2000-10-25
衆議院
江田五月
政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会
江田五月の発言 (政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会)
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○江田参考人 本日は、皆さんの審議の参考に意見を聞かせろということでお招きをいただきまして、大変ありがとうございます。私も議会は二十一年過ぎたところですが、こういう経験は初めてでございまして、いささか緊張しておりますので、よろしくお願いいたします。
お礼は申し上げますが、どうも、新聞報道によると、きょうこの後にも採決があるとかいうことが出ております。私ども、皆さんの質疑の参考に意見を申し上げに来たのでありまして、聞いたからあとは採決だというのでは、これは質疑が形骸化してしまう。もしそんなことがあれば、これは私ども大変な屈辱でございまして、ひとつ冒頭、そういうことのないようにお願いをしておきたいと思います。
さて、私が参考人に選ばれた理由というのは、一つは、参議院議員として今回の与党の暴挙を目の当たりにしたということ、また、ことしの二月二十五日の参議院選挙制度に関する各派協議会の報告書など一連の経緯の説明役、それに加えて、恐らく、現在の国会議員で、あそこに八代英太さんがおられますが、私と八代さんは同じときに参議院の全国区で当選をさせていただいたのですが、今、数少ない経験者ということも含まれているのではないかと思っております。
まず第一に申し上げたいのは、今回の与党の暴挙、これは我が国の憲政史上例のないものであって、ついに、我が国の参議院で初めて、議長が国会不正常の責任をとって辞任するという事態を招いてしまっております。
言うまでもなく、民主主義というのは、民意が国の行方を決めていく、主権者である国民がみずからの運命を自分で決める。ただ、そうはいっても、制度化されていないとそのことができませんので、選挙制度ということでこれを制度化する、これが選挙制度というものでございます。
多数が自分たちの都合のいいように多数の力で選挙制度を変える、こうしますと、民意とその代表としての議会とがどんどん離れていく。ルールは形式的にはあっても中身がない、形骸化、こういうことにつながりかねないことでございます。議会制民主主義の土俵をつくる基本的なルールが選挙制度ですので、当然、与野党合意で、なるべく多くの合意をつくって仕上げなきゃならぬというものだと思います。
例えば商法においても、会社の存立の基盤にかかわるようなことについては特別の多数決を定めているとか、そういう種類のことであって、選挙のたびに、勝った方が勝手に自分の都合のいいように選挙制度を変えるのでは、民主主義はおかしなものになってしまう。斎藤前参議院議長も、ここのところを最も憂慮されたわけです。
そこで斎藤前議長は、ずっと、時間をかけながら、みんなの合意をつくり上げようといろいろな努力をしてこられました。ところが、今回、半数近い少数派の意見を全く無視して、選挙制度の改悪に与党が狂奔された。私は、強く糾弾をしたいと思いますし、また、有権者、国民の皆さんには、来るべき選挙で与党に鉄槌を下していただくことを強くお願いいたします。
次に、参議院の各派協議会における議論の経過について御報告を申し上げます。
昨年六月、参議院選挙制度改革に関する協議会が各会派代表者懇談会のもとに設置をされました。九回にわたって協議会での議論が行われて、本年二月二十五日に、各会派が一致して報告書が作成されました。
その中で、拘束名簿式については、現行の拘束名簿式比例代表制の仕組みそのものを改めることとなると抜本的な改革となり、その実現は容易なことではないことから、当面は現行の拘束名簿式比例代表制を維持することを前提として議論を進めることとなったと明確に明記をされております。これは各会派の合意でございます。
その実現は容易でないというのは、何もだれかが引き延ばすとかそういう話じゃないので、先ほど申し上げたように、民主主義の基本にかかわることだから、それはみんながとことん納得いくまで議論を尽くした上で決めなければいかぬ、そういう趣旨を与党も野党も皆しっかり理解をしていたということでございます。
また、六月二日、これは衆議院の解散の当日ですが、斎藤前議長は、各派の代表者をお集めになりまして、選挙制度は来年は現行のままということを前提に、定数是正はやりましょうね、こういうお話をして、各代表者ともこれを受けているわけでございます。
このように、参議院において、各派代表者の協議では、来年の参議院選挙は基本的に現行制度で臨む、こういう結論が出ていたにもかかわらず、総選挙終了後に突如、与党、さらに言えば自民党、さらに言えば参議院自民党の青木幹事長と村上会長から今回の改正案が飛び出してきたということでございまして、極めて動機不純の党利党略法案だと言わざるを得ません。
その後の経過につきましては、私、実は毎晩多少の時間を割いてインターネットのホームページにその日の活動日誌を打ち込んでおりまして、関係のものを抜粋してきょうプリントアウトしてこちらへ持ってまいりましたので、どうぞ御参考にしていただきたいと思います。
動機不純の第一は、いわゆる久世問題のすりかえ。もういろいろお話があったから言うまでもないと思いますが、二万人の名簿はある宗教団体から提供を受けて、党費一億円についてはあるマンション業者から提供を受けて比例名簿の順位を買った。この不祥事に対して、自民党の皆さんは、自分の党の矛盾、不祥事を選挙制度の問題にすりかえてしまった。KSD問題も同様のことだと思いますが、これが動機不純の第一。
次に、動機不純の第二は、衆議院選挙で自民党の皆さんは、個人名では二千四百万票、しかし政党名では千六百万票、八百万票の開きがある。ここをどう埋めるか。これを埋めなければ次の参議院選挙で勝てない。こういうことから今回の票の横流し制度を出してこられたということが動機不純の第二であります。
いかに悪いものか。全国区選挙は、私自身はいろいろな事情から残酷区、銭酷区ということを実際には体験をしておりません。しかし、あの全国区の制度がいかなるものであったか、これは多くの人が御存じのとおりで、参議院の村上さん自身が一九八五年の選挙制度改正のときにるる述べておられるわけです。あの選挙が終わった後亡くなられる、中には、投票日、開票日のその日に亡くなって、自分の当選を聞く前に死んでしまった、こういう例もあって、また、お金も大変。こういう全国区の悪い方式に戻してしまう。
しかも、今度は公費助成で五十億円余計にかかるというのですから、何のためかわかりません。
そして、第二の悪い点がいわゆる横流しで、顔の見える人で票を集めて、それを政党の方に落とし込んでおいて、顔の見えない人を当選させる。ですから、この顔の見える人が選挙違反で当選無効になっても、その人のとった得票はそのまま有効で、別の人の当選に使われるという大変な、国民の意思を無視した制度になっております。
こういう制度を使ってでも、役所ぐるみ、業界ぐるみ、企業ぐるみ、そして地方自治体の首長さん方に大変な無理を強いて自民党型集票マシンをもう一度活性化させて、行政改革、規制緩和といった方向に逆行させようという悪法中の悪法だと言わざるを得ないと思います。
私ども民主党は、そういうものでなくて、選挙制度のことは議論をするのだ、そういう意味で、広域選挙区制度というものを中心にした制度改革の案を衆議院の方で提案させていただいておりますが、これもぜひ議論をしていただきたいと思います。
十分程度ということで、私の意見といたします。
どうぞよろしくお願いします。(拍手)