円より子の発言 (本会議)

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○円より子君 民主党・新緑風会の円より子です。
 質問に先立ちまして、北海道有珠山噴火により、いまだ仮の避難所で不安におびえ、疲労とストレスの多い生活を送られている七千人余りの方々が一日も早くもとの生活に復帰できるような対策がとられること、そして噴火が沈静化し被害が最小で済むよう祈念いたします。
 また、突然お倒れになり、今も危険な状態が続いておられると伝えられております小渕前総理の御回復をお祈りするものです。
 さて、私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました消費者契約法案について質問いたします。
 まず、消費者行政の目標と消費者の権利についてお尋ねします。
 我が国の国民は今、公正で自由な競争が行われる市場メカニズム重視の社会を目指して規制緩和・撤廃を中心とする構造改革の真っただ中に生きております。また、グローバル化、情報化に伴いまして、商品・サービスの多様化、複雑化が加速する中、私たち消費者にとって契約の重みは一段と増しております。しかし、ここで大事なことは、情報量でも交渉力でも事業者に劣る消費者は、自己責任ということを問われる前に不当な契約から守られる必要があるということです。
 先週の参議院本会議では、金融・証券三法の趣旨説明と代表質問が行われました。この金融サービス法は、御存じのとおり、金融商品が多様化、高度化する中で、悪質な販売、勧誘から顧客を守ることを目的としております。物の取引と違って、将来の収益を対象とした複雑で特殊な取引である金融取引に対象を絞った特例法と位置づけられております。
 さらに、来年の通常国会には、通産省がインターネット取引の返品、契約トラブルを防ぐ法案を出す予定と聞いております。この電子商取引は、お互い顔が見えず、形のない情報をやりとりするため、通常の取引にはないトラブルが多発します。本人の知らないうちに契約が成立したり、詐欺的商法や違法な薬物売買業者の横行も問題視されております。
 このように、私たち消費者を取り巻く状況は一時代前に比べ急速に変化しており、消費者政策、消費者行政はますます重要になってまいりました。
 海外に目を転じてみますと、EUの行政執行機関、欧州委員会の打ち出す消費者政策は、遺伝子組みかえ食品の表示義務づけ、インターネット上の個人情報の悪用規制といったぐあいに、次々とグローバルスタンダードになりつつあります。
 この欧州委員会では、二十一世紀に向けたアクションプランの中で、向こう三年間を消費者利益や市民のための消費者政策の時代と位置づけております。これについて大臣はどうお考えになられるか、大臣もまた消費者政策の時代との認識をお持ちかどうか、お尋ねいたします。
 ちなみに、欧州委員会の消費者政策担当者は、消費者行政の目標とは、企業と消費者を対等のパートナーとして扱い、企業の成功と消費者の満足とを両立させることであると明言しておられるそうですが、これについてもどう思われるか。私は、日本の消費者行政もこうあるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
 一九六二年、アメリカのケネディ大統領が特別教書で、安全である権利、知る権利、選ぶ権利、意見を反映させる権利とうたい、国際消費者機構は、この四つに加え、新たに次の四つの権利、生活の基本的ニーズが保障される権利、消費者被害者救済の権利、消費者教育を受ける権利、健全な環境の権利を唱えております。
 ケネディから四十年近くたった現在の日本で、この権利が守られているか、国際消費者機構の四つの権利が守られているか、堺屋大臣は胸を張ってイエスとお答えになることができるでしょうか。ぜひ、長官の考える消費者の権利とは何か、そして政府は消費者行政に今後どのように取り組まれるつもりか、御見解を伺いたいと思います。
 次に、法案を修正し、よりよいものにするお気持ちがあるかどうか、お伺いいたします。
