京極高宣の発言 (国民福祉委員会)
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○参考人(京極高宣君) 社会事業大学の京極です。
児童手当のあり方に関しましては、政策的にもいろいろな面から検討しなくちゃならないと思っております。特に、我が国の社会保障全体の流れを申しますと、いわゆる低所得者対応から少子高齢社会対応へと大きく移っていることは言うまでもございません。ただ、全体としますと、社会保障はややもしますと高齢者対応ということで高齢化に向けた対応に力点がありまして、この点では少子化対応ないし児童に対する対応というのがややおくれていたかと思います。これは、国の方もそうでございますけれども、私ども学識経験者についても不十分なところがあったという反省もございます。
さて、特に子育て支援ということを考えますと、旧連合政権のもとで高齢社会福祉ビジョン懇談会が開かれまして、二十一世紀福祉ビジョンも出されました。その際、高齢者に対するいわゆる介護の社会的支援につきましては比較的合意が得られたわけですけれども、子育てに関しては個別問題ということで支援がなかなか認めにくい状況がございました。エンゼルプラン等は提唱いたしましたけれども、やはり今後のことを考えますと、二十一世紀に向けて子育ての社会的支援を行うということが非常に重要だというふうに思っています。これは社会哲学の問題でもございまして、やはり企業も含めて責任を持っていく。個別企業の中で賃金の中に単に家族手当を置くとかということじゃなくて、大きな意味で社会的な対応をするということが必要になってきているかと思っております。
さて、国際的に目を転じますと、先進諸国それぞれ少子高齢社会対応を行っているわけでありますけれども、大きく分けますと、北欧・イギリス型のように税に基づく社会扶助を中心とした国と西ヨーロッパのように社会保険を中心とした国がありまして、どちらかといいますと我が国は後者に属するというふうに思っています。
しかし、児童手当につきましては、これはなかなか位置づけが難しいところでありまして、企業が出している国もあれば、税金だけでやっているところもございます。ただ、いずれにいたしましても、子育て支援のために社会的に対応するという点では変わっていないというふうに思っています。
我が国の場合は、賃金、税制、社会保障給付、この三つの側面でそれぞれ児童に対する給付が入っているわけでございます。こういう三つそろっている国は日本ぐらいじゃないかと思うわけであります。おおむね、ヨーロッパでは税制上の扶養控除などをやめて児童手当を支給するというふうになっておりまして、ドイツなどは両方の選択ということがありますけれども、基本的にはそういう方向が出ているわけであります。
日本の場合は、特に国際的な潮流でもございますけれども、どちらかというと多子家庭に対する対応から子育て支援というふうに児童手当の位置づけが変わってきているわけでありまして、それに対する手厚さという点では、国会決議等におきましても附帯決議で必ず不十分だということが指摘されるということで、国の方も大変努力はしてきたわけでございますけれども、今日から見ますと、国が大変な努力をやってきたにもかかわらず、児童手当の総額のパイは必ずしも大きくならない。いろんなやりくりをしてきましたけれども変わらない。小さく産んで大きく育てるということであったはずなんですけれども、小さく産んで小さく育てていたというふうな感じもいたすわけであります。
今回は、私の印象では、特に義務教育就学前まで対象を拡大し、平年度ベースで二千二百億円ふやしたということ、児童手当の総額がほぼ倍増するということで、子育て支援にとっては非常にプラスであるというふうに思っております。扶養控除はどちらかというと逆進性がございまして、高所得、中所得の方には有利なんですけれども、低所得ないし中所得の低いところではなかなか効果がないという点で、私は非常に評価しているわけでございます。
これを赤字国債でやるとかなんとか、あるいは税金をうんと上げてやるというのであれば別ですけれども、今日の財政の厳しさの中でここまで来たというのは一つのステップとして画期的なことではないか。しかし、もちろん平成十三年度以降の抜本的な見直しということがございますし、またそこで大いに検討していただかなくちゃいけない課題があるかと思います。
特に、サラリーマンの場合はまだ特例給付がございますけれども、自営業者等は全くないということで、何か国民階層の中に子育て支援の手当に大分格差があるということで、これはいずれ何とかなくしていかなくちゃいけない。
ただ、今後の方向として見た場合は、社会的支援、社会的連帯ということを考えたときに税金だけでいいのかどうか。やはり企業も参加し、あるいは場合によっては二十歳から四十歳までの介護保険を払っていない階層に育成保険料みたいなものを取って新しい保険をつくることも一つの手ではないかと思っているわけでございます。
やはりこのような時代においては、痛みを分かち合って安心して子育てができる、そしてこれが一部分でございますけれども少子化にも多少影響が与えられるということになれば幸甚だと思っているわけでございます。
以上でございますが、また質問があればお答えしたいと思います。
ありがとうございました。