山岡賢次の発言 (本会議)
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○山岡賢次君 自由党の山岡賢次でございます。
質問に先立ち、有珠山噴火や伊豆諸島の地震により被災されました方々に対して心よりお見舞いを申し上げるとともに、政府に対して引き続き万全の措置を講ずるよう強く求めるものであります。
自由党を代表して、森総理大臣の所信表明演説並びにサミット報告に対して質問をいたします。
一言で言えば、この所信表明演説は、リーダーとしての将来のビジョンを欠き、ただ個別の懸案を並べ立てただけで、総理としての資質を疑わせるものであります。(拍手)
他のことに先立ちまして、辞任された久世公堯金融再生委員長の問題について、まず森総理にお伺いをいたします。
三菱信託銀行は、平成十一年に三千億円の公的資本の注入を受けております。資本注入を受けた銀行から利益供与を受けていたにもかかわらず、金融再生委員長に就任させたことは言語道断であります。しかし、総理は二十八日に、基本的に何ら問題はないと述べておられます。自民党的体質がしみ込んだようなこの総理の感覚こそが問題なのであります。
そもそも、宗教法人、マンション業者等、候補者の関係団体からの多数の資金や名簿の提供を受けなければ参議院比例区選挙に立候補できない、こういうところに自民党の政治腐敗体質の根本原因があると言わなければなりません。久世金融再生委員長が辞任されればいいという問題ではありません。任命権者である総理の責任には重大なものがあると言えます。
また、後任の相沢英之金融再生委員長を初め全閣僚に同様の利益供与が行われていないかどうか、徹底的に調査して、早急に国民の前に明らかにすることが、総理がまずおとりになるべき責任であると考えます。総理の御答弁をお願いいたします。
それでは、政治姿勢についてお伺いをいたします。
さきの総選挙で、与党三党は、三百三十一議席から二百六十九議席へと大きく議席を減らしました。連立政権が国民から信任されたとは到底言えない状況の中で、特別国会は首班指名と内閣改造を行っただけで、野党の求める所信表明演説や予算委員会での集中審議を拒否したまま、開会式のその日に特別国会を終了させるという、国民に対して極めて不誠実な対応をとったのであります。
森内閣には、民意を厳粛に受けとめ、反省して出直そうという姿勢も、また、新内閣が二十一世紀に向けてどのようなかじをとっていくのか、その理念も意気込みも感じることができませんでした。
来年一月の中央省庁再編という課題は、強い政治のリーダーシップがあって初めて可能になるものであります。自由党が強く主張して小渕前総理が受け入れられた、これまでの官僚優位を思い切って政治主導に変えようという仕組みの見直しに当たり、中央省庁再編に取り組む本格政権をつくるべきであったと考えますが、今の内閣に官僚優位の体制を覆すだけの力量があるとお考えか、総理の率直な御答弁をいただきたいのであります。
本年四月、小渕内閣の総辞職によって、自自公連立政権は自然解消されました。その後成立した自公保連立政権は、安全保障政策、地方分権政策、また消費税の福祉目的税化など自自公三党合意をそのまま継承するとしていますが、これはすべて、自民、公明両党が自由党に対して実現不可能だと明言した政策であります。実現できない、あるいはやる気がない政策を合意と称しているのは、自公保が単なる数合わせにすぎないことを如実に示しております。
また、自自公三党合意では、経済運営について、平成十二年度は景気刺激型予算とし、十三年度以降は、民需主導の自律的成長軌道に復帰したことを確認するまで、景気、財政中立型予算とすることを合意しておりました。ところが、総選挙が終わった途端、政府・与党の首脳から財政再建最優先路線への回帰を思わせる発言が相次いでおります。国民負担増による財政再建を目指そうとしているのか、今後の経済財政運営について明らかにしていただきたいのであります。
総理は所信表明で、日本新生プランの実現を訴えられました。しかし、その演説にも、総理の政治理念と改革に向けた意欲は全く伝わってまいりません。財政首脳会議、産業新生会議、IT戦略会議、教育改革国民会議と、改革の方策はすべて会議にゆだねる手法をとり、目先の来年度予算に新鮮味を出そうとして、日本新生特別枠あるいは都市新生枠の新設などを打ち上げる姿勢は、結局のところ、予算編成におけるばらまき体質を露呈させただけであります。
