堀利和の発言 (本会議)
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○堀利和君 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました法律案につきまして、関係大臣に質問を行いたいと思います。
我が国では、一九七三年が福祉元年と言われております。同様に、私は一九九四年を国における福祉の町づくり元年と呼ばせていただいております。国における福祉の町づくりは、厚生省の身体障害者福祉モデル都市事業が七三年にスタートし、以降、関係事業が推進されてきました。当時のこうした施策は福祉施策として認識され、運輸省や建設省に働きかけても、それは厚生省の問題と突き放されてしまいました。
八一年、国際障害者年で高らかにうたわれた完全参加と平等やノーマライゼーションの理念は着実に私たちの社会へ浸透してきました。また、八〇年代後半には「電車に乗せろ」と障害者による行動も始まり、運輸省と直接話し合いを持つこととなりました。さらには、地方自治体が先駆的に取り組んできた福祉の町づくり条例制定の動きも全国に広がってきたのです。
これらの大きな流れを受けて、国もようやく動き出しました。九四年には、建設省で生活福祉空間づくり大綱の策定、ハートビル法の制定、運輸省では交通施設利用円滑化対策費補助金の創設及び財団法人交通アメニティ推進機構、現在の交通エコロジー・モビリティ財団の創設、厚生省もそれまでの事業を障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業に改め、大幅に拡充してまいりました。九四年がまさに国における福祉元年となったわけでございます。
そこで、まず建設大臣と運輸大臣にお聞きいたします。
今日でも福祉の町づくりやバリアフリー施策が高齢者や障害者のための福祉施策であり、厚生省が所管すべきとお考えではないと思いますが、こうした施策の意義と政策目標についてその御所見をお聞きしたいと思います。
九四年の国における福祉の町づくり元年に先立ち、九三年には運輸省において交通バリアフリー法の制定に向けた合意がおおむねでき上がりつつあり、そのことが運輸委員であった私のところに伝えられました。ちょうどそのころ私どもも法案大綱を準備していたところであり、この運輸省の決断には大変感激いたしました。ところが、その後運輸省からJRが反対しこの話はなくなりましたと報告を受けたのです。私のそのときの落胆がどれほどのものかお察しいただけると思います。それでも、運輸省がこうしたバリアフリーの施策に一般予算を初めてつけたことは極めて高く評価できます。
ところで、運輸大臣、これまで紆余曲折はあったものの、二十一世紀を直前に交通バリアフリー法が制定されるに至ったことは、超高齢社会を迎える我が国にとって至って意義深いものであると考えます。
そこで、お伺いいたします。
この間、予算措置及びモビリティ財団を通じて出された補助金等の施策において、その成果と限界はどのようなものでしたか。また、JRを初めとする交通事業者の対応はいかがであったでしょうか。お聞きしたいと思います。
さて、今回の交通バリアフリー法案をめぐっては、本法案と私ども民主党の高齢者、障害者等の移動の自由を確保するための法律案の両案が衆議院で審議され、よりよい法律を目指して切磋琢磨してまいりました。法律の題名からもわかりますように、本法案は移動の円滑化の促進として設備整備法の内容になっており、一方、民主党案は移動の自由を確保するとして、どちらかといえば権利性を強く意識したものになっております。
そこで、運輸大臣にお伺いしたいと思います。
フランスでは、交通基本法において国民に交通権を認めているところです。また、アメリカやイギリスでは、個別法での交通権を定めた法律はないものの、障害者関係の法律において権利性を明確にした上で差別禁止をうたっております。我が国でも、障害者基本法の第三条「基本的理念」において権利性を明記しております。運輸大臣は、このような権利性についてどのようにお考えか。また、本法案にそれを反映させるつもりはなかったのでしょうか。お伺いしたいと思います。
次に、法案の対象者についてお伺いします。
本法案においては、その対象の定義は高齢者、身体障害者等となっております。民主党案では、高齢者、障害者等としながらも、その対象をより広い概念で移動制約者としていたところでありました。
私は、九二年の運輸委員会において、交通弱者という文言ではなく、また障害者と対象を限定するのでもなく、モビリティーハンディキャップ、すなわち移動制約者との概念でとらえるべきと指摘いたしました。その後、運輸省内においても行政上移動制約者という文言が使われ、そのような認識に立ってこられたと思います。
なぜ本法案ではこの移動制約者という概念を盛り込まなかったのか、運輸大臣にその理由を伺いたいと思います。
私は、本法案の対象を移動制約者とすることは極めて重要だと考えています。
一つには、高齢者、身体障害者と限定することで、多額の予算や事業者負担が特定の者のためだけに使われてよいのかという批判の声が上がらないとも限らず、それは高齢者、障害者が社会のお荷物として認識され、大変生きにくい環境をつくってしまうおそれがあるからにほかなりません。
二つには、移動制約者の中には妊産婦、バギーを引いた親子連れ、大きな旅行かばんを持った頑強な若者も含まれていることです。いわば、すべての国民に開かれた普遍的な概念であるからです。私はこの視点が最も大切であると思います。
バリアフリーと並んでユニバーサルデザインとかユニバーサルサービスという概念があります。これは、バリアフリーよりももっと根源的であり、わかりやすく言いますと、設計の段階からすべての人が同等に利用できるものにするという概念であります。
運輸大臣並びに建設大臣はこの視点をどのようにお考えか、お示しいただきたいと思います。
これも、私が運輸委員会に所属していた九一年、新潟県のJR越後線小針駅で車いす生活の方が定期券の販売を拒否された事件のことでした。この小針駅は駅員一人で、改札口の前には十数段の階段がある駅舎でした。JR東日本の説明では、駅員一人で毎日の利用に対応できないというものです。しかし、幸いなことに、反対側のホームはその外を通っている道と段差がなく、そこのさくに出入りできる扉をつけて、駅員一人でも対応できるように改善されました。
私は、この経験から、一つ一つの駅についても利用者や事業者、自治体関係者で協議し、知恵を出し合えば不可能が可能となることもあり得ると確信いたしました。
また、先般公表された交通エコロジー・モビリティ財団の鉄道ターミナルのバリアフリー度調査報告でも、視覚障害者用点字ブロックが誤った方法で敷設されていたり不十分であったことが明らかになりました。
そこで、運輸大臣にお伺いしたいのですが、本法案に定められた国の基本方針や市町村の基本構想に利用者の声をどう反映させるか、お聞きしたいと思います。
視覚障害者は、交通機関を何とか利用できます。しかし、ホームからの転落事故は後を絶ちません。ここ十年間でも死亡事故は十五件に上っているわけです。常に生命の危険にさらされています。
例えば、ドイツでは駅などに常駐して移動制約者のサポートをする交通ボランティアがあります。日本でもこうしたシステムを検討すべきと思いますが、運輸大臣はいかがお考えでしょうか。
いよいよ介護保険制度がスタートし、高齢者の通院や日常生活支援の移送サービスも今後ますます期待されます。そこで、ドア・ツー・ドアのスペシャル・トランスポート・サービス、STSの充実が不可欠と思われますが、残念なことに本法案にこのことが全く言及されていません。運輸大臣、STSについてどのようにお考えか、その御所見をお聞かせください。
最後に、民主党・新緑風会も私も、だれでも、いつでも、安全に利用できる公共交通システムを一日も早く確立することをお誓い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣二階俊博君登壇、拍手〕