山本正和の発言 (本会議)
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○山本正和君 社会民主党・護憲連合を代表して、小渕内閣総理大臣及び関係閣僚に対して質問をいたします。
一昨年、小渕内閣発足の初の所信表明演説の中で、総理は、我が国経済の置かれているこの厳しい状況克服のために総力を尽くすと、こういう演説をされました。私はその演説に対して、我が国の持っている力、根源的な力は必ずこの困難を克服し得る、総理は十分にその力を尽くしてほしいという旨を申しました。また、その中で、野党との話し合いを謙虚に行い、少なくともこの困難を克服するための合意を得るように努力されたい、このことも申し上げました。
小渕内閣は、野党の提案を大きく受け入れて経済改革への道に出発したのでありました。修正案が成立いたしました。そして、発足当初はまさに謙虚で、人柄の小渕と、こういうふうな話も出たわけであります。
しかし、今日どうでありましょうか。自自連立から自自公連立へと、衆議院において七割を超える圧倒的多数の与党を背景に小渕内閣がさまざまな取り組みをしておりますが、その状況は、本当に議会というものを大事にしながら、民主主義を大事にしながら運営している姿と言えるのでありましょうか。小渕内閣発足当初のあの謙虚さはどこに消えたのか、この危惧を私は抱いているわけであります。
特に、今国会において、我が参議院における冒頭の審議を見たとき、この戦後五十年間の中でいまだかつてない事態が起こったのであります。それは、与党のみの席で趣旨説明をして、与党のみで採決をしたということが行われたのであります。
戦後、片山内閣のときに、当時、浅沼稲次郎議運委員長が中間報告を求めるという動議を行いました。時の自民党は野党でありました。まさに暴挙であるという厳しい指摘を浅沼議運委員長に対して行ったのであります。
しかし、そういうことの反省に立って長い間に、特に我が参議院は良識の府としての議会運営のさまざまなルールをつくってきたのでありました。しかし、今国会におけるような、野党が全く出席しない状況のままで説明を行い、動議をそのまま可決してしまう、こういう事態はいまだかつてないのであります。
私は、参議院というものが何をしなきゃいけないか、二院制度の中で参議院はどういう使命を持っているのか、このことについての長い先人の苦労、さまざまな歴代の私どもの先輩の苦労というものがどこかに消えていったような気がしてならないのであります。
私は、そういうことから、特に質問に先立ちまして、総理並びに特に参議院出身の官房長官のお二人に、参議院というものは本来この日本国憲法の中でどういう役割を果たさなきゃいけないのか、どうお考えなのか、そのことについてお二人の見解をまず聞いておきたいと思うのであります。
さて、総理の今国会における所信についてただします。
富国有徳という文字、あるいは教育立国、科学技術立国、さらには五つの挑戦、さまざまないい言葉が、フレーズがちりばめてあります。その演説について本当にいろいろと質問したいのでありますけれども、私に与えられている時間はわずかあと十数分しかありません。
まず、エネルギー政策についての質問からいたします。
アジアにおける経済大国日本、しかし、世界の経済大国と言われており、資源も経済力も非常に強いアメリカ、そのアメリカのクリントン大統領は、昨年八月、大統領令一三一〇一を公布いたしました。その中で、次のようにクリントンさんは言ったのであります。
バイオ製品とバイオエネルギーに関する現在の技術は、再生可能な農林資源を、アメリカも農業国であります、電力、燃料、化学製品、薬品などに変換し得る豊かな可能性を秘めている。
〔副議長退席、議長着席〕
これらの分野での技術進歩は、アメリカ農村部の農民、林業者、牧場主に対して新たなビジネスと雇用の機会を広げる。つまり、農林業の廃棄物に新しい市場が生まれて、未利用地に活用の道が開かれ、高付加価値の新たなビジネスができる。外国産の石油への過度の依存をなくし、大気汚染、水質の改善、洪水防止に役立つ。さらには、温室効果ガスの排出削減に寄与する。この観点から、バイオ製品とバイオエネルギーの国内における市場、国際市場におけるさまざまな活力を増すために、政府は全力を挙げて研究開発、民間部門下のインセンティブに関して国家戦略を策定する。
