政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会

2000-10-25 衆議院 全260発言

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会議録情報#0
平成十二年十月二十五日(水曜日)
    午後一時三分開議
 出席委員
   委員長 自見庄三郎君
   理事 小林 興起君 理事 鈴木 宗男君
   理事 西野あきら君 理事 細田 博之君
   理事 長浜 博行君 理事 堀込 征雄君
   理事 河上 覃雄君 理事 塩田  晋君
      荒井 広幸君    岩崎 忠夫君
      小坂 憲次君    桜田 義孝君
      下村 博文君    高鳥  修君
      高橋 一郎君    中馬 弘毅君
      中谷  元君    中本 太衛君
      根本  匠君    野田 聖子君
      林  幹雄君    松宮  勲君
      八代 英太君    阿久津幸彦君
      加藤 公一君    鹿野 道彦君
      鍵田 節哉君    玄葉光一郎君
      今田 保典君    佐藤 観樹君
      島   聡君    手塚 仁雄君
      牧野 聖修君    松本  龍君
      山花 郁夫君    遠藤 和良君
      斉藤 鉄夫君    東  順治君
      中井  洽君    木島日出夫君
      児玉 健次君    今川 正美君
      北川れん子君    近藤 基彦君
      平井 卓也君    小池百合子君
      西川太一郎君
    …………………………………
   参議院議員        魚住裕一郎君
   参議院議員        須藤良太郎君
   参議院議員        片山虎之助君
   参議院議員        保坂 三蔵君
   参議院議員        月原 茂皓君
   自治政務次官       中谷  元君
   自治政務次官       荒井 広幸君
   政府参考人
   (自治省行政局選挙部長) 片木  淳君
   参考人
   (参議院議員)      江田 五月君
   参考人
   (東洋大学教授)     加藤秀治郎君
   参考人
   (弁護士)        志田なや子君
   参考人
   (北京JAC事務局長)  永井よし子君
   衆議院調査局第二特別調査
   室長           牧之内隆久君
    —————————————
委員の異動
十月二十五日
 辞任         補欠選任
  高鳥  修君     中本 太衛君
  林  幹雄君     根本  匠君
  鹿野 道彦君     今田 保典君
  玄葉光一郎君     佐藤 観樹君
  久保 哲司君     斉藤 鉄夫君
  平井 卓也君     近藤 基彦君
  小池百合子君     西川太一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  中本 太衛君     高鳥  修君
  根本  匠君     林  幹雄君
  今田 保典君     鹿野 道彦君
  佐藤 観樹君     牧野 聖修君
  斉藤 鉄夫君     東  順治君
  近藤 基彦君     平井 卓也君
  西川太一郎君     小池百合子君
同日
 辞任         補欠選任
  牧野 聖修君     玄葉光一郎君
  東  順治君     久保 哲司君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 公職選挙法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第七号)

    午後一時三分開議
     ————◇—————
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自見庄三郎#1
○自見委員長 これより会議を開きます。
 参議院提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、参議院議員江田五月君、東洋大学教授加藤秀治郎君、弁護士志田なや子君、北京JAC事務局長永井よし子君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。本委員会での審査に資するため、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を述べていただきたいと存じます。
 次に、議事の順序でありますが、御意見は、江田参考人、加藤参考人、志田参考人、永井参考人の順序で、お一人十分程度に取りまとめて御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対しお答えいただきたいと存じます。
 念のため申し上げますが、発言する際には委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人は委員に対して質疑することはできませんので、あらかじめ御了承願いたいと存じます。
 それでは、まず江田参考人にお願いいたします。
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江田五月#2
○江田参考人 本日は、皆さんの審議の参考に意見を聞かせろということでお招きをいただきまして、大変ありがとうございます。私も議会は二十一年過ぎたところですが、こういう経験は初めてでございまして、いささか緊張しておりますので、よろしくお願いいたします。
 お礼は申し上げますが、どうも、新聞報道によると、きょうこの後にも採決があるとかいうことが出ております。私ども、皆さんの質疑の参考に意見を申し上げに来たのでありまして、聞いたからあとは採決だというのでは、これは質疑が形骸化してしまう。もしそんなことがあれば、これは私ども大変な屈辱でございまして、ひとつ冒頭、そういうことのないようにお願いをしておきたいと思います。
 さて、私が参考人に選ばれた理由というのは、一つは、参議院議員として今回の与党の暴挙を目の当たりにしたということ、また、ことしの二月二十五日の参議院選挙制度に関する各派協議会の報告書など一連の経緯の説明役、それに加えて、恐らく、現在の国会議員で、あそこに八代英太さんがおられますが、私と八代さんは同じときに参議院の全国区で当選をさせていただいたのですが、今、数少ない経験者ということも含まれているのではないかと思っております。
 まず第一に申し上げたいのは、今回の与党の暴挙、これは我が国の憲政史上例のないものであって、ついに、我が国の参議院で初めて、議長が国会不正常の責任をとって辞任するという事態を招いてしまっております。
 言うまでもなく、民主主義というのは、民意が国の行方を決めていく、主権者である国民がみずからの運命を自分で決める。ただ、そうはいっても、制度化されていないとそのことができませんので、選挙制度ということでこれを制度化する、これが選挙制度というものでございます。
 多数が自分たちの都合のいいように多数の力で選挙制度を変える、こうしますと、民意とその代表としての議会とがどんどん離れていく。ルールは形式的にはあっても中身がない、形骸化、こういうことにつながりかねないことでございます。議会制民主主義の土俵をつくる基本的なルールが選挙制度ですので、当然、与野党合意で、なるべく多くの合意をつくって仕上げなきゃならぬというものだと思います。
 例えば商法においても、会社の存立の基盤にかかわるようなことについては特別の多数決を定めているとか、そういう種類のことであって、選挙のたびに、勝った方が勝手に自分の都合のいいように選挙制度を変えるのでは、民主主義はおかしなものになってしまう。斎藤前参議院議長も、ここのところを最も憂慮されたわけです。
 そこで斎藤前議長は、ずっと、時間をかけながら、みんなの合意をつくり上げようといろいろな努力をしてこられました。ところが、今回、半数近い少数派の意見を全く無視して、選挙制度の改悪に与党が狂奔された。私は、強く糾弾をしたいと思いますし、また、有権者、国民の皆さんには、来るべき選挙で与党に鉄槌を下していただくことを強くお願いいたします。
 次に、参議院の各派協議会における議論の経過について御報告を申し上げます。
