宮澤喜一の発言 (財政・金融委員会)
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○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国経済の新生へ向け、種々の課題が山積している中、引き続き大蔵大臣の任に当たることになりました。何とぞよろしくお願いを申し上げます。
以下、今後における財政政策等の基本的な考え方につき所信の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。
まず、最近の経済情勢と当面の経済運営の基本方針について申し上げます。
我が国経済は、平成九年秋以降、四半期ベースで見ますと五期連続のマイナス成長という、戦後初めての厳しい局面を経験いたしましたが、各種の政策効果もあって、昨年来緩やかな改善が続いており、平成十一年度の実質GDP成長率は〇・五%と三年ぶりのプラス成長に転じました。我が国経済の現状を概観いたしますと、依然として雇用情勢は厳しく、個人消費もおおむね横ばいの状態であるものの、設備投資を初めとして、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが徐々に強まってきております。
政府は、これまで景気回復に向けた諸施策の実施に全力を挙げて取り組んでまいりました。とりわけ、平成十二年度予算においては、経済運営に万全を期すとの観点から、前年同額を確保した公共事業や、金融システム安定化、預金者保護のための施策を初めとする諸措置を講じたところであります。また、景気の下支えに万全を期すため、先般、公共事業等予備費の使用を閣議決定したところであります。
政府といたしましては、公共事業等予備費を含めた平成十二年度予算を着実に執行することなどにより、公需から民需への円滑なバトンタッチを図り、景気を民需中心の本格的な回復軌道に乗せていくよう、全力を尽くしてまいりたいと考えております。
次に、平成十三年度予算編成と財政構造改革について申し上げます。
平成十三年度予算編成に当たっては、景気を本格的な回復軌道に乗せるよう引き続き全力を挙げつつ、財政の効率化、質的改善に取り組んでまいりたいと考えております。このような基本的な考え方を踏まえ、平成十三年度予算の概算要求に当たっては、日本新生プラン等の施策に特段の予算配分を行うため日本新生特別枠を創設するなど、予算配分の重点化のための措置を講じることとしております。今後の予算編成過程において、予算の内容の大胆な見直しを行い、その効率化を進めることにより、公債発行額をできる限り圧縮し、二十一世紀のスタートにふさわしい予算としてまいりたいと考えております。
平成十二年度末の国、地方を合わせた長期債務残高が六百四十五兆円に上る見込みとなるなど、我が国財政は危機的な状況にあり、財政構造改革は必ず実現しなければなりません。ようやく明るい兆しの見えてきた我が国の景気回復を一層確かなものとした上で、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制のあり方、社会保障のあり方、さらには中央と地方との関係まで視野に入れて取り組んでまいります。
税制につきましては、先般、税制調査会において中期答申が取りまとめられました。この答申においては、近い将来、税制全般についての抜本的な見直しが避けられないとの認識のもと、国民一人一人が税制論議に参加し、選択を行っていくことが重要であるとの考え方が示されております。政府といたしましては、この答申を今後の税制のあり方を考える際の参考としてまいりたいと考えております。
財政投融資につきましては、さきの通常国会において、郵便貯金、年金積立金の預託義務の廃止等を内容とする資金運用部資金法等の一部を改正する法律が成立したところであります。平成十三年度財政投融資の編成につきましては、この財政投融資改革の趣旨を十分に踏まえたものとしてまいりたいと考えております。
次に、世界経済の健全な発展への貢献について申し述べます。
先般、九州・沖縄サミットが開催され、我が国は開催国としてその円滑な運営に万全を期したところであります。サミット蔵相会合においては、IT革命の経済・金融面への影響、国際金融システムの強化等、多岐にわたる論点について活発な意見交換が行われたところであり、特にIT革命が生産性の上昇等を通じ各国の潜在成長力を上昇させる可能性があるとの認識で一致いたしました。我が国としても、IT革命の一層の推進を通じて世界経済の発展に貢献してまいりたいと考えております。
また、多角的自由貿易体制の維持強化の観点から、我が国は、WTOにおける新ラウンドの早期立ち上げのため、引き続き努力してまいる所存であります。
さらに、税関手続について、納税申告の前に輸入貨物の引き取りを可能とする簡易申告制度の円滑な実施に向け準備を進めるなど、適正かつ迅速な通関に努めてまいります。
以上、財政政策等に関する所信の一端を申し述べました。
今後とも政策運営に万全を尽くしてまいる所存でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。