宮澤喜一の発言 (大蔵委員会)
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○宮澤国務大臣 小渕内閣が発足いたしました二年何カ月か前でございますが、この不況に対応を始めたことでございますが、そのころしばらくの間は、今砂田委員の言われますように、本当に、減税もやる、公共事業もやる、金融機関にも金を入れる、あらゆることをいたしましたけれども、率直な感じは、コンクリートパイルを打ちましてもヘドロの深さがわからない、どんどん吸い込まれていくという感じがずっと続いておりまして、強いて申しますと、昨年の暮れかことしの初めごろに企業活動がようやく回復をし始めておるということが感じられました。また、後にはQEにも出てまいりました。
これで、民需のある部分はわかったわけでございますけれども、しかし、それがすぐに家計に響き、雇用にいい影響を与えているかといいますと、悪くはなっておりませんけれども極めてその回復は遅うございまして、したがって、今に至るまでまだ官需から民需にバトンタッチがちゃんとできておるとは申しにくい状況でございます。企業の方は当面心配はないということでございますけれども、したがって民需にバトンタッチができたというふうにはまいらないというようなことから、また補正予算もお願いをいたしておるわけでございます。
そういう状況の中で金融機関について考えますならば、いわゆる大銀行と言われた中でまだまともに税金を払っている銀行は、たしか二行か三行になりますでしょうか、そんな状況でございますので、信用というものも十分に回復しているとは申しにくい。全体としては最悪の事態を脱したことは間違いないと思いつつ、また、国税につきましてならば少しずつ税収の回復は見えますけれども、まあそんなところが大体の概括でございます。
そういう状況の中で、御指摘のように大きな債務を負っておるわけでございまして、これは、幸いにして今日国債の発行は、かなり低金利なこともございまして、低金利で有利な条件で発行しておりますし、利回りも今日は一・六台になっておるというようなことでございますから、当面のそういう苦労はございませんけれども、しかし、まだまだ続いて国債を発行していかなければならない状況でございますから、大きな債務を将来の我々の子孫の人たちに背負ってもらわなければならないということは、これはどうも、まことに申しわけないけれども事実でございます。
願わくば、我が国の経済が健全な成長軌道に乗って、それによって国債の発行が少しずつでも減り、しかもそういう強い成長力の中でならば、ちょっとやそっとの債務が心配だと私は申しませんけれども、毎年の利子負担だけでも大変でございます。
かれこれ申しまして、しかし、新しい時代のニーズに国民経済あるいは社会経済も何とか適応していこうとしつつございますし、我々の民族はそれだけの力を持っておることを私は疑いませんので、将来を悲観はいたしておりませんけれども、いろいろな改革の中で、おっしゃいますように、財政改革というのは財政の問題ばかりではございませんで、すぐに税制のことであり、また中央、地方の行財政の問題でもあり、何よりもお互いが毎日議論しております社会保障関連の施策、すべてのものを巻き込んだような改革をしなければならない。
もう少し経済成長がはっきりしまして、国税収入も増収の方向に向かうということになりましたら、この困難な仕事に取り組まなければなりませんが、殊に社会保障等々が含まれておりますので、なかなか、国民のコンセンサスを得るということ、つまり、どれだけの負担をするからどれだけの給付をせよと、そのバランスというものを満足させなければならない結論を出す、これは出さなければならないわけでございます。出さなければならないわけでございますから、政治的には恐らく非常に困難な局面が幾つもあると思いますが、それをいたしませんと、先ほど砂田委員が描写されました困難な問題への解決の端緒をつかむことができない。
悲観はしておりませんが、前途はたくさんの問題があるということは、これはもう十分認識してかからなければならない現状であると考えております。