 昨年六月、参議院選挙制度改革に関する協議会が各会派代表者懇談会のもとに設置をされました。九回にわたって協議会での議論が行われて、本年二月二十五日に、各会派が一致して報告書が作成されました。
 その中で、拘束名簿式については、現行の拘束名簿式比例代表制の仕組みそのものを改めることとなると抜本的な改革となり、その実現は容易なことではないことから、当面は現行の拘束名簿式比例代表制を維持することを前提として議論を進めることとなったと明確に明記をされております。これは各会派の合意でございます。
 その実現は容易でないというのは、何もだれかが引き延ばすとかそういう話じゃないので、先ほど申し上げたように、民主主義の基本にかかわることだから、それはみんながとことん納得いくまで議論を尽くした上で決めなければいかぬ、そういう趣旨を与党も野党も皆しっかり理解をしていたということでございます。
 また、六月二日、これは衆議院の解散の当日ですが、斎藤前議長は、各派の代表者をお集めになりまして、選挙制度は来年は現行のままということを前提に、定数是正はやりましょうね、こういうお話をして、各代表者ともこれを受けているわけでございます。
 このように、参議院において、各派代表者の協議では、来年の参議院選挙は基本的に現行制度で臨む、こういう結論が出ていたにもかかわらず、総選挙終了後に突如、与党、さらに言えば自民党、さらに言えば参議院自民党の青木幹事長と村上会長から今回の改正案が飛び出してきたということでございまして、極めて動機不純の党利党略法案だと言わざるを得ません。
 その後の経過につきましては、私、実は毎晩多少の時間を割いてインターネットのホームページにその日の活動日誌を打ち込んでおりまして、関係のものを抜粋してきょうプリントアウトしてこちらへ持ってまいりましたので、どうぞ御参考にしていただきたいと思います。
 動機不純の第一は、いわゆる久世問題のすりかえ。もういろいろお話があったから言うまでもないと思いますが、二万人の名簿はある宗教団体から提供を受けて、党費一億円についてはあるマンション業者から提供を受けて比例名簿の順位を買った。この不祥事に対して、自民党の皆さんは、自分の党の矛盾、不祥事を選挙制度の問題にすりかえてしまった。KSD問題も同様のことだと思いますが、これが動機不純の第一。
 次に、動機不純の第二は、衆議院選挙で自民党の皆さんは、個人名では二千四百万票、しかし政党名では千六百万票、八百万票の開きがある。ここをどう埋めるか。これを埋めなければ次の参議院選挙で勝てない。こういうことから今回の票の横流し制度を出してこられたということが動機不純の第二であります。
 いかに悪いものか。全国区選挙は、私自身はいろいろな事情から残酷区、銭酷区ということを実際には体験をしておりません。しかし、あの全国区の制度がいかなるものであったか、これは多くの人が御存じのとおりで、参議院の村上さん自身が一九八五年の選挙制度改正のときにるる述べておられるわけです。あの選挙が終わった後亡くなられる、中には、投票日、開票日のその日に亡くなって、自分の当選を聞く前に死んでしまった、こういう例もあって、また、お金も大変。こういう全国区の悪い方式に戻してしまう。
 しかも、今度は公費助成で五十億円余計にかかるというのですから、何のためかわかりません。
 そして、第二の悪い点がいわゆる横流しで、顔の見える人で票を集めて、それを政党の方に落とし込んでおいて、顔の見えない人を当選させる。ですから、この顔の見える人が選挙違反で当選無効になっても、その人のとった得票はそのまま有効で、別の人の当選に使われるという大変な、国民の意思を無視した制度になっております。
 こういう制度を使ってでも、役所ぐるみ、業界ぐるみ、企業ぐるみ、そして地方自治体の首長さん方に大変な無理を強いて自民党型集票マシンをもう一度活性化させて、行政改革、規制緩和といった方向に逆行させようという悪法中の悪法だと言わざるを得ないと思います。
 私ども民主党は、そういうものでなくて、選挙制度のことは議論をするのだ、そういう意味で、広域選挙区制度というものを中心にした制度改革の案を衆議院の方で提案させていただいておりますが、これもぜひ議論をしていただきたいと思います。
 十分程度ということで、私の意見といたします。
 どうぞよろしくお願いします。拍手
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自見庄三郎#3
○自見委員長 ありがとうございました。
 次に、加藤参考人にお願いいたします。
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加藤秀治郎#4
○加藤参考人 東洋大学で政治学を教えております加藤です。
 手元に配っていただいたと思いますが、三ページほどの資料に基づいてお話をさせていただきますので、あけていただきたいと思います。
 時間がありませんので、早速お話しさせていただきます。
 選挙制度は民主主義にとって非常に重要なものだということはおわかりかと思いますが、今回の変更も、ささいな変更のように見えますが、結果によっては重大な影響をもたらし得るものであります。
 私がよく引く言葉でありますが、今世紀を代表する書物の一つでありますオルテガの「大衆の反逆」にこういう一節がございます。民主政治は、その形式や発達程度とは無関係に、一つの取るに足りない技術的細目にその健全さを左右される、その細目とは選挙の手続である、それ以外のことは二次的である、もし選挙制度が適切で現実に合致していれば何もかもうまくいく、もしそうでなければ、ほかのことが理想的に運んでも、何もかもだめになるということであります。
 この観点から、私は、衆議院で旧中選挙区制を廃止したことはよかったと思っていますが、参議院についても、また不適切なことが起きて、そのためにどんどん外れていくようなことがないようにお願いしたいと思います。
 それで、一般には金のかからない選挙という点が議論されていると思いますが、私はドイツと日本を比較しながら研究している者ですが、ドイツの場合は深刻な反省に立ってこの点をやらなきゃいけないという気持ちになっているのに対して、日本はまだ反省が足りないのではないか、そういう印象が否定し切れません。今回の場合ですと、制度の基本が金がかかるようになっていると思いますが、それを細かい事務所の数などの制限などでやりくりするというのは本末転倒で、根本のところを金がかからない工夫をしていただきたいものだと思います。
 それで、二点ほど、一般に議論されていないこと、野党側からもほとんど議論されていない点に絞ってお話をさせていただきたいと思います。
 一点は、選挙制度は、参議院だけを取り出して考えるのではなくて、国全体の選挙制度をどうデザインしていくか、そういう観点で考えていただきたいということであります。
 以下の文章を読みますと、
  衆院の小選挙区制度は、政党本位・政策本位を目指したものだが、参院のこの制度は選挙を人物本位へと向かせる。賛成する人は「人物が選べてよい」とか、「参議院の独自性」が回復できると言うかもしれない。
  だが、ここがポイントだが、同じ国で、ある選挙は政党本位、他の選挙は人物本位というようなことをやろうとしても、うまくいかないのである。衆院の新制度が十分に定着をみないのも、地方選挙をはじめ、他の制度が以前のままであることに一因がある。
  いうならば、衆院選だけで政党本位・政策本位を目指しても他がそうなっていないのでは、アクセルをかけながらブレーキを踏むようなもので、全体として政党の体質は変わらず、政党本位・政策本位は実現しない。
ということであります。
 次のページに参りまして、その点を少し議論しますと、政治学者は、選挙制度をどれがいいかというようなことを議論するとき、二つの点を考えなきゃいけないということを指摘しています。
 第一点は、その国の社会構造がどうなっているか。その国の社会が、内部が同質的か異質的か、マイノリティーなどがある場合でしたら比例代表制などを考えなきゃいけない。そういう点であります。
 もう一点がきょう強調したい点でありますが、政党と社会の関係であります。難しい言葉では政党の構造化の程度などと言いますが、社会に政党がどれだけ根をおろしているか、そういうことであります。
 それで、イギリスやドイツのように、深く構造化された、根をおろしている国、政党本位が確立している国があります。その場合ですと、その党が強い選挙区でしたらだれでも勝てる、だれが出ても勝てる、選挙区を変更できる、そういうことがあります。