森総理が総選挙中に打ち出した公約である中高一貫教育の推進、中央省庁外局の地方移転などの構想についても、本質の考え方のないままに検討課題にとどまっていることを見ても、森内閣は、政権維持そのものを目的とした問題先送り内閣、いや、改革後戻り内閣にほかならないと言わざるを得ません。
今、日本は国家的な危機にあります。
今までの政治は、すべてお役人任せでした。これが、構造改革が進まないこと、そして日本に志、目標がなくなってしまっていることにつながっており、今日の日本の停滞の最大の原因となっているのであります。
日本は、戦後一貫して経済発展を国家目標に掲げ、それに専念してきました。その間、政権を担当してきた自民党に代表される戦後政治は、経済発展による利益の配分に終始してきたのであります。日本が経済大国となったにもかかわらず、政治はそれにかわる新たな目標を国民に提示できず、いまだに旧来の利益配分システムの維持にきゅうきゅうとしているのが現実であります。
また、戦後政治が置き去りにしてきた教育や地域共同体の崩壊は、少年犯罪の凶悪化に象徴されるように、もはや社会経済の根幹を揺るがすまでになっております。日本経済の再生は、グローバル化に対応し得る人材の育成と構造改革なしには不可能であるにもかかわらず、いまだに手つかずの状態であります。
少子高齢化が進む将来を展望すれば、社会保険方式から消費税方式への転換なしには、基礎的社会保障制度の崩壊は目に見えております。
さらに、アジアでは依然として政治、軍事、経済面の不安定要素が多く、国内では大規模災害が相次いでおります。これ以上、安全保障、危機管理等の体制確立を放置し続けるならば、二十一世紀の日本は存立そのものが危うくなるのであります。
私たち自由党は、これらの戦後政治に決別をいたします。戦後政治を代表する自民党は、今のままでは歴史的役割を終え、新しい時代を担うことなどできないのであります。(拍手)
自由党は、新しい二十一世紀に向かって、自由で創造性あふれる自立国家を日本の新しい国家目標に掲げます。それによって、方向性を失い、混迷のふちをさまよっている日本を立て直し、二十一世紀の平和と繁栄の基礎を築き上げてまいります。
それは、日本の心と誇りを取り戻し、官僚の支配から解き放たれた、自由で公平な開かれた社会を築き上げることです。そして、自立した個人の集合体としての自立国家日本を目指します。これが我々自由党の主張する日本一新であります。
政治の仕組みとしては、自由主義思想に基づく議会制民主主義の定着を意味しております。また、経済の面では、これこそが経済の構造改革そのものであり、規制社会からの脱却なくして日本経済の真の再建はありません。森総理に御所見があればお伺いをいたします。
以下、当面する政策課題について、総理の御所見をお伺いしてまいります。
そごう問題についてであります。
総理、日本は議院内閣制の国です。政府・与党は一体であり、与党は政府の責任者であります。たとえ金融再生委員会といえども例外ではなく、まして委員長は与党自民党の国務大臣であります。本来、政府の決定を与党が批判したり覆したりすることはあってはならないのであります。
金融再生委員会は、一度は債権放棄による私的整理を決定いたしました。自民党の亀井政調会長は、最大与党の政策責任者として、債権放棄による私的整理を一たんは承知していたはずであります。その決定を、野党、国民の批判に恐れをなして、亀井政調会長みずからが簡単に覆してしまったのであります。
政府・与党の対応は、まさに支離滅裂であります。このようなことが行われては、国内外の経済界は、今後、同様の事例に対してどのように対処すべきか当惑することになり、自民党政治は、やはりルールに基づく行政ではなく、一私企業に対して恣意的に介入する、極めて不透明、不明朗な手法であると感ずるに違いありません。旧来の体質が全然改まっていないことが改めて明らかになったのであります。