こういう大統領令を発したのであります。
しかも、クリントンさんは、その後のさまざまの場所でこういうことを言っている。
この取り組みは、地球温暖化の防止や発展途上国をバイオエネルギーの面から支援し、地球環境の改善と同時に、これらの、発展途上国であります、これらの国々の経済社会の安定に役立つことができる新たなアメリカからの提案である。しかも、アメリカの国民並びに二十一世紀の人類に対してクリーンなエネルギー以上にすばらしいプレゼントは、贈り物はないんですと、こういうことをクリントンさんが言っているのであります。
私は、クリントン大統領の政策をすべて支持する立場には立ちません。しかし、この大統領令に見られるように、政府の首脳が国民に対して極めてわかりやすく未来を明示して、しかも人類生存の問題にまでかかわってはっきりと明言する。この姿勢は、何といっても私は強い感銘を受けたのであります。
エネルギー問題というのは、今日我が国は、皆さん御承知のように、その九〇%が石油であります。外国から持ってこなければどうにもならない。この電気も消えてしまう。一番大変な問題なんです。
人類がこれからどうなるかという問題、それに対してアメリカは、大統領令をもってこれを出し、関係省庁を全部統合させ協議機関を配置する、強力な集中した力をもって二十一世紀のエネルギー問題に立ち向かおうとしているわけであります。
我が国は一体どうでありましょうか。この観点から私は、私見も交えながら小渕さんに質問をしてまいりたいと思います。
総理の所信表明の中にも地球環境への挑戦という部分があります。また、その他のところにも指摘があります。しかし、いずれも抽象的な言葉にとどまり、エネルギー政策への具体的な目標や展望は何ら提示されていないのであります。
さきの原子力防災法の改正の際に、原子力長期計画等の根本的な見直しと自然エネルギーの導入の促進に向けて早急に具体的な措置を講ずることという附帯決議がされました。一体、政府は、この附帯決議を受けて、その後どのような取り組みをしたのでありましょうか。これをぜひ総理から聞かせていただきたいのであります。
また一方、国会においては自然エネルギー促進議員連盟が現在結成されております。二百五十五名の党派を超えた議員の皆さんが参加をしているわけであります。愛知和男さんが会長です。加藤さんが事務局長であります。そして、この我が国のエネルギーは今のままではどうにもならない、そういう立場に立った勉強会をどんどんやっているわけであります。こういう状況も受けて、政府は今こそ大胆に政策を示すべきであります。日本のエネルギー問題に対する政府の見解が明示されなければならないと私は思うのであります。
我が国のエネルギー政策は、しかしながら原子力発電が大きく位置づけられている。しかし、先般来の事故の続出や、廃棄物処理の困難さ等さまざまな多くの問題が出てきております。プルサーマルについてもさまざまな問題があるわけであります。
私は、原子力発電を直ちにやめよという立場じゃありません。しかし、アメリカやヨーロッパでは原子力発電の新増設は全くないと言ってもいいのであります。逆に、現在ある原子力発電所を廃棄していこうという動きが行われている。そういう中で、我が国は原子力政策の中に、今から新しく二十基の原子力発電所をつくろう、こういう政策になっている。こんなことで果たしていいのでありましょうか。
これを見直して、既存原発はとにかく安全性の確保のために総力を挙げる、廃棄物の処理のために我が国はあらゆる技術を投入する、そして新しいクリーンなエネルギー、自然エネルギーの開発導入へ我が国も総力を挙げる、クリントンさんに負けぬぐらい小渕さんが総力を挙げると言えば、私もまた小渕内閣に対する見方が変わるかもしれません。