 これに対して、日本などでは逆で、政党が余り根をおろしていない、人物本位の面があります。その結果、その候補者が強い選挙区では、所属政党を変えても当選できる可能性があるというようなことがあります。政党本位、政策本位ということは、この意味での構造化を強めようというものだと思いますが、それが今回の場合どうだろうかということであります。
 このことは、国によって同じ制度が働き方が違う可能性があるということでありまして、例えばドイツでしたら、今度の制度を仮に導入されても、個人名を書く人は余りいないと思います。ですが、日本の場合では個人名を書く人が相当出てくる。それで、衆議院でやろうとしたことと反対の動きが始まるということであります。
 もう一つ、ほとんど議論されていない点は、有権者にとってこの選挙制度はどうなのか、一部の熱心な有権者はともかく、大半の有権者にとって適切な選択ができるかどうかということであります。ここは専門用語では情報コストというんですが、後でその点は触れます。気分や願望で人も選べていいというような言い方は俗耳には入りやすいかと思いますが、現実的かどうかであります。私は学者で、政治家ではありませんから、有権者の方に対して遠慮は要らないわけでありますが、有権者の方が果たして、複雑な制度を導入したとき、そこで期待されているような努力をするものかどうかということであります。
 次の文章を読みますと、
  参議院の選挙制度を「非拘束名簿式」に改める法案について、ある重要な論点がほとんど議論されていないように思われる。それは、有権者が選択肢について、どれだけ本気になって情報を集めるかということだ。その気のない人に、多過ぎる選択肢を与えても、いい加減な選択となるのは明らかだ。
  「非拘束名簿式」とした場合、政党だけでなく候補者も選べる点がよいという意見もあるが、実際にはそう簡単なことではない。「旧全国区」はカネがかかるということだけではなく、候補者の選択がいい加減になっていたことも問題であった。
  百人を超える候補者の中から一人を選ぶといっても、その気にならないと各候補者のことはなかなかわからない。その結果、著名なタレントに投票したり、知り合いから支援を依頼された組織の候補者に票を投じたりするといった状態になっていた。
この点からいいますと、今度の場合、非常に懸念があります。
 それで、情報コストというのは何か。次のページでありますが、物事を選択する場合、その選択に必要な情報を得るのに割く時間や労力や費用であります。選挙の場合は費用はほとんどかからないと思いますが、有権者がどれだけそのために時間を割くか、労力を割くかということであります。それで、選択の場合、少ない努力で無難な選択ができるのがよい制度だと考えられますが、今回の制度の変更でこの点はどうなるのかということであります。
 それで、情報コストには量的な側面がありますが、一つは、選択肢が多過ぎるのは有権者に負担がかかってよくないということであります。旧全国区は余りにも多くの候補者の中から選ばせる、その結果、有権者が念頭に浮かぶ候補者は最初から限られてしまう、ないしはいない。そういうところでたまたま出たタレントの方とか、組織の依頼ですぐ投票したわけであります。
 質的な面で申しますと、選択肢が選びやすい形で並んでいるかどうかということであります。日本には最悪の例がございます。選挙区の分かれていない市町村選挙で、無所属の人が非常に多いわけですが、三十人、四十人もいる候補者の中から一人選べと言われても、最初から有権者が検討する候補者というのは非常に限られてしまうわけであります。そういう中で選んだことが果たしてどれだけ合理的なものかというと疑問があるわけで、今度の制度はこれに非常に近くなると思います。
 それで、同じ二大政党制、小選挙区制のアメリカとイギリスでも、質的な面でかなり違います。
 イギリスは、政党の性格がすっきりしているので、ふだんから有権者は、労働党はこういう党、保守党はこういう党というイメージを持っていますから、その党の候補者がどういう人かということを一々チェックしなくてもかなり合理的な選択ができる。そういう状態になっていまして、有権者にかかる負担が少ないわけであります。
 これに対して、アメリカは、共和党、民主党とありますが、レッテルの違う二本の空瓶と言われるように、ほとんど政党の性格がはっきりしません。そこで、有権者がどちらがいいのかということを選ぼうとしますと、有権者がそれなりの努力をしないといけないわけであります。それで、アメリカの場合、有権者がそれなりの努力をしていますからある程度格好がついていますが、ディベートや有権者団体が発行しています有権者ガイド、そういうようなものを参考にして選ぶわけでありますが、そういう努力を果たして日本の有権者がするのかどうか、ここが新しい制度を導入した場合生きるかどうかのかぎで、私は、これまでの惰性からいってかなり悲観的であります。ですから、人が選べるのはいいとかいうのは、簡単に聞こえますけれども、実際には、その気で有権者がそれに臨まないと、この制度は逆の効果を持つということであります。
 そういうわけで、量的、質的な面についてともにいい状態というのがあると思いますが、それに近い国としては、制度は違いますが、イギリスやドイツがある。日本の旧全国区というのは最悪の部類に近い方だったと思いますが、今度の非拘束というのは、数はふえると思いますからより悪くなる、質的な面では、政党を多少意識させるのでちょっといいかなという点で、この面から見ますと、旧全国区とほとんど同じぐらいの点数しか上げられない、ちょっと困った制度ではないかと思います。
 以上、私の陳述であります。拍手
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自見庄三郎#5
○自見委員長 ありがとうございました。
 次に、志田参考人にお願いいたします。
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志田なや子#6
○志田参考人 ただいま御紹介いただきました弁護士の志田でございます。
 私は、今議論になっております参議院への非拘束名簿式導入法案について意見を述べさせていただきます。
 私は、この法案の第一の問題点は、果たしてこの制度が名簿式比例代表制と名乗れるようなものなのかどうかということであります。
 与党三党は、非拘束名簿式比例代表制と名づけて、候補者個人に投票したものを、その得票のすべてを候補者所属政党の得票とみなして、政党得票に基づいて議席を配分する制度を導入しております。
 そもそも名簿式比例代表制といいますのは、各政党にその得票率に応じて議席を配分することによって民意を反映させようという選挙制度であります。しかし、非拘束名簿式比例代表制を採用している国でも、立候補しているすべての政党と候補者の名簿が一覧にされている投票用紙を使って、有権者は、政党を選んだ上で、候補者の名簿順位を入れかえたり、候補者名を記入するということで名簿順位を変えるということを可能にしているわけであります。各政党にその得票率に応じて議席を配分するという名簿式比例代表制の趣旨を生かした制度となっております。
 しかも、参議院の比例区が全国単位であるのに対して、この非拘束名簿式比例代表制をとる国の比例区は、日本でいうと都道府県単位程度、実際は一千万の国を十幾つの選挙区に分けるというようなことでありますから、東京でいうと区、市ぐらいの単位になるのでありましょうか、そういう狭い単位で非拘束名簿式比例代表制をしいているわけです。ですから、有権者は候補者の人柄や人格、識見、実績を知って、それに基づいて政党が提出した名簿順位を入れかえるということができるわけでありまして、与党三党の法案とは全く制度の目的も内容も異なるものであります。与党三党は非拘束名簿式というふうに名前をつけておりますけれども、この法案は、本来の非拘束名簿式比例代表制の姿とはほど遠いものであると思います。
 与党三党の案では、有権者が投票するときには個人名で投票させて個人であることを強調して、票を数えるときには政党への投票として得票数を計算する、こういう制度なのでありまして、こういう制度を導入することによって、とても奇妙なことが起こるわけであります。大量得票した候補者個人の得票によって、当の候補者が当選するだけではなくて、名簿に登載してある同一政党の別の候補者がほかの政党の候補者よりも得票数が少なくとも当選するという逆転現象が生じます。また、当選した候補者の関係者が買収などの選挙犯罪を犯して、連座制により議員の職を失っても、政党の得票はそのままで、同一政党の別の名簿登載者が繰り上げ当選するという異常な事態になるわけであります。