そもそも、民主、公明、自由の三党が共同提案した金融再生法原案は、破綻金融機関を清算するための法律でありましたが、自民党は、野党案丸のみと称して巧妙に修正を行い、破綻金融機関を救済できる法律に変えてしまいました。
私ども自由党は、破綻金融機関は救済すべきではない、清算するべきである、破綻金融機関を救済してしまえば、その借り手は、健全であろうと不健全であろうと、規模の大小にかかわらず、すべて救済するということになってしまうと主張をして、金融再生法案の修正案に反対をいたしました。今日のそごう問題は、自由党が二年前に指摘していたとおりの事態になっているのであります。
瑕疵担保特約という、債権の価値が下がった方が得をする、つまり借り手が倒産をした方が新生銀行にとっては利益になるという、世にもまれな契約を結んで無理やり長銀を譲渡した以上、今度は国が債権の買い取りを要請されるに違いありません。
森総理にお伺いをいたします。
自民党の野中幹事長は、金融再生法の改正に言及をしておりますが、今さら金融再生法のどこをどのように直せば国民負担が解消されるのでしょうか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
国が債権を買い取ってしまえば、債権者が国である以上、今後は、借り手に対する債権放棄による私的整理はあり得ず、すべて法的に整理をせざるを得ないのではないでしょうか。債権放棄方式が復活することはあるのでしょうか。現在、瑕疵担保特約によって新生銀行から買い戻しを依頼されている債権の金額は幾らなんでしょうか。また、資産査定時にそごうと同じ要注意先債権であったものを含めて、今後、買い戻しによって国民の負担になると予想される債権の額は幾らあるのでしょうか。
また、金融再生委員会は、日債銀の譲渡を一カ月延期いたしました。譲渡契約は既に結ばれておりますが、契約内容、特に瑕疵担保条項を変更することはあるのでしょうか。また、譲渡契約が御破算になったときには、日債銀はどのように処理するおつもりなのでしょう。国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
次に、中尾栄一元建設大臣の受託収賄事件についてであります。
肥大化した省庁の権限、財源に群がる政官業癒着の利権構造が全然改まっていないことが、またもや明らかになりました。中尾事件は、自民党が長年にわたって築いてきた利益誘導政治そのものであります。まじめに努力した人よりも、政治家や役人に陳情したり、裏で手を回し働きかけた人が得をする陳情政治、陳情行政にこそ問題があります。この構造を改めない限り、政治家、官僚にまつわる不祥事は今後も後を絶つわけがありません。
我々自由党は、フリー、フェア、オープン、すなわち自立した個人がみずからの責任において自由に活動ができる透明度の高い社会をつくることを主張しております。つまり、陳情政治や利権政治の温床となっている今日の裁量行政の仕組みを土台からつくりかえることであります。
行政改革の本質は、規制の大幅な撤廃にほかなりません。同時に、縮小した権限を地方に移譲し、国、地方を通じて効率的で簡素な政府を実現することであります。公から民間へ、中央から地方への考え方を基本にして、権限、財源の縮小と移譲を図り、効率的な政府を実現することであります。これによって初めて、従来の事前指導型の裁量行政から事後チェック型のルール行政への移行が可能になります。
公共事業に関して言えば、具体的には、国の個別事業補助金は廃止をして、一括交付金として地方自治体に交付をし、真に必要な事業が地域の実情に応じて効率よく行われるようにすること、そして、公の入札に政治家が関与することを厳罰をもって禁止する入札干渉罪の制定であります。森総理に御所見があればお伺いをいたします。
次に、九州・沖縄サミットの報告に関連してお伺いいたします。
議長を務めた森総理は、首脳宣言採択後の記者会見で、二十一世紀を迎えるにふさわしいサミットとすることができたと総括されたと聞いておりますが、何をもってそのように総括をされたのか、耳を疑わざるを得ません。
また、森総理の所信表明演説でのサミット報告は、本当の議論のポイント、問題点を何ら示しておりません。