自然エネルギーの導入は、地球温暖化防止、大気、水、山林等の地球環境の維持、エネルギー安全保障、地球活性化、雇用拡大など多面的な価値があります。そして、欧州連合、EUでは二〇一〇年倍増計画を既に定めている。ヨーロッパもアメリカも、ともに高い政治目標を掲げて取り組もうとしているんです。
我が国は一体どうなのでありましょうか。この目標たるや、本年度予算に附属した資料で示されておりますけれども、まことに情けない限りの目標が出ている。自然エネルギー導入目標は、一次エネルギーに占める比率を二〇一〇年にはせめて一〇%にしよう、これぐらいの提案はされるべきだと思うのであります。こういうことについて、総理大臣、また通産大臣、そして環境に大きく影響するこの自然エネルギーという問題につきまして環境庁長官の見解を伺いたいのであります。
自然エネルギーの中で、バイオマスはアメリカ、風力はヨーロッパが大変進んでおります。しかし、我が国は太陽光、燃料電池の研究では世界の中でトップ水準にある、研究は。実用化のために総力を挙げれば必ずやれるのであります。そのことを指摘しておきたい。
過去三十年間に原子力発電の増設あるいは維持のために使われてきている予算は数十兆円を超えておる。我が国がもしこの自然エネルギー問題に年間一兆円の予算をほうり込めば、まさに世界のエネルギー需給に対して大きな革命を起こすことができる、世界に誇れる日本になると私は思うのであります。人類が今後二十一世紀に共存し生きていくために、我が国がこのことに力を挙げて取り組む、国策として高らかに宣言する、こういう政治意思の表明をぜひともやっていただきたい、こういうことを思うのであります。
憲法前文で言う国際社会において名誉ある地位を占めたい。我が国は立派な国だということを言いたい。ならば、せめてまずこの問題から取り組んでいただきたいと思うのであります。
時間が迫ってまいりましたが、教育について総理の見解をちょっとただしておきたい。また、文部大臣にもお伺いしたいのであります。
施政方針演説の中で総理は、二十一世紀を担う人々はすべて美しい日本語を身につけると同時に、英語で意思疎通ができ、インターネットを通じて国際社会の中に入っていけるようにする、こういうことを言っておられる。また、教育改革国民会議をつくる、さらには先生や親や子供の姿にまで触れて重要性を強調しておられるのであります。しかし、私は、今日の教育現場の置かれている実態、家庭での子供の状況から、どうしてもこの所信表明演説の文章がそらぞらしく読まれてならなかったのであります。
それはなぜか。政治の場が教育を語るとき、大変私は恐ろしい気がするんです。総理の表明演説の中にもあります。子供は大人社会を見ながら育つものである、こう言っておられる。政治の場にある者が子供たちに示すべきものは何でありましょうか。まず、みずからが政治家として真に国家国民のために尽くすその姿を示すことだと私は思うのであります。説教には子供はついてこない。
子供たちが将来何になりたいかと子供に聞いたところ、将来大人になったら政治家になりたい、こういう子供がほとんどいないのであります、今。この現実を私たちは振り返らなきゃいけない。二十一世紀に生きる子供に示すべきことは、政治家が常に自戒し、正しい政治の確立にまず努めることであります。それが何よりも子供たちに対する教育の指導であります。
そして、政府にやっていただきたいことは、教育条件の整備、三十人学級をやっているような、OECD各国にはないのです。そして、子供たちが本当に学校で学びながら未来が見据えられるような条件の整備、例えばIT革命時代と言われております、それにふさわしいような学校の設備になっておりますか。また、地球環境の問題がひしひしと感じるようなそういうものが学校に置かれていますか。
今、文部省でも、エコスクール等の増設に取り組んでおられる。そういうものにこそ一生懸命に予算を入れて、そして子供たちに夢を与えてやっていただきたい。総理並びに文部大臣に、まさに教育環境の整備についての見解を伺っておきたいと思います。
次に、対米関係についてただしておきます。