 与党三党の主張する非拘束名簿式は、民意を大きくゆがめ、名簿式比例代表制の制度趣旨を没却させるものであります。
 第二に、私が心配していることは、女性が多数進出してきた参議院の拘束名簿式比例代表制の長所が失われるのではないかということであります。
 政党が候補者の名簿登載順位を決めるのは、政党として適切な人材を候補者名簿に登載することによって、議員にふさわしい人材を得ようとする趣旨だと考えられます。北欧諸国では、名簿式比例代表制のもとで、女性議員の比率を高め、三割台、四割台にまで高めております。参議院の比例区でも、拘束名簿式比例代表制のもとで、各政党が名簿の高位に女性を登載することによって、女性議員の比率を高めてまいりました。一九九八年の参議院選挙では、比例代表選出五十人のうち十人が女性であり、その比率は二〇%に上っております。
 参議院に非拘束名簿式が導入されますと、自民党などが各業界、官庁、支持団体ごとに候補者を立候補させて得票を競わせるということになり、比例区の女性候補がはじき出されるという事態になるのではないかと心配しております。
 第三に、拘束名簿式比例代表に金がかかるという主張がありますが、この主張には何の根拠もありません。
 もともと、選挙制度としては、拘束名簿式比例代表制というのは、最も買収や利益誘導が起こりにくい制度であり、お金のかからない選挙制度であるはずです。ところが、自民党で起きたもろもろの事件をきっかけにこういうことを言い出したわけですけれども、候補者名簿への登載や順位の決定をめぐってお金がかかると言いますけれども、名簿登載や順位決定がお金に左右されるということ自体が異常なことです。それはまさに政党幹部の見識の問題であり、さらに言えば、政党の腐敗した体質の問題であって、拘束名簿式比例代表制に原因を求めるのは本末転倒であると言わなければなりません。
 そもそも、参議院で全国区を廃止して拘束名簿式比例代表制を導入しましたのは、お金がかかるという弊害が生じたからと言われております。与党三党の主張する非拘束名簿式は、お金がかかるという弊害はより一層ひどくなり、候補者個人に対する投票を政党への得票に読みかえて民意の反映をゆがめるという意味では、旧全国区よりももっと悪い制度だというふうに私は考えます。
 第四に、国民の選挙権にかかわる重要法案をこんなに拙速に成立させるべきではないということを強調したいと思います。
 この与党三党の法案は、個人名で投票させておきながら、投票後は神出鬼没に政党が登場してくるという大変難しい奇妙な制度であります。十分に国会で審議をして、国民の中で議論を闘わせた上で成立させるべきであります。きょうも、参考人として呼ばれまして、大変に急いでいるということがわかったんですけれども、こんなに急ぐのは、非拘束名簿式の内容が国民に知られないうちに法案を成立させてしまおうというふうに考えているのかなというふうに思わざるを得ません。
 現在、参議院の選挙制度で憲法上問題なのは、最小の鳥取県選挙区と最大の東京都選挙区との間に、議員一人当たりの人口格差がほぼ五倍にもなっているということであります。最高裁判決でも合憲とはされておりますけれども、強力な反対意見があり、違憲であると主張しております。私は、現在の参議院の選挙制度で改めるべきは、抜本的に選挙区の議員定数の格差を是正することであると思います。
 どこから見ても致命的な欠陥のある非拘束名簿式導入法案は、廃案にするしかありません。
 憲法は、国会を国権の最高機関と定めております。今、国会の権威は国民の間では地に落ちております。衆議院において十分な審議を進めることこそが、国会の国権の最高機関としての権威を回復する唯一の道です。このことを与野党の議員の皆様にお願いをいたしまして、私の意見を終わらせていただきます。拍手
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自見庄三郎#7
○自見委員長 ありがとうございました。
 次に、永井参考人にお願いをいたします。
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永井よし子#8
○永井参考人 四人目の参考人の永井よし子と申します。私は、市民そして女性の立場から、今回の参議院の公選法改正に関する意見を申し述べたいと思います。
 既に私の前に三人の参考人が意見を述べました。今回の改正案についての問題点は、すべて私も共有したいと思います。ただ、私の申し述べる時間が十分しかございませんので、主に女性の政治参画という点について意見を申し上げます。
 私は、北京JACという市民運動をしているNGOの事務局長として、今日、意見を申し述べることにいたします。
 北京JACというのは、一九九五年、北京で開かれた世界女性会議におきまして採択された行動綱領を日本のあらゆる段階の政策に反映させたいという願いで、全国的なネットワークを組んでおります女性のグループです。この五年間、特に国連を中心に採択されたさまざまな女性の行動に関する政策もきちんと反映させていただきたいと思っております。
 北京の行動綱領の十二の重要課題の一つに、女性の政策決定の場への参画を保障するということがあります。一九八五年に採択された女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約は、日本の国会も採択しています。そして、北京で採択された行動綱領も、日本の了解することとし、つい昨年、男女共同参画基本法が成立しました。それは、国会のあらゆる会派が賛成をしたものです。
 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約では、第三条で、「あらゆる分野、特に、政治的、社会的、経済的及び文化的分野において、女子に対して男子との平等を基礎として」ということを明確にうたっています。そして、第七条では、「自国の政治的及び公的活動における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし、」政府は、「政府の政策の策定及び実施に参加する権利並びに政府のすべての段階において公職に就き及びすべての公務を遂行する権利」を保障すべきということになっています。
 一九九五年の世界会議にとどまらず、本年六月にニューヨークで開かれました二〇〇〇年女性に関する特別総会においても、女性の政策決定の場への参加が、グローバリゼーションの負の側面が非常に拡大している昨今の世界情勢の中で、新たな展開を探る可能性の一つとして強く主張されております。
 先ほど志田参考人も触れましたけれども、北欧においては、政党が積極的にポジティブアクションを取り入れることによって、女性の政策決定の場への参画が進み、社会のあらゆる場で男女が平等で生活しやすい仕組みが進行してきました。女性が働きやすくなり、社会保障が充実して、その結果として出生率も上がりました。男女が平等の社会をつくることがこれからの社会に必要であるということを的確に示している例であります。
 さらに、フランスではパリテという考え方が導入されました。フランスの女性の政治参画はいわば北欧に比べて多少おくれている面がありましたけれども、今回、男性と女性が公平に平等に参画する仕組みが憲法改正により保障されました。比例名簿を拘束制にして女性の参画を保障する。この議論の過程では非拘束の名簿の議論も出ましたけれども、いかに憲法で男女同数の参画を義務づけたとしても、政党が候補者の末尾に半数の女性候補を並べたのでは、それは結果としてポジティブアクションにはなりません。名目だけです。
 今回の参議院の改正案については、特定の個人の名前を書くことによって政党全体の得票数を上げるということになりますけれども、非拘束名簿式がフランスで避けられた議論の経過を考えるならば、非拘束名簿を出すことが女性に対するポジティブアクションを保障しないということの一つの明らかな例でもあります。
 日本の女性の政治参画は決定的におくれています。戦後一九四六年の衆議院選挙で三十九人の女性議員が誕生いたしました。それは戦後の歴史の中で、八・四%、最高の女性議員の誕生と言われていますが、このときは二名連記です。女性の政治進出を助けるために選挙制度がいかに大きな影響力を持っているかということのあかしでもあります。
