阿部幸代の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○阿部幸代君 私は、日本共産党を代表して、一九九八年度決算及び当面する諸問題について、関係大臣に質問いたします。
 まず、初めに、森総理の神の国発言についてであります。
 国民の怒りと不信が高まる中、総理は、二十六日に神の国発言についての釈明記者会見を行い、意を尽くさぬ表現で誤解を与えたことを陳謝しましたが、発言自体は間違っていないとして、撤回するとは最後まで言いませんでした。
 日本の国は天皇を中心としている神の国とした総理の発言は、国の中心が天皇だという点でも、日本がそもそも神の国だという点でも、天皇の地位を神の国と結びつけた点でも、天皇主権、神国日本という戦前の日本の国論を述べたものです。どんな釈明をしようとも主権在民の日本国憲法と絶対に相入れないもので、誤解が生じる余地はありません。首相失格であることは明白です。
 さらに、こうした総理を、党首討論も予算委員会の開会も拒否した上、総理の説明で問題ないと無批判に容認する政府・与党には共同の責任があります。国の内外で大問題になっても、誤解を与えたと陳謝するだけで、発言を撤回しない総理の態度をあくまで容認するのですか。官房長官の明確な答弁を求めます。
 九八年度決算の最大の特徴は、景気回復を名目に、補正を含め、大量の国債を発行し、公共事業を野方図に拡大させたことでした。その結果、景気回復どころか、財政破綻は深刻化し、社会保障や文教予算など国民生活関連予算の切り捨てが進みました。
 そこで、具体的に質問いたします。
 青少年による凶悪な犯罪が相次ぎ、多くの国民は胸を痛めています。人の命を大切にする教育が必要なことは言うまでもありません。
 この点に関連して、総理は、教育勅語はよいことも言っている、中には普遍的真理もあるなどと繰り返し述べていますが、文部大臣も同じ認識ですか。まず伺います。
 教育勅語は、一たん緩急あれば、つまり戦争など危急に際しては天皇のために命を犠牲にすることを最高の道徳とした天皇の臣民のための道徳です。命の大切さとか人権、平等などの精神は全くありません。だからこそ、戦後の国会で排除・失効決議が行われたのです。子供に命の大切さを教えるために教育勅語を持ち出すなどということは絶対に許されません。
 今必要なことは、人間の命、互いの人格と権利を尊重し、みんなのことを考える、また真実と正義を愛する心と、一切の暴力、うそやごまかしを許さない勇気を持つなど、憲法と教育基本法に基づく市民道徳を育てる教育ではありませんか。文部大臣の明確な答弁を求めます。
 また、文教予算の増額を求められているにもかかわらず、一般会計に占める文教予算の比率が一九七〇年代の一〇%台から今では六・九%にまで落ち込んでいるのは問題です。抜本的に増額するべきではありませんか。
 さらに、文部省の教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議の報告を受けて、文部大臣は、現在の四十人学級を変えない方針を発表しましたが、世界では常識となり、国民の切実な要求となっている三十人学級に背を向けるのは道理がありません。一人一人の子供と心通わせる教育のために、今こそ年次計画を立て、三十人学級の実現に踏み出すべきではありませんか。はっきりとした答弁を求めます。
 次に、九一年十二月に、当時の宮澤首相から官邸に呼ばれ、三百万円を受け取ったという中村元建設大臣の供述についてです。
 この供述は、ゼネコン汚職で、埼玉土曜会の談合告発を見送るように依頼され、一千万円のわいろを受領したとしてあっせん収賄罪に問われた中村被告の控訴審の公開の法廷における任意の供述であるだけに、極めて信憑性が高いと考えるのが常識です。中村被告は、宮澤首相からお金の趣旨について説明はなかったと言います。しかし、独禁法の罰金引き上げについて党内の状況を説明し、宮澤首相から取りまとめをよろしく頼むと言われ、独禁法の罰金引き上げをうまくまとめるようにとの趣旨だと思ったと述べています。独禁法の改定をめぐってお金のやりとりが首相官邸でなされたとすれば、事は重大です。
 そこで、伺います。
 大蔵大臣は、国会で、そういう記憶はない、調査するつもりはないと答弁した翌日、今度は、金を渡したことは一切ないと断言するようになったのはなぜですか。はっきりとした答弁を求めます。
 当時首相で、九八年以来大蔵大臣という要職にある宮澤蔵相の疑惑だけに、ゆるがせにできない問題です。否定をするなら、それだけの根拠を示さなければ疑惑は晴れません。みずから可能なあらゆる調査を行い、国民に納得のいく説明をするべきではありませんか。
 次に、景気回復の問題にかかわって質問いたします。
 まず堺屋経済企画庁長官に伺いますが、今月十一日に発表した昨年十月から十二月期の国内総生産の第二次速報値について、金融機関の設備投資額の実績値がマイナス三八%と、第一次速報値で使用したマイナス三%の実績見込み値を大幅に下回ったにもかかわらず、なぜマイナス三%の数値を使ったのですか。
 堺屋長官は、これまでも盛んに設備投資の伸びを理由に景気回復をアピールしてきましたが、今回は、無理やり国民に景気回復を印象づけるために、都合の悪い数字をわざと隠したのではありませんか。明確な答弁を求めます。
 報道によると、政府税制調査会が六月末をめどに取りまとめる中期答申で、将来の消費税率引き上げの必要性を国民に明示して、現在の五%から一〇%に引き上げる案が有力とのことです。政府は将来の消費税増税を考えているのですか。また、昨年十月の自自公三党の連立政権合意では、「消費税を福祉目的税に改め、」「社会保障経費の財源に充てる。」としていますが、この三党合意に基づき、消費税の増税が計画されているのではありませんか。
 消費税増税は、国内総生産の約六割を占める個人消費を冷やし、景気回復の足を引っ張ることは、橋本内閣が九七年四月、消費税を三%から五%に引き上げたことが消費不況の引き金となったことからも明らかです。総務庁の調査では、個人消費はこの十年間で五%も落ち込んでいます。景気回復のためには、消費税増税などもってのほかで、消費税減税こそ実施すべきではありませんか。大蔵大臣と官房長官の答弁を求めます。
 最後に、個人消費を拡大し、景気回復を進めるためにも、今こそ予算の中心を公共事業から国民の暮らしや社会保障中心に転換するべきです。このことは、今日、国、地方の債務残高が六百四十五兆円にも上るという深刻な危機にある財政を再建の軌道に乗せていく上でも、避けて通れない課題です。このことを強く主張して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114715254X02920000529_017

発言者: 阿部幸代

speaker_id: 30672

日付: 2000-05-29

院: 参議院

会議名: 本会議