 今回の消費者契約法ですが、残念ながら妥協の産物だと言われております。それは、首相の諮問機関である国民生活審議会が九四年四月に検討を開始してから約六年間、消費者保護の行き過ぎを懸念する業者側と広範な消費者保護を訴える消費者団体側のせめぎ合いが続いたからです。
 せめぎ合いの中で、事業者と消費者のバランスをとることに経済企画庁は腐心したと推測いたしますが、法律の目的はどちらにも当たりさわりのない内容にすることではなくて、これによりいかに現在起きている消費者トラブルの解決促進に役立てるかではないでしょうか。業界が受け入れやすい法案で妥協することではないはずです。
 大臣もそのことをわかっておられ、表向きは世界にも類を見ないほどの充実した法律と自賛なさっておられるようですが、事業者、消費者双方から批判を浴びて、結果的には中庸をとったと漏らされているとも聞いております。
 今からでも遅くありません。ぜひとも修正への努力をお願いしたいと思いますが、それについての御所見を伺います。
 次は、法律の内容についてです。
 まず、目的です。
 昨年十二月十日、民主党は政府案に先駆け、議員立法で消費者契約法を提出いたしました。民主党案は、事業者と消費者の間にある情報の質及び量と交渉力の格差解消を法律の目的としておりますが、政府案では格差のあることを認めているだけです。
 なぜ目的に格差の解消をうたわなかったのか。政府案の掲げるこの法律の目的についてまず伺います。
 さらに、修正なしのままこの法案が成立した場合に、消費者契約に関するトラブルは減少すると言えるのでしょうか。そのことについても大臣に伺います。
 次に、困惑または威迫等による取り消しについて伺います。
 政府案では、不退去監禁による取り消しについて、退去すべき旨の意思を示すことが必要だとありますが、そのようなことを消費者の側から言えない状況も多いのではないかと思います。民主党案では、「消費者の私生活又は業務の平穏を害し困惑させることその他消費者が合理的に判断することを妨げること。」も取り消し要件にしております。
 消費者の側も契約に対して意識改革を行うこと、言ってみればノーと言える消費者になることも当然必要だと思いますが、現時点ではまだ残念ながらそのような土壌は育っておりません。また、事業者側は、法のすき間を縫って消費者が退去の意思を表明できないような販売方法も考え出すことが予想されます。
 消費者を困惑または威迫させる行為に対して政府はどのような救済策をお考えになっているのでしょうか。
 次に、情報不提供による取り消しについて伺います。
 民主党案では、重要な事項について、正当な理由がある場合を除き、消費者が理解できる程度に情報を提供しない場合、取り消しできるとして立証責任を事業者の側に置いています。政府案では、重要事項につき消費者の利益となる旨を告げ、かつ不利益事実を故意に告げなかったことにより消費者が誤認した場合、取り消しできるとしてありますが、この立証責任は消費者にあります。
 大臣は、消費者にとって立証責任は著しく困難ではないと衆議院本会議で答弁なさっておられますが、情報の質量、交渉力に格差がある消費者が故意かどうかを立証するのは決して容易ではありません。本当は故意であるのに、うっかり説明し忘れたとする事業者に対し、消費者は故意であることをどのように立証できるのか、大臣のさらなる見解を伺います。
 次に、不意打ち条項について伺います。
 民主党案では、契約条項のうち、その類型、交渉の経緯が社会通念上異常であるため、その存在を一般消費者が予測できないと認められる場合は無効としておりますが、政府案にはその規定がありません。
 例えば、膨大な分量の契約書に小さな字で書かれていたことが契約の重要事項で、事業者がうっかり説明し忘れたとします。このようなケースでも、契約書を端から端まできちんと読まなかった消費者に責任があるのでしょうか。そうであれば、悪意の事業者は今後そのような契約の方法をどんどんとっていくのではないでしょうか。
 読売新聞がことし二月十九、二十日に実施した消費者問題に関する世論調査では、契約内容をすべて読む人は二四・四%となっております。これは消費者の側の問題でもありますが、詳細な契約条項をすべてきちんと読んで理解することを消費者に求めることは酷な話です。また、苦情を全く申し出ない人も一七%に上り、それは申し出ても解決しないと思っているなど、権利の主張に消極的な姿勢があらわれています。