 ことしの衆議院選挙では三十五人の女性議員が誕生し、七・三%の女性議員比率となり、列国議会同盟のうち八十位に上がりましたが、たった六年前、日本は百四十九位です。これだけ政治不信、政党批判が高く国民の間に沸き上がり、選挙制度が女性にとって不利なようになったとしても、今回の衆議院ではこれだけ批判票が集まったのです。
 参議院の選挙法改正については、国民に周知していない段階での改正を急がれるという問題は今までるる指摘されたことではあります。そのときそのときの都合で、都合よく解釈されるということは国民の一票を投じる権利を侵害するものです。国民は一票を投じることによって、どのような仕組みの政治を選ぶか、それを選挙の機会に行使することができます。その選挙の機会を国民に保障するシステムが党利党略で決められていいとは全く思いません。
 選挙制度は国民の側が納得できるものにする必要があります。お手盛りは最も避けるべき手法です。国会議員が国会議員の身分にかかわる仕組みを国会だけで、しかも短時日の審議で、住民に周知されることなく、慌ただしく泥縄式につくって通してしまう、これは国民を最も愚弄したやり方です。国民を愚弄すると同時に、言論の府である国会というシステム自体を軽視する、みずから自分の顔につばを投げかけるようなものだと思います。
 参議院は本来どうあるべきか、参議院の選挙法が改正されたとき、村上正邦議員はくしくも言っています。参議院は良識の府であるべきということをおっしゃっています。それだけに、深い理性と高い道義の政治理念に立って、私心を捨てて、国家百年の大計のもとに、堂々と政策を論じ、院としての高い見識を示すことによって、国民の政治に対する安心感と信頼を得なければならないと思いますと述べておられます。
 今回、参議院で実際に行われたことはすべてこれの否定形です。真っ向から反対することです。この間まで参議院で行われたことは、良識の府ではありません。数の暴力による暴挙です。深い理性と高い道義ならば、本来改めるべきは比例代表の順位にお金を使ったことであります。
 さらに言うならば、同じ村上議員が、参議院は学識経験者等の有為の人材を立法府に迎えるためにある、しかしながら現行制度においては、つまり比例代表を取り入れたときの議論ですが、もはやテレビ等にのべつ幕なしに出演し、国民大衆に名の知られた有名人でなければ、有為の人材といえども当選することはほとんど不可能にすらなっている。
 今回、有名人を政党の名簿に載せることによって同じ効果をねらおうとしているのが同じ与党ではないでしょうか。私どもは、一票で信任した議員の票がおすそ分けされて、気に入らない議員の誕生を招くような、そういう制度、仕組みは全く認めることができません。
 参議院が衆議院のコピーであるとの批判は随分長いこと言われています。今回の改正は、その点についての展望もビジョンも何もありません。今これだけ行き詰まっている。世界的にも国内的にもさまざまな問題を抱えているとき、女性の政治参画を積極的に進めることが国会の活性化あるいは社会的な仕組みの改善につながると私は思っています。女性の政治参画の壁を一層高くするような今回の改正には反対です。
 以上です。拍手
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自見庄三郎#9
○自見委員長 ありがとうございました。
    —————————————
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自見庄三郎#10
○自見委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山花郁夫君。
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山花郁夫#11
○山花委員 参考人の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、急であったにもかかわらず御出席いただきまして、お礼を申し上げる次第でございます。
 さて、十月二十三日からこの審議に入っているのでありますけれども、我が党の堀込征雄委員からの質問に対しまして、この時間は参考人からの意見聴取ということで、提案者の方はいらしておりませんが、その中で、片山参議院議員から、この審議の経過に対しまして、「野党の皆さんには、与党は法案を出させてもらいます、国会の委員会で十分な審議を尽くしましょうと、」こういうことを言っておられます。「同時に、政党間の話も代表者懇を中心にやるのはいささかもやぶさかではありません、やりましょうと、話し合いを。」こういう発言をしておられます。また、「国会議員というのは国会に来て論議を尽くすんですよ。政党間の事前折衝も必要でしょう。それはあっていい。あっていいけれども、うまくいかないときは、国会で一方が法案を出して国会の委員会や本会議の中で議論を尽くして結論を集約していくんですよ。その過程で、国民の前に開かれた議論で国民の皆さんの批判をもらえばよろしい」と。さすが良識の府の選出された議員だと思われます。こういうことを言っておられますので、提案者がこのように議論をしようということを言っていらっしゃるわけでありますから、よもや本日、三日程度審議がなされた後に採決があるなどということはないものと信じておりますが、ぜひこの後も公聴会などを開いていただきたいということをまず冒頭に要請申し上げたいと思います。
 さてそこで、江田参考人にお伺いしたいと思います。
 片山議員でありますが、先日の発言の中でも、例えば、六十三年の参議院の中につくった超党派の検討委員会、平成二年の第三者の権威ある機関の第八次選挙制度審議会、あるいは平成六年のこれも超党派の参議院選挙制度検討会、あるいは去年からやっております代表者懇の下のワーキンググループ、あるいは、ことしの春ですが、前の斎藤議長が私的な諮問機関をつくられまして、そこで選挙制度も議論しているんですよ、こういうことをおっしゃって、決して今回の法案というものは唐突に出てきたものではない、こういうふうなことをおっしゃっておられます。
 また、さきに引用いたしました発言の中でも、野党が出てこないじゃないか、こういうようなことを言っているわけでありますが、このような発言に対しまして、特に野党の方は参議院の方では出てこなかったではないかということを言われているのでありますけれども、選挙制度という民主主義の根幹にかかわるこういった法案に対してなぜ参議院の方で出ていくことができなかったのか、審議ができなかったのかということについて、本来のあるべき審議のあり方ということの所感も御披露いただければということをあわせてお願い申し上げまして、御意見をいただきたいと思います。
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江田五月#12
○江田参考人 参議院で野党がなぜ審議に加わらなかったのか、本来あるべき審議はどういうものであるか、こういう御質問でございます。
 参議院の選挙制度についてこれまでいろいろな機関がさまざまな形で議論をしてきたこと、これは事実でございます。例えば、平成二年には、第八次選挙制度審議会において今回の非拘束名簿式のような提唱も確かにございます。
 しかし、よく考えてみなければいけないのは、第八次選挙制度審議会は、こういう方式を提唱する前提として、参議院とは一体何であるのか、衆議院と参議院と二院制になっているのはどういうことか、それをよく考えなさいよということを言っているわけですね。第八次選挙制度審議会がこういう提唱をした後に衆議院の選挙制度が変わった、そして今の衆議院の選挙制度になっているわけでありますから、第八次選挙制度審議会が考えたときと、衆議院、参議院の役割分担をよく考えなさいよという前提、これは変わっていない、しかし衆議院の選挙制度は変わったのですから、そのとき考えられていた参議院の選挙制度をそのまま持ってくるというのは、前提において大きく違っているということでございます。
 あれこれいろいろございまして、そういう議論をずっと詰めて、そして先ほど私が申し上げた本年二月二十五日の各派の合意ということになっているわけでございまして、これは党利党略の合意じゃないのです。
