宮澤喜一の発言 (決算委員会)
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○国務大臣(宮澤喜一君) 冒頭に、御審議の背景になります十年度予算をめぐる問題について御指摘がございまして、まだそんなに日にちがたっておりませんのに御指摘のように大変大きな経済にも財政にも変動がございましたために、御記憶になかなか十分に曲折を鮮明にしていただくのにやや問題が困難のある年でございましたので、簡単にそれを申し上げた方が御審議の便になるかと思いますので、お答えを申し上げます。
平成八年度ぐらいには我が国の経済は好調をたどるような何となく予測がございまして、現実に平成八年度の実質経済成長率は四・四%でございます。そういう背景の中で、時の内閣は、これは今や財政の構造改革をすべきであるという判断、世論にもそういうことがございましたわけでございますが、したがって経済は好転しているという判断のもとに平成九年度におきましては財政の構造改革のためのいろいろな手が打たれておりまして、現実に消費税の引き上げでありますとか、特別減税が今までございましたのをやめる、また医療保険の改革、負担の増といったようなことを財政としてはいたしまして、いわばこれで九兆円の引き上げになったというふうに言われたのが、それがその平成九年の前半に何となく考えられており、また遂行されてきた財政であったわけでございます。
しかるところ、御記憶かと思いますが、その年の七月にタイ、インドネシア等々の、七月を初めといたしまして通貨危機が始まりまして、そして十一月になりますと三洋証券が会社更生法の適用を申請した、あるいは北海道拓殖銀行、山一証券、これはもうお互いが覚えておりますが、それがその年の十一月でございますので、最初政府が考えておりました経済あるいは財政の方向というものと全く逆の問題が年の途中で起こってまいりました。
したがいまして、政府・与党の間でもそのような対応をせざるを得ない、年末にかけまして。たしかお正月の十二日か何かに国会をお願いいたしまして金融措置などの御審議をいただいたわけですが、そういう状況でございますので、政府としても十年に入りましてからいわば従来の経済政策というものを転換せざるを得ない、しかし現に予算の御審議をいただいておりますからなかなかそういうことは簡単にできないというような非常に複雑な状況になりまして、そして参議院選挙がございまして、非常に国民の批判が高くなりまして、内閣は辞職をし、やがて夏には新内閣が成立をいたしまして、今度は財政改革ではなくて、逆にこのような深刻な事態にどう対処するかという全く逆の方向の政策をとらざるを得なかった、こういう年でございました。
そういうことが今、鹿熊委員のおっしゃいました財政の方にもあらわれておりまして、したがいまして平成十年度の当初予算の税収見積もりは五十八兆でございました。結果といたしましては四十九兆になったわけでございますから、ほぼ十兆近い税収の減があった。
その間、政府は何とか補正をいたしますけれども、補正をしてもなお足りずに、最終的に税収そのものは七千億円の欠損が出ました、四十九兆四千億円でございますが。しかし、税外収入と歳出の不用額がございましたために、辛うじて先ほどおっしゃいましたように剰余金としては九千五百八十六億円が出た。しかし、それはそういう結果出たのでありまして、他方に、おっしゃいますように公債の発行をいたしまして、公債依存度は非常に高く、四〇・三%ということになったわけでございます。
長く申し上げましたが、実はそういう大変複雑な経過をとりましたために、純剰余金が九千五百億円あったということはまことにその実態をこれほど反映していない、剰余金が出たということは大変にミスリーディングなような結果でございますが、実態はこの年の財政も経済も全く途中で方向転換をいたしまして、対応に大わらわであったわけでございますけれども、しかし不況に落ちていく日本の経済について、今日に至りますまで十分対応し切れていないというそのもとの問題が九年から十年のときに起きたと、こういうのが御審議をいただきますための背景と申し上げることができるかと思います。