第二次世界大戦最後の激戦地である沖縄を選んだ故小渕前総理が、沖縄サミットを、二十世紀から二十一世紀への節目となる年に、戦後五十年の経過を反省し、二十一世紀を展望する平和サミットとしたいと準備をし、その時と舞台を整えたにもかかわらず、平和に対する歴史感覚を持った深い政治的討議を議長国としてリードしたとは到底言えるものではないのであります。
安全保障なくして平和なし、抑止なくして対話なしと言われますが、平和と安定に向けての協調と将来像を政治主導で各国が分かち合うことが何よりも重要だったはずであります。しかし、その内容には失望せざるを得ません。
日米首脳会談では、政府間の交渉に期待する沖縄県民の目の前で行われたにもかかわらず、沖縄米軍基地の縮小、撤去について、従来の方針が確認されただけで、何の進展もありませんでした。不退転の決意を持って米国政府との折衝に臨み、県民の声にこたえる方途を米国との間に見出すのが日本政府の責務だったのではないでしょうか。
朝鮮半島問題を議題としながら、北朝鮮のミサイルや拉致問題がいかに日本国民にとって重要なのかを理解させることもしませんでした。また、陰の主役は中国と言われながら、中国、台湾問題は議題にさえせず、核兵器廃絶に向けた議論も行われることもなく、特にNMD、全米ミサイル防衛問題では、事前に各国の意見の対立があるのを知りながら、何の具体的前進のための努力もありませんでした。
経済問題についても同様であります。
世界貿易機関、WTOの次期貿易交渉についても先送り、途上国の重債務救済についても具体的な進展なし、遺伝子組み換え食品の安全性についても事実上先送り、人間の全遺伝情報、ヒトゲノムも妥協的表現でお茶を濁す結果となったのであります。政府が交渉の目玉と位置づけていたITについては、憲章の形で指針が示されたものの、具体的取り組みはすべてこれからで、はっきりしているのは、来年のイタリア・ジェノバ・サミットまでに具体的な方策の検討結果を報告することだけであります。
サミット議長国としてこのような対応しかとれなかったのは、我が国自身に明確な外交、安全保障政策の理念、方針がないからにほかなりません。政治が主導すべきサミットを、森総理のサミット終了後の記者会見の態度が明瞭に示しているように、官僚の原稿を棒読みするだけの官僚サミットとしてしまった責任は大きいと言わなければなりません。(拍手)
以下、外交、安全保障問題についての政府の見解を具体的にただしてまいります。
沖縄基地問題についてお伺いいたします。
稲嶺沖縄県知事が米軍普天間基地の県内移設の条件とした十五年の使用期限や民間との共用化について、安全保障政策の見地から、これを政府としてはどのように認識して、米国とどのように話し合っていこうとされているのか、総理の明確なお考えをお示しいただきたいのであります。
次に、北朝鮮問題についてお伺いいたします。
北朝鮮との間には、弾道ミサイル問題や日本人拉致問題など、我が国の安全と主権にかかわる重要問題が依然として何の進展もないままに放置されております。先日の日朝外相会談でもこの問題を具体的に指摘しなかったと言われておりますが、北朝鮮に誤ったメッセージを伝えるおそれがあります。サミットの結果を受けて、これらの問題に対する政府方針に変更があるのか、国交正常化に際して、米支援の前提として、問題解決に当たって毅然たる姿勢を貫くのか、総理の御見解をお尋ねいたします。
次に、ロシア関係についてお伺いいたします。
九月三日からロシアのプーチン大統領が訪日され、平和条約交渉が話し合われるということになりますが、サミット終了後の森総理とプーチン大統領との会談で、最大のテーマとなる北方領土問題の解決を含む日ロ平和条約交渉について、私たちは慎重に一貫して着実に前へ進む必要があると述べ、平成九年のクラスノヤルスク合意で目標として定められている年内締結の先送りを強くにじませたと言われております。また、自民党の野中幹事長は、北方領土問題の解決を前提とせずに日ロ平和条約交渉を進めるべきとの考えを示したと報ぜられております。
これらは、ここ数年前進を続けてきた両国関係を後退させ、我が国の基本方針を変更させるものであります。森総理の御意見をお伺いいたして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