中村裕の発言 (農林水産委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○中村参考人 おはようございます。ただいま御紹介いただきました全国農業会議所の中村でございます。本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私は、御審議をいただいております農地法の一部を改正する法律案につきまして、賛成の立場から意見を申し述べさせていただきます。なお、時間の関係もございますので、ここでは、特に農業生産法人制度に関する意見といたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 先生方に御尽力いただきまして、昨年の七月、食料・農業・農村基本法が施行をされました。また、ことしの三月には、新基本法の理念と施策の方向を具体化する食料・農業・農村基本計画が策定をされたところであります。この実現に向けて最も重要なことは、だれがこれに当たるのかということであります。いわゆる農業生産の担い手、そして地域社会の担い手の質と量の問題であります。
 私ども農業委員会系統は、農業経営の法人化につきましては、前の農業基本法が制定をされます以前の昭和三十二年からタッチをしてきております。このきっかけとなりましたのは、一ミカン農家が農家の経営を有限会社ということで申請をいたしましたところ、法的にこれが認められないということでありました。
 それ以降、自主性と主体性を持つ農業経営の実現を目指す観点からこれを支持してまいりまして、昭和三十七年に、有限会社、合資会社、合名会社そして農事組合法人に限り農地の取得が可能となる農業生産法人制度の実現を図ってまいってきたところであります。
 今回の改正法案は、農業生産法人の一形態といたしまして株式会社を認めるなど、農業生産法人制度の四つの要件を見直すものでありますが、この改正内容は、農業生産法人が家族農業経営の延長線上にあるという制度の基本を変えるものではなく、農村地域においても共存できる経営形態であると理解をしておるところであります。
 先進国におきます農業経営のあり方を見ましても、その大宗は家族経営であります。今後ともその方向は変わらないと考えておりますが、時代の変化に対応いたしまして、法人経営についても新たな展開が必要だと考えているところであります。
 このような基本的な視点に立ちまして、まず、要件の見直しの点について意見を申し上げたいと存じます。
 第一点は、事業要件であります。
 これまでの事業に加えまして、民宿あるいは造園、キャンプ場あるいは除雪作業など幅広い拡大が可能となります。この点は、労働力の周年雇用あるいは農機具の有効利用などを含め、経営の自由度の拡大や多角化あるいは都市住民との接点などを実現するものでありまして、現場からも強く望まれた点であります。
 第二点は、構成員要件の緩和であります。
 農業関係者以外につきましては、現行の構成員に加えまして、地方公共団体、それから法人と継続的取引関係にある者、例えば食品加工業者、生協、スーパーなどの参加を可能としております。この点は、農業経営の成否にかかわります加工、流通への参加でもありますし、また、資金の調達や人材の確保、消費者や都市住民との連携などの経営の強化と発展につながるものであります。これはまた、法人経営者などからも強い要望があったものでございます。
 特に、地方公共団体の参加による公益的な機能を持った農業生産法人が登場するということは、担い手の絶対的な不足に悩みます中山間地域などでの耕作放棄の防止あるいは解消、または新たな農業経営の展開として期待ができるものと考えているところでございます。
 以上二点に関しましては、事業要件としては農業関連事業が過半を占めることや、事業内容を農地取得時や経営段階において農業委員会がチェックすること、また、構成員の拡大では、農業関係者以外の出資について現行制度同様に議決権数に制限を加えるなどの措置が御案内のようにとられているところであります。
 第三点は、法人形態要件であります。
 農業生産法人要件に関しましては、農村現場が混乱をいたした原因が過去あろうかと思いますが、その一つは、株式会社一般に農地取得を認めるということではないのかという誤解があったというふうに考えております。これは、資本の利益を優先する株式会社に農地の取得を認めれば、投機的な農地取得や農村の土地利用の秩序に混乱をもたらすのではないかというような懸念であったと思います。
 しかし、今回の改正法案では、株式会社の株式の譲渡制限、農業関係者以外の出資につきましては、従来どおり全体の四分の一、構成員一人当たりの出資割合を十分の一以下に限定して、農業関係者以外の支配を抑える仕組みが整備をされているところであります。したがいまして、従来から心配されていました不特定多数の株主が発生するという点についても排除されているということであります。
 四点目は、業務執行役員要件も緩和をされておりますが、役員の過半が農業に常時従事する役員でありますし、かつ、その過半が農作業に従事するということであります。さらに、農業法人の代表者は、農業が営まれます地域に居住して、農業に従事する構成員であるというふうに聞いております。こうしたことによって、従来からの地域に根差した農業生産法人という性格は維持されるものと考えているところであります。
 しかしながら、生産現場に参りますと、この法人要件の緩和によりまして、農地の投機的な取得あるいは農村の水利、土地利用に混乱をもたらすのではないかといった懸念があるのも事実でございます。各要件の適合性を担保する措置について、十分な配慮と正確な情報の提供が必要ではなかろうかというふうに考えております。
 とりわけ、農業委員会に大変な役割が与えられておりますが、農地の取得段階における要件のチェック、立入調査などによる状況の把握、要件を欠いた場合の指導、勧告、農地譲り渡しのあっせんなど法律に基づくものはもとよりでありますけれども、日常的にしっかりした対応が重要だと考えております。
 今後、農業委員会が措置された対応策を実効あるものにするためには、私どもも一層取り組みを強化していく所存でございますが、農業委員会の体制並びに農業会議の支援体制の強化につきましても、特段の御配慮をいただきたいと思います。さらに、国と都道府県の農地行政につきましても、毅然とした態度で対応するようお願いをしたいと考えているところでございます。
 以上、時間の関係から十分申し上げることができませんでしたけれども、私からの意見といたします。臨時国会におきまして早期に成立するようお願いを申し上げて、終わります。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 115005007X00320001107_002

発言者: 中村裕

speaker_id: 27890

日付: 2000-11-07

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会