堺屋太一の発言 (本会議)
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○国務大臣(堺屋太一君) 水野誠一議員にお答えいたします。
まず、何をもって公正なルールとするかとのお尋ねがございました。
近年、規制が緩和されるに伴い、消費者の選択の自由が拡大する反面、消費者、事業者の自己責任もまた重みを増しております。しかしながら、消費者と事業者との間には、契約の締結、取引に関する情報の量及び質並びに交渉力に格差が存在するため、消費者に自己責任を求めることが適切でないという場合もございます。公正なルールには、このような場合に対等な当事者のルールである現行の民法に特例を設け、消費者が契約による拘束からの離脱を可能にする救済の手段を与えるものと考えております。本法案は、このような意味で公正なルールの策定をねらいとしたものと言えるでありましょう。
情報の偏在が進むという認識から、消費者教育政策の到達点についてのお尋ねがございました。
現在の日本の経済は、規制緩和や情報化の進展に伴いまして、商品や販売方法の多様化、複雑化が進んでいることは御指摘のとおりでございます。このため、消費者一人一人が豊かな生活を実現していくためには、早い段階から消費者としての基本的な知識を身につけるとともに、自己責任の意識を持ちつつ、主体的に行動し得る能力を培うように消費者教育に取り組んでいく必要があると考えております。
こうした認識のもとに、消費者契約の分野については、消費者取引に係る諸制度に関する基本的な知識、判断能力、あるいは契約上のトラブル解決能力を段階的、体系的に身につけるように消費者教育の体制の構築に努めてまいりたいと考えております。
高齢者に対する啓発についてのお尋ねがございました。
御指摘のとおり、現在我が国は、高齢化が急速に進展する一方で、介護保険制度の導入等に伴う新しいサービスもふえており、高齢者も契約を締結する機会がますますふえていくものと考えております。
このため、高齢者が安心して適切な選択ができるように、高齢者にも消費者契約法を含めた契約に関する適切な知識や消費者としての役割の理解を深めていただく観点から、いろんな媒体を通じて、できるだけわかりやすい方法を工夫しながら、適切な啓蒙活動に取り組んでまいりたいと考えております。
今後の消費者行政における政府の役割についてお尋ねがございました。
昨年七月八日に閣議決定いたしました「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」の中で示されているように、これからの政府の役割は、各人が好みによって製品やサービスを選べるように経済社会のルールを定め、これが守られるように監視し、生じた事故、紛争を適切迅速に処理することにあると考えております。
消費者行政におきましても、従来までの事前規制による消費者保護から、消費者と事業者との間にある情報力、交渉力の構造的な格差を踏まえた上で、事業者、消費者に自己責任に基づいた行動を求めるような消費者のためのシステムの構築が求められております。すなわち、従来からなされていた個別の財・サービスの特性に即したトラブルの防止策に加えて、包括的な民事ルールの制定が必要になっております。
こうした観点から、消費者安全の分野においては平成六年に製造物責任法が制定されたところであり、これに続いて消費者取引の分野において消費者契約法が立法されますれば、消費者安全と消費者取引におけるいわば車の両輪をなすことによって、総合的な消費者被害の防止・救済策の確立に資するものと考えております。
最後に、法律の実効性の確保についてのお尋ねがございましたが、消費者契約法案が成立いたしますれば、国会における御審議を踏まえつつ、消費者契約法の逐条解説、いわゆるコンメンタールの作成、有識者、弁護士会、消費者団体等と連絡体制を十分にとりまして、説明会の実施、消費者相談に携わる方々への研修の実施等によって、法律の実効性を確保するための各般の施策に努力したいと思っております。
また、さらなる改善の余地についてお尋ねがございましたが、本法案は、六年間にわたって幅広い関係者等に御参加いただきまして、国民生活審議会において議論していただいた上でのコンセンサスを条文化したものでございます。さらに、さきに出されました民主党案のすぐれたところも既に十分反映されているものと考えております。こうした経緯を踏まえまして、本院においても十分な御審議と御理解をお願いしたいと考えております。(拍手)