めることを目標として、これまで着々と改革が進められてきておるところであります。
私は、官民が一体となって東京金融市場を二十一世紀に向けて国際的に見ても魅力と競争力あふれる市場に変貌させていく必死の取り組みを行っているさなかに、今回のような新税が導入されることは国策に逆行するものであり、とても看過できるものではないと大いに疑問を感じておるところであります。
そして私は、今回の新税が直接的には銀行のコストアップを招き、最終的には多くの国民、預金者や借り手等の利用者に転嫁されることを恐れるものであります。借り手にとって取引銀行の変更は容易なことではありません。とりわけ弱い立場の中小企業等の借入金利の引き上げは、せっかく回復しかかった景気に水をかけるものであろうかと思うのであります。
私は、東京市場のメジャープレーヤーである大手銀行をねらい撃ちするような今回の外形標準課税の導入は、金融ビッグバンのもとでニューヨークやロンドン並みの国際金融市場にまで地位を高めることを目指す東京金融市場の円滑な発展をも阻害する危険があると危惧するものであります。
時間の都合で一方的に私の考え方を申し上げましたが、自治省出身、知事経験者で地方財政の専門家でもある平林総括政務次官の御感想、御指導を賜って、簡単でございますが私の質問を終わらせていただきます。