堺屋太一の発言 (本会議)

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○国務大臣(堺屋太一君) 円より子議員にお答え申し上げます。
 まず、消費者政策の時代の認識についてのお尋ねがございました。
 消費者行政におきましては、従来までの事前規制による消費者の保護から、消費者と事業者との間にある情報力や交渉力の構造的な格差を考慮いたしまして、消費者、事業者に自己責任に基づいた行動を求められるような消費者のためのシステムを構築することが必要になっております。この意味で、これから御審議いただきます消費者契約法案もその重要な柱になるものだと考えております。
 また、これからは消費者行政がますます重要になる時代であると認識しておりまして、来年初めの中央省庁再編成後は消費者行政は内閣府の国民生活局に移ることになっておりますが、従来以上にその役割を存分に果たしていきたいと考えております。
 また、欧州委員会の消費者行政の見解についてお尋ねがございました。
 我が国の消費者政策の重要な柱となる消費者契約法は、消費者の利益の擁護とともに、予見可能性の高いルールができることによって消費者と事業者との間の信頼関係が増し、新たな経済活動や業態の創造が容易となり、活発化するための制度としてとらえております。このように、この法案の立法を含め、我が国の消費者政策は企業の成功と消費者の満足を両立させるものとして考えております。
 次に、アメリカのケネディ大統領の四つの権利に関するお尋ねがございました。
 これにつきましては、我が国において毎年行われております内閣総理大臣を会長とする消費者保護会議で決定される各般の施策を通じ、これまで実現されてきたものだと認識しております。
 また、消費者の権利とは、さまざまなものが挙げられますが、私は自由な選択が行われることが重要になってきていると考えております。こうした考え方に沿い、今回の消費者契約法案は、我が国では初めて消費者を定義し、消費者に具体的、実体的な権利を与える画期的なものであると思っております。
 消費者行政につきましては、今後とも消費者と事業者との間にある情報力、交渉力の格差を踏まえた上で、事業者、消費者に自己責任に基づいた行動を求め得るような消費者のためのシステムづくりに一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、法案修正に対する考えについてのお尋ねがございました。
 本法案は、御指摘のごとく、六年間にわたりまして幅広い関係者に御参加いただいた国民生活審議会において御議論の上、得られましたコンセンサスを条文化したものでございますが、本院においても十分な御審議と御理解をお願いしたいと考えている次第でございます。
 本法の目的についてのお尋ねがございました。
 法案の目的は、消費者と事業者との間に存在する取引に関する構造的な情報の質及び量並びに交渉力の格差に着目し、消費者に自己責任を求めることが適切でない場合のうち、消費者が契約の全部または一部の効力を否定することができるようにする場合を新たに法律で定めることにより、消費者の利益の擁護を図ることとしております。したがいまして、政府案と民主党案とは、その趣旨におきましても、目的におきましても、大差ないものだと考えております。
 また、本法案によりトラブルが減少するのかということについてお尋ねがございましたが、本法と同様の民事ルールである製造物責任法の施行後の状況をかんがみますとき、本法が施行されれば消費者トラブルが顕在化すること等により、消費生活センター等に寄せられている苦情・相談件数の一時的に増加することはあり得ると考えております。しかし他方で、消費者契約にかかわるトラブルについて公正かつ円滑な解決が図られるであろうと考えています。
 事業者の消費者を困惑または威迫させる行為についてお尋ねがございましたが、政府案においては、これらの行為は契約取り消しの対象となっておりませんが、民法の強迫や訪問販売法等に関する法律のクーリングオフの規定などにより消費者が救済される場合もあると考えております。
 政府案第四条第二項の「故意」の立証についてのお尋ねがございました。これは民法の詐欺における相手方を欺こうとする意思よりも程度の弱いものであり、間接事実の積み上げなどによって立証することが考えられると思っております。
 いわゆる不意打ち条項についてもお尋ねがございました。議員御指摘のような場面につきましては、本法案第二章における誤認類型や第三章の規定により相当程度カバーできるものと考えております。また、契約条項に関して法律行為の要素に消費者の錯誤があった場合には、民法第九十五条の錯誤の規定により意思表示は無効になります。こうしたことから、我が国の取引やトラブルの実態に照らして、不意打ち条項を規定する実益は乏しいものだと考えております。
 消費者の取り消し権の行使期間につきましてのお尋ねもございました。
 本法では、追認できる状態になってから六カ月間に取り消しの意思を通知すればよいということになっておりますが、具体的にこの期間をどの程度にするかにつきましては、国民生活審議会において検討が行われまして、学識経験者、消費者、種々の業種の産業界の代表など幅広い関係者の間で得られたコンセンサスどおり、「追認をすることができる時から六箇月間」「当該消費者契約の締結の時から五年」と規定したものであります。
 見直し規定についてのお尋ねもございましたが、経済社会の変化に応じて法律の内容を見直すことは当然のことであるため、見直しを法律上規定する特段の必要性はないと考えております。また、あえて見直し規定を置きますれば、現段階においても法律の内容が不適切であるとの印象を国民に与えかねず、適切ではないのではないかと考えております。
 最後に、本法案と国民生活センターや消費生活センターのPRについてのお尋ねがございました。
 消費者契約法の周知については、消費者契約法の逐条解説書、いわゆるコンメンタールを作成し、説明会の実施、さまざまな関係各界との連携体制の充実で、法の成立後できるだけ速やかにPRを行っていきたいと考えております。また、国民生活センター及び消費生活センターの周知については、五月の消費者月間を通じて積極的に広報活動を行うとともに、さまざまな出版物やインターネット上での情報提供等を利用し、両センターの周知に努めてまいりたいと考えております。
 国民生活センターの苦情・相談の項目類型についてお尋ねがありましたが、国民生活センターが有する苦情・相談情報、とりわけ契約に係るトラブルの情報について、一般消費者の参考に資するような公表方式等を検討してまいりたいと思っております。
 また、消費者が情報をすぐ得られるような情報開示システムの見直しについてのお尋ねもございましたが、現在、経済企画庁で運営しておりますホームページ「消費者の窓」を充実することにより、消費者が必要な情報をすぐ得られるような体制整備を図ってまいる予定でございます。
 消費生活センターについてのお尋ねもございました。
 都道府県の消費生活センターのあり方については、各都道府県において自主的に御判断いただくことでございますが、経済企画庁といたしましては、こうした消費生活センター縮小の動きが適切な苦情処理を妨げることがないように地方自治体に要請を行うとともに、今後とも国民生活センターによる研修、情報提供等による支援に努めてまいりたいと考えております。
 こうした点で、法律施行の段階で、さまざまな支援、レビュー等をしっかりとやっていきたいと考えている次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根弘文君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114715254X01820000419_010

発言者: 堺屋太一

speaker_id: 30364

日付: 2000-04-19

院: 参議院

会議名: 本会議