石原慎太郎の発言 (憲法調査会)

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○石原参考人 クリントンの政権というのは非常にどこかえたいの知れない、実に強引にダブルスタンダードを使って、日中問題についてもそれで日本は振り回されている節があるんですけれども。ただ、やはり、その同じクリントン時代に、当時の橋本総理が突然サンタモニカに呼ばれて、用件は何かといったら、秋に行われる日米首脳会談の打ち合わせだった。そんなものは役人がやればいいことでして、日本の首脳があそこへ出ていくことはない。果たせるかな、あそこで新しいガイドラインというものを突きつけられた。
 それは皆さんそれぞれに情報を持っていらっしゃるでしょうけれども、李登輝さんが初めて開かれた台湾の総統選挙で出たときに、中共はそれを牽制するためにミサイルの威嚇射撃をやった。それだけじゃなくて、実はDIAが捕捉したことは、日本の与那国島の沖と台湾の高雄の沖、つまり台湾と日本の領海に、誤射と称して、正確な誤射ですね、アメリカもやるし、どこもやるんだ、正確な誤射と称して一発ずつミサイルを撃ち込む計画があったんです。それが漏えいしまして、アメリカは非常に強く反発して、インド洋からも一隻呼んで、日本からも原子力航空母艦が威嚇のために台湾海峡に出動して、それで、もしそういう誤射と称する威嚇をするならばもっと積極的に行動するぞと通告したので、結局、中国はやめました。
 そのときに、非常に急いで行ったために、アメリカは過敏に緊張して出動したわけですから、日本側から出ていった航空母艦に対する給油の作業を非常に日本はリラクタントで協力しなかったんですね。それに対するアメリカの反発が、今までもずっとあったんですけれども、例えば日米合同演習をやってけが人が出ても、日本の地方の病院というのは、その地域の特性もあるんでしょうけれども、そういうものに対しての対処をしないような事例もたくさんありまして、これが一体果たして安保条約というものの実態でいいのかということで、もっと踏み込んで、つまりアメリカは新しいガイドラインをそこで提示した。
 それは要するに、中国という国の軍事拡張主義は、近未来のアジアの安定と平和にとって極めて厄介な存在になったという認識を日本も持てという形であれが押しつけられたわけでしょう。私は、それはそれで妥当だと思うんですが、やはり日本はあそこでアメリカに試されたと思う。
 この間も、サッチャーさんが暮れにいらしたとき話したけれども、日本は随分のんきですねと言われた。ソビエトが崩壊して帝国主義というものは完全になくなったと思ったら、ひとり中国が帝国主義をやっているわけです。これは、軍事力と強大な経済力で、文明、民族、伝統というもののディファランシー、差異というものを全く無視して強力な統治を行うという一つの国家覇権のパターンですよ。それが世界で淘汰された。ちっちゃい形でユーゴなんかもあったわけですけれども、それが唯一続いている国が中国なのに、日本は随分無神経ねと言っていましたけれども、また言われてしようがないと思うんです。
 それで、私は、中国人は別に嫌いでも好きでもありませんが、今の中国政府の姿勢には我慢ならない。それは、中国の要人が、沖縄県なんてもともと中国の領土だと言い、私も当時随行でついていきましたが、沖縄返還交渉できちっと文書にして返してもらった尖閣諸島を、今になってみると自国の領土だと言い出している。アメリカもずるいから、そういうことに対して証言を逃げている。
 こういう中で、軍事力の拡大を背景にした共産党という独裁政権のレジティマシーは、毛沢東が人民を解放し、トウショウヘイが経済を開放した後、彼らが独裁政権でやれることといったら、軍事力を背景にした領土拡張で、それで自分のレジティマシーを維持するしかないでしょう。ですから、私は、非常に危険な選択をしていると思うし、現に、コンフィデンシャルな話ですから詳しいことは申しませんが、江沢民なんというのは、自分の保全のために軍の特に過激な若手と、とんでもない計画の立案を唆して、個人的にそういうコミットメントをしている。これはとても危険な兆候だと思う。
 ですから、私は、集団安保というのは、中国という非常に危険な路線を歩みつつある国に対して、日本がアメリカとのパートナーシップの中で推すべき選択の一つだと思いますけれども、しかし、そのアメリカそのものが、軍事力を持つ世界の警察官と自負している国として、かなり変貌してきた。
 私、おもしろい本を読んだのですが、一年ほど前に、私が非常に好きな作家のノーマン・メイラーが、日本の月刊のプレイボーイマガジンのために非常にすぐれた個人インタビューをしておりました。その中で、いろいろな問題で私インスパイアされたのですけれども、アメリカはもはや世界の警察官たり得ない、アメリカができる戦争というのはもう限定がある、決して血を流す戦争にアメリカは踏み込んでいかない。つまり、もっとわかりやすく言うと、グランドフォースを使った戦争をアメリカは絶対にしない、せいぜいするのはコソボの戦闘だと。
 そして、彼はとてもおもしろいことを言った。これは日本の技術も随分加味しているのですけれども、アメリカの現代戦というのは、五千メートルの上空から地上を行くビークル、車両を正確に撃つことはできる。しかし、五千メートルの上空からだと、これはバスだかタンクだかわからないということで、アメリカはバスを撃ったわけでしょう。あれで七十何人、人を殺したのです、市民を。そういう戦闘は、メイラーの言葉をかりると、戦争としてのレジティマシーがもはやない。
 ですから、私たちは、そういうアメリカの後退というものを考えていくと、私は、やはりアメリカとの集団安保体制というものを一つのステージとして、その先は、柳澤さんがおっしゃるみたいにアジアのアライアンスの中での安保体制というものを考えざるを得なくなってくると思います。

発言情報

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発言者: 石原慎太郎

speaker_id: 28341

日付: 2000-11-30

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会