 さっきも言いましたとおり、参議院というもののあり方を十分考えた上で、なお議論をするんだ。私たちの党の中でも、どういう制度がいいのか、これは党内の議論もずっとやっていたわけで、そういう各政党間、各会派間の審議というものをまるで弊履のごとく捨て去って今度のこういう提案が出てきた。私どもとしては、そういう審議を無視する与党各会派のやり方に対して、そのまま受け入れるわけにはいかないということを考えたのがまず第一でございます。
 さらに、先ほどるる申し上げましたとおり、この出された案が非常にひどいということもございますね。
 それともう一つ、これはぜひ考えなければならぬと思うのは、確かに私どもも今回の参議院の野党がとったようなやり方が、あれが百点満点、有権者から何の批判も受けないものだというふうに思っているわけではありません。
 しかし、今、この長い間の積み重ねで、議会の審議のルールというものが物すごく厳しいものになっているのですね。厳しいというのは何かというと、はい、時間はこれだけです、はい、何日です、もうおしまいです、はい、どうぞと、一列で並ぶ以外にないエスカレーターのようになっていて、そこへ乗っかったら自然に二階まで持っていかれるということになってしまっているわけで、いらっしゃい、いらっしゃいと、まるで首切り役人が刀を振り上げて、さあそこへ座りなさい、すぐに首を切ってあげますよ、そういうところへ入っていくというのは、与党が行う審議拒否に対して野党が唯々諾々と従うという形になるわけで、形では私たちが審議拒否の形になっていますが、私どもの方は徹底した審議をしたいから、国民の皆さんにボディーランゲージでああいうことを伝えざるを得なかったということでございます。
 ということを考えますと、今後の審議のあり方はどういうものがいいか。従来型のいわゆる古い抵抗スタイルというものは、あるいは古い強行スタイルというものはお互いにもうやめようではないか、そしてもう一度、論争民主主義の原点にみんなで戻らなければならぬ。本当に論争して、論争し尽くす。どうせ生身の人間がやるのだから永遠にできるわけではありません。そういう論争をし尽くしたあげく、もっと議論の場にマーケットメカニズムを生かして、そして最後は選挙で有権者の判断をいただく、そういうものに戻らなければいかぬ。フィリバスターというものがございますが、例の「スミス都へ行く」という映画に出てくるものですね、ああいう論争の価値というものをお互いにもっともう一度再認識をして、議会のルールをつくりかえるべきだ、私はそう思っております。
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山花郁夫#13
○山花委員 江田参考人にお尋ねしたいと思います。
 ただいま、ぜひ議論というものをしっかり行うべきだという御発言がございました。私たち民主党は、この選挙制度の改正に対しては対案というものを提出しているわけであります。あるべき審議の姿からすれば、こういう対案を全く審議しないまま採決がされるということは決して好ましいことではないことだと認識する次第であります。
 さて、片山参議院議員ほかが出されております案でございますけれども、先日の委員会でも、片山参議院議員は、全国区の復活、再来は断じてこれは慎みたい、こういうふうな発言をされております。そしてまた、今回の法案について、全国区とは違うのですよ、こういうことを言いまして、この比例代表非拘束名簿方式はまず党を選ぶのです、まず党を選んで、党の中でだれを当選させたいかを選ぶのですよ、まず選ぶのは党なのですよというような発言をされております。
 私は、さきの総選挙で当選したばかりでございますので、昔の全国区というものがどういう選挙であったのか、体験したわけではありません。そして、理屈の上で違うという話を聞けば、まあ理屈の上では違うのかなということになるのでありますが、しかしながら、今回の法案を見させていただきますと、まず個人名を自書する、これが原則になっていて、ただし書きの形で、政党に対して投票しても構わない、こういった制度になっているわけであります。
 法文を見る限り、やはり個人を選ぶということが優先しているわけでありますけれども、そうであるとすると、旧全国区と、法的な難しい言葉を使えば違うということになるのかもしれませんけれども、事実上、その実態は旧全国区と全く同じものになるのではないかという印象を受けるのでありますが、全国区の時代の経験者としましての御意見をお伺いしたいと思います。
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江田五月#14
○江田参考人 確かに、比例代表制度ですから全国区制度とは違う、形式的にはそれはそのとおりです。しかし、そのために余計悪くなっているとも言えるわけですね。
 八代さん、あそこでしきりにやじっておられますが、確かに、私も八代さんも全国区制度を比例制度に変えるのに反対をいたしました。それは、比例制度になるとますます参議院が政党化するからということで反対をしたのですが、だけれども、全国区制度というものが、先ほど言いました、残酷区と言われたり銭酷区と言われたり、大勢出てだれだかよくわからぬとか、いっぱい欠陥を持っていたこと、これは確かなことでございます。
 そこで、今度の参議院与党案というものを見ると、候補者から見ると、同じ党の中であっても自分の隣の人よりもたくさん票をとらなければ当選が保証されないわけですから、もうこれは、全国をまたにかけて、金は幾らでもかけて運動するほかないじゃありませんか。あの全国区と同じことになってしまいます。有権者から見ても、これだけ大勢の中で一体ちゃんと選べるのか。
 先ほど情報コストという問題のお話がございましたが、そういう問題が出てくるので、全国区の悪い点をそのまま復活させてしまう。いわゆる役所ぐるみ、企業ぐるみ、業界ぐるみということもそうだし、また地方自治体の首長さん方が大変苦労する。ここでちゃんと票を出しておかなきゃ、陳情へ行っても、補助金をもらおうと思っても全部鼻であしらわれる、そういうことが復活する。これでいいのかということなんですね。
 それに加えてさらに、個人名でとったものを政党に落とし込んで別の人間を当選させるのに使うというわけですから、より悪くなっているわけでございます。
 そのほか、先ほどの、例えば選挙違反があった場合にどうなるかとかいろいろございますし、しかも今度の制度で、比例区ならばまだしも、先ほどもお話ございました、こういう女性の良識を議会に反映させようと思って政党が努力する、そういう努力はできなくなってしまうわけです。その上、私も八代さんも、当時私は政党ではありましたが、今回は比例制度ですから無所属で出るということができないわけでしょう。
 それやこれや考えますと、全国区ではないんだ、比例区だというのは単に言ってみるだけの話で、いい悪いということを考えますと、これは全く改悪以外の何物でもない、私はそう思います。
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山花郁夫#15
○山花委員 加藤参考人にお伺いしたいと思います。
 先ほど加藤参考人は、旧全国区は余りに多くの候補者から一人を選ぶという制度であるというお話をされましたが、旧全国区最後の選挙のときにも、百名以上の候補者の中から一人を選ぶという、情報コストの点から見ても、また政治家の候補者の側から見ても、非常にお金のかかる、いろいろな意味でコストのかかる制度だったというお話だと思います。
 ところで、今回の法案でいきますと、一つの政党が四十八人まで候補者を立てることができる。そうであるとすると、当然、政党というのはいっぱいいっぱいまで名簿に登載いたします。そうすると、ある試算によりますと、今回は、旧全国区のときどころか、三百人以上の候補者の中から一人を選ぶという非常に情報コストのかかる制度だと考えられます。
 そしてまた、これは委員会の質疑の中でもまだ出てきていない話でありますけれども、四十八人、果たして一枚のポスターの中に豆粒のような形で候補者の顔を写す形になるのか。あるいは、個人の選挙運動も許されるということで、個人のポスターをべたべた町中に何十種類も張られるのかわかりませんが、このような形になるわけであります。
 こういった今度の選挙制度の改正の法案がもし成立してしまったとすると、これが果たして顔が見える選挙、こういうふうに言えるのかどうかということについて御意見を伺いたいと思います。
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加藤秀治郎#16