日米関係は、戦後五十年間、我が国外交の基軸であります。そして、その友好関係は今後も一層重要だと私は思います。しかし、国民の間にもありますし、私どもが一番心配しているのは、日本政府はアメリカとの間で堂々と我が国の主張、我が国の立場、国民の考え方をぶつけているのだろうか、これに対する懸念であります。ただすべきことをただしていないのではないか、我が国の主張をしっかりしていないのではないかという懸念がしてならないのであります。
それは、一九八〇年代からの経済問題、貿易摩擦、特許権問題、ダンピング、この前の金融、ハイジャックです、あれはまさに。そういうことに対して我が日本はどのような立場をとってアメリカに物を言ったのか、このことであります。
そして、一番象徴的にあらわされているのが今国会で昨日の衆議院、本日の参議院ともにありました沖縄問題です。依然としてまだ我が国はアメリカ軍占領下にあるという印象しかない。この状況の解決のために、私はまさに国を挙げて、国民のすべてがこれはおかしいと思っている。なぜこれをしなきゃいけないか、その問題についてアメリカ政府にきちっと主張すべきことを主張しているのかどうか、明確なひとつ総理の見解を、また外務大臣からの見解も伺っておきたいと思います。
また、アジア外交についても、この所信表明の中で私は評価したい部分がありました。それは、中国、韓国との三国首脳会談の記述でありますし、日朝間の対話促進による前向きの対応であります。こういうことを触れられた総理の演説は今までの歴代総理の中でなかったように私は思います。その面はひとつ一層取り組みを強化されて頑張っていただきたい、こう思います。
しかし、国民の間にある最大の関心事、北東アジアにおける平和の問題の最大の関心は、中国と台湾との台湾海峡の問題です。このときに我が国はどう対応するのか、これに対する国民の不安がある、私はこう思うんです。
我が国が第二次世界大戦で敗れて帰ってくるときに、ソ連は戦争が終わってから樺太を占領した。しかも、若い青年を、五十万という兵隊をシベリアへ連れていって労働にさらした。しかし中国は、毛沢東の軍政下にあったところも蒋介石の軍政下にあったところも、すべての日本人に対して、恨みに報いるに徳をもってせよという布告を発して、私もその一人ですが、温かい、本当にあの敗戦で、苦しい中の中国です、それでも在留日本人と軍人をほとんど温かく帰してもらっている国なんです。
こういう歴史の中で、私は一番心配なのは、もしも台湾海峡で有事があったときに、アメリカは条約を結んでいますから、言うことをやるでしょう。しかし、日本はそのことに対しては絶対に手を出しませんよということを私は言っていただきたいのです。アメリカが何をしようと、日本はそのことに対しては加わらないという決意を私は示していただきたい。それは、北東アジアの安定にとっても逆に極めて重要でありますし、アメリカの世界戦略に対しても我が国はきちっと物を申したことになると私は思うのであります。そういう意味から、総理のひとつ元気のあるこのことについての答弁を求めておきたい。
なお、最後に一つ申し上げます。
自民党とさきがけと社会党で連立内閣ができました。その連立内閣ができたときに、私は当時の村山総理に解散を進言したんです。しかし、解散をするということは逆に野党が反対した。改革つぶしかと、こう言って野党の追及も受ける中で解散ができなかった。
本来選挙によって選ばれたそれぞれの政党の分野がある。そこで改めて内閣をつくるというときには、つくって解散して、わずか二十日あればできるんですね。その二十日間の猶予を国民からもらって、民意に基づいて内閣というものは責任を持ってやっていくべきだと私は思うのでありますが、そのことを一昨年も申し上げました。今日、私は再度小渕さんに申し上げたい。
国民の間に深く横たわる政治不信の念を払拭し、議会政治への信頼を回復するために、一日も早い解散を決断されることを求めまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