 政府自身が業者に甘く、消費者の権利に厳しいと言われる現状では、人々の意識も低くとどまるのかもしれません。これについては子供のうちからきちんとした消費者教育が必要だと思いますが、政府として今どのように取り組まれているか、今後の取り組みも含めて文部大臣に伺います。
 次は、取り消し権の行使期間の制限についてです。
 政府案では、追認時から六カ月、契約締結時から五年を取り消し権の行使期間としておりますが、実際に被害を受けた人は、それに気づいてから迷った末にようやく相談に行くケースが多いのが実情です。相談に行くまでに六カ月が過ぎてしまうことも少なくないでしょう。民主党案では追認時から三年、契約締結時から十年と規定しております。大臣は民法の考え方をそのまま採用したとおっしゃっていますが、民法が規定された百二年前と現在とでは状況が大きく異なるのではないでしょうか。改めて根拠を伺いたいと思います。
 次は、見直し条項についてです。
 消費者をめぐるこれまでのトラブルを振り返りますと、訪問販売法や割賦販売法など個別の法律ができても、必ず法のすき間を縫って悪徳商法をしかける事業者が後を絶ちません。今回の消費者契約法も、これまで指摘した点も含め、近い将来必ず見直す必要があると考えます。
 長官は、経済社会の変化に応じて法律の見直しを行うのは当然で、あえて見直し規定を置く必要はないと衆議院本会議で答えていらっしゃいますが、見直しを行うのが当然とおっしゃるなら、消費者団体や消費者の実態について実際の相談を通じて最もよく知っている人々の要望どおり、この法案が消費者の権利保護として機能するよう見直し条項を入れるべきだと思いますが、重ねて御所見を伺います。
 さて、実効性確保のための施策についても伺います。
 この法律を実際に新しいルールとして確立するには、法律の趣旨と具体的な適用事例の徹底が必要です。消費生活センター、国民生活センターの相談件数は毎年増大しており、九八年度で約四十一万件、うち八割の約三十三万件が販売方法、契約・解約に関するトラブルだと言われております。しかし、被害に遭った人の大半がセンターを利用していないのが実情ですし、この法律とセンターのPRがぜひとも必要です。それについてもお答えください。
 一つ提案ですが、この法案のPRをし、相談窓口のあることが一般にたとえ知れ渡ったとしても、被害に遭った人が地域の消費生活センターなどに相談をしたとき、今回の消費者契約法で救われるような仕組みがきちんと整っていなければ意味を持ちません。
 現在、国民生活センター等では苦情・相談の分類が細かく分かれておりません。今回の消費者契約法の体系と合致しておりません。契約の申し込み、締結、取り消しなど、トラブルの発生段階に応じた苦情処理を行い、どのようなケースのトラブルがこの法案で救われるか、インターネット等を通じて気軽に確認できるような仕組みをつくるべきではないか。センターの項目類型と消費者が情報をすぐ得られるような開示システムの見直しについて、お考えをお聞かせください。
 次に、消費生活センターの拡充についてです。
 消費生活センターについては、自治体の予算削減で、特に都道府県レベルで縮小・廃止の方向にございます。せっかく法律ができても、その運用を行う現場の体制が充実していないと実効性が担保されません。消費生活センター等に対し経済企画庁としてどのような施策を講ずるおつもりでしょうか。
 以上、政府案の問題点を中心に質問いたしましたが、そうはいっても、今回すべての業種を対象に、適用除外を設けなかったこと、不当条項に一般条項が入ったこの法律は高く評価できるものと思います。それだけに運用に当たっては、各地の消費生活センターの拡充を行った上で、レビューをしっかりと行っていただきたいと思っております。
 消費者契約法の目指す趣旨が生かされることを心から祈り、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114715254X01820000419_009

発言者: 円より子

speaker_id: 24788

日付: 2000-04-19

院: 参議院

会議名: 本会議