○加藤参考人 顔が見えるかどうかということですが、それは人の名前を書くんですから顔が見えるという点はそのとおりだと思いますが、大事なのは、タレントの人気投票だとかそういうのでないので、政治家としての資質を選ぶわけですから、この人がどういうことを考えて、何をやろうとしているのかということまでわかった上でこの人に入れる、そういう形ならいいわけですけれども、事実上、百人を超すような人で、しかも何人の人を検討対象に挙げて選ぶかというと、非常に悲観的にならざるを得ません。
 そういう意味で、新聞に投書なんかをする方は、人も選べていいなんて書くかもしれませんが、そういう人は有権者のパーセントからいってごく限られた数で、一般の方が果たしてどれだけ熱心に、それぞれの候補者が何を言い、何をやろうとしているかということを検討して投票するかどうかというと、非常に疑問でありまして、単に顔が見えるとかいうことだけでは済まない面があろうかと思います。
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山花郁夫#17
○山花委員 続けて加藤参考人にお伺いしたいと思います。
 私は先日、内閣法制局にといいますか、衆議院の議長あてになりますが、質問主意書というものを出しております。今回の制度については、憲法上疑義がある点がございます。それと申しますのも、先ほど来、連座制などで失職した、あるいはみずからが買収行為などを行って議席を失ったような場合でも、政党の投票が生きてしまうではないかという御意見が参考人の方からもございましたけれども、こういう議席を失うという場合だけではなくて、非常にたくさんの数を得票したその恩恵をこうむる下位の当選者が出てくるわけですけれども、ある政党で一番多く、何百万票も得票したような当選者が、後になって党籍を離脱する、つまり議席を保有したまま党籍を離脱したような場合でも、今回の法案に照らしますと、政党の投票はそのまま生き続けるということになるのでありますけれども、こういったような制度というものがよその国に存在するのかしないのか。
 急な質問ですのであれですが、仮に存在するとしても、こういったシステムというものが妥当なものと考えられるかどうかということについて御意見を伺いたいと思います。
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加藤秀治郎#18
○加藤参考人 大変難しい質問で、私も答える用意が十分ありませんが、ただ、一点言えることは、現在日本では政党の形が、過渡期といいますか、まだ完全に整っていない時期で、政党の変更というのは十分予想される事態だと思うんですね。そういうときでしたら、やはりそういう面でいろいろ懸念される制度というのをこの時期に導入するというのは疑問が残るのではないかと思われますので、憲法上非常に難しい問題で、私も憲法が専門ではありませんので判断しかねますけれども、いろいろ難しい問題を含んでいるというのは今の御説明でもわかります。だとすれば、それだけに制度を導入するときには慎重に検討をするというようなことが必要で、特にここしばらく日本では政党の変更が多いわけですから、その点も考えて検討していただきたいものだなと思うわけであります。
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山花郁夫#19
○山花委員 時間でございますので、最後の質問にさせていただきたいと思います。
 これはまた加藤参考人にお願いしたいと思いますけれども、今回のこの制度改正案について、提案者の側からは、旧全国区とは違って、選挙運動についても規制という制限をしている、ポスターの枚数は何枚、あるいは法定選挙費用が幾らという形で制限をしているので、旧全国区のように銭酷区というような批判は当たらないという答弁がされているわけでありますが、先ほど江田五月参議院議員からは、そんなことはない、この制度になってもお金がかかるのだという当事者からの御発言がございましたけれども、果たして今回のこの制度改正によって、お金がかからない選挙制度となるかどうかということについて御意見をいただきたいと思います。
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加藤秀治郎#20
○加藤参考人 私は、現在の制度から比べますとお金は確実にかかると思っております。
 大学の教師としての、ちょっと適切な例かどうかわかりませんが、候補者の方は、当選したいという気持ちで立候補されているわけですからいろいろなことをやるというのは当然のことでありますし、そのとき違反がないようにということでありますが、例えば大学でいいますと、学生はできるだけ少ない努力で合格だけはしたいという気持ちがあります。そうしますと、当然教師の側としてはカンニングは警戒しているわけでありますが、今度の制度で疑問なのは、大学の試験でいいますと、カンニングを奨励しながらカンニングのチェックだけは物すごく厳格にやろう、そういうような説明に聞こえるわけであります。
 当選のためにはいろいろなことをやらないととにかく当選できない。そして、それをやれと言いながら、細かい事務所の数だとかポスターだとかそういうところでは制限を加えようというような形ですから、これは、根本の方向が間違っているところで、それ以外のところでいろいろ規制をかけようというのはやはり邪道ではないかと思うわけであります。
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山花郁夫#21
○山花委員 ありがとうございました。終わります。
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自見庄三郎#22
○自見委員長 塩田晋君。
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塩田晋#23
○塩田委員 自由党の塩田晋でございます。各参考人におかれましては、非常にお忙しい中を時間を割いておいでいただきまして貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
 まず、江田参考人に二つほどお伺いします。
 一つは、先ほど証言されました問題でございますが、参議院におきまして各党各派の協議会がある、そこで報告書が提出されて、その報告書につきましては、次の参議院選挙については時間的な関係から定数の削減のみで、あとは現行の方式でいこうということが結論的な内容であったというふうにお話をされました。そして、それを再確認するような形で、本年の六月二日に参議院議長が各会派を集められてそれを再確認された、こういうふうに今お伺いしたわけでございます。
 提出者の参議院の皆さんからは、そういったことが言われているけれども、約束はしていない、それは全然なかったんだと。報告書についても、両論併記というか三者併記して書いてあるんだ、こういうお話があり、参議院議長のところでも約束はしてない、したがって、これはその後の状況変化によって、いろいろな事情からこの法案を出すのだ、こういうお話でございます。
 その点につきまして、国務大臣もやられ、また参議院の野党第一党の責任者であられます江田五月議員のお言葉というのは非常に重いものがあると思いますが、ひとつはっきりと確認しておきたいと思います。
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江田五月#24
○江田参考人 参議院の方の提出者が衆議院に来てどのようなことをお話しになったか知りませんが、参議院の方では、ここに私も持っておりますが、参議院選挙制度改革に関する協議会というものをつくりました。これは、議長のもとにある各会派代表者懇談会、このもとに置かれた実務者の協議会でございまして、私ども、やはり議長というものの権威は議会人として最大限に尊重しなきゃならぬ、そのもとにちゃんと設置をされた協議会でございます。そこで九回協議をいたしまして、その協議のたびの議事録というものもしっかりとできているわけでございます。
 そういうものを踏まえて、平成十二年、本年二月二十五日にこの協議会の報告書というものが採択をされています。これも、議事録を見ますと、いろいろ文章の細かなところまで議論をして、その上でこういうことにしようといって出しているものでございます。
 Iが「この協議会の経緯」、IIが「参議院の役割と在り方」、IIIが「当面の改革」として、その1が「拘束名簿式比例代表制と選挙区制について」、(1)でいろいろな意見が書いてあって、(2)のところで「拘束名簿式比例代表制について」、その中で、ああいう意見もある、こういう意見もあると書いて、最後に「いずれにしても、現行の拘束名簿式比例代表制の仕組みそのものを改めるとなると抜本的な改革となり、その実現は容易でないことから、当面は現行の拘束名簿式比例代表制を維持することを前提として議論を進めることとなった。」こう明確に書いてあるわけですから、これが合意でなくて何が合意か。もう本当に、印鑑証明つきの契約書みたいなものですよ。これを平気で破るというのですからひどい、こう言っているわけでございます。
 六月二日の、議長が各会派の代表者をお呼びになってお話をしたときも、これを前提にして定数是正をやりましょうというお話をされているわけでございます。
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塩田晋#25
○塩田委員 責任者の江田参考人がそのようにはっきりと申されるわけでございますし、また、報告書もそういうふうに書かれていることでございます。それの確認をここでさせていただいたわけでございまして、ありがとうございました。
 江田議員にあともう一つお伺いします。
 先ほど、この選挙法の改正案というのは非常に不純な動機、そして思惑から、また前回の衆議院選挙の結果を見てこういう法案を突如出してきた、こういうお話でございました。そして、その法案の中身から見て、有名人、タレント等が大量得票をして、それが、本人のみならず他の当選者に横流しと言われるような、あるいは人によっては、移譲するような形、おすそ分けとかいろいろ表現されておりますが、そういったことを指摘されて矛盾を突かれたわけでございます。
 それはそれとしまして、こういうことも起こらないでしょうか。例えば、全国区でございますから、これはしかも短期間に当選を目指して、各個人が個人票を集めるということになるわけです。そして、それがその個人の所属する党の票になり、また、個人を選択しないで党を選択する投票もできるわけですから、この双方の合算をしてその党の得票数になる、こういうことですね。その場合に、横流しというよりも、むしろたくさんの候補者を各党が出す。たとえ一万であろうと二万であろうと、何人も出せば何十万票になるかもわからない。もちろん供託金没収等の問題はあるでしょうけれども、それにも構わずある党がどんどん各地で候補者を立てる、そういうような状況が起こらないでしょうか。二百人とか三百人、あるいは四百人ぐらい立つんじゃないかと言われていますけれども、それどころか、票を集めるためには、例えば県会議員、市会議員を落選した人とか、あるいはそういった地方議員の任期の間際にやめて立候補する、こういったことをどんどんふやしていけば、銭金にかかわらずやっていけば、その党の票はふえる。だから、有名人でなくても、そういう立候補をすれば確実に党の票としてプラスされていく、こういう面が起こるんじゃなかろうか、このように思います。
 その一つは、全国区といっても、走れ走れ孝太郎のような、全国を走り回って、そのために亡くなるような、そういうことでないようにするためには、大体七十万票をとれば当選じゃないかと言われていますね。一億人近い有権者に対しまして七十万票とればいい。そうすると、全国を駆けめぐる必要はないわけですね。ある県だけでも七十万票や百万票をとった人もありますし、またそれ以上の人も出ておるわけですが、ある県あるいはある地域に特化して、そこで選挙運動をやるということにもなりかねないですね。そうすると、全国区で、事務所の数を十五から一カ所に減らしたり、ビラの数にしたって、あるいははがきにしても、到底、全国でそんな十五万や二十万じゃ、これはもう話にならない。そうすると、どうしても特化していく。ということになると、全国区といいながら、実態は全国区でなくなるんじゃないか。そういった問題が起こり得ると思うんですけれども、これについて、江田議員はいかがお考えでございますか。
    〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
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江田五月#26
○江田参考人 全国規模で個人名を書かせるわけですから、全国できるだけ走り回って票を集めよう、そうやって自分の所属する政党の名簿の順位を自分の努力で上げよう、これをみんなやることは、それはもうそうなると思いますが、もちろん、全国走り回るのは大変だから、私はここでとれるからここでとるんだと言って努力する、そういうことも出てくるでしょう。現に、全国区のときには、全国から集票ができる人たちはそれはそれで一生懸命やりました。しかし、政党によっては、全国を自分の党の中でブロックに分けて、このブロックはだれそれ、このブロックはだれそれといってやったようなところもございます。そうなると、全国民の良識を集めて当選するというものとはまた性格が違ってしまうわけですね。さまざまそういう問題が出てくる。
 私どもは、ブロック制というもので、全国規模の選挙運動をやらずに個人名投票で選挙を行う、そういう新しい広域選挙区制度というものを提唱しているわけですが、仮にこの非拘束名簿式の比例代表制でやるのだとしても、例えば、まず政党名を投票させるんだ、政党名は書いてもらうんだ、これは必須なんだ、政党名を書いた上で、さらにその政党の名簿の中で自分はこの人がいい、これによって順位を決めていきたいというなら、それはそれで一つの考え方かもしれませんが、今度のようにどちらでもよろしいとなると、これは、今先生おっしゃるようなさまざまな問題点が出てきて収拾がつかなくなる。
 参議院の方で私も指摘をいたしましたが、この法案をお出しになるときに、参議院の調査室で試算をしたこの法案に係る予算措置、これがあるんですね。これによりますと、公費助成で恐らく五十億円以上のものがかかるであろう。こういう資料をつけてこの法案を提出しているわけで、国民の税金のむだ遣いという点でも甚だしいものがあると思います。
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塩田晋#27
○塩田委員 もう一つお伺いしたはずですが、各政党で候補者をどんどん立てるという問題についてはいかがですか。
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江田五月#28
○江田参考人 これもそういうことが起きると思いますね。もちろん供託金の問題などありますから、それぞれの政党は自己責任でそういうことを、有権者の批判も覚悟しながらやられたらという話ですけれども、しかし、普通考えれば、候補者が多ければ、たとえ一万、二万でもその政党の得票は多くなるわけですから、まことにもってわけのわからない、むちゃくちゃな選挙ということになるんじゃないかと思いますね。
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塩田晋#29
○塩田委員 ありがとうございました。野党第一党の責任者として非常に重いお言葉をいただきまして、ありがとうございました。
 今のことに関連いたしましてお伺いしたいと思いますが、加藤参考人にお伺いいたします。
 加藤参考人は、諸外国の選挙制度につきましてかなり詳しく調べていらっしゃるというふうにお聞きしております。
 今、この非拘束式比例選挙の方式をとっておるのはヨーロッパに多いわけですね。そして、衆議院と参議院、いずれかあるいは両方で非拘束式名簿の比例代表選挙をやっているのが、デンマーク、フィンランド、オーストリア、ベルギー、ノルウェー、オランダ、こういったところが代表的なところであると思います。ただ、その中で、参議院だけでこれをやっているというのは、ベルギーとノルウェーだけでございます。あとは一院制でございますから、参議院にはないということでございます。
 その参議院の選挙の非拘束式比例代表選挙といたしましても、大選挙区だとか小選挙区に分けているところもありますね。それから、順位を党内である程度決められるような形のものもあるように聞いておりますが、特に、ベルギー、ノルウェーにつきまして、その辺はどうなっておるのか、お聞きいたします。
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